「次は皆さんと一緒に(ライブを)作っていこうかな」と客席に一歩近づき、小幡が作詞・作曲を手掛けた「メイド・バイ・ユー」に。バンドメンバーのソロも挟みながら、ステージにはハッピーなムードが満ち溢れ、客席には自然とハンズクラップが広がっていく。その甘やかな一体感を、燃え盛るような赤へと塗り替えたのが「オクビョウヒーロー」だった。真っ赤に染まるステージで、異色のロックナンバーを前のめり気味に歌い上げる青山。観客の拳も自然と高く上がり、会場の熱量は更に増していく。そこへ「ハンズクラップする準備はできてますかー!」と畳みかけるようにポップに弾ける「STEP and CLAP」へ。青山自身もクラップをして、ジャケットを彩る白いレースの花が揺れるなか、“その優しさの裏側を抱きしめてあげたい”のフレーズで客席へそっと手を向け、抱きしめるようなジェスチャーを見せた。そして、曲のラスト、「せーの!」の掛け声を合図にジャンプでフェードアウトするかと思いきや、そのままハッピーバースデーソングへ突入。青山もすぐさま反応し、自ら「ハッピーバースデーよっぴー!」と歌い出す。祝われているはずなのに、誰よりも楽しそうにその流れに乗っていったかと思えば、歌い終えるなり「なんか疲れちゃった……」とぽつり。祝福の空気すら軽やかに笑いへ変えてしまう、その緩急もなんとも青山らしい。ステージにはこれまでのジャケット写真がプリントされたケーキが登場。
青山が喜んでいると「これだけだと思われたら困る」とバンマスの木原からサプライズでプレゼントが。封筒を手渡され「……まさか株?」と、期待と警戒が入り混じるような反応をしつつ、蓋を開ければ、なんと人間ドックのチケット!しかも“上限金額なし”という太っ腹な内容で、30歳を迎えた青山への愛情と健康祈願が詰まったプレゼントとなった。木原はひょうひょうとした口調で「30歳になるんだから健康が一番でしょ。長生きしなさい」とひと言。更に「予約してあげようか?」と伝えると、青山は慌てたように「いや、マジで大丈夫です」ときっぱりと返し、観客を笑わせた。
人間ドックの話の流れから、人間ドック経験の有無を観客&バンドメンバーに尋ねると、未経験者はおよそ半数。バンドメンバーの中にも受けたことがない人がいるとわかり、青山は「結構いるじゃん!」と驚く。笑いに包まれたやり取りではあったが、自分だけでなく、観客にも健康でいてほしいという思いから、「みんなも人間ドック行こー!」と呼びかけ、自分が健康であることがファンの幸せにも繋がるのだと語った。
更に、今回のバースデーライブが一区切りになる理由についても言及。「深い理由があるというわけではなくて、声優としてお芝居をすることに、ちゃんとしっかり向き合いたいと思っていて。音楽やライブに対しても、手を抜きたくないですから。今のままだと、どこかで妥協しなきゃいけなくなる。それだったら、一旦お休みしてみるか!と、無理を言って(所属する)テイチクエンタテインメントにお願いして……」。冗談めかした言い方の奥には、どちらの表現にも誠実でありたいという想いが伝わってくる。
そして、これまで多くの作品に出会い、“命”を吹き込むことができたのは「昔から私をなぜか信じて、応援してくれるワグナーの人たち」がいたからだと語る。“ワグナー”という言葉に客席が沸くと、その反応に「ヤバい!今、なんか墓から(蘇ってきた)」と叫び、ドッと笑いが広がった。その光景を微笑ましく眺めていた青山だったが、声色を少し引き締め、「でも、本当にそう思っているんです。これからも、色々な作品に出会っていくと思います。それでまた新しい自分になって、知らなかった自分を見つけて、もっともっと強くなった状態で、皆さんにまた招集をかける日がくると思います。私がまた、ライブをやりたいな、音楽を作りたいなってなった時に、今日繋いだ縁が、ビビビッと共鳴して、“呼ばれた気がする”って、また遊びに来てもらえるように。そういう関係になれたらと思います」と笑顔を見せた。
そうした思いを込めて歌われたのが、日食なつこが書き下ろした最新曲の「lull」。旅の途中にある自分たちへ、「今日は休もう」と柔らかく語りかけるこの曲には、“小休止”もまた、次の場所へ向かうための前向きな休息なのだと感じさせる響きがあった。
ラストの曲に進む前に、デビューからこれまでの道のりを振り返る。2013年に“声優・青山吉能”として人前に立ち、2014年1月10日に声優としてデビュー。そこから13年。「ええっ、13年!?衝撃!(笑)」と自分で言いながら苦笑する。
「あの頃は無敵でした。何も知らないからこその強さがあったし、今は色々なことを知ったからこその弱さがある」。そう語ったうえで、その弱さもいつか強さになると信じて歩んでいきたいと伝え、改めて感謝を述べたのだった。
そして「出会えたのは偶然ではなく、必然だったと思います。また再び、同じ縁で出会えると思っていますので、その日まで、どうかお元気で!」と明るく約束。その言葉の最後の一音に重なるようにイントロが鳴り始め、ステージを照らすライトも一段明るくなり、ラストナンバー「帰ろうよ」へ。笑顔で歌いながらも、“本音は聞かないで 涙が溢れそう”のフレーズには、いつも以上の情感が宿っているように感じる。もちろんその歌声は寂しさだけにとどまらない。明るく手を振り合う景色の中で響いた「帰ろうよ」は、また会うための約束の歌だ。
「皆さん、絶対に幸せになってくださーーーーい!」と叫んだあと、「やりきりました~!」と晴れやかな表情を見せる。そして最後にはマイクを通さず、「本日、そしてひとまず!これまでの青山吉能のライブをありがとうございましたー!」と客席へ深々と頭を下げた。軽やかでありながらも、集大成的なライブであった。今後、新しい作品、新しい自分との出会いを重ねた先で、青山吉能が再びどんな音楽を鳴らすのか。それぞれの日々を元気に歩んだ旅路の先で、「おかえり」と言える日がくることを楽しみに待ちたい。
<セットリスト>
01. Grown Up
02. ルーガルー
03. My Tale〜moshi moshi (Remix)
04. イツカ
05. Sweetly Lullaby
06. あやめ⾊の夏に
07. 終点のない列⾞
08. Page
09. メイド・バイ・ユー
10. オクビョウヒーロー
11. STEP and CLAP
12. lull
13. 帰ろうよ
レーベル公式サイト
https://www.teichiku.co.jp/artist/aoyama-yoshino/
公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCzzJMl1tE4qZOWG355Ji0dQ
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