<FLOW WORLD TOUR“ANIME SHIBARI 2024-2025”>、そして<FLOW WORLD TOUR 2025“NARUTO THE ROCK”>と世界を駆け巡ったFLOWが、初の海外レコーディングで制作された新曲「5TELLA」をリリース。彼らにとって初めての『機動戦士ガンダム』シリーズのテーマソングはどのようにして生まれたのか。世界3都市で作り上げた1曲をKEIGO、KOHSHI、TAKEの3人が語る。
INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち
――2025年後半に敢行した<FLOW WORLD TOUR 2025“NARUTO THE ROCK”>はいかがでしたか?
KEIGO 前回のワールドツアーの経験で、自分たちとしても「こういう感じかな」とわかっている部分もあったので、地に足をつけて回れたツアーでした。ヨーロッパも北米も初めて行く場所がありましたが、どこに行っても「『NARUTO -ナルト-』って愛されているんだな」と思いました。
KOHSHI 1年ぶりの人たちも「初めまして」の人たちもいたことで色々と感慨深かったです。「初めまして」の人たちは“待っていた感”をライブ中にすごく感じましたし、行けて良かったですね。「『NARUTO -ナルト-』への愛が伝わりすぎるくらい熱いライブになりました。1曲目の「遥か彼方」(TVアニメ『NARUTO -ナルト-』OPテーマ/ASIAN KUNG-FU GENERATIONのカバー)からブチあがりますし、「シルエット」(TVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマ/KANA-BOONのカバー)ではみんなでイントロのリフを歌うんです。あそこは日本なら「オイ!オイ!」だけど、海外はそうじゃないんですよね。
KEIGO そうそう。そういう発見もありましたね。
TAKE 今回<“NARUTO THE ROCK”>という形で、ナルトと濃密にタッグを組んでのライブ、しかも映像も貸していただいて作品の世界観にどっぷり浸かれる世界観でやらせてもらったのですが、改めて海外の人の作品への理解度や愛の深さを非常に実感しました。海外で日本のアニメコンテンツがどんどん広がっているんだなと感じました。それを何よりも感じたのは自来也のシーンが流れた時でしたね。オーディエンスが泣くんですよ。ペインとの戦いのシーンが流れるのですが、「Oh…」って言って目頭を押さえているんです。(うちは)イタチと(うちは)サスケのシーンでも「Oh…」ってなっているし。「これが最後だ、サスケ」のシーンで「Oh my god…」って涙している。その理解度の高さには感動しました。
KOHSHI でも日本でもあのシーンはヤバいと思う。今回の演出だと崩れ落ちると思いますけどね。
TAKE 僕らは『NARUTO -ナルト-』のオリジナルの関連曲だけで10曲ありますし、それにプラスしてカバーソングも演奏しましたし、コンテンツとより強くタッグを組んだ特殊なライブでしたよね。4年前にカバーアルバム『FLOW THE COVER ~NARUTO縛り~』をリリースした時に日本でもライブをやりましたが、その時には火影岩を背負っていただけだったのを今回は映像もお借りして、より作品の世界観を味わってもらえたと思います。
――そのワールドツアー中にレコーディングをされたのが2026年最初のリリースとなる今回の「5TELLA」です。こちらはアーケードカードゲーム『機動戦士ガンダム アーセナルベースWAVECHOES』のテーマソングですが、ついに『機動戦士ガンダム』シリーズとの邂逅となります。
TAKE ついに!ビッグネームとの!
――皆さんにとって『機動戦士ガンダム』というと?
TAKE 西川貴教先輩!
一同 あはははは(爆笑)。
TAKE 自分の世代だとリアルタイムが『機動戦士Zガンダム』と『機動戦士ガンダムZZ』。一年戦争はね……。
KEIGO 僕ら世代は再放送だったよね。
――最初の『機動戦士ガンダム』の放送開始が1979年ですからね。
TAKE 歴史の長い作品ですよね。今回このお話をいただいた時には「いよいよ来たか」という気持ちになりました。
KOHSHI 巡り巡って出会った感覚が強かったです。話を聞いた時には「『機動戦士ガンダム』か…」と感慨がありましたね。
KEIGO 勝手に畑違いな感じがしていて、自分たちには縁のない作品なのかなとも思っていたんです。たくさんのアニメとやっているけれど『機動戦士ガンダム』とやることはないんだろうなと思ってしまっていて。なのでビッグタイトルが決まってすごく嬉しかったです。
――しかもこの『機動戦士ガンダム アーセナルベース』は、ここまでの歴史の中の膨大な数のカードの中から5機のモビルスーツM(MS)と5人のパイロットを指揮して戦艦を撃破する『ガンダム』のカードを使用したアーケードゲーム。自分のドリームチームを作れるというのは、『ガンダム』ファンにとってはたまらないゲームのテーマソングです。
TAKE 色々と思い出も蘇りますよね。特に『機動戦士ガンダムZZ』のOPテーマ(新井正人「アニメじゃない ~夢を忘れた古い地球人よ~」)の衝撃も思い出しました。“アニメじゃない~”って!「アニメだよっっっ!」と(笑)
KOHSHI 次に“本当のことさ”っていう(笑)。
TAKE あとは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』はリアルタイムで劇場に観に行きましたね。
KEIGO 行ったなぁ。
TAKE それから『機動戦士ガンダムF91』で森口博子さんが歌う「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」も良い曲で大好きです。
――その歴史の中で「5TELLA」も燦然と輝く星になります。制作はいかがでしたか?
KOHSHI 日本にいない時期だったから、どうやって作ろうかと思いましたね。
TAKE 実はこの曲、<FLOW WORLD TOUR 2025“NARUTO THE ROCK”>で1ヵ月以上日本を離れて、帰国した4日後には完成させなければいけなかったんです。なので海外に行くまでの1ヵ月で制作をして、帰ってきたら録るという予定で作り始めました。制作にあたってまずは楽曲のイメージを共有させてもらい、フルバージョンのデモまでは作って渡航しました。
――ゲーム側からのオーダーはどういったものでしたか?
TAKE 今回5機対5機で戦うゲームということで、ツインボーカルだからこそ聴かせることのできる共闘感のイメージがFLOWならより出るだろう、というオーダーでした。そこにFLOWらしい熱いメッセージが合うのではないか、と。
――『ガンダム』ソングだからこそ入れた音色やアレンジはありましたか?
TAKE ボーカルの掛け合いの部分はもちろんですが、一番意識したのはシンセサイザーの音色選びでした。玉置成実さんや西川貴教さんといった、あの世代の『ガンダム』サウンドの雰囲気を今の時代で表現するとこうなるよ、という音楽を作りたかったので、そこは意識的にトラックダウンのタイミングでシンセの音を上げたり、ちゃんとカラーが出るような音を意識しました。「『ガンダム』ってこういうものでしょ!」っていう感じで。
――『機動戦士ガンダムSEED』のイメージが強かった?
TAKE そうですね。そこはやはり西川さんがいますから。あの頃の、シンセの音が疾走感に繋がっていくところが『ガンダム』の画と合うかなと思って作りました。
――KEIGOさんは上がってきたデモを聴いて、どのような印象を受けましたか?
KEIGO 毎回、新しい作品とタッグを組ませてもらうと、FLOWの新しい部分が出るものだなと思っているので、今回『機動戦士ガンダム』シリーズと初めて組むことで、TAKEも言ったボーカルの掛け合いも多かったので、新たな自分たちの強みが出ましたし、ツインボーカルだから出せるカラーだとも思いました。KOHSHIの歌詞も、新鮮な言葉もあったりして。
――KOHSHIさんは歌詞についてはいかがですか?
KOHSHI テーマがはっきりしていましたし、数字を大事にしているチームでもあるので、割と素直に出てきました。今回5作目(無印、『LINXTAGE』シリーズ、『UNITRIBE』シリーズ、『FORSQUAD』シリーズ)で、5対5というキーワードがあったので、タイトルには数字の「5」を入れようという思いのもと歌詞を書き始めました。
――歌詞についてのオーダーはどのようなものでしたか?
KOHSHI バトルゲームであること、それから『機動戦士ガンダム』の世界観として絶対的な正義はなくて、個人の中に正義があるなかで戦っていることをベースにして書きたいと思いました。日本でほぼ完成していたのですが、ラップ部分は渡航初日のロンドンのホテルで書き上げました。ライブをして、そのライブ感を感じながら書けたのは良かったです。
――歌詞を書くにあたってモチーフにしたシリーズはありましたか?
KOHSHI もちろん一年戦争のことですよね。一年戦争から『機動戦士Zガンダム』と『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士ガンダムF91』も観ていたのでモチーフとしては念頭にありました。あとは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』も。『ガンダム』の物語はどのシリーズも切ないですよね。そのあたりも表現できればいいなと思いました。
――そこはかとなく流れ続ける戦争の哀しみも。
KOHSHI そうそう。テーマが悲しいんですよね。大切な人との別れもありますし、少年たちの気持ちもそうですし。そうしたシリアスなものを描きたいと思いました。
――今回、海外レコーディングをされたとのことですが、どんな経験でしたか?
TAKE さっきも言った、帰国して4日で完成させるというスケジュールは無理な話だろうということになり、海外レコーディングに初挑戦するのもいいだろうと海外でスタジオを探してもらって。そしたらシカゴにグラミー賞を獲っているスタジオがあるぞ、ということで、そこで初のレコーディングをしました。シカゴではドラムとギターを録って、日本でGOT’Sがベースを録って、それを合わせたところでボーカルはポートランドで収録しました。
――一緒にやられたエンジニアのブライアン・フォックスとライアン・ブライデンスタインとの作業がいかがでしたか?
TAKE パッションを感じました。向こうのエンジニアさんはノリとグルーヴがありました。特にブライアンは「このフレーズはこんなふうにしたいんだよね」と盛り上がると、裏の倉庫から10個くらいエフェクターを持ってきてくれるんです。それを試しながら「これ良いね」って言ったのに「まだあるよ」って持ってきてくれて、この調子じゃ今日中に終わらないな、なんてやりとりもありました。それくらい音楽をクリエイトすることが好きなんだろうなと思いましたし、お互い情熱を持ったなかで一緒に作れたと感じました。
――海外でのボーカルレコーディングの経験はどうでしたか?
KEIGO 痺れましたね。日本じゃ考えられないですが、ライブ2連チャンの次の日にレコーディングでしたから。ボーカル録りをしてくれたのがライアンなのですが、すごく一生懸命な人でした。なんとか理解しようとしてくれていましたね。
KOHSHI 日本とアメリカで、自分たちのチャンネルを合わせるのにも苦労をしながら作りました。しかもレコーディング前に、前の日の夜のライブで痛めた足を診てもらっていたりもして、スケジュールも限られてしまっていたのですが、皆さんの「これが終わったら夕食にメキシカンを食べに行こう!」みたいなテンションで1つになって頑張れました。
KEIGO 楽器隊はシカゴ、ボーカルはポートランド。
TAKE シカゴ、ポーランド、そして日本という3都市でレコーディングしたものを合わせて出来上がったのがこの曲です。テクノロジーの進化でこうした形で楽曲を作れるという前例を作りましたね。
――GOT’Sさんのレコーディング参加は嬉しいニュースですね。
TAKE 帰ってきました。元気ですよ。時間はものすごくあるから、データが返ってくるのは早かったです。待ち構えていますからね。彼にとっても良いモチベーションで作ることができたんじゃないかと思います。
――出来上がった今の気持ちをお聞かせください。
TAKE 僕らも『機動戦士ガンダム』の主人公たちと同じように戦っていました。その勢いが乗った1曲です。ジャケットに『ガンダム』のイラストをもらいましたし、『ガンダム』の下に「FLOW」の文字があるのは感動です。そして2026年は26(FLOW)の年なので、100年に1度のFLOWの年のスタートを『機動戦士ガンダム』で切れることは大変光栄です。
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