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2025.09.27

Ave Mujicaが提示する“新しい歴史”の幕開け――MCなしで全18曲を駆け抜けた“Ave Mujica 5th LIVE「Nova Historia」”に見るバンドの覚悟

Ave Mujicaが提示する“新しい歴史”の幕開け――MCなしで全18曲を駆け抜けた“Ave Mujica 5th LIVE「Nova Historia」”に見るバンドの覚悟

2025年7月26日・27日に千葉・LaLa arena TOKYO-BAYで行われた、Ave Mujica史上最大規模のワンマンライブ“Ave Mujica 5th LIVE「Nova Historia」”は、バンドにとって間違いなく転機を示す公演だった。ライブタイトルの「Nova Historia」とは、ラテン語で“新しい歴史”を意味する言葉。前回のワンマン“Ave Mujica 4th LIVE「Adventus」”において、それまでの“マスカレード(=Ave Mujicaのライブの呼称)”の集大成と言うべきステージを見せつけた彼女たちが、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』の到来と終焉、そして因縁多きMyGO!!!!!との合同ライブ“MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ「わかれ道の、その先へ」”を経て、新たに描き出すリアルバンドとしての物語とは――27日公演の模様を通して、その軌跡に迫る。

TEXT BY 北野 創

ライブ初披露の新曲も!さらに深く濃くなったAve Mujicaの世界

“新しい歴史”の幕開けを飾ったのは、バンドの首魁であるオブリビオニス(Key./CV:高尾奏音)だった。暗転したステージに、ピンスポットによって浮かび上がったのは、グランドピアノに寄りかかってうたたねする彼女。やがて長い夢から覚めたように身を起こすと、鍵盤にコブシを叩きつける。夢も見させてくれぬ現実への苛立ちか、それとも破壊衝動の表れか。しばしの沈黙を経て、ゆっくりと奏でられたのは、「月光」の通称で知られるベートーベンのピアノソナタ第14番。闇を青白く照らす幻想的な響きが、やがて重々しいトーンへと変調し、オブリビオニスの表情もどこか悲愴さを帯びていく。

その美しくも物悲しいピアノ独奏に誘われて、ついにAve Mujicaがステージに来臨する。1曲目は「Crucifix X」。ドロリス(Gt. & Vo./CV:佐々木李子)、モーティス(Gt./CV:渡瀬結月)、ティモリス(Ba./CV:岡田夢以)、アモーリス(Dr./CV:米澤 茜)が紡ぐ重厚かつ深みのあるバンドサウンドに、オブリビオニスがグランドピアノの優雅な調べを重ねていく。彼女たちのライブにグランドピアノが導入されたのは本公演が初めてだったが、メタルを基調にゴシックな世界観やクラシカルな要素を織り交ぜたAve Mujicaの音楽性に合わないはずがない。ドロリスが“彷徨える 我が十字架”と歌いながら手で十字を切り、オブリビオニスの激しい打鍵を合図にバンドがラスサビで高まっていく流れを含め、荘厳ささえ感じさせる開幕だった。

同曲が喜怒哀楽のうち“哀”の要素が強く滲む楽曲だとするならば、続く「Symbol II : Air」は、“楽”が似合うシャッフル系のジャジーで艶やかなナンバー。メンバーも笑みを浮かべて楽しそうに演奏し、ドロリスとモーティスが背中合わせになってギターを弾くなど、バンドで音を合わせることの快楽が、視覚と聴覚を通して会場中に伝播していく。そこから間髪入れず、本公演がライブ初披露となった新曲「DIVINE」(Nintendo Switchゲーム『PROGRESS ORDERS』OPテーマ)に繋げると、性急感のある演奏とサビでの開放感に満ちたボーカルでバンドの新たな一面をアピール。ティモリスのタッピングや、モーティスらによる間奏のホーリーなコーラスなど個々の見せ場もたっぷりだ。続けて「Ether」へと雪崩れ込み、会場が光に包まれる中、ファルセットを駆使した優美な歌声と天へと昇っていくかの如き壮大なアンサンブルが、聴衆を“真実(ほんとう)の輝き”へと導いていく。早くもクライマックスのような展開に、Ave Mujicaの底知れなさを感じずにはいられない。

だが、マスカレードはまだまだ序盤戦。ここからさらに圧巻のステージが繰り広げられていく。グランドピアノからいつものキーボード2台編成にチェンジしたオブリビオニスがお馴染みのフレーズを弾くと、ドロリスの「…ようこそ。Ave Mujicaの世界へ」という言葉が引き金となって「Ave Mujica」の美狂乱な世界へ。さらに同じく活動初期からの定番レパートリー「Choir ‘S’ Choir」でヘドバンを巻き起こし、ラスサビではドロリスの「聴かせて」という呼びかけに応えて、満員のアリーナ会場が大合唱してクワイアを作り上げる。その後も、無線制御式バングルライトが素晴らしき光の世界を描き出した「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」、オブリビオニスがキーボードを逆側から弾くトリッキーな演奏でも魅せた「黒のバースデイ」、アルペジオの幻想的なフレーズと一面グリーンの光に染まった景色が美しい「Symbol IV : Earth」と、激情と陶酔に満ちた楽曲を連発。特に「黒のバースデイ」の終盤でドロリスが見せた「本当の私を……!」という苦悩のセリフと表情、心の内に封じていた想いを解放するかの如き魂の咆哮は、心に迫るものがあった。

次ページ:“新しい歴史”の幕開けを経て“さらなる進化”へ

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