4月3日から5日までの3日間、横浜の4会場で同時開催された都市型フェス“CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026”。そのうち、KT Zepp Yokohamaを舞台にフェスの新たな可能性を提案するキュレーションステージ「CENTRAL LAB.」には、アニメ音楽と関わりの深いアクトが集結。日本の音楽シーンにおけるアニメカルチャーの存在感を改めて提示するライブが展開された。ここでは数々のアニメ作品で共演する2人の女性声優、戸松 遥と花澤香菜による初のツーマンライブの模様を振り返りたい。
PHOTOGRAPHY BY ヨシダショーヘイ/MMT
TEXT BY 北野 創
2008年放送のTVアニメ『To LOVEる -とらぶる-』や『かんなぎ』を筆頭に、さまざまなアニメ作品で共演し、プライベートでも親交が深いことで知られる戸松と花澤。いわば盟友と言える間柄だが、意外にもお互いソロアーティストとして同じステージに立つのは今回が初となる。会場には年季を感じさせるファンが多く集まり、どこか同窓会のような趣きも感じられるなか、まずは先攻の戸松がステージに現われると、客席のペンライトは彼女のイメージカラーであるオレンジ一色に。そして「いくよ!」というお馴染みの合図と共に放たれた1曲目は「Q&A リサイタル!」(TVアニメ『となりの怪物くん』OPテーマ)。UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が楽曲提供した、声優ソングの殿堂入りと言っても過言ではない大名曲だ。生バンドが紡ぐスカコア調のノリの良い演奏に元気いっぱいビタミンたっぷりな戸松の歌声が合わさった楽しさたるや半端なく、それに会場の大合唱が加わってライブは冒頭からクライマックスのような盛り上がりを見せる。それもそのはず、今年1月に行われた“リスアニ!LIVE 2026”1日目の出演を除けば、彼女がソロ名義でライブを行うのは実に6年ぶりのこと。三三七拍子のコール&レスポンスでも溜まりに溜まった想いを爆発させ、戸松は満面の笑みで「よくできましたー!」と花丸を与えるだけでなく、ラスサビ前のキメ部分“逃がさないで”でウインクをプレゼントする。
いきなりのフルスロットルな幕開けに「香菜ちゃんを見に来たそこのあなた。ちょっと汗をかきますけど、その後に癒されてください(笑)」とフォローを入れつつ、今回はフェスに似合う楽曲やスペシャルなコラボを用意してきたと予告。会場の期待がさらに高まるなか、戸松はここからラブリーな振付も印象的なガールズポップ「Girls, Be Ambitious.」(TVアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』EDテーマ)、一転してシリアスな表情とエネルギッシュな歌声で魅せた「Resolution」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』OPテーマ)と、人気のアニメタイアップ曲を連続で披露する。
握りこぶしを高く掲げて、まるでアスナの如く凛々しく高潔に「Resolution」を締め括った戸松は、今年で声優としての芸歴20年になることを語ると、ここからは自身の声優人生の中でも付き合いの長い作品『ソードアート・オンライン』シリーズにまつわる楽曲を届けると宣言。「次の曲が唯一のしっとりした曲になっていますので、クールダウンしながら聴いてもらえたらと思います」との言葉に、次の楽曲を察知したファンから歓喜の声が上がる。そして歌われたのは「ユメセカイ」。TVアニメ『ソードアート・オンライン』第1期、アインクラッド編のEDテーマを飾った名バラードだ。アスナの心情とも重なりつつ、普遍的なメッセージ性を有した歌詞と戸松の温かなボーカルが心を解きほぐしていく。それに続くは『ソードアート・オンラインII』のOPテーマ「courage」。バンドの躍動感溢れる演奏に乗りながら、ダイナミックな動きと共に力強い歌声を放つ戸松。間奏で「もっとみんなの声聞かせてー!いくぜ!」と煽ると、会場のボルテージもさらにアップして熱狂が巻き起こる。
かと思えば、『告白実行委員会~恋愛シリーズ~』で縁のあるHoneyWorks提供の華やかなバンドナンバー「恋ヲウチヌケ」では、可憐な歌い口と「大好き!」という胸キュンな決め台詞で会場中のファンの恋心を撃ち抜く。楽曲ごとに多彩な表情を見せるカラフルさこそがアーティスト・戸松 遥の最大の魅力だ。
愛情で温まりまくった会場にさらなる熱を注いだのが、この日限りのスペシャルコラボ。戸松が「香菜~!」と気さくに呼び込むと花澤香菜がステージに登場し、多くのファンが期待していたであろう2人による歌唱がついに実現する。その楽曲は、戸松が主人公のナギ役、花澤がその妹のざんげちゃん役で共演していたアニメ『かんなぎ』のOPテーマ、戸松の2ndシングルの表題曲でもある「motto☆派手にね!」。実は花澤もカラオケでよく歌っていたとのことで、動きも含めて足並みを揃えたデュエットで会場にハッピーなヴァイブスを届ける。最後は2人で息を合わせてポージングして夢のコラボを締め括り、戸松曰く「俺ら『かんなぎ』世代の人たち」、花澤曰く「平成のオタク」が多く集った客席は歓喜に包まれた。
そしてここでバンドメンバーを紹介。この日の戸松のライブを支えたのは、木村大樹(Gt)、わかざえもん(Ba)、ナギヤシュン(Key)、そしてアニメ/声優ファンとして知られるハンブレッダーズの木島(Dr)。木島は戸松に「俺ら『かんなぎ』世代のひとりです」と紹介されると誇らしげに手を上げ、同志たちも声援を送っていた。ラストスパートは「フェスと言えばタオルだろう」ということで選曲したという、4thアルバム『COLORFUL GIFT』収録のタオル曲「Boom Boom Typhoon!」でスタート。
自らタオルをブンブン回しながら歌唱して愛を振りまくと、最後は同アルバムのリード曲「オレンジレボリューション」を投下。オレンジのペンライトが揺れて美しい景色が生まれるなか、戸松はステージを左右に行き交い、時に客席に向けて指差しして手を振りながら、エネルギッシュに駆け抜けていく。「最後まで心ひとつにー!」と呼びかけると会場は大合唱。この曲の歌詞にある通り、みんなの手を“遙か遠くまで引いていく”エンジョイパワーに満ち溢れたライブだった。
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