INTERVIEW
2026.06.04
「愛してる」と言い合うゲームを繰り返しながら、本音を隠し続ける幼馴染の2人。そんなじれったくも愛しいラブコメディ、TVアニメ『愛してるゲームを終わらせたい』のOPテーマ「君のせいで愛してる」を表題曲に据えた、CHiCO with HoneyWorks(以下、チコハニ)の最新シングルが届いた。デビュー曲を彷彿とさせる甘酸っぱいサウンド、声優ディレクションさながらの精緻な感情表現、そしてキャリア12年目に放つ渾身のロックナンバーとなるカップリング曲まで、今のチコハニがここにある。
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――前回、ベストアルバム『i BEST -Singles Collection-』のインタビューでも、まだ TVアニメ『愛してるゲームを終わらせたい』の放送前にOPテーマ「君のせいで愛してる」について少しだけ話してもらっていたんですよね。
CHiCO はい、そうでした!
――幼馴染の2人が両片思いをしている、CHiCOさんいわくもどかしくもドキドキなラブコメディということでしたが、実際アニメの放送が始まって、どうご覧になっていますか?
CHiCO 原作もそうでしたが、アニメになるとますますじれったいですよね。どっちが勝つか負けるかみたいな感じで、甘い言葉「愛してる」って言い合うゲームをするじゃないですか。100%照れてるのに、お互いが「照れてない!」みたいな掛け合いがめちゃめちゃかわいくて、テレビに向かって「早く付き合っちゃいなよ!告白しちゃいなよ!」ってずっと言っています(笑)。
――お互いの気持ちに「いい加減気づくだろ!」って思いながら(笑)。
CHiCO そうそう!「もしかして……かも?」くらいは思えそうなのに、お互い否定していて、でも周りは全員気づいてる、みたいな(笑)。でもそこがいいし、だからこそキュンキュンしますよね。本当にかわいいです。
――原作は以前からご存知でした?
CHiCO 最初にOPテーマのお話をいただいた時はまだ知らなくて。タイトルからして少女マンガ系かなと思っていたら、連載元が少年マンガ系の「サンデーうぇぶり」さんだったのが意外でした。でも原作を読んでみたら、主人公2人の恋模様にすごくフォーカスされている私が大好きな少女マンガ寄りのラブコメだ!と思って、テンションが上がりました(笑)。男女関係なく楽しめるのが良いですよね。
――桜 みく(CV:伊藤美来)ちゃんはCHiCOさんから見て、どんな女の子?
CHiCO みくちゃんは、小悪魔ですよね(笑)。でも(浅葱)優希也(CV:石川界人)くんを手のひらでコロコロしているように見えて、優希也くんに対してはちゃんと天然だから、自分もコロコロされてる感じがかわいい。みくちゃんみたいにかわいくて、いわゆる陽キャなカースト上位な女の子、学生時代、私のクラスにもいました。英語も喋れて歌も上手くて、何でもできちゃう。かなりモテてました(笑)。
――優希也くんは?
CHiCO 私も彼と同じインドア派だから、気持ちがわかりますよね。友人として応援したい。「頑張れよ!」って背中を押したくなります(笑)。
――その2人が幼馴染というのもラブコメの王道って感じですよね。
CHiCO そうなんですよ。私も子供の頃から知っている近所の男の子はいましたけど、残念ながら、恋心は少しも生まれなかったので、憧れますよね。それこそ、HoneyWorksさんの「告白実行委員会」シリーズのようで胸キュンしちゃいます。絶対、みくちゃんと優希也くんには、幸せになってほしいですよね。
――これも前回のインタビューでお話ししましたが、そういう“好きなのに素直になれない”もどかしい恋物語は、チコハニもお得意の世界観ですよね。
CHiCO 青春胸キュンは得意ジャンルだと思います。でも、こんなに恋の駆け引きだけにヤキモキする曲、CHiCO with HoneyWorksには意外となかったかも?なので今回の「君のせいで愛してる」も、全体的にはチコハニらしい懐かしいサウンドやメロディラインを感じつつ、新しい青春楽曲になりました。
――初めて聴いた時、曲調にデビュー曲「世界は恋に落ちている」の雰囲気を感じました。
CHiCO 私もそう思いました!作曲はGomさんなんですけど、特にAメロは「世界は恋に落ちている」のコード進行を感じるし、ファンからも懐かしいという声をいただきましたね。
――歌詞も甘酸っぱいですしね。
CHiCO そう、すごくかわいい片思いの歌になっていて、本当に甘酸っぱいんですよ。なかでも1番のサビは2人の本音が出てる感じがして全体的に好きですね。最初の“ねぇねぇ「愛してる」って 君を見て言って困らせていい?”のフレーズはみくちゃん視点で、次の“なんて駆け引きとかね ほんとは苦手よ”は、みくちゃんと優希也くんの両方の本音が見えていて、心の中では“「愛してる」ゲーム”をもう終わらせたい!と思ってる2人が描かれていて好きです。
――みくちゃん視点からの優希也くんに向けた気持ちを描いた曲だと思いますが、2人の気持ちが重なっているところが、この作品らしくて良いですよね。他にお気に入りはどこですか?
CHiCO TVサイズには出てこないんですけど、Dメロで気持ちを掛け合っているところも好きです。この曲のストーリーでいうと起承転結の転になっていて、「ここでそれ言っちゃうんだ!」みたいなフレーズが出てくるんです。
――“あの子のこと気になるの? 「他にいる気になる子…まだ、言えない。」”というパートですね。
CHiCO “あの子のこと気になるの?”は、優希也くんに向けたみくちゃんの言葉だと思いますし、“「他にいる気になる子…まだ、言えない。」”は優希也くんの言葉。そこから、次にみくちゃんの“えっと… 私かもって勘違い?”って心の声に繋がるんですけど、そこもすごく好きですね。みくちゃんが優希也くんの答えに、一旦、自分を落ち着かせるための“えっと…”だから、そこのニュアンスは結構考えながら歌いました。動揺しているのか、ボソッと喋る感じなのか。
――実際にアニメで「君のせいで愛してる」が流れるOP映像は、どうでしたか?
CHiCO アニメーションがすごくかったです。TVサイズは、サビに「はぁ…」とため息をついているフレーズがあるんですけど、そこに妹の浅葱若菜(CV:丸岡和佳奈)ちゃんがため息をついてる画を合わせてくださったのがすごく嬉しかったですね。歌詞が冒頭から、みくちゃんが語っているような、“ねぇねぇ「愛してる」って 私見て言ってくれたご褒美 ・・・やめた♡”で始まりますし、もし画になるとしたもみくちゃんか優希也くんか、どっちか本人たちがため息をつくようなシーンになるんだろうなと思っていたんですが、なんと第三者の妹ちゃん!
――周りには2人の気持ちがもうバレバレなのに、本当に何やってんの?っていう「はぁ…」ですよね(笑)。
CHiCO そう!あのシーンがオープニングにあることで、ストーリーもすごく感じられますよね。この解釈、アリだ!って思いました(笑)。
――かわいい両片思いラブソングらしく、CHiCOさんの歌声もとても優しくて、かわいいらしいですよね。
CHiCO でも、すごく難しかったですね。メロディのキーも「世界は恋に落ちている」に近くて、ずっと高いんです。特にサビですね。“君を見て言って困らせていい?”の“困らせていい?”のところも、地声で歌ってしまうと力強くてロックっぽくなってしまうので、ミックスボイスを使って柔らかくふわっとさせるのがまた難しくて。柔らかさを出すために裏声を使うパートもああるんですけど、裏声と地声では音量に差が出てしまうので、ミックスボイスを交ぜながら、バランスを考えながら歌いました。
――Gomさんからは、どんなディレクションがありました?
CHiCO 全体的に囁くようにというか……問いかける感じ。あまり芯の強くない歌い方で全体的にいきたいというのがまずあって、拗ねたり、ちょっと悲しげだったりというキャラクターの喜怒哀楽が見えるニュアンスを大切にしてほしいと言われました。Gomさんの曲って、メロディの幅が広かったりもして、元々が難しいんです(笑)。
――チコハニ楽曲にもよく登場しますが、例えば“ねぇねぇ「愛してる」って” というフレーズの“ねぇねぇ”のように、はっきりしたメロディのないウィスパー的なフレーズは、どういう歌い方でニュアンスを変えていくんですか?
CHiCO 例えば“ねぇ”の長さでも、ニュアンスってずいぶん変わるんですよね。「ねぇ……」っぽいのか「ねぇ!」なのかで。声そのものも、普通の声で“ねぇ”って言うか、ウィスパーっぽくするのかでも変わるので、目指したのは、その中間点。その間を探るのが難しいんだよな~と思いながら(笑)、何度かテイクを録っていきました。
――この1曲の中でも“ねぇねぇ”の歌い方、変えてますよね?
CHiCO はい。その時々の気持の変化を、繊細に出していきました。語尾をどう逃がすかだったり、“ねぇねぇ”のどこにアクセントをつけるかだったりで。「君のせいで愛してる」は、歌詞がシンプルだし、メロディも込み入ってないので、普通に歌うとシンプルすぎるんですよね。だからGomさんからも、なるべく語尾をしゃくり上げたり息をこぼしたり、歌詞に合わせて色んなアクセントをマストで入れてほしいというオーダーがあったので、全体的にニュアンスのバランスは色々試行錯誤しました。
――いつも思うんですけど、HoneyWorksさんのCHiCOさんへのボーカルディレクションは、声優さんのボイス収録のディレクションに近いですよね。歌の現場じゃないみたいな(笑)。
CHiCO あはは!よく言われます(笑)。歌をうたうというよりは、歌で演技する感覚です。
――ラストの囁き声の“好き”にもドキッとしました。
CHiCO やった!(笑)。ここは2人ともがまだ言い出せない心の声だから、ウィスパーがベストですよね。ライブでも、みんなにキュンとしてもらえるよう、頑張ります。
――あと、ヤマコさんが描かれたジャケットのイラストも、アニメとリンクしているそうですね。
CHiCO そうなんです!劇中にみくちゃんと優希也くんがいつも通っている喫茶店が出てくるんですけど、CHiCOがその喫茶店でお茶しながら、2人の微笑ましいやり取りを見守っているイメージなんですよ。だから表情も優しくて、ちょっとお姉さんっぽくヤマコさんが描いてくれました。とてもお気に入りです。
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