TVアニメ『うる星やつら』第2期OPテーマのMAISONdes「ロックオン feat.はしメロ, 巡巡」をはじめとした数々のコラボレーションを展開し、ジャンル横断型のシンガーソングライターとして注目を集めるはしメロ。今年8月に1st EP『ときはなて!』でメジャーデビューを果たした彼女が、早くも次の作品となる2nd EP『百面相』をリリースした。表題曲「百面相」は、現在放送中のTVアニメ『顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君』のOPテーマ。前作の表題曲「ときはなて!」(TVアニメ『ウィッチウォッチ』第2クールOPテーマ)に続き、キャッチーで耳を惹く歌声とアッパーなサウンドが様々に展開していく、はしメロらしい楽曲に仕上がっている。アニメの主題歌に対して並々ならぬ情熱とこだわりを持つ彼女が本作に込めた想いにインタビューで迫る。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――前回のインタビューから約3ヵ月ぶりになりますが、その間には初の主催イベント「はしメロ pre. “Capsule”」もありました。かなり忙しかったのでは?
はしメロ 忙しかったかも……でも、体調を崩したりとかはなく、無事乗り切りました。この間マッサージに行ってみたら、めちゃ楽しくて。
――「めちゃ楽しくて」って、あまりマッサージの感想っぽくないですね(笑)。
はしメロ 普段はあんまりマッサージに行かないんですよね。整体に何回か行ったことがあるくらいで。ふと思い立って行ってみたら、すごく優しくて緩やかな感じのお姉さんが担当してくれたんです。でも、私の目元のタオルがズレるのを直す時だけは動きがめっちゃ速いんですよ。なんか楽しかったです。
――さすが、目の付けどころが違いますね(笑)。そんななかリリースされた今回のEP『百面相』の表題曲は、TVアニメ『顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君』のOPテーマ。アニメタイアップは2クール連続になりますが、お話をいただいた感想はいかがでしたか?
はしメロ すごく嬉しかったです。そこから原作を読ませてもらったら、ラブコメなんだけど、ほっこりするというか心温まる感じで。何か事件とかが起こるというのではなくて、ただひたすらに太田くんが柏田さんにちょっかいをかけ続けるんですけど、その「驚かしてやろう」みたいな意気込みがかわいいし、柏田さんもすごくかわいいから、キュンキュンするというよりも癒される作品だなあと思いました。
――ちなみに普段、ラブコメ作品に触れることはありますか?
はしメロ あ、好きです。少女漫画とかを読んでいたので、触れてきた方だと思います。
――思い出のラブコメ作品を挙げるとすれば?
はしメロ なんだろう?……ラブコメなのかわかんないですけど、小学生の頃に読んでいた「ちゃお」の『きらりん☆レボリューション』はすごく好きでした。主人公に憧れの男の子がいて、「私も輝く!」みたいな感じがいいなあって。
――『きらりん☆レボリューション』は当時アニメも人気でした。あの作品をラブコメと捉えるのであれば、はしメロさんがこれまで主題歌を手がけたり歌唱を担当してきた『ウィッチウォッチ』や『うる星やつら』もラブコメですよね。
はしメロ そう、今までタイアップのお話をもらった作品は、アニメだけじゃなくてドラマ(『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』)も全部ラブコメなんです。なのでラブコメに包まれてきた人生というか、もしかしたら縁があるのかもしれないなって思いました。
――はしメロさんは楽曲も歌声もキャッチーな印象があるので、そういった音楽性がラブコメに合うのかもしれないですね。
はしメロ だとしたら嬉しいです。そういえば、これまでもラブコメっぽい要素のある曲を結構作ってきたなと思いました。
――話を戻しまして、原作を読んだうえで今回はどんな楽曲にしようと考えましたか?
はしメロ 原作を読んで「こういう風な曲がいいな」と思ったアイデアを形にしていきました。作品的に、空気感はほのぼのした感じではあるんですけど、やっぱり中学生の青春ってあっという間じゃないですか。時間が限られているというか。なので疾走感のある感じにしたくて。それと個人的にアニメのオープニングテーマは展開がしっかりあるのが理想で、サビはパーッと開く感じ、最後はアニメ本編が気になるような終わり方にしたかったので、この曲もそういう構成を意識して作りました。
――歌詞の世界観やモチーフは、作品のどんなところからインスパイアを受けましたか?
はしメロ まずタイトルの「百面相」は、太田君の表情豊かなところからインスピレーションをもらって付けました。歌詞はドキドキ感を意識して書きました。
――それは太田くんのドキドキ感ですか?
はしメロ あ、柏田さんのドキドキ感です。「百面相」の歌詞は、柏田さんから見た太田くんのイメージに近いというか、隣を見たら百面相の“自己中心コミュニケーションボーイ”がいて、また「絶対今度こそは!」みたいなことを言っているな、っていう感じのことを書いていて。なのでどちらかと言うと、太田くんを見ている柏田さんの視点です。
――前作の「ときはなて!」では、歌詞の1番は乙木守仁の視点、2番は若月ニコの視点で描いていましたが、今回は全編を通して柏田さんの視点に絞ったわけですね。
はしメロ 「ときはなて!」の時は、『ウィッチウォッチ』の色んなキャラクターが登場する作品性自体に注目して歌詞を書いたんですけど、今回は全編キャラクターの心情にフォーカスを当てた形で書いていて。柏田さんの恋心というか、そういう何かが芽生える気持ちを歌詞にしたので、柏田さんと太田くんの二人以外の要素はあまり登場させてないです。
――作品内での描かれ方で言うと、柏田さんは無表情で何を考えているかわからないキャラクターですが、はしメロさんはどんな子と捉えていますか?
はしメロ 柏田さんは無表情だけど、嬉しかったり、面白かったりしたら笑うし、びっくりしたら「えー!」みたいな感じになるので、心はちゃんと動いていて。作品の中ではみんな「柏田さんは表情がわからない」ってなるけど、アニメを観ている側の視点だと、柏田さんは、めっちゃ感情豊かに見えるし、だからこそ太田くんの気持ちがすぐ表情に出てしまう“百面相”が羨ましいし憧れなんだろうなと思います。
――原作やアニメで、柏田さんの心が動いた印象に残っているエピソードはありますか?
はしメロ 一番印象的だったのは、幼稚園の頃のお話です(アニメ第6話「柏田さんと太田君と思い出」)。ひとりで遊んでいた柏田さんが太田くんに「一緒に遊ぼう」と声をかけられて、勇気を出してみんなと一緒に遊ぶシーンがめちゃくちゃ印象に残っていて。感動しました。でも、歌詞には特定のシーンを入れるというよりも、日々のことを書いています。“存在ごとが喜怒哀楽 押される日々いとおかし”なので。
――なるほど。ご自身で気に入っている歌詞のフレーズはありますか?
はしメロ 一番気に入っているのは“この気持ちの名前は 知らない 薄々きいたことがあるけど”という3行です。この作品は中学生のお話なので、やっぱり恋を全部わかった気になるというよりは、「なんか薄々聞いたことがあるけど……」みたいな、まだ知らない気持ちの方が強いだろうなと思って。正体がわからないキュンみたいな感じというか。
――太田くんのことがなぜか気になる柏田さんの心情が表現されているわけですね。歌詞の話で言うと、1番Bメロの“あんたまるで犬みたいね What!? こんなままじゃNO や”のブロックが個人的に気になりました。これは柏田さんが太田くんを「犬みたい」と思っている、ということ?
はしメロ この“犬みたい”は柏田さんが言われているイメージです。犬って、猫よりも素直というか、(飼い主に)「待て」と言われたら黙って待ったりする感じじゃないですか。柏田さんも無表情で自分の気持ちをなかなか表に出せないけど、気持ちを伝えるためには、「待ってるだけじゃダメなんだ」と気づくようなきっかけとなるフレーズを入れてみました。
――だから“こんなままじゃNO や”と続くんですね。要は幼稚園時代に勇気を出して一歩踏み出した柏田さんの心の動きとリンクするフレーズでもあると。
はしメロ そうですね。
――サウンド面についてもお聞きします。編曲は「ときはなて!」に続いて⌘ハイノミさんが担当していますが、どんな風にお願いしたんですか?
はしメロ 疾走感のあるバンドサウンドのギターをめっちゃ入れて欲しい、というお願いをしました。個人的にバンドサウンドがすごく好きなのと、この曲は色んなギターの音がたくさん入ってるのがいいなと思って。特に気に入っているのが、(アニメで流れる)89秒バージョンだけ、最後にギターの「ジャーン」って音を入れてもらったんですよ。その音があることでアニメ本編の続きが気になるようにこだわったポイントです。
――ベースも動き回ってますし、細かい音色がたくさん散りばめられていて、忙しなく展開する構成を含めて百面相っぽい音ですよね。歌の表現も様々な変化を付けている印象を受けました。
はしメロ 歌は喜怒哀楽を付けて、色んな表情で歌うように意識しました。Aメロ・Bメロとかは結構言葉を詰め込んでいるんですけど、そのワードごとでも表情を付けたりいていて。例えば“どっぷりハマっちゃって本当”のところは「自分がこんな気持ちになるなんて……」みたいなあまり嬉しくない感じ、“今度はマジで許さない?”は疑問形なので語尾を上げて疑問っぽく聞こえるようにしたり。サビはシュッとなるような歌い方、落ちサビは心の中の声みたいなイメージで歌っています。
――冒頭の“象の心”なども語尾がキュートな歌い口になっています。
はしメロ そうですね、結構キュンと聴こえるように意識して歌っていて。あと、歌い出しの“速攻”もなんか「シュッ」てなるように歌っていて……伝わるかわかんないですけど(笑)。
――フィーリングは伝わっています(笑)。落ちサビはバックの音数が減って静かになるところを含めて、心の中という感じがしました。
はしメロ そうですね。ここは自分にとってのアニメ主題歌ポイントでもあるなと思っていて。色々展開してきたなかで、この部分で急に低くなって、“形にしたら”のところでまた元の音の高さに戻って、ラスサビで転調してさらに上がるんです。アニメの転調する曲が好きなんですけど、この部分ではそれを取り入れることで、心をギュッと込める感じの歌にしました。
――そんなこだわりの詰まった楽曲を使ったアニメのオープニング映像をご覧になった感想もお聞かせください。
はしメロ まず、すごく嬉しかったし、色がめちゃくちゃ鮮やかで……「全部かわいい」って言うとちょっと安易ですけど、全てがかわいい感じに包み込まれているなと思いました。温かい色合いなのもすごくかわいくて。それと歌詞とアニメの内容が連動していて、歌詞の“ボーダー”のところで絵の具が横塗りされたり、めっちゃリンクしているんですよね。サビもイメージ通りバーッと広がる画になっていて、毎週観てますけど毎回嬉しいなって思ってます。
――ラストの桜並木で柏田さんと大田くんが並んでいるシーンもいいですよね。
はしメロ そうなんです!ギターの「ジャーン」という音とのハマり具合が想像以上に完璧すぎて「それなんですよ!」って思いました。自分のやって欲しかった「ジャーン」が形になっていて、やったー!って思いました。
――この曲は、はしメロさんのオリジナルのMVも公開されていますよね。
はしメロ MVは基本(映像クリエイターの)ふたつさんにお任せして作ってもらったんですけど、自分のキャラクターがメインのMVになっていて。曲の速さに合わせてテンポよく場面が切り替わるところとか、表情に喜怒哀楽があって、「ツン」ってコケるところとか、面白い感じになっているのがお気に入りです。
――余談ですが、はしメロさんのキャラクターが付けている水中メガネとシュノーケルは、何の象徴なのですか?
はしメロ あれは、新しいアーティストイメージを考える時に、「どんな風にしたいか考えよう」という話になって、自分で描いた絵が元になっているんですけど……なんでなんだろう?でも、お風呂とか水が好きなので、かわいいかなと思って何となく描いたら、いつの間にか浸透していました。
――でも、わかりやすくていいですよね。水中メガネとシュノーケルを付けているキャラクターって他にあまりいないですし。
はしメロ あと、今のアーティスト写真の湯船の縁でシュノーケルを付けているのをやりたかったんですよね。このマナー違反っぽい感じがすごい好きで。銭湯でシュノーケルを付けたりしないじゃないですか。
――まあ、銭湯や温泉で泳ぐのはダメですからね。もしかして自分の家でお風呂に入る時にシュノーケルを付けたりするんですか?
はしメロ あ、でも自分泳げないんで。
――まさかの返答でした(笑)。
はしメロ なので、もし泳ぐ際はこれ(シュノーケル)が絶対いると思います。
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