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2026.06.04

また再び会えることを願って――青山吉能、バースデーツアー“青山吉能 Birthday LIVE「明日、ふり合うも多生の縁。」”のファイナル公演をレポート

また再び会えることを願って――青山吉能、バースデーツアー“青山吉能 Birthday LIVE「明日、ふり合うも多生の縁。」”のファイナル公演をレポート

2026年5月16日(土)、神奈川・横浜ランドマークホールにて、青山吉能のバースデーツアー“青山吉能 Birthday LIVE「明日、ふり合うも多生の縁。」”のファイナル公演が開催された。
ソロアーティストデビューから5年目、バースデーライブも5回目、更に30歳というメモリアルな節目に、初めてツアーという形で行われた今回のバースデーライブ。本公演を境に、青山の音楽活動は一旦“小休止”となるが、この夜を包んでいたのは別れのムードではなく、また同じ縁で巡り合えることを信じるような、晴れやかな明るさであった。その模様を振り返る。

PHOTOGRAPHY BY 北島凜音
TEXT BY 逆井マリ

“小休止”前の集大成的ライブ

90年代J-POPがSEとして流れるなか、「よぴぴん家BAND」メンバーである=木原良輔(g、バンドマスター)、杉 直樹(key)、 前田逸平(b)、山崎 慶(ds)、石井裕太(sax、flu、per)、小幡康裕(ギター、キーボード)がステージに登場。深い青の光に包まれていたステージが、やがてピンク、紫へとゆるやかに移ろい、エメラルド色のような照明を浴びながら青山吉能が登場した。

オープニングを飾ったのは、to-kichiと馬瀬みさきが手掛けた、シティポップテイストの「Grown Up」。艶やかなサックスの音色を軸としたラグジュアリーなアレンジで、会場の空気を大人びたムードへと染めていく。赤い照明に変わったかと思うと、日食なつこが提供した「ルーガルー」へ。青山の力強い歌声に合わせて、客席で拳が上がる。タンバリンやフルート、サビ前の間合いに差し込まれる青山のフィンガースナップといった細やかなアクセントが、楽曲に更なる躍動感を与えていた。

序盤を盛り上げたところで「“明日、ふり合うも多生の縁。”、夜の部へようこそ~!」と明るく呼びかけた青山。このライブが一旦の区切りになることに触れ、「私の今までのすべてを詰め込んだライブにしたかった」と語る。昼公演とは“まるっきり”始まり方を変えたこと、バンドメンバーにも違うセットリストを覚えてもらったことを笑い混じりに明かした。

そして、「私事ですが、先日30歳になりました~!」と報告。客席から「おめでとう!」の声が飛び「ありがとう!」と返しつつも、「……めでたいですか?」と夢から醒めたような表情でぽつり。年を重ねることにあまり前向きな気持ちを持てなかったことも明かしながら、それでもこのライブがあるからこそ、「生きるのを続けることが、そんなに悪くないのかな」と思えるようになったと話す。「え~ん、初っ端からこんな話~最悪~!」などと自身で茶化しながらも、重くなりすぎない語り口だからこそ、不意に胸に届くものがあった。もっとも、しんみりした空気だけで終わらせないのが彼女らしいところ。「ひとまず私のバースデーライブは始まったばかりということで!普段皆さん、色々なライブに行っていると思うのですが、私の楽曲群は、“イエーイ!”という、イントロが響いた瞬間に膝から崩れ落ちるタイプではないので」と冗談めかしながら、観客に求めたのは“それとない顔”(笑)。

というのも、ステージから見える客席の表情が、思った以上に「笑っていない」のだという。「それがもう、私の生前葬ですか?と思うような感じなんですよ。でも、ノレないんだよ!という気持ちもわかるので」と理解を示しつつ、このツアーでは観客に“それとない顔”をお願いしてきたという。青山はその見本を自ら示しながら、「そうすると演者の士気も上がり、より良い演奏をお届けできて、みんなもっと良いことになって、ウィンウィンじゃないですか」と笑わせる。

「次の曲もそんな感じのテンション感で聴いてもらえたらと思います!」と披露したのは、「My Tale~moshi mosh」のスタイリッシュなRemix。デジタルな質感をまとったサウンドのなかで、青山の表情や身のこなしもどこか憑依的に変化していく。続く「イツカ」は、洗練されたサウンドの中に少しビターな余韻を漂わせる1曲に。そこから「Sweetly Lullaby」へ移ると、ウッドベースとサックスの音色が心地良く重なっていく。ビタミンカラーの照明の下、最後にポーズを決める姿は、どこかミュージカルのワンシーンのようだった。

「皆さん、それとない顔がお上手でした」と観客を褒める一方で、「楽器ってすごいですよね」と、ギターやベース、管楽器などを自在に持ち替えながらステージを彩るメンバーたちに改めて感嘆。そして、そのなかでピアノ1台を前にツアー全公演を支えてきた杉へのリスペクトを語った。仙台、大阪の昼公演の内容にも少しだけ言及したが、その詳細は「門外不出」ということで、このツアーに足を運んだ人だけの思い出としてそっとしまっておくことに。

表情豊かな歌声と音で季節を巡った中盤戦

そしてここからは、季節の移ろいを描くようなアコースティックブロックへ。ピアノとアコースティックギターのみで紡がれる「あやめ色の夏に」は、元々の温度感を残しながらも、夏の日陰から眩しい場所をそっと見つめているような、しっとりとした静けさをまとったアレンジに。

その空気を引き継ぐように、今度は「終点のない列車」へ。バンドサウンドが少しずつ加わっていくなかで、タンバリンや管楽器の音が冬の景色を広げていく。爽やかなアコースティックギターの響きに導かれ始まったのは、ソロデビュー曲であり、青山自身が作詞を、矢吹香那が作曲を手掛けた「Page」。アイリッシュ/ケルト音楽を思わせる軽やかなサウンドで、春の風景が遠くまで開けていく。青山も「一緒に!」と呼びかけながらステージを端から端へと移動し、観客との一体感を高めていった。

一連の曲を終えると「夏から冬へ、そして“Page”で春へというのがやりたかったの!嬉しい!本当に嬉しい!」と声を弾ませる。季節や景色が少しずつ移ろっていくように構成された中盤の流れは、バンド編成だからこそ描ける豊かな音の旅でもあった。

「データを組み合わせてライブで届けることはなかなか難しいので、バンドがいないとできないんです。(ピアノの)杉さまの負担がデカすぎるのですが……本当にいつもありがとう」とお礼を言いながら、バンドメンバー紹介へ。

サックスを主にしながら、フルート、シェイカー(この日は4つ用意)、バスクラリネットまで操る石井、バースデーライブ5年連続皆勤賞のベース・前田、キーボードだけでなくギターもこなす小幡、年齢非公開のミステリアスなドラムの山崎さんと、愉快なよぴぴん家BANDとのやり取りが続く。演奏力の高さはもちろん、青山のトークを受け止め、時に広げていくバンドの存在が、このライブを支えていた。

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