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INTERVIEW

2025.11.01

今年4月に鮮烈なメジャーデビューを果たしたバーチャル“歌い手”・白玖ウタノが2ndシングル「Door→」をリリース!川田まみ×飯塚昌明が手がけた「Door→」の制作秘話や歌い手としてのルーツなど追う存分語ってくれた

今年4月に鮮烈なメジャーデビューを果たしたバーチャル“歌い手”・白玖ウタノが2ndシングル「Door→」をリリース!川田まみ×飯塚昌明が手がけた「Door→」の制作秘話や歌い手としてのルーツなど追う存分語ってくれた

リスアニ!初登場!今年4月、栗林みな実が作詞、GRANRODEOのe-ZUKAこと飯塚昌明が作曲・編曲を手がけたシングル「BREAK OUT DREAMER」で鮮烈なメジャーデビューを果たしたバーチャル“歌い手”・白玖ウタノ。バーチャル配信者界でもその圧倒的な歌唱力と溢れるアニソン愛でファンを増やし続けている実力派が、10月22日、川田まみ×飯塚昌明のタッグで制作した2ndシングル「Door→(ドア)」をリリースした。子供の頃から“歌”に魅入られてきたウタノの夢=Zeppでのリアルワンマンライブを11月5日に控えた彼女に、シンガーとしての歩みと「Door→」に込めた想い、ライブへの意気込みを聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

白玖ウタノの意外な音楽ルーツとアニソンへの目覚め

――バーチャル“歌い手”として、YouTube「UTANO ch. 白玖ウタノ」チャンネルで活動を続けてきたウタノさん。リスアニ!には初登場となりますが……リスアニ!のことはご存じでした?

白玖ウタノ もちろんです!樋口 楓さんとかバーチャルシンガーさんの記事も見ていますし、アニソンも大好きなので、それ以前からアニソンアーティストさんの記事も。自分が落ち込んでいるときとかにインタビューを読んで元気をもらっているので!

――良かった、安心しました(笑)。いつも生配信などでもたくさんおしゃべりをされていますが、こうして単独インタビューでウタノさんの言葉を初めて受け取る方もいらっしゃると思います。まずはウタノさんが音楽と出会った原点のお話から聞かせてください。

ウタノ 歌は……物心ついたときから、もう生活の一部でした。家でも家族と一緒の車の中でも、いつも何かを歌っていました。『おかあさんといっしょ』の曲は全部覚えて、毎日歌っていたくらいで。幼稚園の頃には、母がよく聴いていた広瀬香美さんの「ロマンスの神様」にハマって、「どうやったらこの曲をもっとかっこよく歌えるんだろう」って、子供ながらに分析して真似してました。歌の基礎は、広瀬香美さんから学ばせてもらいましたね。そこからピアノを習い始めて、ずっと幼稚園の先生になりたいと思っていたんですけど……アニソンと出会って、「私はアニソンシンガーになるんだ!」と急に目覚めました。

――どんなアニソンと出会ったんですか?

ウタノ きっかけは子供の頃、親が突然『ドラゴンボールZ』のDVDを家に持ってきたんです。それを夏休みに観たときに、エンディングに流れた影山ヒロノブさんの「僕達は天使だった」に衝撃を受けました。そして『ドラゴンボール』のベストアルバムを聴いてますますドハマりし、「私も影山ヒロノブさんのようになりたい!」と。そこからはもう、アニソン一筋です(笑)。

――なるほど!ウタノさんのパワフルな歌唱スタイルのルーツが広瀬香美さんや影山ヒロノブさんにあると聞いて、今、めちゃめちゃ納得しています。

ウタノ そうなんです。パワーのある曲、聴いていて漲ってきて明日も頑張ろう!という気持ちにさせてくれる曲が好きで、 “チルエモ”な感じの曲は自分には合ってないかもしれないんですけど(苦笑)、影山さんのように、熱くてかっこいい曲を歌っていきたい気持ちはずっとあります。

運命を分けた高校受験!? 軽音部で掴んだ“人生を変える一歩”

――そこから、音楽を本格的にやっていこうと決心した。

ウタノ その前に、一度とても大きな転機がありました。私は大阪出身なんですが、中学生の頃は、美術と音楽の成績だけがずば抜けて良かったので、「このどっちかに進もう!」と思っていたんです。高校受験のとき、公立高校に受かったら軽音部に入って音楽の道へ。それに落ちたら私立高校で美術の道を目指そうと。

――劇的な運命の分かれ道!

ウタノ でしたね(苦笑)。結果、公立に受かったんですけど、それがなければ今の私はいなかったと思います。だから今でも、些細な選択で人生って変わるんだ!というのは、すごく思います。

――そして高校時代は軽音楽部でバンド活動を?

ウタノ はい。高校1年から軽音部でボーカルやギターを担当して、ガールズバンドをやってました。その軽音楽部はとても恵まれていて、プロだけでなく、近所の高校の軽音楽部が集まるライブハウスが地元にあったんです。そこに私も高1で出させてもらったんですけど、店長さんやオーナーさんがメジャーデビューもされていたバンドマンの方で。せっかくバンドをやるならちゃんとやりなさいと、オリジナル曲の作り方からライブのノウハウ、オーディション用の音源の録り方まで、全部教えてくださったんです。お店のスタジオで自主制作CDも作らせてもらいました。

――高校生にして本格的なバンド活動を。いい環境で過ごしましたね。

ウタノ 本当にそう思います。高校2年生の頃からは、そのライブハウスでアルバイトもしながら、いろんなバンドマンに囲まれて過ごしていました。高校3年のときには、あるライブのオープニングアクトとしてZeppのステージに立たせてもらったこともあります。ほんの数曲でしたけど、とても嬉しかったですね。

――高校卒業後は、どうされたんですか?

ウタノ 卒業前から、店長さんにはアニソンシンガーになりたいという夢を伝えていたんですけど、「それなら絶対に東京に行ったほうがいい」と背中を押されて上京しました。最初は、ソロでオーディションをいろいろ受けました。アニソンコンテストに出たり、アニメに近づくために演技の勉強をしたり、でもまたバンドをやりたいなという熱もぶり返し始めた頃に、東京でもバンドをやらないか?というお誘いがあり、バンド活動もしました。バンドでもアニソンを目指せるんじゃないか?と思ったので。とにかく1歩でもアニソンに近づく道を探ろうと、いろいろ挑戦しましたね。

バンド少女からバーチャルの世界へ――配信で見つけた“もうひとつの居場所”

――ウタノさんファンはご存じかと思いますが、今とは違うお名前で歌がメインのVTuber活動をやられていた時期もあったそうですね。

ウタノ はい。バンド活動をまだやっていた頃に、知り合いからVTuberの話を聞きまして、思っていた以上に多くの人が配信を聴きに来ているのを知り、歌をたくさんの人に届けるには、“バーチャルという道もあるんだ!”と、そこで初めて気づきました。

――バンドマンだったウタノさんには、新たな発見ですね。

ウタノ しかも、いろんなアニソンを歌っていると、コメント欄が一気に盛り上がるんですよ。「懐かしい!」「その曲知ってる!」って。自分の歌のレパートリーが思ったよりももっと広いことにも気づけましたね。懐かしいアニソンや流行のアニソンだけじゃなく、声優さんの歌もJ-POPもある。リスナーさんといろんな話題を共有できるのも嬉しかったし、私のやりたいことって、バーチャルの世界にすごく向いてるな!と思いました。

――そのとき、“これからはバーチャルで!”という意欲が湧いた。

ウタノ はい、そう思いました。バーチャルの世界を経験して、「私がずっと大事にしてきたアニソンやアニメ文化って、ここではちゃんと伝わるんだ」と感じたんです。ファンの方が一緒にアニメの話をしてくれて、私の“オタク的な情熱”を面白がってくれる。この活動で私の好きなものをぶつけられると思い、バーチャル“歌い手”の白玖ウタノとして、もう一度、がんばっていく決心をつけることができました。

――ちなみに、ウタノさんがそこまでアニソンに惹かれる理由って何でしょうか?

ウタノ なんだろう……もう熱狂的に好きなので理由と言われると困ってしまうんですけど(苦笑)。生で体験したことでいうと、あの地元のライブハウスのオーナーさんに「アニソンをやりたいなら、大きなアニソンフェスも観に行ったほうがいい」と言われて、東京まで何度か行きました。あのときの感動は忘れられませんね。今まで聴いてきたアニソンが、1つの場所に集まるってこんなにすごいことなんだ!と震えました。

――上京してからも、印象的な出来事はあった?

ウタノ ありました。あるオーディションを受けたとき、森口博子さんがいらっしゃって。その場で「ETERNAL WIND」を生で聴かせていただいたんです。もう、鳥肌どころじゃなかったです。アニソンの世界にはこんなにも魂を震わす歌をうたう方がいるんだと体が痺れましたし、私の歌なんてただのカラオケレベル。自分もこういう歌をうたえるようになってアニソンの世界に行きたい。自分の歌やパフォーマンスが、どんなに未熟か。もっと表現について勉強しなきゃ!と思いました。

――探究心が旺盛ですよね。

ウタノ そうですね……そうかと思います(笑)。パフォーマンスでいうと、LiSAさんのステージにもいろんなことを学ばせてもらいました。最初に拝見したのはフェスだったんですが、歌う姿があまりに楽しそうで、「こんなに全身で音楽を表現する人がいるんだ」と衝撃を受けたんです。LiSAさんのように私もできたらなと、ワンマンライブにも行きましたし、映像作品も買い漁って毎日BGMのように家で流してました。自分が悩んだときはインタビューを読み返して「LiSAさんだったらこういうときどうするんだろう?」ともよく考えます。デビューシングルをレコーディングしていたときもそうでした。私にとってLiSAさんは、ただ大好きなアーティストというだけじゃなく、先生みたいな存在ですね。

次ページ:メジャーデビューの歓喜と葛藤――2ndシングル「Door→」に込めた覚悟

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