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INTERVIEW

2026.02.25

“あなた”と出会えた奇跡を象徴する歌――田中有紀、2ndシングル「I need」で表現したTVアニメ『おまごと』で描かれる“覚悟”と自身の“ありがとう”の気持ち

“あなた”と出会えた奇跡を象徴する歌――田中有紀、2ndシングル「I need」で表現したTVアニメ『おまごと』で描かれる“覚悟”と自身の“ありがとう”の気持ち

1月に開催された2ndライブ“YUKI TANAKA 2nd Live: JUMPIN’ PARTY”を大成功に収め、アーティストとして新たな一歩を踏み出した田中有紀。ライブの興奮冷めやらぬ中、TVアニメ『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』(以下、『おまごと』)のEDテーマとなる2ndシングル「I need」がリリースされた。ライブでの手応えや、奥井雅美による作詞で“意志の強さ”と“覚悟”を込めたという新曲の制作秘話、そして5月から始まるツーマンライブシリーズ“歌姫修行”への意気込みまで、たっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

2ndライブで作り上げたみんなとの思い出と景色、そこで得た手応え

――まずは1月12日2ndライブ“YUKI TANAKA 2nd Live: JUMPIN’ PARTY”の感想をお伺いしようと思うのですが……年末年始は穏やかに過ごすことはできましたか?以前にライブ前はとても緊張しやすいとお話ししていましたが。

田中有紀 恥ずかしながら大変緊張していました(笑)。とはいえライブに向けて自分のメンタルや体の調子を良いところに持っていけるように、緊張の仕方をコントロールすることを心がけていました。(2025年1月開催の)1stライブの時は初めてのワンマンということもあって、自分の状態や皆さんの反応を含め本番にならないとわからないところがあったのでコントロールが難しかったのですが、それを経ての2ndライブだったので、「今ここで緊張しても仕方ない!」と思ったりしながら元旦を過ごしていました。緊張が早すぎますけど(笑)。

――本当に緊張しやすい性格なんですね。

田中 ライブ前日も緊張し過ぎて、一日中ベッドで布団にくるまりながら過ごしていました(笑)。でも、セトリを見ながらイメージトレーニングをしていたら、だんだん「私、何で緊張してるんだろう?」という気持ちになって。というのも“JUMPIN’ PARTY”は、とにかくみんなと一緒に楽しむパーティーのようなライブを目指してスタッフさんやバンドメンバーの皆さんと準備していたので、「別に緊張する必要ないじゃん!」と思ったんですよね。そこからはすごく楽しみになって、しっかり眠ることもできました(笑)。

――ベッドの中で過ごした甲斐がありましたね(笑)。ライブ当日は今のご自身の持ち曲をすべて披露したほかカバーコーナーもあったわけですが、その中でも特に印象に残っている楽曲や光景を挙げるとすれば?

田中 うわー!全部なので悩むんですけど……1stライブはデビュー曲の「Crier」からスタートしたなかで、今回の1曲目は1stシングルの「Treasure Chest」を持ってこれたのは、1stライブからステップアップした2ndライブの始まりの宣言として自分の中でもエモい気持ちになりました。それと1stライブの時に「From here to HISTORIA」で小指を掲げてまたみんなと会う約束をしたのですが、その曲を今回は2曲目に持ってきたことで、1年ぶりの約束を覚えていてくれた人たちにありがとうの気持ちを伝えられたので、それもすごく印象に残っています。あとは……。

――ライブの思い出を語り始めると止まらないですよね。

田中 そうなんです……!全曲についてお話ししたいくらい。でも、あと1曲を選ぶとしたら「Dear STELLA」です。この曲を歌う前のMCで皆さんに言葉として「ありがとう」を伝えられたことも嬉しかったですし、「Dear STELLA」の1番はピアノと歌のみのアレンジだったので、MCからの延長線で気持ちを乗せられるような感覚がありました。なおかつテンポも原曲より落としていたので、じっくり歌わせていただいたのが印象に残っています。

――「Dear STELLA」はライブならではの特別なアレンジになっていて自分も印象に残りました。ああいったライブならではのアレンジやセトリは田中さん自身の希望やアイデアが反映されているのですか?

田中 セトリやカバーコーナーの位置はスタッフさんと打ち合わせをして決めました。それとは別にバンマスの森谷(優里)さんも交えてどんなライブにしたいかの打ち合わせもさせていただいて。それこそ「パーティー感のあるライブにしたい」ですとか「全体的に疾走感を崩したくない」ということをお伝えしたら、曲間の尺の調整やバンドメンバーを紹介するタイミングなども細かく相談に乗ってくださって。あとは「クラッカーやりたいです!」とも言いました(笑)。

――アンコールの最後で登場した田中さんの体くらいの大きさの特大クラッカーですね(笑)。

田中 やっぱりパーティーと言えばクラッカーじゃないですか。「みんなでお祝いしたい!」と思ったんです。クラッカーを取り入れるとして、皆さんに打ってもらうのか、私が打つのか、どうライブに落とし込めばいいのか悩んだ結果、スタッフさんがめちゃ考えてくださって、あの形になりました。私もあんなに大きなクラッカーがあるなんて知らず、ビックリしました。しかも2回も打たせていただいて。

――気持ち良かったですか?

田中 はい(笑)。あのクラッカー、(中身の銀テープが)5メートルくらい飛ぶんですよね。事前に「客席にも届くよ」と言われていたので、ちゃんと角度も考えて、ゲネの時に試し打ちしたうえで打ったら、(客席の)前の人がもしゃあってなってました(笑)。なおかつ今回はライブ会場で寄せ書き企画として皆さんからメッセージを書いていただいたのですが、それをクラッカーに貼らせていただいたんです。その場のみんなで作ったクラッカーだったので、すごく温かいものになりました。

――個人的にはカバーコーナーでChouChoさんの「優しさの理由」を歌っていたのが印象的でした。あの曲はNOW ON AIR時代にもカバーしていましたよね?

田中 あっ、そうなんです!カバーコーナーの選曲はファンの皆さんからのリクエストを元に決めたので、あの曲も元々リクエストでいただいていたのですが、「優しさの理由」があるのを見た時に、私も歌わせていただいていたことを思い出して。やっぱりNOA時代の活動は、私の中でも切り離せない原点ですし、みんなで育んできたものは今でも大切なので、その時の思い出も乗せられたらいいなと思いながら歌いました。

――改めて2ndライブでは、1stライブの時と比べてどんなステージを見せられましたか?

田中 先ほどもお話ししたんですが、自分の気持ちのコントロールがだんだん出来るようになってきて、以前よりもライブでの空間作りに集中できるようになったと思いますし、今回の“JUMPIN’ PARTY”を経たことで、ライブは純粋に楽しいものだという感覚を、私自身も改めて実感できました。でも「見せられた」というよりは、皆さんとの歌やコール&レスポンスやMCのやり取りを通して、みんなでひとつのライブを「作り上げた」という気持ちのほうが近いかもしれないです。この空間作りをどんどん積み重ねていけたら、きっと私はハッピーだし、皆さんにもそう感じてほしいと思いました。

――田中さんにとってライブはみんなと一緒に作る場所だと。

田中 そうですね。もしかしたら皆さんからすると、私が歌うのを見る、という感じかもしれませんが、そこには皆さんの声や熱量がないと、ライブならではの空間にはならないと思うので。その部分は今後も大切にしていけたらと思います。色んなところで色んな温かい言葉を送ってくださるのですが、これからもライブや楽曲の中でお返しできればと思います。

『おまごと』フラム&ミルキットの出会いと“覚悟”を結晶化した「I need」

――そんな2ndライブで初披露したのが今回の2ndシングルの表題曲「I need」。TVアニメ『おまごと』のEDテーマですが、作品のどんな部分に寄り添った楽曲になりましたか?

田中 (主人公の)フラムちゃんとミルキットちゃん、2人の出会いとこれからが描かれている楽曲で、歌詞を見ていただくと、フラムちゃんのミルキットちゃんを守りたい気持ちや「私が幸せにしてあげる」「これから一緒に歩んでいこう」という決意や覚悟が伝わってくると思います。優しくもあるし、ちょっと切なくもあるけど、力強いメッセージが描かれていると思います。

――“反転”という特殊な属性を持つが故に勇者パーティーに選ばれるも追い出されてしまったフラムと、奴隷商の牢屋の中で出会ったミルキット。2人の関係性にフォーカスを当てた楽曲ということですね。

田中 私としては、サウンドでも2人の物語が表現されているように感じられるところが、この曲の好きなポイントです。イントロの少しだけ寂しげな雰囲気は2人が出会う前の状況を感じさせますし、その寂しい中にも出会いの予感があるような静けさが感じられて。そこから曲が始まって、1Aの後ろではドラムがドンドンと鳴っているのですが、そこは歌詞と合わせて聴くと、不遇な環境にあった2人が出会うことでお互いの世界がガラッと変わったような感覚、これからいいことも悪いことも2人で一緒に受け取って、切り拓いて、幸せになっていこう、という歩みを感じるんです。ドラムのリズムも新しい自分になって心臓が動き出した鼓動の音のようですし、目をつぶると情景が想像できるような楽曲になっているので、すごくメッセージ性の強い楽曲だと思います。

――確かに。ちなみに作品に触れた最初の印象はいかがでしたか?

田中 最初にタイトルを見た時、「スローライフ系の作品なのかな?」と思ったんです。『王都で気ままに暮らしたい』なので、勇者パーティーから追放されてしまったけど、王都で気ままに暮らすために、人里離れたところで菜園とかをして、たまに依頼が来てモンスターを倒す、みたいなほのぼの系かと思っていたら……全然違うじゃん!ってなりました(笑)。イメージと真逆のダークファンタジー系だったのが衝撃的で、グンと惹き込まれましたね。私もそういう作品は好きなので。

――そういえば田中さんはホラー映画が大好きですものね。

田中 そうなんです(笑)。この作品も結構ホラー要素が強くて、魔物がかなりグロテスクなんですよ。普通のモンスターではない歪なところも、田中個人としては魅力的だなあと思いました……フラムちゃんとミルキットちゃんには本当に申し訳ないんですけど(笑)。

――モンスター的な怖さもありますし、人間関係の醜い部分も描かれる作品ですよね。

田中 その対比も面白いですよね。2人が最初に訪れるギルドもそうですけど、「そんなにみんな騙しちゃう人なの……?」と思って(笑)。とても残酷な世界で、もう少し救いや優しさがあってほしいという気持ちもあるんですけど……でも、その反面、フラムちゃんとミルキットちゃんの会話や2人だけの空間になった時の澄んだ空気感、ただ純粋に幸せを求めていく2人が、あの世界の中ですごく浮いていて。そのコントラストがこの作品の魅力だと思いました。そんな2人を応援したくなる魅力もあって、本当に王都で気ままに暮らせるようになってほしいなと。

――主題歌で例えるなら、PassCodeが歌うOPテーマの「Liberator」はデスボイス入りの激しい曲調で、ダークファンタジーのダーク要素を象徴する楽曲ですけど、田中さんの歌うEDテーマ「I need」は、2人のピュアな部分に寄り添った楽曲ですよね。

田中 確かに!OPテーマとEDテーマでも対比がパキッと分かれてますよね。「I need」はほぼ2人だけの世界で、過去すらも“あなた”の一部として包み込むような、大きな愛を感じるんですよね。オープニングとエンディングのアニメ映像も、そういう対比になっているので、ぜひ皆さんにも楽しんでほしいです。

――なおかつ歌詞の流れと絵のマッチングが絶妙だなと思いました。

田中 私も思いました!最初は牢屋での出会いのシーンから始まって、ミルキットちゃんの綺麗な瞳が、歌詞の“綺麗な瞳で・・・”というフレーズとリンクするんですよね。作中でもフラムちゃんが「綺麗な目」と言っていましたけど、その印象的な瞳が描かれていて。そこから2人で手を取り合っていくであろうことが想像できて、楽曲にも物語にもすごくマッチしていると思います。

――そんな楽曲を歌う際はどんなことを心掛けましたか?

田中 やっぱり2人のことを応援する気持ちでレコーディングに臨みました。曲調としては優しくて穏やかな雰囲気なので、最初は結構優しく歌っていたのですが、穏やかさや綺麗さの部分は楽曲自体が表現しているということで、私は歌詞の内容をもっと強く届けるようなアプローチがいいのではないか、というディレクションをいただきまして。なのでサビの音が高いところも裏声を使わず、ガツンと歌うことで、この楽曲の決意や覚悟を表現できればと思って歌いました。

――楽曲全体の構成としては穏やかに展開していくので、逆に歌唱力や表現力を求められるタイプの曲ですよね

田中 まさに……!勢いのある楽曲の場合は疾走感が大事で、そこの強さを演出する歌い方もありますが、この曲は静かにかつ情熱的に歌い上げるような曲だったので、また違うアプローチが必要で……頑張りました(笑)。

――田中さんの歌声からは、力強さと同時に2人を優しく包み込むような包容力も感じられて。全体の流れにおいて感情の乗せ方のさじ加減はどのように考えましたか?

田中 そこは歌詞と曲調が展開をちゃんと作ってくださっているので、歌詞を大切に素直な気持ちで歌いました。例えば1Aの“この世界が変わるような そんな瞬間を見つけたあの日”はハッとするような、世界が色づいて見えるようなイメージで、その後の“でも まだ新しい一歩を 踏み出すことが 少し怖かった”はちょっと内側に入る感じ。展開ごとに細かくニュアンスをつけていきました。

――作詞を担当したのは、シンガーとしても大先輩の奥井雅美さん。歌詞のフレーズでお気に入りや心が動く箇所があれば教えてほしいです。

田中 “誇らしげに笑うキミと こうして生きる運命-DESTINY-出逢えた奇跡”という歌詞は、フラムちゃんとミルキットちゃんの気持ちを表現しつつ、私自身もすごく共感できるフレーズです。それこそ1stアルバム『Crier』で「Dear STELLA」を結城アイラさんと一緒に作詞させていただいた時に、私から出した言葉で“何百億年のときのなか 出会えた奇跡”というフレーズがあるのですが、それとのリンクを感じました。私がいつも感じている、2ndライブでもお伝えした「出会ってくれてありがとう」という気持ちともリンクするような、“あなた”と出会えた奇跡を大切にしていきたい気持ち、田中有紀としての気持ちを素直に乗せることができたので、ここは大好きなフレーズです。

――ちなみに、この間の2ndライブではどんな気持ちでこの曲を歌いましたか?

田中 「I need」はフラムちゃんとミルキットちゃんの2人だけの世界という印象が強いのですが、私が歌う時は、より“あなた”に向けて歌うことを大事にしています。ライブでは、ただその場にいる皆さんに向けて歌うのではなく、その一人ひとりの“あなた”に届いたらいいな、という意識で歌わせていただきました。

――田中さんにとっての“あなた”はファン一人ひとりのことであると。これは完全に余談ですが、「I need」というタイトルにちなみ、田中さんが「これがないと生きていけない!」と感じるもの、生活に欠かせない必需品があれば聞いてみたいです。

田中 いっぱいありますね。歌やお芝居はマストですし……生活に関わるもので言うと、最近髪を伸ばしているのですが、私の髪は湿気に弱くて、ちょっとでもお手入れを怠ると次の日は大変なことになるんです(笑)。でも、とあるトリートメントを見つけて、それを使うと髪の毛のコンディションがめちゃめちゃ良くなるんですよ。なので絶対に手放せないです!「I need」のMVやジャケット撮影もそうでしたが、髪の毛が長くなったことにより風を感じることができたので、伸ばして良かったなとは思いました。おととしの7月くらいから伸ばし続けているんですけど、それまで8年くらいショートだったので……ロングの私もこれからよろしくお願いします(笑)。

――さらに余談で恐縮ですが、田中さんはご自身の緑好きにちなみ、2ndライブでバンドメンバーに「あなたに必要な緑は?」と質問していましたよね。田中さんにとって必要な緑はなんですか?

田中 あっ……考えてなかった、マズい!(笑)。私にとって必要な緑は……まだ結論には辿り着いていないんですけど、今ひとつ、キーワードとしてあるのは「森羅万象」です。「森」が入っているので緑っぽいのかなっていう(笑)。

――宇宙好きの田中さんらしいスケールの大きなワードが飛び出しました(笑)。

田中 これ、お話しするのが恥ずかしいんですけど、2ndライブの時に緊張し過ぎて、舞台袖ですごくドキドキしていまして。ステージに出る直前に「森羅万象に感謝!」と言ってステージに出ました(笑)。今思うと「この世の全てに感謝して行きます!」というのが、私のその時の素直な気持ちだったのかなと思っていて。「必要な緑」については、今後しっかりと詰めていきたいですが、今は「全ての物事にスケール大きく感謝している私」ということで……。

――アハハ(笑)。そういえば「I need」のMVも木々に囲まれた森っぽいシーンから始まりますね。

田中 そうなんです。あのMVも歌詞に沿った物語のような内容になっていまして。最初の場面は、新たな一歩を踏み出すのに躊躇しているようなお芝居をしていて、そこから扉を開いた先のシーンでは、地平線が見える海でドローンを使って撮影していただきました。サビの伸びやかさや高らかと宣言する感じが映えるMVになっていると思います。

次ページ:最高のライブチューン「JUMPIN’ PARTY」を携えて、いざ“歌姫修行”へ!

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