2025年9月13日。あの日から約1年が経った。
昨年開催された “ナガノアニエラフェスタ2024”からのこの日を迎えるまでの間、それは多くの人たちが長きにわたってさまざまな想いを抱えてきた日々だったに違いない。昨年‟アニエラフェスタ”で起こった、アニソンあるいはポップミュージックのイベントにおいて決してあってはならない痛ましい事件は多くの人々に暗い影を、深い傷を残した。
‟アニエラフェスタ”運営をはじめ、あの日ステージに立つはずだったアーティスト、それを楽しみにしていたオーディエンス。ひいてはアニソンを愛する多くの人たちが、辛い感情を共有しながら、同時に“アニエラ“の復活を心から願っていた。昨年のイベント後の10月18日には“ナガノアニエラフェスタ2024”の損害補填と来年以降の開催費を支援するためのクラウドファンディングを開催。目標金額を大幅に上回る12,261,680円という総支援額は、多くの‟願い”が結実したものだ。
それを受けて、今年に入って運営により“ナガノアニエラフェスタ2025”の開催が発表。今年も多くのアーティストが長野県佐久市の会場である駒場公園へと集まることとなった。
2025年9月13日。あの日から1年。
長きにわたる悲しみの果てに、運営とアーティスト、そしてオーディエンスといった多くの人たちの願いが開花する瞬間が訪れた。野外アニソンフェスの最高峰にして、もっとも自由で平和で、楽しいアニソンイベント。その完成に至る歓喜の2日間の模様をレポートしよう。
TEXT BY 澄川龍一
いよいよ開催当日を迎えた“ナガノアニエラフェスタ2025”初日。開場直前に駒場公園に到着すると、すでに観客がゲート付近の広場に詰めかけ、その多くは開場に向けて列を形成していた。入退場に必要なリストバンドを受け取る際には持ち込み制限の物品の周知などがスタッフから告知されている。こうしたオペレーションも含めて入場までのプロセスは実にスムーズだ。そこから入場ゲートを通過すると、そこにも金属探知機といったセキュリティーチェックは十分であると感じさせる。また開場から開演までの時間もしっかりとったことから、入場への混雑さもそこまでないように見えた。ここは運営の丁寧な備えの賜物でもあるが、同時に来場者もまた事前に気を配って入場に臨んだからこそのスムーズさでもあるだろう。すべての人たちがこのイベントを成功に導きたい、そんな強い思いが開演前から感じられた一幕だった。
会場ゲートを潜るとすぐに左手側には最初のステージであるPHANTOM STAGEがある。それを横目に道なりに進んでいくと、ほどなくして視界が開けてメインステージのTEMPEST STAGEにたどり着く。普段は野球などに使用する広大なグラウンドが、この日は多くの人が集まるライブ空間になっていた。規模としては昨年あったステージへのゲートがなくなり、より広いフロアを確保した印象だ。巨大なLEDモニターとステージを向こうに、後方にはグッズの物販や協賛企業のブースなどが軒を連ねる。そしてステージを正面に右手側には芝生の小高い丘があり、そこにはすでに来場した観客がシートを敷いて飲食をしながら開演を待っていた。空を見上げると天気は快晴とまではいかないが、雨は降りそうにない。一昨年の2日目など、荒天で途中中止になった過去もある。この時期の長野での野外フェスは天候の戦いでもあるが、この日はまだ天気はもっている。
野外フェスらしい開放感のあるムードのなか、フロアは開演前の穏やかな、しかしふつふつとした熱気に包まれて定刻を迎えると、軽快なBGMとともにステージ脇のLEDモニターには最初のアーティストを紹介するアタック映像が流れた。フェスの始まりにしては、いわゆる大掛かりなオープニングムービーなどのないシンプルな幕開けだった。しかし、対してオーディエンスは待ってましたとばかりに大きな歓声を送る。まさに、止まっていた時が動き出すかのように、会場は一気に熱気を帯びていった。いよいよ、‟アニエラ”の開幕だ。
そんな“ナガノアニエラフェスタ2025”のトップバッターを飾ったのは、シンガー・halcaだ。その第一声となったのは「恋愛ミリフィルム」のゆったりとした、それでいてハッピーなムードの滑り出しだ。まだ昼時の野外にはこんな雰囲気がぴったりだ。ステージ上のhalcaはいつも通り弾けるような笑顔いっぱいで、しかも開放的なロケーションに真っ直ぐよく伸びる声も心地よい。直後には「このあとたくさんのアーティストさんが登場して、どんどん暑くなっていくので、こまめな水分補給を忘れずに最後まで楽しみましょう!」とトップバッターらしい配慮も忘れずに、しかしセットはそこからぐっと加速していく。「告白バンジージャンプ」で観客のクラップを誘い、イントロに大きな歓声を呼んだ「センチメンタルクライシス」と、代表曲を惜しげもなく披露し、会場のボルテージも一気に上昇。halcaからも思わず「すごい、楽しい!」とこぼれる。そしてロッキンな「キミがいたしるし」で沸かせたあとは、ほっこりとした「ウィークエンドロール」でしばしクールダウン。しかし最後に「誰彼スクランブル」が鳴らされると、それを察知した観客が一気にステージ前方に押し寄せた。このフロアが“動く ”というのも、指定席のない野外フェスらしい光景だ。会場が興奮のるつぼと化したなか、halcaのキュートで爆発的なボーカルが響き渡る。2022年のPHANTOM STAGEで2日目トリを飾った彼女がより大きいステージでトップバッターというのもグッとくるものがあるが、その大役を見事成し遂げたステージとなった。
〈セットリスト/halca〉
01. 恋愛ミリフィルム
02. 告白バンジージャンプ
03. センチメンタルクライシス
04. キミがいたしるし
05. ウィークエンドロール
06. 誰彼スクランブル
halcaがステージを去ったあと、ほどなくして次のアーティストのアタック映像が流れる。会場がこのうえなく温まった状態で登場したのは、その熱量をさらに上昇させるであるアクト・ASCAだ。その号令とばかりに「アニエラいくぞー!」とASCAが叫び、「明日世界が終わるとしても」でセットはスタート。エネルギッシュな歌声に観客ものっけからエキサイト、曲中でジャンプを繰り返すアグレッシブな光景が見られる。そうした雰囲気を見透かしたようにASCAも「今日はバラードなしでぶちあげていきたいと思います!」と宣言。そのまま「天秤-Libra-」へと続く。西川貴教のパートも含む爆発的なサウンドの中で、ASCAも終始客席を煽りながらフロアの熱気を混ぜ返していく。そこから「CHAIN」と続けると、そのあまりの盛り上がりぶりに煽った張本人であるASCAも「勘弁してくださいよ“アニエラ”、熱すぎますよ〜」とこぼす。そしてその勢いのまま「Fighter!!」へと続く。この夏リリースされたばかりの新曲ながら、観客も冒頭からシンガロングで応えていく。そして最後には、アグレッシブすぎるセットの締めくくりに相応しい「Howling」を披露。ここでもやはり、PHANTOM STAGEにもいたであろう観客がステージ前方に押し寄せるなか、サビでお馴染みのシンガロングを聴かせる。宣言通りバラードなしの、フェス仕様なアグレッションを聴かせたASCAらしいステージを爆走した。
〈セットリスト/ASCA〉
01. 明日世界が終わるとしても
02. 天秤-Libra-
03. CHAIN
04. Fighter!!
05. Howling
昼下がりのTEMPEST STAGEは開演前よりも気温が上昇した印象で、加えてこれまでのステージの影響もあり、より暑いと感じさせる雰囲気。そんななか登場したのが芹澤 優。涼しげなポップさを感じさせる「最悪な日でもあなたが好き。」で幕を開けたセットは、ナンバー1アイドルらしい彼女のキュートさ、そして抜群の存在感を見せつけていく。そのまま晩夏の野外にはぴったりな「神×太陽×サマーパーティ」を聴かせていくと、続いては、ここでまさかのi☆Ris「Make it!」だ。過去に“アニエラ”ではi☆Risとして披露されていた屈指のアンセムだが、まさかソロで聴かれるとは……というどよめきとともに、会場は当然のように大盛り上がり。こういった見せ方はさすがである。その余韻にどよめくなか、自己紹介も含むMCをハイテンションで聴かせていくなかで、「ここからもっと盛り上げるためにはこの人が必要なんじゃないか!ということで……」と呼び込んだのは、サプライズゲストのMOTSU だ。ただでさえハイテンションなステージのなかで、かつ「どうも〜!蒼井翔太で〜す!」というMOTSU のパリピ感満載な挨拶もあってさらにぶちあがる。そしてこの2人が揃えば、披露されるのはさらなるパリピチューン「JUNGLE FIRE feat.MOTSU」だ。攻撃的なユーロビートに芹澤の凛々しい歌唱、そしてMOTSU の攻撃的なラップが野外にこだまするなか、息つく間もなく「ROCK ME KISS ME feat.MOTSU 」の攻撃的なドラムンベースが響き渡る。そして最後は完全無欠のパーティーチューン「EVERYBODY! EVERYBODY!」と駆け抜ける、終わってみれば芹澤 優のアイドルとして、そしてMOTSU を含めたエンターテイナーとしてのそれぞれの側面を存分に発揮したパフォーマンスとなった。そして彼女がステージを去る頃には空には太陽が顔を出すという、パーフェクトなステージとなった。
〈セットリスト/芹澤 優〉
01. 最悪な日でもあなたが好き。
02. 神×太陽×サマーパーティ
03. Make it!(i☆Ris)
04. JUNGLE FIRE feat.MOTSU
05. ROCK ME KISS ME feat.MOTSU
06. EVERYBODY! EVERYBODY!
晴れ間が見えてきたTEMPEST STAGE、続いてのアクトはMachicoだ。夏を思わせるキュートでトロピカルな出立ちのMachicoがステージに現れ、「Growing Up」が歌われると、太陽がさんさんと降り注ぐまさに夏といった雰囲気に変貌。アッパーでワクワク感いっぱいのサウンドに彼女の真っ直ぐで晴れやかなボーカルが気持ちいい。そこからの清涼感溢れる「コレカラ」の歌声もまた、肌に心地よく触れていく。そして続いてのブロックでは、「Viva! Spark! トロピカル〜ジュ!プリキュア」のトロピカルなサウンドが鳴らされれば、紛れもなくこの場は夏である。このあとのタイムテーブルではプリキュアシンガーズも控えているが、『プリキュア』目当てであろう小さいオーディエンスも親と一緒に楽しんでいる様子が印象的だった。そこからダンサブルな「ミラクルっと♥Link Ring!」とプリキュア楽曲を続けて披露したあとは、一転してロッキンな「STAY FREE」を聴かせ、ぐっとステージを締めたかと思えば直後には代表曲「fantastic dreamer」を披露。これには観客も待ってました!とばかりコールにクラップなど、伸びやかなMachicoの歌唱に合わせて打つ。華やかなクライマックスを迎えたあとには、ダメ押しとばかりにアッパーチューンの「TOMORROW」がドロップ。さらなる盛り上がりを加えてTEMPEST STAGE前半を締め括った。
〈セットリスト/Machico〉
01. Growing Up
02. コレカラ
03. Viva! Spark! トロピカル〜ジュ!プリキュア
04. ミラクルっと♥Link Ring!
05. STAY FREE
06. fantastic dreamer
07. TOMORROW
MachicoのステージのあとのTEMPEST STAGEは、30分ほど空けて後半戦となる。その間に観客はもう1つのステージであるPHANTOM STAGEやキッチンカーなどに向かうなどして思い思いの時間を過ごしている。ちなみにPHANTOM STAGEでは田中有紀が登場し、やや小雨の中で持ち前のハイパーなサウンドとともにエネルギッシュなステージを見せていた。こうした回遊型のフェスならではの時間を過ぎたあとにTEMPEST STAGEでは14時30分頃から後半戦が開幕した。日本全国からアニソンファンが集まるこのフェスは、一方で地元からの観客も来場しており、その年齢層も実に幅広い。そのなかでも昨年同様に子供たちの観客が多く見られていたが、そんなキッズたちが楽しみにしていたアーティストの1つがこのプリキュアシンガーズだろう。あきらかに多くのキッズたちの姿が見られるようになった会場でまず鳴らされたのは、最新シリーズ『キミとアイドルプリキュア♪』から「キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!」。石井あみ、熊田茜音、吉武千颯による軽やかなマイクリレーも賑やかな、まさにオープニングナンバーに相応しい一曲のあとには、歴代「プリキュア」のオープニング主題歌のメドレーが続いていく。吉武による「わんだふるぷりきゅあ!evolution!!」から石井が「ひろがるスカイ!プリキュア 〜Hero Girls〜」へと続き、ここでMachicoが登場して「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」と1コーラスで繋いでいく。近作からの楽曲中心ながら、OP主題歌が連発されるとそれでも歴史を感じさせるものがある。これには子供たちだけではなく、大人のオーディエンスも大熱狂だ。そこから吉武が加わってMachicoとふたりで『キミとアイドルプリキュア♪』後期主題歌シングルのカップリング曲「Shiny Shiny IDOL」へと流れる構成はお見事。そしてMC挟んで石井、熊田、吉武によるキュートな「いざ!アイドル」が鳴らされたあとは、石井とMachicoによる「For “F”」、4人による「Daybreak song」とロッキンな楽曲が続く。そして最後にはピースフルなムードの「Wonder Flowers プリキュア」で締め括った。4人のボーカリストによって「プリキュア」音楽の、そしてそれを支持するファン層の幅広さがありありと伝わる奥深く、そして何より楽しいステージだった。
〈セットリスト/プリキュアシンガーズ〉
01. キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!
02. わんだふるぷりきゅあ!evolution!!/ひろがるスカイ!プリキュア 〜Hero Girls〜/Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア(メドレー)
03. Shiny Shiny IDOL
04. いざ!アイドル
05. For “F”
06. Daybreak song
07. Wonder Flowers プリキュア
この日の出演者およびタイムテーブルには“??????”という事前に好評されていない、いわゆるシークレットアーティストの存在があった。それについては開催前からさまざまな考察がなされていたが、その時間を迎えてステージに現れたのは、シンガーの愛内里菜だった。思えば今年公開された劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』の舞台は長野県。それもあって『コナン』にゆかりのある愛内、ということであったようだ。そして披露する楽曲はもちろん、『名探偵コナン』TVシリーズOPテーマ「I can’t stop my love for you♥
」である。2002年リリースの楽曲ながら(あるいはこの日のオーディエンスの多くが小さい頃に聴いていた楽曲だからか)、聴き覚えのあるダンサブルなサウンドに多くのオーディエンスはどよめきとともにステージに引き寄せられていく。それにしても愛内のボーカルの迫力たるや。まさに多くの観客があの頃聴いていた歌声がそのまま届いているかのようだった。続いては劇場版『名探偵コナン 紺碧の棺』から三枝夕夏とのコラボ楽曲だった「七つの海を渡るように」を披露したかと思えば、小松未保の「謎」のカバーなど、この日のセットのほとんど(「FULL JUMP」を除く)は『コナン』の楽曲というものだった。そして最後はもちろん、彼女の代表曲といえるだろう「恋はスリル、ショック、サスペンス」だ。会場を見渡すと、アニメのOP映像のコナンと同様にパラパラを見せる観客もいる。改めてこのアニソンの影響力を感じさせるひと幕だった。
〈セットリスト/愛内里菜〉
01. I can’t stop my love for you♥
02. 七つの海を渡るように
03. 謎(カバー)
04. Dream×Dream
05. FULL JUMP
06. 恋はスリル、ショック、サスペンス
愛内のステージのあとは、少々時間を置いてアニソンシンガー・亜咲花のステージへと続く。世代を超えての実力派シンガーのリレーというのも胸が熱くなるが、ここでの亜咲花が見せたパフォーマンスはまたすごいものがあった。まずは清涼感たっぷりな「Eternal Star」からスタートしたセットだが、いい意味で肩の力の抜けた軽やかな歌唱が、熱っぽいフロアに心地よく響く。この安定感抜群なところはキャリア10年を迎えようとする彼女の現在のポジションを表しているようだ。続くMCでもテンション高く、“アニエラ”のステージを楽しそうに、そして熱っぽく語るあたりも彼女らしい。そこからドシっとしたリフの「GIVE & TAKE」、ダークなムードの「I believe what you said」とアグレッシブな楽曲が続く。このあたりでのオーディエンスのレスポンスも熱気がすごい。そして「夏夢ノイジー」に至るとそれがハレーションを起こしたような大爆発を見せた。亜咲花もさらに歌唱のギアを上げながら、さらには「まだまだこんなもんじゃないでしょ?」と観客を煽る。まさに圧巻のパフォーマンスだ。そんな鬼気迫るセットのあとは代表曲「SHINY DAYS」へと続く。曇り空の中で、しかしハッピーなムードのなか歌われる、まさに野外にぴったりな一曲のあとは、ポップな「わやわやわー!」を披露して、自身の強みをフェスで存分に発揮したステージを終えた。
〈セットリスト/亜咲花〉
01. Eternal Star
02. GIVE & TAKE
03. I believe what you said
04. 夏夢ノイジー
05. SHINY DAYS
06. わやわやわー!
徐々に日が傾きつつある16時40分。ここからはTEMPEST STAGEもいよいよクライマックスへと向かっていく。しかし、この頃になると空模様も徐々に怪しくなり、やや大粒の雨が降るようになっていった。これもまた野外フェス、そして長野の天候あるあるではあるが、そうしたなかで蒼井翔太のステージがスタート。そうした悪天候の中で鳴らされた「FALL」がまた絶品で、アグレッシブなバンドサウンドに蒼井のボーカルが美しく響き渡る。この暴虐と美が交錯する、うっとりとするような音像の中で、雨すらもその演出の1つとすら思わせる。そこから引き続きアグレッシブかつエレガントな「EVOLVE」が鳴らされると、空からはさらに大粒の雨が。まるで雨がカーテンのように視界を遮る中で、蒼井翔太の熱唱がまたドラマティックさを増したとすら感じさせる。そして直後のMCでは「やっと、やっとこのステージで歌うことができました!」と思いを爆発させる。彼もまた、昨年のアニエラのDay2に出演を予定していながら、直前でイベントが中止になってしまった。そうした複雑な心中は自身のSNSなどに綴っていたが、こうして1年ぶりにステージに立てた。そうした思いも含めた熱量の高いパフォーマンスとなっていた。しかしそのあとの「ハイドアンドシーク」では、雨足が収まりかけていたところ、曲が始まるやいなや再び大粒の雨が襲うという、自身曰く「僕、雨男なんです」というのを証明した格好となった。しかしそれすらもエネルギーにするように、「BAD END」「絶世スターゲイト」と激しくメロディアスな楽曲を連発。そのパワーで悪天候を押し返していくようだった。最後のMCでは「雨、あがったね」と言って、夕暮れが覗く空を見つめる蒼井。最後は「Eclipse」で改めてアグレッシブに、そして2年越しの“アニエラ”を最高のかたちで締め括った。
〈セットリスト/蒼井翔太〉
01. FALL
02. EVOLVE
03. ハイドアンドシーク
04. BAD END
05. 絶世スターゲイト
06. Eclipse
蒼井翔太のステージが終わると空はすっかり落ち着きを取り戻し、美しい夕焼けが見られる光景となった。そんななか、強烈な晴れ女であるatsukoを含むangelaがトリ前のステージを飾った。バンドによる爆音のかきまわしの中で、「やってきました!1年ぶりであり2年ぶりでもある“アニエラフェスタ”!全力“ナガノアニエラフェスタ”!」とatsukoが号令をかけると、始まったのは「全力☆Summer!」だ。いきなりコミカルかつトリッキーな楽曲からスタートして、フロアの楽しい雰囲気にジャックするatsukoとKATSU。一方でこの曲の中盤ではお馴染みとなった、観客を二分してのコール&レスポンスのパートでは、片方を「アニエラ」、片方を「ただいま」とコールさせる。矢継ぎ早におとずれる「アニエラ」「ただいま」というレスポンスに対してatsukoも「おかえり〜!」と喜びを表現した……かと思えば延々と続く歓喜のコール&レスポンスに、続くパートに詰まってしまう。ハッピーな楽曲ながらatsukoが感極まるというシーンだったが、angelaもまた蒼井翔太と同様に昨年出番を控えていたなかで、出演が叶わなかったアーティストだった。昨年のイベント直後には“アニエラ”への思いを、配信ライブなどで発信していたangelaが、念願叶ってアニエラに「ただいま!」と言える瞬間だったのだ。そこから絶対的アンセムの「Shangri-La」を放ったあとには、新曲となる「不器用なI love you」を本邦初披露。ここでのコール&レスポンスも、(実は直前の公開リハーサルで練習していたものの)初披露とは思えないほどの一体感を見せる。そして「晴れのちハレルヤ!」では先ほどまで熱演をした蒼井翔太とのコラボレーションを実現し、「KINGS」「シドニア」とこれもまた熱量の高いangelaらしいアグレッシブなパフォーマンスを見せる。そして息を整えながらatsukoが「本当は『シドニア』で終わろうと思ったんですけど、1曲短い曲なので聴いてください」と口にした。昨年の事件で抱えた思い、運営たちへの思いを話したあとに「僕等の歌」を披露。穏やかなサウンドの中でパフォーマンスされたそのメロディはどこまでも優しく、日の落ちた野外に響いた。さまざまな思いを抱えて無事ここに辿り着けた喜びと、運営、オーディエンスを優しく包み込む歌と共にangelaのセットは幕を閉じたのだった。
〈セットリスト/angela〉
01. 全力☆Summer!
02. Shangri-La
03. 不器用なI love you
04. 晴れのちハレルヤ!
05. KINGS
06. シドニア
07. 僕等の歌
そして“ナガノアニエラフェスタ2025”初日、TEMPEST STAGEのトリを飾ったのは、昨年のパフォーマンスも記憶に新しい岸田教団&THE明星ロケッツだ。いつもどおりザ・リーサルウェポンズ「あいさつメタル」を出囃子に登場したあとは、のっけから「ストレイ」で夜の駒場公園を盛り上げる。もちろん観客は火がついたように大きな盛り上がりを見せた。そして曲の終わりで「Day1最高に締めていくぞ!」とichigoが発したあとには、「天鏡のアルデラミン」「転生したら剣でした」と続ける。どちらも岸田教団のオハコでもあるシンガロングパートを持つ曲。もちろん観客は拳を突き上げて叫ぶ。この日残った体力をすべて使い尽くすかのような観客と一体になったパフォーマンスは圧巻の一言。そこから間を置かず、さらに加速して「Blood on the EDGE」へと繋げていく。そしてそのまま「nameless story」へ……といったように、バンドのほうもトリという大役にとにかくアニソンを詰め込んでいるといった印象だ。そんなスリリングなセットのなかで、バンドの音はとにかく爆音。ichigoのボーカルも実に伸びやかに耳に体に飛び込んでくる。そしてそれらが同時に空に抜けていくような開放感もあって、野外のロックサウンドの醍醐味をとことん味わえた。そしてそこからまたMCを挟まずに「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」のリフが弾かれ、「みんな、暴れちまえよ〜!」とichigoが絶叫すればフロアのボルテージはさらに上昇。そこからようやく最初のMCのあとには、当時はリリース前であった新曲「レベルを上げて物理で殴る」を披露。岸田教団では珍しいメタリックなリフと共に聴かれるヘビーな音像に、未聴のオーディエンスの多くもヘッドバンギングで応戦。そして代表曲の1つである「星空ロジック」では、昨年の“アニエラ”のハイライトにもなった観客のスマホのライトが星のように瞬く、感動的なシーンの再現となった。そして最後にはベースの岸田が「次が最後の曲ですけど、“アニエラ”は明日も続きます。皆さんの声で明日を呼びたいと思います」と言って「GATE〜それは暁のように〜」を披露。観客からこの日最大のシンガロングが鳴り響き、まさに岸田の言葉通り明日へと続く盛り上がりのなかで、“ナガノアニエラフェスタ2025”の初日は幕を下ろした。
〈セットリスト/岸田教団&THE明星ロケッツ〉
01. ストレイ
02. 天鏡のアルデラミン
03. 転生したら剣でした
04. Blood on the EDGE
05. nameless story
06. HIGHSCHOOL OF THE DEAD
07. レベルを上げて物理で殴る
08. 星空ロジック
09. GATE〜それは暁のように〜
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