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REPORT

2025.12.26

楠木ともりがバースデーライブ&2ndアルバムに込めた親愛と信頼――「TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025 “LAPIDARIES”」レポート

楠木ともりがバースデーライブ&2ndアルバムに込めた親愛と信頼――「TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025 “LAPIDARIES”」レポート

最高の“宝石細工職人”たちに愛を込めて作られたライブ

続くMCで楠木は、ライブタイトルの“LAPIDARIES”に込めた意味について語り始める。「私はキラキラしたものを見つけるのが苦手です」という彼女。仮にそういうものを見つけたとしても、誰も拾わなかったら見てみぬふりをしたり、拾っても傷があったら捨ててしまうような人生を送ってきたと語る。そんななかで、自身を応援してくれるファンは、誰も拾わなかった輝きにも目を向け、例え傷があったとしてもそれを味として喜ぶことができる人たちだと語り、「何より私がすごいなと思うのは、そのキラキラしたものを拾った後、自分の経験や価値観、記憶と繋ぎ合わせて、自分だけの力や思いに変化させることができる」ことに常々リスペクトしていると告白する。

「2ndアルバム『LANDERBLUE』は、手にしてくれた人のお守りになるように、という想いを込めて作ったアルバムでした。でもそれは私が一方的にそうしたいと思ったのではなくて、みんなに、宝石細工職人のような力があると私がずっと感じていたからで。その力を信じているから、あなたなら私の作る“青”を素敵なお守りにしてくれるだろうな、自分と結びつけて自分だけのお守りにしてくれだろうなと思ったからリリースしました」。

そしてファンからのアルバムの感想を受けて、改めてみんなにその力があることを確信した彼女が、感謝の気持ちを伝えるために企画したのが今回のライブ“LAPIDARIES”。セットリストも宝石ができていく過程を表現して組んだことを明かす。ラピダリーが複数形になっているのは、ファンの一人ひとりそのすべてが、楠木にとっての“宝石細工職人”であることを示すタイトルだったわけだ。

「あなた、一人ひとりが、最高のラピダリーズであることを絶対に忘れないでください。私はいつも本当に支えられています。ありがとうございます。私もそうなれるように頑張ります」。そう告げた彼女が続いて歌で想いを届けたのが「それでも」。『LANDERBLUE』に収録されたこの楽曲は、楠木が憧れていた存在との別れの経験をモチーフに書かれた、あくまで特定の対象に向けての想いが結実したものだが、“あなたの声が聴きたいよ”という切実な歌声は、先ほどのライブコンセプトに関する説明やファンへの想いの吐露を踏まえると、また別の厚みが生まれる表現になっていたように思う。

そこから「いけんのかー!」と威勢よくオーディエンスを煽ると、ライブの定番曲となっている起爆剤的なアップチューン「熾火」へ。カラフルな照明で色づくステージと楠木の情熱的なボーカルが会場を熱く燃え上がらせる。2番で再びステージ前にしゃがみ込んでファンに直接語りかけるように歌ったかと思えば、珍しくシャウトするようなアプローチも見せて、最後は右手を高く掲げて天を仰ぐように決めてみせた。

そしてライブ本編のラストナンバーは「turquoise blue」。2ndアルバム『LANDERBLUE』のリードトラックであり、彼女が同アルバムおよび今回のライブで伝えたい思いが凝縮されたようなナンバーだ。楠木はアコースティックギターを手にしてステージ中央に用意されたイスに座ると、鮮やかな“青”の歌をゆったりと歌い紡ぐ。1曲目「twelve」の時と同様のレーザーが彼女の周りを取り囲んでいたが、最初と違っていたのはその形。「twelve」の時は四角形を描いていたレーザーが、この曲では六角形になっている。それは原石からカッティングされて綺麗な宝石の形に整えられたこと、楠木と彼女の輝きを見出したファンとの歩みを表す演出なのだろう。さらにサビではステージから正面に向けて真っ直ぐに伸びる青いレーザーが穏やかな水面のような光景を作り出し、爽やかなターコイズブルーの景色と共にライブ本編は幕を閉じた。

新曲をたっぷり披露したライブ本編だったが、アンコールにも特別な1曲が用意されていた。盛大な“ともり”コールを受けて再登場したバンドメンバーが、アコースティックギターで前奏を奏でると、楠木がステージに現れてハミングでその音に合わせる。そして一拍を置き、楠木の歌い出しと共に演奏されたのが、TETSUYA(L’Arc~en~Ciel)提供のシングル曲「シンゲツ」。本邦初披露となるアコースティックアレンジだ。青いライトがステージを月光のように照らし出すなか、楠木は遙か中空に浮かぶ月に願いを込めるように歌を紡いでいく。原曲よりもかなりテンポを落としており、声と音、それぞれの粒立ちが一層優しく耳に沁み込む。そのままワンコーラスを歌うと、以降はバンドが加わってドラマチックに展開。しなやかさと凛々しさ、両方の顔を味わえる「シンゲツ」になっていた。

さらに前回のEX THEATER ROPPONGIワンマンで初披露した曲を「この大切な場所でもう一度歌いたいと思います」と告げると、切なくも温かなミディアムバラード「バニラ」を歌唱。エモーショナルな歌唱表現と煌々と燈るバックライトがノスタルジックな感情を喚起するなか、歌詞の最後の一節“添えよう”をそっと置くように優しく届けて、会場からは万雷の拍手が上がった。本人も「初披露したハコでもう一度、しかも何年も経ってから歌うというのは経験がなかったので、すごく気持ちよく歌えました」と感想を述べていた。

その後、恒例のグッズ紹介はスタンディング公演ということでいつもよりも手短かに済ませると、新情報として自身初となるアナログ・レコード盤『PRESSED FLOWERS』を2026年6月17日にリリースすることを発表。楠木自身がアナログの音質で聴いて欲しい楽曲を自らセレクトしたコンセプトアルバムになっているとのことなので、詳細の発表を楽しみに待とう。

そしてアンコールもラストの楽曲に。「ここから年末に入るし、ちょっとパワー足りないかも」とかわいくわがままを言い始め、「年の瀬、寂しくなるので皆さんの背中を見たいなー」と話すと、どの曲を歌うのか察知したファンからやる気を見せる声が上がる。「最後の曲、みんなのかっこいいところ見せてください!」と歌われたのは「back to back」。楠木とファン、お互いに背中を預け合って支え合う、ファンの歌唱パートもたっぷり盛り込まれた絆の歌だ。客席からの大きな“大丈夫”という声に、心から楽しそう&頼もしそうにレスポンスを返す楠木。彼女を中心に会場の気持ちがひとつになって大きなうねりを見せる……と、曲の途中で突然ドラムがパンクな2ビートを叩き出し、バンドメンバーがハッピーバースデーの歌「Happy Birthday to You」を奏で始め、会場中が大合唱して楠木の誕生日を祝う。いきなりのことに驚きつつも大喜びの楠木は、「26歳の目標は?」との問いに「元気!」と答え、締めのジャンプと同時に銀紙が発射されて盛大なサプライズとなった。

その後、運ばれてきたケーキのロウソクを「みんながハッピーに過ごせますように」と願いを込めて吹き消すと、まだ曲は終わってないということで再び「back to back」に戻り、楠木は「えっ!ウソでしょ!?」と再び驚きつつ、最後はこの日で一番大きな大合唱を作り上げてバースデーライブを締め括った。あまりの急展開と興奮に「ヤバい、鼻血出そうだよ(笑)」と笑いつつ、「めっちゃ最高な26歳の初日になりました!」と喜びと感謝の気持ちを伝えた彼女。この2025年の思い出と経験を携えて、2026年もアーティストとしてさらに飛躍していくことだろう。


「TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025 “LAPIDARIES”」
2025年12月22日(月)@東京・EX THEATER ROPPONGI

M1 twelve
M2 風前の灯火
M3 BONE ASH
M4 Nemesia
M5 優等生
M6 NoTE
M7 DOLL
M8 遣らずの雨
M9 MAYBLUES
M10 浮遊
M11 それでも
M12 熾火
M13 turquoise blue
M14 シンゲツ
M15 バニラ
M16 back to back

関連リンク

楠木ともりオフィシャルサイト
https://www.kusunokitomori.com/

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