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INTERVIEW

2026.03.13

アニメ『SI-VIS: The Sound of Heroes』JUNE役の斉藤壮馬、クリオス役の潘めぐみによる振り返りスペシャルインタビュー!

アニメ『SI-VIS: The Sound of Heroes』JUNE役の斉藤壮馬、クリオス役の潘めぐみによる振り返りスペシャルインタビュー!

ぶつかり合うことでしかわかり合えない、2人の関係性

――ここからはそんなJUNEとクリオスの関係を伺います。先ほどバランサー的な演じ方だったJUNEが、第7話でクリオスと出会い、憎しみを発露させることで演じ方が変わったとおっしゃっていましたが、斉藤さんの中で以降のJUNEとはどう向き合ってきましたか?

斉藤 彼がバランサーだと思っていた時は、多分彼が自身の感情100パーセントで喋ってはいないんじゃないかなと思っていたんです。でも、激情に駆られた後からは、これは僕個人の解釈ですが、彼自身上辺だけで取り繕うことをやめたのかなと思っていて。それは対クリオスだけでなく、キョウヤたちに対する接し方も明確に変わっていて、本来は「まあまあ」というタイプよりかは、笑顔で丁寧な言葉で割とシニカルなことを言うみたいなのが彼の素なのかもしれないなというのは、脚本上でも描写が変わってきたので、僕個人の味付けも含めて、そういう等身大で人間的な部分が出るようになった気がします。人として付き合いやすくなったというのはすごく感じていますね。そのきっかけをくれたのはもちろんクリオスなんですけど。

――奇しくもクリオスによって引き出されたものであると。

斉藤 クリオスがきっかけでダークサイドに落ちかけた時に、SI-VISの面々が踏みとどまらせてくれたことで、多分彼も人として一歩前に進んだし、表層的な取り繕っていた部分を脱ぎ捨てることができたのかなと思います。だから僕自身のアプローチがすごく変わったというよりは、脚本上でのキャラクターの変化や成長があったので、それを声の領域でも過不足なくシンクロしてお届けできたらいいなと思っていました。

――一方でJUNEから感情を引き出したクリオスは、リュコスを失うことで逆にJUNEへの憎悪を増幅させます。いわゆる後半第13話以降のお話ですが。

 まず、第1クール目でJUNEとぶつかり合って彼の憎しみを目の当たりにした時には、「今度はクリオスがどんどんあの時のJUNEのようになっていきますよ」というこの先の展開を聞いてはいました。だから、JUNEと今ぶつかっている、この時のJUNEの憎しみをちゃんと覚えておきたいなという思いが根幹にありました。

――JUNEが持つ憎しみが、のちにクリオスが抱く感情となるわけですからね。

 はい。だからそれは、クリオスの代わりに自分が受け止めておこうと思いました。あの時はクリオスがまだ、JUNEが憎しみの感情に陥ってしまっているのかがわからない、「憎しみは不合理」って言っていたんです。でもこの状況を私が覚えておくことによって、この先クリオスがJUNEに対して憎しみをぶつける時に、ちゃんと感情を面に出すことができるんじゃないかな、心の底からJUNEとぶつかり合えるんじゃないかなと思っていたので。2人とも同じ状況に陥っていっているという意味では、写し鏡のような気がしていましたね。

――そうですよね。それが第20話での対話に繋がっていくという。でもクリオスもまた、憎しみに苛まれながらどこか気づいていそうなところもありますよね。第17話のクライマックスの、JUNEを討とうとして踏みとどまるシーンもそうですが。

 本当はあの時答えが出ていたのかもしれないですね。今ここでJUNEを殺めることによって、この気持ちが晴れないというのはわかっていた。だけど、その理由がなんなのかはわからないというか。だから常にJUNEと対峙しながらも、ずっとJUNEに問いかけている印象があったんですよね。

――問いかける、ですか。

 アフレコでも、「「JUNE!」て名前を憎しみながら叫んでいるんだけど、どこか助けを求めているようにも聞こえる叫びにしてください」というディレクションをいただいたんですよ。憎いんだけれども、「その答えは君が知っているんじゃないか?」という、漠然とした感覚が彼の中にあったんじゃないかなとは思います。だからここで殺めると、この気持ちにもこの先にも答えが出ないというのはどこかわかっていて。

――なるほど。そうしたクリオスの苦悩は斉藤さんから見ていかがでしたか?

斉藤 これも個人の解釈になってしまうんですけど、さっき潘さんがおっしゃっていたことで「そうかもな」と思ったのが、優しさやポジティブな感情で歩み寄るというのはなんとなくイメージがつきやすいと思うんですけど、逆に憎しみ合うことでしか歩み寄れないっていう存在もいるのかなというか。

 うん、そうですね。

斉藤 憎しみを入口にして、それが理解の突破口になるということもあり得るのかもしれないなっていうのは、ふと今思いました。言ってしまえばどちらも逆恨みというか、直接的な復讐相手ではないじゃないですか。でも、その行き場のない憎しみや憤りを、たまたまぶつけることが可能な存在がいてしまったというか。2人とも理不尽な運命に翻弄されて大切な人を失ってしまった、その喪失と憎しみをまた入口にして歩み寄ることで、ひいてはそれが星同士の歩み寄りに繋がるような、物語の中でも特殊な関係ではないかなというのは思いましたね。

 確かに第20話であの2人が改めて対峙した時には、JUNEも「彼に届くのは憎む相手の言葉だけ……」というセリフを言っていて。それって憎んでいたにしても、その憎しみとは反対側にある感情と紙一重なのかなっていうのをそのシーンから改めて感じましたね。

斉藤 JUNEも、自分がクリオスに憎しみを一度ぶつけたことによって、多分自分がある種クリオスに救われたということがわかっているじゃないかなと思います。別にJUNEはバチバチ戦いに行くという気持ちじゃなくて、「今度は僕の番だよね」という気持ちというか、救い救われるという連鎖が誰にでもあっていいんだっていうことをクリオスが気づかせてくれたということに辿り着いているというか。巨大な感情をぶつけ合うことでしか、ぶつけ合った当人感でしかわかり合えないことって多分あると思うので、何か回路みたいなものが繋がってしまっている2人なのかなという気はしますかね。

――そのぶつかり合いというのがまさに第20話でのクライマックスになります。アフレコはいかがでしたか?

斉藤 これは、とりあえずテストをやってみて、あまり細かくディレクションはいただかなかったですね。セリフが絡み合うシーンだったので、テストはすごく楽しかったですが、「本番は別々で録ることになるのかな?」と思っていたんです。

 そんな話、してたよね。

斉藤 そしたら「もうこれは一緒に録ってしまいましょう」と。なので僕はもう断然楽しかったです。本番も特にそんなリテイクは……。

 なかった。そのまま。

斉藤 だから、割とむき出しの状態のぶつかり合いとして、テストと本番をやっただけという。

 あれはありがたかったですね。

斉藤 はい、ありがたかったです。

 むき出しの感情を託せる信頼感をすごく感じられたシーンかなと思いますね。クリオスは何かを見出せると信じたいし、あるいはもう見出してしまっているところでもう戦っていて、出した刃を収めることができない状態。だけど私自身も演じていて、やっぱり信じているからこそぶつけられるものでもあるんだろうなと思っていて、「信じてる」という感情でぶつかっていった記憶がありますね。だから壮馬さんとはだいぶ久しぶりでしたが、色んな役で共演をしていたので、信頼できる相手だからこそ信じたい気持ちでぶつかっていけたのがクリオスと共鳴したなと思っています。

斉藤 僕も100パーセント同じ気持ちです。あと、どっちかが喋っているとどっちかがその裏でリアクションしているとか、叫びの間とかも合うんですよね。

 不思議だよね。“ボールド”という演出さんが決めてくださっている間があるんですが、キャッチボール感があるというか、ライブ感がすごかったですね。

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