声優アーティスト・立花日菜が、1stアルバム『HOLIC』を9月24日にリリース。デビューから速いペースでリリースを積み重ねてきた彼女は、このアルバムでもまた新たな表情を提示。キュートかつ小悪魔な楽曲で魅了したかと思えば狂気さえはらむダークでハードなナンバーで衝撃を与えるなど、多彩な楽曲の魅力を豊かな表現力をもって引き出し、確実に聴く者の心を捉える中毒性の高い充実作を完成させた。そんな本作において立花は、数々の“挑戦”にも取り組んだ。そこにどう向き合い、どのような想いを込めたのか――その裏側にじっくり迫る。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
――7月には“リスパレ!LIVE vol.3”に出演されました。ソロアーティストとして大阪で歌うのは、初めてだったのことですが。
立花日菜 はい。実はフェスへの出演自体も“P’s LIVE! 08 ~P’s GR∞VE~”以来2回目だったので、とても緊張していたんです。でもありがたいことに私の直前に出番だった愛美さんがすごく盛り上げてくださったおかげで、お客さんが1つになっているなかでステージに立たせていただけて……そういうところから、こういうライブハウスでのフェスみたいな形のライブって自分のパフォーマンスだけじゃなくて流れも大事だし、場の温まり方もすごく自分に伝わってくるんだなと思いました。それに、次の人へバトンを渡すような感覚も自分1人でのライブにはないものだったので、すごく素敵な繋がりを感じましたし、いい経験にもなったと思っています。
――そしてこのたび、1stアルバム『HOLIC』がリリースとなります。アルバム制作自体は“アーティスト活動作戦会議”の動画中にGOサインが出ていたのでファンの皆さん待望だったと思うのですが、立花さんは実際制作が始まった際、内容面などに希望などを出されたりはしたのでしょうか?
立花 基本的には、プロデューサーさんが考えてきてくださったコンセプトを元に話し合いを進めていきまして。その時点で既に結構『HOLIC』の枠組みは出来上がっていたんです。「かわいくって、だけどちょっと毒っぽさやトゲもある。そういう“あざといかわいさ”でとりこになってもらう」みたいな1枚にしよう……という案や楽曲構成の大枠を、プロデューサーさんが作ってきてくださったんですよね。それで「何か挑戦してみたいことはありますか?」と聞いていただいたので、私からは「作詞をしたい」ということと、「Honey Bee」のようなポエトリーラップ調の歌に挑戦してみたいと提案させていただきました。
――その2つを提案されたのは、なぜですか?
立花 どちらも自分がまだやったことのないものだったので、「自分がやったら、どういうふうになるんだろう?」という意味も込めて、お話しさせていただきました。
――今まではリリースが続くなかで求められることに対応してきたけれども、今度は自分からも一歩踏み出してみたい、という気持ちが?
立花 まさに、おっしゃるとおりで。今までは「やりたいこと」とか「挑戦したいこと」ってあまりわからなかったんですけど、色んな経験をするなかで「こういう曲があっても面白いなぁ」みたいに挑戦したいものが生まれてくるようになってきたんです。それは自分の中でも成長というか、なんだか「自分のものになってきた」感じがあるように思いますね。
――以前から「活動のなかで自分らしさを見つけていきたい」とおっしゃられてきましたが、それが少しずつ明確になってきたんですね。
立花 そうですね。そんな感じがします。
――それでは続いて各楽曲についてお聞きしていきます。まずリード曲「Pink Twinkle Wink」はテンポも速くて非常にキュートさの立つ曲になっていますね。
立花 そうですね。すごくかわいい曲で……最初に聴いた時は「こ、濃いなぁ」みたいな印象もありました(笑)。それにテンポも速いし、特にサビは結構言葉も詰まっているから忙しくもあり目が離せない感じもあり……でもちょっとあざとい感じや、歌詞的にもちょっといじらしい女の子の感じも入っていて、すごく曲にピッタリだなという感じもしました。
――ちなみにこの曲を手掛けられたPandaBoYさんの楽曲といえば、以前立花さんはキャラソンを歌われています。
立花 はい。『CUE!』という作品の時にお世話になっていまして。きっとそれでだと思うんですけど、2-Bメロに「CUE!の合図で始まった」というフレーズを入れてくださっているんですよ!お話ししている時点ではまだ1コーラスしか公開されていないので、みんなにフルで聴いてもらった時にどれくらいの方が「これは!?」となるかなぁとちょっとドキドキもしています(笑)。
――先ほど「濃い」とおっしゃいましたが、歌う際のイメージも明確に持ちやすかったですか?
立花 そうですね。本当に小手先で色々と細々と入れるよりも、真っ直ぐバーン!と歌えば一番この曲の強いところを出せるかなと思って。もちろん“かわいく歌う”というのは意識しつつも、ふわっとしたかわいさじゃなくて、ちょっと小悪魔的な雰囲気をイメージして歌わせていただきました。
――やはりそのかわいさというのは、歌うなかでこだわられたポイントだった。
立花 はい。それも、常に一定のかわいさを保つように。上振れのかわいさはもちろん必要なんですけど、下振れのないようにしなきゃいけないというのは、なるべく意識しましたね。普段だったらDメロとか落ちサビで結構ガラッと印象を変えて落としたりもするんですけど、この曲に関しては音がちょっと静かになったりしても、基本的には“かわいい”はあり続けられるようにしていました。
――そのなかで、特に楽しかったところを挙げるなら?
立花 やっぱり「きゅるきゅるりん♡」ですね。すごく決めにもなるでしょうし……「ライブで歌うのが楽しみだなぁ」と思いながら、みんなに刺さるといいな、という気持ちでレコーディングさせていただきました。
――アルバムの曲順的にも、これが2曲目なのも素敵ですよね。1曲目に「ラミラミ♡」があることで、徐々にかわいさを増しているような感じがして。
立花 確かに。曲順もプロデューサーさんと一緒に考えたんですけど、我ながら自分の曲をすごく上手く使えたなと思っていまして(笑)。結構繋ぎも気に入っています。
――そんなこの曲ではMVも制作されていますが、どんなコンセプトのものになっていますか?
立花 テーマとしては「天使と悪魔を掛け合わせたら、もっとかわいくなる」みたいなもので。本当に毒々しいくらいのかわいさを表現する……というコンセプトに振り切って撮らせていただきました。
――たしかに。たくさんのウインクの中にあっかんべーが挟まれていたりと、かわいさの中に小悪魔さみたいなものも感じます。
立花 そうなんです。MVの中では、タイトルにも歌詞にも使われているウインクもたくさんしているので、胸焼けするくらいの甘々感を全編通して感じていただけたら嬉しいですね。あと、イントロとサビにダンスシーンがあるのも今までとはちょっと違う感じがします。振付はそこまで難しいわけではないんですけど、手がパタパタと細かく動くので、脳トレみたいな感じで(笑)。なので割と苦戦はしたんですけど、もしライブでやるとなっても客席でみんなマネできるものではあるはずなので、そのときは一緒にできたらと思います。
――そういった振付だと、ライブはもちろんTikTokなどで踊ってくれる方がいるかも?
立花 確かに!バズったら嬉しいですよね(笑)。いいなぁ……確かに、そういうのもやったほうがいいですね。絶対。ふふふ(笑)。
――さて、続いては作詞も手掛けられた「この場所で、また」についてお聞きします。まずは、この曲で作詞することになった経緯からお聞きしたいのですが。
立花 私が作詞を希望して、「じゃあどの曲で書こうか?」と曲目リストをチームで眺めた時に、「コンセプトがあるものより、ライブが終わるときに歌えるような曲のほうが素敵なものになるかもね」となりまして。それで、元々ライブの最後に一緒に歌えるような楽曲を目指していた、この曲に決まりました。
――そんなこの曲に、こういった歌詞を乗せようと思ったのはなぜですか?
立花 プロデューサーさんが「みんなと一緒に歌うなかで、『わー!ありがとー!』みたいな言葉を伝えているような光景をイメージしている曲」だとおっしゃられていて、そこからインスピレーションを得たんです。それで、私がそうなった時……ライブで大きな会場に立った時の気持ちを想像して、「みんなに伝えたい気持ち」みたいなものをテーマに書かせていただくことにしました。いつもみんなからもらうお便りやお手紙に、お返事するような気持ちで。
――だからこそ今の気持ちを盛り込んだり、これまでの歩みを振り返るようなものになっている。
立花 そうですね。だからこの曲に関しては、「辞書を引かなくてもわかるような言葉だけで書こう」と決めたんです。初作詞曲って一度しかないものだから、まだ成長しきっていない未熟な今の私が感じていることを残すのも、悪くないかなと思って。それで、ちょっと恥ずかしいくらいの強い言葉を使ったり、大きいことを言ってみたり……そういう今の自分ならではの言葉が、何回も歌っているうちに味になってくるんじゃないかな?って。それは他の方に書いていただいた曲ではできないことだから“私が書く”意味ができますし、いつ歌っても意味が生まれるようなものになったらいいなと思ったんですよね。
――その考えを元に、実際歌詞を制作されてみていかがでしたか?
立花 それが私、元々ポエミーなことや小節みたいな文章を書くことが好きなので、制作がとにかく楽しかったんです!もちろんたくさん悩みはしましたけど、完全に詰まってしまうようなことはなく。でも逆に大変さを感じたのは、一度作ったものをプロデューサーさんに見せて「ここの言葉遣いをもうちょっと変えてほしい」みたいな意見をいただいた時ですね。それに対応するのがすごく難しくて……。
――歌詞のディレクションに応じた修正が。
立花 そうなんです。多分まるっと変えることはできるんですけど、「こことここの要素は残したまま、言葉だけを変える」みたいになると、職業作家の方々に比べて引き出しがないから難しさを感じて。改めて、色々な表現方法をお持ちの職業作家さんのすごさも感じました。
――そうやって歌詞を書かれたこの曲のレコーディング、自分で歌詞を書いた曲を歌うというのは、今までとはやはり感覚が違いましたか?
立花 はい。すごく恥ずかしくて、全然歌いたくなかったというか……(笑)。「想像の中の自分はこう思ってるし、みんなにこれを伝えたいんだけど、今レコーディングスタジオにいる自分はそこまで思えていない」というところがどうしてもあったんです。自分が選んだ言葉なうえに心で歌うタイプの歌詞なので、「やっぱりライブ会場に立ってみんなの顔を見ないと、気恥ずかしくてノリノリで歌えない!」となってしまって……。
――気持ちを持っていくことに、普段よりも大変さがあった。
立花 そうなんです。だから「もちろん心を込めて歌うことは大事だけど、逆にこの曲を歌いこなすのは、ライブが終わってからでも遅くないかな?」と気持ちを整理して、いつもの私で真っ直ぐシンプルに歌いました。
――元々ライブを想定した曲ですからね。でも、書いた時の気持ちに嘘はないし。
立花 いや、そうなんです。そうなんです……(笑)。舞台の上だから伝えられるようなこともあるので、スタジオではやっぱりちょっと恥ずかしかったですね(笑)。でもそれは、今の私がこの曲をまだファンのみんなに届けていない状態だからかもしれません。もし聴いてくれた方から「すごくいい!」とか「立花さんらしい!」みたいなポジティブな意見や温かいご意見をいただけたら、それはそれですごく自信になる気がしています。
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