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INTERVIEW

2026.01.24

「今夜、あの街から」が集大成とも言える待望の1stアルバム『NOT ENOUGH』をリリース!新曲「Not Enough」のゲストボーカルである声優の秋奈とヨルマチのサウンドメイクとボーカルを担うNoraの2人に話しを聞いた

「今夜、あの街から」が集大成とも言える待望の1stアルバム『NOT ENOUGH』をリリース!新曲「Not Enough」のゲストボーカルである声優の秋奈とヨルマチのサウンドメイクとボーカルを担うNoraの2人に話しを聞いた

ネットシーンを中心に活動するクリエイターにしてシンガーのNoraによるプロジェクト「今夜、あの街から」。2021年のプロジェクト開始から、ノラとレイラという2人の登場人物による物語をコンセプトにした、Noraによるスタイリッシュなサウンドとレイラ役として参加する数々の女性ボーカリストとのコラボ、というスタイルが人気を博してきた。そんなヨルマチが、これまでの楽曲をコンパイルした初のアルバム『NOT ENOUGH』をリリース。新曲となる「Not Enough」ではゲストボーカリストに声優の秋奈を迎えた。ヨルマチ5年間の集大成ともいえるアルバムと新曲をNoraはどう作り上げてきたのか、そしてヨルマチ初参加となる秋奈はそこでどんな歌声を残したのか。Noraと秋奈の2人に聞いた。

INRERVIEW & TEXT BY 澄川龍一

5年間温めていたヨルマチと秋奈のコラボ

――2021年にプロジェクトがスタートした「今夜、あの街から」(以下、ヨルマチ)による1stアルバムとなる『NOT ENOUGH』ですが、まさにこの5年間を網羅したアルバムとなりましたね。

Nora はい。楽曲もCDの容量ギリギリまで詰め込んでいます(笑)。

――全25曲77分も収録されているという大ボリュームです。

Nora そうなんですよ。CDの上限が79分なので、本当にギリギリ(笑)。

――ここまで詰め込んだ1stアルバムにしようという想定はあったんですか?

Nora ありました。それこそ『NOT ENOUGH』というタイトルからそうで、アルバムを出すならこのタイトルにしようと考えていました。意味としては“まだ足りない”というか、ニアイコール“空腹 ”とうい意味で。

――いわばヨルマチの作品にしばしば登場する“満たされなさ”を描くという。

Nora 僕が今までのヨルマチで描いてきた満たされなさというのは、どっちかというと満たされているのにまだ足りないというか、もっと欲しくなってしまうみたいな。たくさん愛をもらっているからこそ物足りなくなっちゃうみたいなところを描きたかったんですよね。そのタイトルに相応しいアルバムを作ろうと思ったときに、収録曲が6曲ぐらいだったら、そりゃそうだよねってなってしまう(笑)。

――確かに(笑)。

Nora 満たされているのに足りないを表現するのであれば、曲数はたくさんなきゃいけないって思っていました。あと、「今夜、あの街から」というプロジェクトは物語を進めていくユニットなので、アルバムを出すならイメージとしては本のようなものにもしたかったですね。そういう意味でもやはりボリュームは欲しいよねというところでもあります。なので、出そうと思えばいつでも出せたんですけど、1st アルバムに5年かかったというのはそういうことなんです。

――そして本作収録の「Not Enough」にてボーカルで参加した秋奈さんですが、改めてこのプロジェクトに参加された感想はいかがでしたか?

秋奈 最初にお声がけいただいて音源を聴かせていただいたときには、「なんてかっこいい楽曲なんだ!」と思いました。「ぜひ私でよければ!」という気持ちと同時に、「私でいいんですか?」という思いもあって。そんなかっこいい楽曲に、作家さんご本人から直接オファーをいただいたからこそ、しっかり応えなきゃと思いましたし、レコーディング当日もドキドキしながら臨みました。

Nora そうなんですか?そんなふうには全然見えなかったですけど。

秋奈 すごく緊張していたんです!(笑)。でも、テストで歌い終わったあとにNoraさんが「めちゃくちゃいいです!」と言ってくださって、ほっとしました。

――秋奈さんは声優として活躍する一方で、シンガーとしても活動していますが、Noraさんはオファーする以前から秋奈さんの歌唱は聴いていましたか?

Nora もちろんです。それこそ僕は、「プロジェクトセカイ」での小豆沢こはねちゃんの役で知っていて。「プロセカ」もローンチ初日からプレイするぐらい好きだったんですけど、そのなかでこはねちゃんの歌が一番よかったんですね。

――元々お好きだったんですね。

Nora シンプルにファンです(笑)。で、ちょうどその時期ぐらいにヨルマチのプロジェクト立ち上げを構想していったんです。「プロセカ」にハマっているなかで、僕も色んな方をゲストに招いたユニットをやりたいなと思って、将来コラボしたい方のリストに秋奈さんも入っていました。

秋奈 ええーっ、そうなんですか?

Nora なので念願のコラボなんです。もちろん声優として色んなところで活躍されていることも知っていたし、YouTubeで歌ってみたも投稿されているのを聴いていましたし、僕もインターネットの中のボカロや歌い手界隈が出身で、今こういうことをやっているので近いところにいるなという感覚もありましたね。

――秋奈さんとしてもYouTubeで様々なカバーをされていますが、ご自身の中でもボカロなどチェックしたり、ネットから発信される音楽というものはお好きですか?

秋奈 はい、とても大好きです。ボカロでいえば、初期の「メルト」から聴いていました。幼い頃からボカロやアニメ、ニコニコ動画などに触れてきたので、自分から積極的に流行をチェックしているというよりは、自然と耳に入ってきた中で「素敵だな」と思った楽曲を歌ったり、同じようにボカロが好きな方からのリクエストを受けて歌ったりしています。

――秋奈さんのルーツの中にもボカロというものがあったわけですね。それが以降の自身の活動に繋がり、今回ネットから発信されるクリエイターとコラボするに至るわけですからね。

秋奈 はい、とても素敵なご縁をいただきました!

これまで以上にロジカルに作り上げた集大成となる「Not Enough」

――まさにヨルマチにぴったりなコラボとなったわけですが、改めて今回の「Not Enough」という楽曲について、アルバムの表題曲でもあるわけですが、どのようなイメージで作られていったんですか?

Nora 元々はアルバム用に書いたというイメージではないんです。もちろん制作時期的にはアルバムに入ることは想定しているんですけど、本来ヨルマチは曲単体で制作を進めているので、まずはひたすらにかっこいい曲を書きたいというのがありました。あとはTVアニメ『名探偵コナン』のEDテーマとして書かせていただいた「クウフク」の世界観の延長で書いた曲でもあります。そういったなかでシンプルにいいものを作ろうと思って書き始めたら、タイトルも「Not Enough」になるなと感じたものが出来て、最終的にすべてが合致したなという感じです。

――確かに、一聴すると「クウフク」を感じさせるフレーズも登場するところもありますよね。一方でサウンドとしてはこれまでのヨルマチのスタイリッシュさとは一線を画する内容ですよね。

Nora そうですね。

――過去の楽曲ではピアノのメロディアスなフレーズが印象的だったところが、本作ではヘビーなギターサウンド主体の攻めたトラックになっていますね。

Nora そうなんです。実は、ちょうどこれを書いているときにインスパイアされたものがあって、YOASOBIさんの「アイドル」に影響を受けていたりするんですよ。それもあって秋奈さんにお願いすることにもなったというか。

――そういえば秋奈さんは「アイドル」のカバーをしていますよね。

Nora そう、そのカバーを聴いたときに「これだ」って思ったんです。なのでこの曲を秋奈さんにお願いした理由はそこにもあるんですよ。で、楽曲としても「アイドル」のブラスヒットの使い方や4つ打ちのビートの刻み方とかに結構インスパイアを受けて作っていたりして、僕なりにヨルマチの世界観でそういう曲を作ってみたいっていう衝動から生まれた曲だったんです。そういう考えから始まったので、結構テクニカルには作っていて、音楽的な技術をいっぱい集めた、僕の中でも現状の最高傑作だと自負しています。

――確かに各音色のパンチの効かせたトラックにキャッチーなメロディというところが印象の残る楽曲ですよね。

Nora はい。とにかくかっこいいトラックを、それこそ808ベース(ローランドのドラムマシーン・TR-808を使った独特のリズムサウンド)とかも入れて、最近のK-POPもだいぶ意識をしていますね。

――そんなダーティーなトラックの中に秋奈さんのピュアなボーカルが乗るといういい意味でのギャップがありますが、そこも想定はされていたのですか?

Nora こうしたサウンドにかっこいい声を入れるのも1つの手ではあるんですけど、それっていわゆる王道じゃないですか。秋奈さんってめちゃくちゃきれいでかわいらしい声だと思うんですよね。でも歌になるとすごく芯の強さを感じるんですよ。ただかわいいだけではこの曲には合わないかもしれないけど、芯を持っている秋奈さんの声がこの曲に合わさったら、当たり前の音じゃないものが作れる気がしていて。なので、この曲のイメージにはドンピシャの声だったんです。

秋奈 ありがとうございます。照れちゃう(笑)。でも本当に曲がかっこよかったので、レコーディング当日は私もかっこよく歌おうと思って臨んだんです。それで一度歌ってみたら、Noraさんから「逆に素の秋奈さんを出してほしい」と言われて、「えっ?」ってなりました。

――そこで求められていたのはかっこよさではなかったんですね。

秋奈 曲がとてもかっこいいので、私も曲に寄り添わなきゃと思っていたんです。そうしたら「もっとかわいくいっちゃってもいいかもです」ってディレクションいただいて。私としては「こんなにかっこいい曲なのに大丈夫かな……?」って思っていたんですけど、Noraさんとの声が合わさった完成版を聴いてみたらすごく馴染んでいて。
Noraさんとはどちらかというと声のトーンが全然違うタイプだと思っていたんですけど、想像以上にきれいなバランスになっていてびっくりしました。

――ヨルマチは基本的にNoraさんと女性ボーカリストとのデュエットですから、最終的なそのマッチングというのも肝ですよね。プロジェクト全体の世界観もあるわけですから、秋奈さんとしてもそこに合わせる意識が最初はあったわけですね。

秋奈 はい。ヨルマチさんのコンセプト意識しながら、何度も練習していきました。元々事前に作り込むタイプでもあるんですけど、それもあって「もっと秋奈さんを出してください」と言われたときに、どこまで秋奈を出していいのかというのは、何度か歌い直しながら確認していきましたね。

Nora 最初に録ったかっこいいテイクもめちゃくちゃよかったんですよ。もちろんかっこいいところもいいんですけど、秋奈さんの魅力はそこだけじゃない、もっとたくさんあるはずなのでそれを出してほしい、と思ってディレクションさせていただきました。

――ちなみにボーカルの歌い分けというのは事前に決めていたんですか?

Nora レコーディングは全パートを一度録らせていただいたんですよね。全部歌っていただいたうえで、パート分けは当日決めました。つるっと歌ってもらったなかでいい歌い分けをしようというのが僕の制作スタイルかなと。

――ちなみにここはこだわったというパートはありますか?

秋奈 何回も録ったのは“秘密のCode”ですよね。

Nora ラスサビ、めっちゃやりましたね!いやもう、これは本当に声を大にして言いたいんですけど、サビに「秘密のCode“アイシテル”を頂戴、ねぇ」というフレーズがあるんですよね。最初は僕と秋奈さんで一緒に歌っているんですけど、ラスサビではもう僕は絶対いらないと思っていて、最後に秋奈さんのめちゃくちゃいい“秘密のCode”が来ます。曲に関してもここがもうすべてというか、ここがこの曲のメインディッシュだと思ってるくらいで。なので、ここのテイクについてはだいぶお願いしましたね。

――楽器も落ちて秋奈さんのボーカルだけになるんですが、ここでの声はほかのパートとは違って聴こえますよね。

Nora なんならちょっと演じている感じですよね。

秋奈 Noraさんからのディレクションでも「もうちょっとエンジェルな感じでできますか?」って言われて(笑)。

Nora 「もう少し天使をいただけると」みたいな感じで(笑)。最初はかっこよくやっていたんですけど、ちょっとウィスパーを入れたり、少しずつ試しながらやっていただきました。

――練りに練ったトラックに自身のボーカルと秋奈さんの魅力溢れるボーカルが合わさった「Not Enough」ですが、改めてNoraさんから見て本作の手応えはいかがですか?

Nora それはやっぱり念願のものでもありますし、秋奈さんがやってくれるんだからいいものにならないことはないというのは最初から確信していました。ただ実際にやってみたら想定以上にすごくよかったです。この曲はこれまで以上にロジカルに作っていて、最初から狙いがあってそのための表現を盛り込んでいったんですね。それまではもうちょっと感覚的に曲を作っていた人間だったんですけど、今回は作るうえで資料も集めて、アレンジも例えばサビで倍テンポにするとか、これは以前「みにくいばけもの」を提供いただいたjon-YAKITORYさんに教えていただいたのを採り入れたりして、これまで以上にテクく作っています。なので、自分の中では完成想定というのは事前にだいぶ出来ていたんですよ。そこに秋奈さんの声が入ったことでそれがすべて合致した気がしました。

――そうした制作過程もこの5年間のキャリアに裏打ちされたものだったと。

Nora そうですね、改めてプロデューサーとして1曲作ったという気持ちがありました。

――作り込まれた一方で非常にキャッチーな仕上がりだったのもまた興味深いですね。この明快さは手法として非常にアニソン的といいますか。

Nora そう言っていただけると嬉しいです。僕自身アニソンシーンに憧れてこういう音楽やっているのもあるので、自分のルーツにボカロとアニソンがあって、そのうえでやりたかったようにできたところはあるので。

――それもまた5年間の集大成的でもありますよね。

Nora こんなひねくれものにとって、わかりやすさは課題でもあったので(笑)。

次ページ:「今夜、あの街からという」、仲間探しの旅は続く

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