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INTERVIEW

2026.06.11

「Redo」から「Recollect」へ――鈴木このみが語る『リゼロ』と歩んだ10年の軌跡、Ashnikko×Giga & TeddyLoidとのコラボで到達した新たな世界

「Redo」から「Recollect」へ――鈴木このみが語る『リゼロ』と歩んだ10年の軌跡、Ashnikko×Giga & TeddyLoidとのコラボで到達した新たな世界

“死に戻り”という特殊能力を持った主人公のナツキ・スバルが、さまざまな仲間たちの力を借りながら想像を絶する試練や敵に立ち向かう人気の異世界召喚アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、『リゼロ』)が、今年でアニメ放送10周年を迎え、この4月より待望の4th seasonの放送がスタートした。そのオープニング主題歌を担当するのは、“アニソン界のエース”としてシーンを牽引する鈴木このみ。1st seasonの「Redo」以来、TVアニメの全シリーズでオープニングを飾ってきた、今や『リゼロ』になくてはならない存在だ。

そんな彼女が4th seasonのより過酷な物語に寄り添うべく届けた新曲「Recollect」は、海外より注目のシンガー/ラッパーであるAshnikko(アシュニコ)をフィーチャリングゲストに迎え、ヒットメイカーのGiga & TeddyLoidが楽曲制作したカッティングエッジなダンスナンバー。既存の価値観や枠組みを超え、スバルのように予測不能で大胆不敵な一手を打った彼女の本楽曲に懸ける想い、そして『リゼロ』との歩みについて話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

『リゼロ』とスバルを相棒と呼べるようになった、10年の積み重ね

――TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』は今年で放送10周年を迎えました。1st seasonからずっと歩みを共にしてきた鈴木さんにとって、今『リゼロ』はどんな作品になっていますか?

鈴木このみ 私にとって『リゼロ』は、ずっと困難を共に乗り越える仲間的な存在です。私が1st seasonのOPテーマ「Redo」を歌っていた時はまだ19歳で、上京したてで何もわからないけど頑張るところから始まりました。そこから少しずついろんなことが見えてきて、もがきながら前に進んで行くターンになったのが、この10年の変化だと感じていて。(主人公の)スバルは今回の4th seasonでますます過酷な状況に身を置かれていますが、毎回やってくるいろんな困難を『リゼロ』と一緒に乗り越えてきた感覚があります。

――鈴木さんが歌う『リゼロ』の楽曲は毎回パワフルかつハイカロリーで歌唱の難易度も高いですか、やはり楽曲と向き合うこと自体に困難や大変さを感じる瞬間もある?

鈴木 端的に言うと、喉の不調を一緒に乗り越えてきた時期もありましたし、気持ちの面でも、『リゼロ』を歌う意味が1st seasonの頃よりも今のほうが重たくなってきています。作品がどんどん大きくなっているのを感じていますし、その中で「Redo」を薄めたような楽曲を出すわけにはいかない、という気持ちが毎回襲ってくるので。ただ、最近はキャストの皆さんとお話する機会が増えて、この間、(『リゼロ』と鳥取県のコラボキャンペーンのために)鳥取砂丘に一緒に行かせてもらったのですが、その時にキャストや制作スタッフの皆さんもいっぱいあがきながらこの作品を作られていることを改めて感じて、共感できたことがすごく嬉しかったんです。そこに共感できる自分がいて良かったなと思いました。

――そんな鈴木さんが『リゼロ』とのこの10年の歩みの中で、特に思い出深い出来事を挙げるとすれば?

鈴木 最近の中で一番思い出深くて自分でも「おっ!」と思ったのは、去年のアニサマ(「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」)で3rd seasonのOPテーマ「Reweave」を歌った際に、スバルがセリフを言ってから楽曲になだれ込む演出があったんです。そこで私が彼をステージに召喚するための文言を決めるために「スバルって私にとって何なんだろう?」とずっと考えていた時期があって。結果、私の「まだまだやってやるんだろ、相棒!」という言葉をきっかけにスバルが演説を始めることにしてもらったのですが、その時に「あ、そうか、わたしはスバルのことを相棒って呼べるようになったのか」と気付いたのが、自分の中ですごく印象深かったです。

――『リゼロ』とスバルに対して「相棒」であることを強く感じているんですね。

鈴木 『リゼロ』の楽曲で私のことを知っていただいた方も多いですし、ライブやイベントで歌ってきた回数も桁違いに多いですから。『リゼロ』の世界観は、ずっと体の中にあるような感じがあります。なおかつ、私は『リゼロ』の楽曲をずっと主人公のスバルの目線で歌ってきていることも大きいです。何者でもなかったあの頃の自分ともすごくリンクしているし、周りから「お前が行くんだよ」と言われて一歩二歩と進んでいく感じも共感できて。「私たちずっと一緒に戦ってるね」っていう感覚があります。

――少し話題が逸れますが、先日、スバル役の声優の小林裕介さんと別媒体のインタビューで対談していましたよね。交流が深まっているみたいですが、小林さんとの会話ややり取りで印象深かったことはありますか?

鈴木 いっぱいありますが、嬉しかったのは、さっきお話したアニサマが終わった後に小林さんから「ありがとう、相棒」とひと言だけ連絡をいただいたことですね。

――小林さん、めちゃめちゃ粋なことをされますね……!

鈴木 最近だと「スバルを演じるのは結構苦しい」というお話をされていたのも印象深くて。それと、リゼロチームのさんに誘っていただいて、アフレコも見学させてもらったんです。しかもその回のスバルはずっと苦しいシーンだったんですよね。命が吹き込まれていく瞬間を間近で見ることができて、正直、「食らったな」という言葉が一番近いくらい、刺激を受けました。何というか大きいボールを渡された感じがして。小林さんが命を削って演じられているスバルがいて、それを背負って自分が歌うので、「これに見合う歌を一生歌っていかなくてはいけないな」と改めて思いました。

――いいですね。主題歌担当アーティストがそこまでキャストさんと密にやり取りできている作品は、そう多くはないでしょうから。

鈴木 そうですね。そういう意味でも私にとって『リゼロ』はスペシャルな作品です。

豪華クリエイター×海外アーティストとのケミストリーが生んだ新境地

――今回、4th seasonのOPテーマ「Recollect」も担当されていますが、お話を聞いた時の印象はいかがでしたか?

鈴木 去年は全25公演のツアーをやっていて、国内での千秋楽が終わった直後にスタッフさんに呼ばれてサプライズで聞きました。「実は海外アーティストのAshnikko(アシュニコ)とのコラボが決まっていて、楽曲はGigaさんとTeddyLoidさんが制作、それをもって『リゼロ』10周年をお祝いします」と一気に言われたので、頭の中が「?(はてな)」だらけになってしまって(笑)。でもスタッフさんは楽しそうだし、『リゼロ』というワードが出てきて「なるほど!」と。その日は大阪でのライブで母も観に来ていたので、嬉しくて母に飛びついた記憶があります。

――いい話(笑)。

鈴木 その前から『リゼロ』の4th seasonが放送されることは知っていたんですけど、自分から「次も歌えるんですかね?」と聞くのは不粋だし、歌えたらいいなという気持ちでずっと過ごしていたんです。なのでお話をもらった時は体の力がふわーっと抜けた感じもありつつ、それと同時に、今までとは違うスタイルの曲になることが伝わってきたので、「これは頑張らないと」と身が引き締まる思いでした。ツアーをやりきって、ようやく気持ち的に解放されるかと思ったら、ここからまた勝負が始まるんだなと。やっぱり鈴木このみはずっと走らないといけない、『LIFE of DASH』(鈴木このみのベストアルバムのタイトル)なんだなって思いました。

――「DAYS of DASH」じゃないですけど、全力で走る日々を重ねてここまで来たわけですからね。そこから楽曲制作を進めるにあたって、Ashnikkoさん、Gigaさん、TeddyLoidさんとはどんなやり取りをしたのでしょうか。

鈴木 まず、GigaさんとTeddyLoidさんのお二人にデモ音源を送っていただいて、その後、Ashnikkoが来日しているタイミングで、Ashnikko、Teddyさん、私の三者で実際に対面で打ち合わせをしました。デモがすでにすごくかっこよかったので、それをベースにしつつ、そこからさらに曲をブラッシュアップするにはどうすればいいか、それぞれのパートに対して意見を出し合って。例えば私からは、今までの『リゼロ』のオープニングと言えば、ありがたいことに私の声からスタートする印象があったので、あえて予想を裏切る意味でも「この曲の第一声目はAshnikkoにお願いしたい」とお伝えしましたね。Ashnikko側からも「私が日本語で歌ってみてもいいかも」と提案してくれて、それも実現しました。

――ディスカッションして作り上げたんですね。

鈴木 はい。その他に印象に残っていることだと、Teddyさんと二人でたまたま雑談している時に、私が本来得意なのは、もっとロングトーンを活かすことができて一音一音を太く出せるようなメロディなので、正直に「この曲のサビのメロをかっこよく歌うにはどうすればいいと思いますか?」と訊いてみたんです。そうしたらTeddyさんが「それはわかるけど、こういうメロディも絶対に似合うと思う」と強く薦めてくださって。今回、『リゼロ』とのご縁やスタッフさんの全力の働きかけがなければ叶わなかったコラボだからこそ、自分もそこに思いっきり乗っかってみたい気持ちが強くて「トライしてみます!」と返事しました。

――全体的にダンスミュージック寄りに振り切ったサウンドで、『リゼロ』楽曲としてだけでなく、鈴木さんのこれまでのディスコグラフィの中でも、新しい挑戦になった楽曲ですものね。

鈴木 今年でデビュー14周年を迎えて、こんなにたくさん歌っていても、まだ知らない自分がいるんだなと思いました。この曲をライブで歌っていても、どんどん新しい歌い方やパフォーマンスが出てきて、お客さんも「おお、こうきたか」という顔で頷きながら聴いてくれたりするんですよ。リスアニ!の読者には楽曲派の方が多いと思うんですけど、そういう方にも響いている印象があって。今回、自分としてはボーカルパワーで一点突破するというよりも、サウンドと一体化して面で見せるやり方ができたのが大きかったです。アニソンでこういうスタイルはあまりない気がしていたので、どう受け止められるかドキドキしていましたが、めっちゃかっこいい曲なので自信はありました。

――まさに新しい境地を切り拓いた曲だと思います。実際、鈴木さんのボーカルも今までのパワフルさだけでなく、どこかミステリアスで魔女のような雰囲気も加わっているように感じました。レコーディングで意識したことはありますか?

鈴木 基本的には「鈴木このみ100%でお願いします」と言っていただいたので、自分の思う表現を派生させていく形でした。その中でも気付いたのは、「こういう曲は休符を大事にしているんだな」ということで。バンドサウンドの場合は歌が多少リズムからはみ出してもそれが味になりますけど、今回は同じメロディの箇所は絶対同じようにリフレインとしたほうがかっこいいんですよね。なので0.1秒単位で休符を細かくディレクションしていただいて。ニュアンスもクールさを保たないとポップになりすぎるので、その按配を探りながら歌いました。このサウンドに対して絶対にこのボーカルがいいというピンポイントな場所があって、それがバチッとハマるまで徹底して歌う。すごくアスリート的なレコーディングでした。

―テクニックや正確さも求められる楽曲だと。曲調やアプローチ的には今までの『リゼロ』楽曲とは大きく異なるなかで、今までの経験を踏まえて『リゼロ』らしさを意識した部分はありますか?

鈴木 『リゼロ』の曲ではいつも「思い通りにいかない」「自分は不甲斐ない」といったニュアンスを必ず少し入れるようにしていて、そこは今回も大事にしました。新しくトライした部分としては、いつも通りスバルの思いが真ん中にありつつも、さっき言っていただいた魔女の要素ではないですけど、4th seasonの主な舞台になっているアウグリア砂丘やプレアデス監視塔の厳しく荒れた雰囲気を歌声でも醸し出すことができたらなと思って。パンチを効かせるというより、じわじわアリ地獄に吸い込まれていくようなイメージを描いて歌いました。そういう表現は今までアレンジに任せていたんですけど、今後もっと色々トライできるなと思って自信になりました。

――Ashnikkoさんとのコラボによる化学反応については、どのように感じていますか? レコーディングは別々で録ったというお話ですが。

鈴木 まず自分がデモを録ってAshnikkoに送り、それに対して彼女が本番のボーカルを送ってくれたものを聴いて、もう一度私が録り直したんです。最初は自分のデモの歌の出来が良かったので、1番はそのテイクをそのまま使おうという話もあったんですけど、Ashnikkoの歌声を聴きながら歌うともっと良くなる予感がして、1番を録り直したら、特にAメロとかが如実に変わったんですよ。自分も彼女の持つエッジや言葉では表現しにくいノリをもらえた感じがして、歌い直して本当によかったです。

――歌にもグルーヴ感が出ていますよね。歌詞についてはどんな印象をお持ちでしょうか。

鈴木 やっぱりサビ頭の“名を失くしても”というフレーズがパワーワードですよね。『リゼロ』の物語としては、暴食の大罪司教に名前を食べられてしまって、自分自身とは何かを問い詰められていく精神的にきついシーンとリンクしますし、この部分は後ろのサウンドが一気になくなるところでもあるので、歌いながらドキッとします。歌詞全般としては「自分の証明」を歌っていると感じました。私にとっても、最近は「アニソン界のエース」になると宣言して、より自分を示していく時期なので、その意味で自分にも『リゼロ』にもすごくリンクすると思っています。

――鈴木さんは、この曲が主題歌になることを発表した時のコメントで「どんなに自分を見失いそうでも、愛の中に取り戻すというメッセージを込めて歌唱しました」と寄せていました。歌詞にも“愛”というワードが登場しますが、その観点から何か感じることはありますか?

鈴木 この曲には、ふとした瞬間にちょっと優しい表情を見せる感じもあって。それは『リゼロ』で言うと、サテラが出てくる時の怖さの中に感じる愛のようなものにもリンクするのかなと思います。それにスバルと自分の共通点は、本人はいつも「不甲斐ねー!」と思っているけれど、周りの愛に引っ張られたり助けられたりして、その手を掴むことでいつも何かを突破してきているところだと思うんです。その輪が10年という月日をかけて、一緒にどんどん大きくなっているなと感じます。

――鈴木さんも周りからの愛のおかげでここまで活動を続けてこられた実感があるんですね。

鈴木 めちゃくちゃあります!!

――いい返事をありがとうございます(笑)。先ほど「Recollect」はライブで披露する中でも新しい発見があるとお話していましたが、具体的にどんな変化があるのでしょうか。

鈴木 ライブで言うとパフォーマンスの形態がどんどん変わってきています。カラオケでダンサーさんを引き連れてダンスを見せつつ歌うスタイルもあれば、ニコニコ動画のイベント「超会議」にTeddyさんのステージのゲストで出演させていただいた時は、TeddyさんのDJと一緒にTシャツとダメージジーンズでラフに歌って。今はアジアツアー中で、この間も台湾でライブをしてきたのですが、そっちはバンドバージョンで披露しています。バンドだとノリ方が変わって、テクいことをやってる面白さもあるんですよね。単純に盛り上がれるだけではなく、「ここの部分が好き」というマニアックなポイントが現れる曲だと思うので、音楽が好きな人により広く届いて欲しいなと思います。

――「Recollect」はMVも制作。どんなコンセプトで撮影されたのでしょうか。

鈴木 今回はダンサーさんにも入ってもらって一緒に踊りました!私がしっかり踊っているMVはあまり存在しないですし、踊ることで結構ライブに近い表情が撮れたので、いつものMVとは一味違う鈴木このみを観られると思います。「壮大」な映像に仕上がっていて、『リゼロ』を観ている人であれば「あれ?ここはこういうことかな?」という部分も細々と散りばめられているので、考察し甲斐があるんじゃないかなと。今回のダンスは結構難しくて、今までで一番頑張って練習したので、ぜひ、もぐもぐ噛んで味わっていただきたいです!

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