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REPORT

2026.04.20

ReoNaの“魂”が生まれた故郷・奄美に響いたお歌――<ReoNa Free Live 2026 in 奄美大島“シマユイあまみ”>ライブレポート

ReoNaの“魂”が生まれた故郷・奄美に響いたお歌――<ReoNa Free Live 2026 in 奄美大島“シマユイあまみ”>ライブレポート

去る3月7日、“絶望系アニソンシンガー”のReoNaが鹿児島・奄美大島で開催したフリーライブ<ReoNa Free Live 2026 in 奄美大島“シマユイあまみ”>は、こちらの想像以上に大きな意義を感じさせるライブだった。もちろん故郷での初めての凱旋公演、そしてYouTubeで生配信を行う取り組みを含め、彼女とReoNaチームが本公演にかける思いの強さは感じ取っていたつもりだが、実際にライブを(現地観覧ではなく映像を通して)体感したうえで感じたのは、これはReoNaというアーティストが次のフェーズに進むために必要な行程、ある種のイニシエーション(通過儀礼)だったのではないか、ということ。色々な意味で特別を感じさせつつ、いつもと変わることなく素晴らしいお歌と音楽を届けてくれた本公演について、ライブレポートと同日に配信された新曲「結々の唄」のレビューを通して考察していきたい。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY 平野タカシ

ReoNaのお歌を介して全国の人々の心が結び付く!

記念すべき凱旋ライブの会場に選ばれたのは、キャンプ場とカフェを併設したCamp&Music, Koyaの野外特設ステージ。筆者は実際に現地を訪れたわけではないので、映像を観たうえでの感想になるが、海を臨む小高い丘のような場所で、ステージは後ろに海が見える位置に設営されていた。会場には、ReoNaの晴れ舞台を共に祝い楽しむべく、地元奄美の人たちに加え、全国各地から彼女の故郷に集結した島外のファンも観に来ているようで、奄美の郷土料理・鶏飯(けいはん)などの出店が賑わっている様子を見るに、まるで野外フェスのような趣きだ。

開場と同時に観覧エリアが瞬く間に観客で埋め尽くされると、コミュニティラジオ局・あまみエフエムのパーソナリティとして親しまれている渡 陽子がステージに登場。この日の催しは彼女のMCで進行していく。また、YouTubeの生配信では、奄美テレビ放送のタレント・浜崎亮平が現地リポートを担当。さらにオープニングショーとして、地元の島唄教室“あやまる会”、奄美の地域貢献を目的に活動する学生団体“Annacoto”、奄美大島の伝統芸能「八月踊り」の継承に取り組む“あらしゃげ会”が登場し、歓迎の歌「朝花節」を皮切りに、歌や踊り、奄美に関するクイズ大会などで会場を盛り上げる。地元の人たちやメディアの協力を得て、ひとつの大きな“祭り”を作り上げること。それが、人と人の縁を大切にお互い助け合う“結いの精神”が根付いた奄美大島の“シマ(集落)”文化を象徴する、“シマユイあまみ”のテーマのひとつだったのだろう。

幕開けから1時間ばかりが経ち、徐々に日が落ちて夕暮れに差し掛かった頃、奄美で祭礼や宴会の最後に必ず踊られるという伝統的な踊り「六調」が始まり、三線やチヂンと呼ばれる島太鼓の賑やかな音に合わせて、島の人たちが踊り始める。島外から来たであろうReoNaファンのオーディエンスもまた、手を上げたり体を揺らしたりして見よう見まねで音楽と踊りを楽しむなか、この祭りの主役であるReoNaが観覧エリア後方から登場。「六調」を踊りながら練り歩き、観客と踊りを通して交流しながら、時間をかけてゆっくりとステージに向かう。

ステージで彼女を迎え入れたのは、荒幡亮平(key)と山口隆志(g)。“シマユイあまみ”をサウンド面からサポートしたのは、彼らとマニピュレーターの篠崎恭一の3人。ReoNaのライブには欠かせない面々だ。マイクを手にしたReoNaは「ようこそ奄美へ。そして、ただいま奄美」と短く挨拶をすると、スーッと息を吸って自身の代表曲のひとつ「ANIMA」でライブをスタートさせる。歌から始まるイントロの第一声“魂の色は 何色ですか”の鮮烈な響きから、一気に会場の空気が変わる。どこまでも高い空、長く広がる雲、穏やかに波打つ海、青々と茂った木々。幼い頃から触れてきたであろう奄美の豊かな自然の色に囲まれながら「ANIMA」を歌うReoNa。ここは彼女の魂が育まれた場所であり、心なしか歌詞もいつもとは別の意味合いを伴って聞こえる。

島外から駆け付けた“あなた”、しまんちゅの“あなた”、画面越しで受け取っている“あなた”、この瞬間を目撃しているすべてのあなたに向けて「今日お届けする1対1、最後まで楽しんでいってね」と、いつものように1対1のお歌を届けることを約束すると、2曲目に歌ったのは3rdアルバム『HEART』の表題曲「HEART」。YouTubeの生配信では、ライブ本編が始まるまでの間に、ReoNaのインタビュー映像が放送されたのだが、そこで彼女は『HEART』というアルバムを制作したことが、自分自身の心のルーツである“奄美”に立ち返ったきっかけのひとつだったと語っていた。それを踏まえて「HEART」を聴くと、確かに彼女が言うところの“結いの心”がこの曲には息づいているように感じる。“それでもあなたを思うと 柔らかな熱が灯る場所”というフレーズに込められているのは、人との縁が結ぶ心の強さ。そして結びの“こんなにも愛おしい場所 Heart”という言葉は、そのまま故郷・奄美への思いとも重ねることができる。あまりにも短絡的な感想ではあるが、そう感じてしまうくらい、この場で歌われた「HEART」には意味を感じずにいられなかった。

そこから荒幡が聴き馴染みのあるフレーズを弾くと、神崎エルザ starring ReoNa名義のナンバー「step, step」へ。にこやかな表情で手を叩いてクラップを誘うReoNa、軽やかで解放的な曲調と歌詞、まさに晴れた空の下でステップを踏みたくなるようなステージングで、野外のロケーションにピッタリの選曲だ。続くMCで客席から飛ぶ「おめでとう!」という初めての凱旋ライブを祝う声に、「ありがっさまりょん」と奄美の方言で感謝の気持ちを伝えるReoNa。奄美なまりで柔らかに話す姿が新鮮に映る。そして「色んな“美ら(きょら)”、美しいものがあるこの島に」と告げると「ネリヤカナヤ ~美ら奄美~」を披露。ReoNa自身が故郷・奄美のことを想って歌詞を書いた本楽曲(作詞は傘村トータ(LIVE LAB.)との共作)、ステージにシャボン玉が舞うなか、アコギとピアノと奄美の自然の如く雄大で優しく包み込んでくれるストリングスの音色がReoNaの歌声と溶け合って、島時間のように大らかなひと時を作り上げる。

愛用のアコギを手にしたReoNaは、「次にお届けするのは、人生で初めてアニメに寄り添わせていただいたお歌。大切なお歌です」と語ると、神崎エルザ starring ReoNa名義で発表した最初のナンバー「ピルグリム」を歌う。冒頭はReoNaの弾き語り、そこから荒幡のピアノが重なり、山口のアコギも重なって、どこか気さくな「ピルグリム」。荒幡と山口は、FC限定のアコースティックライブ“ふあんぷらぐど”シリーズのサポートも務めてきただけあって、アコースティックセットでも息の合ったパフォーマンスで魅せる。その後、改めてバンドメンバーの紹介を行いつつ、荒幡が会場限定のオリジナルドリンク“黄金のANIMA”を飲んだ話で盛り上がると、続いてReoNaのもうひとつの始まりのお歌「SWEET HURT」をアコースティック編成で披露。完全に陽が落ちる前の深い青に満ちた空に、甘くて痛いお歌が吸い込まれていく。更に「今日の島は、澄み渡るような青い空が、とても、とてもきれいでしたね」と前置きして歌ったのが「unknown」。サビの“空が青いのは空のせいじゃない”という歌詞が、なんだかいつもよりも切なく響く。

次のページ:奄美特有の精神性を形にした「結々の唄」が示唆するもの

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