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INTERVIEW

2025.11.24

楠木ともりが特定の“あなた”に向けて届けたい歌――2ndアルバム『LANDERBLUE』に込めた、お守りのような言葉たちと心の在り方に迫る

楠木ともりが特定の“あなた”に向けて届けたい歌――2ndアルバム『LANDERBLUE』に込めた、お守りのような言葉たちと心の在り方に迫る

自分に自信を持つための歌、ままならない世界を受け入れる心の在り方

――アルバムはそこから既発曲の「MAYBLUES」を挿み、同じく重永さんが編曲した新曲「Nemesia」へ。一転して明るくソウルフルな曲調で、語りかけるようなメッセージが温かな1曲です。

楠木 最近、明るい曲も書きたいなと思うことが増えてきて。でも、私が書きたいのは、カーンと突き抜けたような明るさではなく、心が温かくなるような明るさ。なのでこの曲は、背中を押すようなニュアンスにしたいなと思って作りました。私は言葉を紡ぐ仕事をしているので、自分の考えを表明することが多いですが、言葉にすることが苦手な人もたくさんいると思うんです。自分の言葉選びに自信がなかったり、自分の言葉を自分で否定してしまったり。それは自分自身を否定することに近いんじゃないかなって。そういう、自己表現が苦手な人に、自信を持ってほしい、自分を愛してほしいという思いで作った曲です。

――“僕は信じるよ あなたの言葉を”というフレーズがまさにですね。なおかつ“紡いで 思うがままに 特別じゃなくていいよ”と歌っているのが良くて。誰でもない“あなた自身の言葉”を紡ぐのが大事っていう。

楠木 そうなんです。言葉というのは、その内容だけに捉われがちですけど、その言葉だけで存在しているのではなくて、誰が、どんな気持ちで言っているかがすごく大事だと思っていて。そこに特別感を感じてほしいし、それが1周回って自己愛に繋がる曲になったらいいなと思って書きました。

――タイトルになっている“ネメシア”のお花のモチーフについては?

楠木 ネメシアは、たくさんの小さな花が集まっている花で、色もパキッとしていなくて控えめなんですけど、その寄り集まっている感じがすごく素敵なんですよね。それがこの歌を届けたい人たちのイメージにもぴったりですし、“正直”や“偽りのない心”という花言葉も込みで、この曲名にしました。

――そして「back to back」「風前の灯火」の既発2曲が続き、10曲目に置かれた新曲「それでも」。セルフライナーノーツにある「会ったこともない大切な人と離れ離れになりました」という言葉と、編曲を担当したのが江口 亮さんということからも、憧れの方への特別な思いが込められている曲だと感じました。

楠木 この曲は本当に自分のために書いた曲で、歌にすることにすごく意味を感じていました。ずっと構成を練っていた曲です。こうやって自分の思いから何かを作って届ける仕事をしていると、届くことが当たり前とまでは言わないまでも、すごく近くにある気がしていたんですけど、もう絶対に届かないという気持ちを感じたのが、25年間で初めてだったんです。私にはすごく影響があったけど、何の交わりもなくて、相手には何もなかった。そういう虚しさみたいなものを歌いたくて。

スタッフさんからは、もっとリズムを大きく取ってエモい感じにした方がいいのでは、と提案されましたが、私にとってはエモい曲ではなく、叫びに近い、届けたかったものを全部出すような感じだったので、「この曲はあまり綺麗なものじゃないんです」とお話しして、このアレンジに落ち着きました。江口さんにもそのお話をして、ご本人の楽曲のオマージュみたいな部分も入れていただいたりしています。

――歌詞の最後は“あなたは僕を知らないまま 僕はあなたを忘れないまま さようなら それでも”で締め括られています。タイトルにもなっている「それでも」という言葉にはどんな思いが?

楠木 この「それでも」という言葉は、その方が昔のインタビューで残していた言葉なんです。それへのアンサーというわけではないですが、そこに紐づけた曲を書きたいと思って。正直、この最後のフレーズを書き終わるまで、タイトルも全然決められなかったのですが、あらゆるインタビューを読み返していた時に、まさにこの言葉だなと感じて。本当に毎日この曲のことを考えていました。

――歌詞に“手紙も書いてた 渡せないまま 泣くしかなくて”とありますが、これも実体験でしょうか。

楠木 はい。スマホに下書きをして、機会があればいずれ、と思ったままでしたね。だからもう、その日に、その手紙は消しました。

――結果、この楽曲自体が手紙みたいなところがありますよね。また、歌詞には“理由なんかないのに 理由を探している僕に 理由をくれる歌が あなたを愛する理由だった”ともあります。楠木さんがその人の歌からもらった“理由”とは、どんなものでしたか?

楠木 端的に言うと、生きる理由とか、この活動をする理由、音楽を愛する理由に繋がってくると思います。私は何かにつけて理由が欲しいタイプで、10代の時にその方の音楽に出会って、自分の基礎というか、色んなものへの理由を与えてくださった方だなと思います。音楽で受け取った理由を音楽で返したい気持ちもあったので、手紙とかではなく、こういう形でリリースできたことは良かったなと思います。

――そしてアルバムの最後を飾る新曲「turquoise blue」。このアルバムで伝えたかったものが凝縮されている曲なのかなと思いました。

楠木 今回のアルバムの新曲の中では、この曲が一番最初にできて、表題にしようと決めて作った曲です。誰かに対してターゲットを絞ったというよりは、アルバムのテーマ曲という立ち位置です。ターコイズが持つお守り的な意味合いのように、この曲自体もターコイズの石言葉の“成功・繁栄・安全”を象徴するような、お守り的な立ち位置の曲になったらいいなと思って。

――なかでもサビの“勇気を出してもういちど 私の青を掴み取りたい”“希望を捨てずもういちど 私の青を咲き誇りたい”というフレーズが気になりました。楠木さんがこの曲でイメージした“青”というのは?

楠木 私の中で“青”は、すごくアバウトなんですけど、自由や美しさを感じさせる色で、海や空の他には自然にあまりない色ですし、でも逆に静けさや落ち着きも感じさせる、総じて美しいものだと感じていて。それを掴み取るだけでなく、さらに咲き誇ることで、自分に自信を持つとか、穏やかな中で自分を美しくしていく、というニュアンスを込めました。ターコイズがテーマなので、どこかオーガニックな雰囲気が欲しくて、編曲の重永さんには極力音を削ぎ落としてもらったんです。だからこそ、スッと入ってくる、身近に感じられる曲になったんじゃないかなと思います。

――確かに、冒頭のアコギを軸にしたフォーキーな雰囲気から、サビで開けていくサウンドの澄んだ質感は、楠木さんの美しい歌声も合わさって、自然の青さを感じさせるものでした。

楠木 実はこの曲、ミックスをやり直させていただきました。最初にミックスした後、他の曲ができていく中で「ちょっと違うかも」と思って。もっと広がりがほしいと無理を言って、ボーカルのリバーブ感やディレイを足してもらい、水のようにスッと体に入って広がっていくような曲にし直してもらいました。なので他の曲とは全然聴こえ方が違うんじゃないかなと思います

――聴いた後に優しい気持ちになれるような曲で、アルバムの最後に相応しい聴き心地だと思いました。その一方で、歌詞には諦めや挫折からの再起のような部分も感じられます。

楠木 そこは、完全にここ最近の自分の心境変化が出ていますね。挫折という言葉には悪いイメージがありますけど、それは自分で納得いかないのに諦めるから挫折になるんだと思うんです。最近、自分の中のテーマとして“受容”が大きくて。世の中にはポジティブなこともネガティブなことも含めて、自分でどうにもならないことはたくさんある。そういう世界だと受け入れた上で、じゃあそこから何ができるかを考えるのが、今の自分には大事なのかも、という気持ちを曲にしました。

――ありがとうございます。音楽の世界ではよく“2作目のジンクス”という言葉が使われますが、そんなことは微塵も感じさせない、今の楠木さんの表現したいものを丁寧に編んだ素晴らしい作品だと感じました。ご自身としては、どんな仕上がりになったと感じていますか?

楠木 1stアルバムとの繋がりは全く無視したので、本当に一つのアルバムとして、新たな目線もありつつ、きっと私らしさもすごく出ているんじゃないかなと思います。自分の挑戦もたくさんできたし、やりたい音楽の幅も入れることができた。このアルバムを通して、また何か違うものが広がっていけばいいなと思います。

――そして、楠木さんの26歳の誕生日当日、12月22日には恒例のバースデーライブ「TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025“LAPIDARIES”」の開催が決定しています。本作を携えて、どんなライブにしたいと考えていますか?

楠木 今までは「ライブに来てこういう気持ちになってほしい」という自分の強い意志があったなかで、最近は「そこも自由だよな」と思うようになって。音楽は聴く人がいて初めて価値が生まれるし、その価値も一つではない。ライブは一方的に見えて、実は相互的なものだということを、皆さん自身に感じてもらえたらいいなと思っています。今回はスタンディングのライブなので、コミュニケーションも大事にしながら、皆さんには“ラピダリー(宝石細工人)”になっていただいて、それぞれの青を刻むようなライブになればいいなと思っています。


●リリース情報
楠木ともり 2nd Album
『LANDERBLUE』
11月26日発売

【完全生産限定盤(CD+BD+Visual Book)】

品番:VVCL-2821~23
価格:¥16,500(税込)

【初回生産限定盤(CD+BD)】

品番:VVCL-2824~5
価格:¥4,400(税込)

【通常盤(CD)】

品番:VVCL-2826
価格:¥3,300(税込)

<CD>
01. twelve
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:arabesque Choche(Chouchou)
02. 浮遊
作詞・作曲・編曲:AAAMYYY
03. シンゲツ
作詞:楠木ともり 作曲:TETSUYA 編曲:陶山 隼&TETSUYA
04. DOLL
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:亀田誠治
05. 優等生
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介
06. MAYBLUES
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:KBSNK
07. Nemesia
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介
08. back to back
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介
09. 風前の灯火
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介
10. それでも
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:江口 亮
11. turquoise blue
作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介

<Blu-ray(完全生産限定盤)>
01. turquoise blue -Music Video-
02. 浮遊 -Lyric Video-
03. LANDERBLUE -Before processing Movie-

<Blu-ray(初回生産限定盤)>
01. turquoise blue -Music Video-
02. 浮遊 -Lyric Video-
03. turquoise blue -Before processing Movie-

●ライブ情報
「TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025“LAPIDARIES”」
2025年12月22日(月)
会場:EX THEATER ROPPONGI
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:H.I.P. 03-3475-9999

関連リンク

楠木ともり オフィシャルサイト
https://www.kusunokitomori.com/

楠木ともり オフィシャルX
https://x.com/tomori_kusunoki

楠木ともり オフィシャルTikTok
https://www.tiktok.com/@tomori.kusunoki_official

楠木ともり オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCYU-61cZHXE0P48ZCxvs4cQ

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