REPORT
2025.09.08
DAY3の後半、幕開けを飾ったのはSPYAIR。彼らは「サムライハート(Some Like It Hot!!)」から、アニサマのステージをはじめていく。YOSUKE(Vo.)の「回せ!」の声を合図に、イントロから客席ではペンライトが回り、コールも大きく響き渡る。1サビ前には「さいたま!歌え!」の声を合図にサビ頭「Hey!!Hey!!」 の声が場内に響き渡ると、YOSUKEも熱量を込めた歌声を響かせ、さらなるアツいコールを引き出した。それに続けた「RAGE OF DUST」ではイントロプレイ中に起こったクラップの反応に満足気な表情をみせると、ソリッドな歌声とヘヴィなサウンドが場内の熱をさらに高めていき、大サビではその熱を受け取ってエネルギーを爆発させるかのようなステージングを展開。後奏でハイトーンなシャウトを炸裂させて締めくくると、「よかったら一緒に歌ってください!」の言葉に続いて『ハイキュー!』のアニメ映像を背負って「オレンジ」を歌唱。曲名どおりオレンジのペンライトが客席を染め上げるなか、序盤は歌声にやや温かみを持たせて歌い出すと、疾走感の生まれるサビではそのサウンドに合わせて歌声にも力と勢いが乗る。サビの最後には観客からコールが響き渡れば、その大きなコールをイヤモニを外して聴いたYOSUKEは満足気な表情をのぞかせ、「今までで一番のオレンジだよ、ありがとう」と“ThanXX!”を伝えて初アニサマのステージを締めくくった。
そんなアツくてぐっとくる空気を妖しいInterludeで塗り替えて、「亡國覚醒カタルシス」から久々のアニサマのステージに現れたのがALI PROJECT。ダンサーを従えてオンリーワンの世界観を一気に構築し、甘くて妖艶な宝野アリカ(Vo.)の歌声とともに場内の空気を飲んでしまう。さらに2曲目「聖少女領域」でも、イントロからオーディエンスが大歓声を上げ喜びを表すなか、中盤からはダンサーを従えてセンターステージへと闊歩しつつ歌唱。引き続きゴシックでダークな唯一無二の世界へといざなっていく。
歌唱後のMCでは9年ぶりのアニサマへの感慨も語りつつ、「来年も再来年も出たいけど、それにはタイアップが必要」と関係者に向けてまさか逆オファーを出し、笑いとざわめきを生む。そんなMCを「特別な、『禁じられた遊び』をしましょう」と閉じると、その「禁じられた遊び」を、蒼井翔太と茅原実里を“召喚”しての特別なバージョンで披露。蒼井も茅原も無機質な表情でこの世界にたゆたいながら、そのうえで2人とも歌声に個性もにじませつつ、アリプロらしい妖しさ・艷やかさを前面に出したボーカルワークを原曲キーで展開。サビラストの難解なフレーズも、蒼井も茅原も見事に歌い上げてみせるなどして、ラストまで宝野とともにダークにステージを彩ってみせた。
そこに、太鼓の音とともにトロッコに乗った内田真礼の姿が映し出されると、「お祭り騒ぎ、しません!?」の言葉とともに「モラトリアムダンスフロア」から出番スタート。踊れるナンバーを歌声も跳ねさせながらおてんばに歌唱し、大観衆を踊らせて言葉どおりに“お祭り騒ぎ”をもたらす。2サビ最後のフレーズをがなり気味にして歌声をザラつかせるといった生ならではのラフな表現もまた、観客の熱を高めたことだろう。
曲明けには「アニサマにはたくさん救われてきました。アニメにはそんな力があると思います」と語ると、「そんな大好きなアニメの曲を、メドレーでお届けします!」と宣言し、「ストロボメモリー」の歌唱へ。どこか寂寥感漂うナンバーに情感を込めて歌い始めると、サビにはエモーショナルさもぐっと込めて聴く者の胸を熱くし、「youthful beautiful」を続ける。心に熱を溜め込んだ観客からイントロでジャンプとコールを引き出すと、楽曲の持つ爽やかな切なさを十二分に響かせていく内田。サウンドに強さのこもるサビでは内田も歌声に力を込め、まっすぐな歌声を響かせて見事に表現しきっていく。大サビではボーカルにも身振りにもより力が入り、その姿がまた私たちの胸を熱くしていった。そして最後に内田は、ハードなナンバー「ラウドヘイラー」でSSA中のハートを燃やしにかかる。歌いながらセンターステージに移動し、360度ぐるりと囲んだ観客に向けて力いっぱい歌声を叩きつける内田。間奏などでは笑顔ものぞかせこの大舞台を楽しんでいることもうかがわせつつ、Dメロ最後のロングトーンを力いっぱいのシャウトに変え、自身も熱く完全燃焼してみせた。
そしてスクリーンに青空が映し出され、ピアノの調べが場内に流れると、「アルカテイル」のイントロともに鈴木このみが登場。爽やかかつ切ないこの曲を、歌声のパワー感は若干押さえめに、かわりに涼やかさが出るような塩梅で歌いゆく。サビではそこに少し力を乗せてスケール感を表現し、落ちサビでは情感もたっぷり込めるとそのまま「Lasting Moment」へ。今度はサウンドに乗せて観客の腕振りを呼び起こしながら、夏の終わりの“今”だからこそ聴きたいナンバーをポップに歌い、『Summer Pockets』楽曲2曲で大観衆をとりこにしてみせた。
歌唱後に鈴木は毎年アニサマで出会う観客を「いろんなものを一緒に乗り越えてきた同志だと思っています」と語り、さらには様々な局面をともに乗り越えてきた存在に「相棒!」と呼びかけると、場内にはその“相棒”、『Re:ゼロから始める異世界生活』の主人公ナツキ・スバル(CV.小林裕介)の声が。ステージを紫の光が包むと、彼のセリフに続いて「Reweave」が始まり、衣装を早替えした鈴木が再登場。一転してパワフルなボーカルを大会場へと叩きつけると、その歌声はサビでは一段と圧力感じるものに。しかもそれを力感そこまでなく響かせていく姿が、彼女のすさまじい成長ぶりを改めて痛感させる。さらに鈴木は、そのままもう1曲の『リゼロ』曲「Realize」へ。最初から全力全開の歌声を響かせ場内を熱く熱く燃やしにかかる鈴木。だがBメロでは声を震わせて、感情があふれるすれすれにした繊細な表現も行うなど、そのボーカルワークは決して力任せではない巧みなものだ。そして大サビでは溜め込んだ感情を再度爆発させれば、ラストは「アニサマ、大好きだぞー!」のシャウトとともに出番を終えた。
そして白の逆光の中、LiSAがステージに登場。「crossing field」のイントロ流れた瞬間、再びSSAには熱狂の渦が巻き起こる。パワフルかつ伸びやかにA・Bメロを歌うと、サビではパワーを一段と爆発させ、オーディエンスもペンライトの輝きやサビ中のジャンプやコールで高まった心を表現。最後に「ただいまアニサマ、LiSAでーす!」との改めての挨拶で楽曲を締めると、次の曲へと向かいつつ「歌ってアニサマー!」のシャウトで大きなコールを呼び起こし、自身も太鼓を叩きながら「ADAMAS」へ。イントロではさらに荒々しく太鼓を叩くことで自らの高ぶりを表すと、その熱を歌声にもそのまま込め、力強さとカッコよさを詰め込んで放ちオーディエンスをさらに高まらせていく。ラストも会場中の大合唱をバックに歌声に熱を乗せて響かせていき、そのまま「QUEEN」がスタート。序盤の「Red or Green?」のコールのリフレインがさらに観客のボルテージを上げれば、ステージ上を動きながらさらにオーディエンスの近くでパワフルなボーカルを叩き込む。力をいっぱいに歌声にぐっと込めているのに、それでいてめちゃめちゃ楽しそうなことも伝わる姿もまた、自然と心を惹き付ける。センターステージに移って最後まで歌いきると、オーディエンスを「こんなんじゃ先輩に渡せないんですけど!」とさらに煽り、その盛り上がりが最高潮を迎えたところでキラーチューン「紅蓮華」を歌い始める。ぐるり囲んだ観客の、近くへ遠くへ歌声を届かせていけば、サビ前には「歌ってー!」とパスして大合唱を起こす。そうして会場中からのパワーを受け取ったLiSAは、サビで一段とパワフルな歌声を炸裂。時折腕を掲げながらぐっと情感を込めたりしつつ、大サビでは溜め込んだパワーを全て放出するかのような力強い歌声を響かせていき、ラストはかき回しから20回目のアニサマに捧げる決め20連発で締めくくると、「この後頼んだよ?」念押ししてロックヒロインは“先輩”へとバトンを繋げた。
そしてアニサマ2025のラストアーティストとして、ステージに立つのが水樹奈々。ノイズ混じりのなか上映される過去に出演した際の映像が期待と高揚感をもたらすと、1曲目として「拍動」を歌唱。「いくよアニサマー!」のシャウトとともに爽やかさのあるナンバーにぐっと力を込め、ペンライトの光とともに場内に青空を広げてみせる。まずは自身の最新アニメタイアップ曲を通じて“今”の彼女の姿や進み続ける姿勢を示すと、そのまま続けた「DISCOTHEQUE」には会場中から大歓声!ピシッと締まったダンスとともに、伸びやかかつこの曲ならではのほどよくキュートな甘さを乗せた歌声を披露。またサビ最後の“ちゅるぱやコール”は「みんなでいくよー!」と観客に委ね、またも大きな声がSSAに響き渡っていく。Dメロ後の間奏中でもFIRE HORNSの演奏をバックにダンスを決め、魅せ聴かせる充実の1曲として届けてくれた。
2曲歌って「すっごくアツくて気持ちいいね!」とこのステージに立った感慨を表すと、「世界中で一番アツい場所にするぞー!」と宣言。客席をLvごとに煽ってから「WILD EYES」を、尊敬する奥井雅美とのデュエットで披露!第1回目のアニサマの幕開けも飾ったこのタッグが、ただの力押しだけでは歌いこなせないナンバーを、しっかり向き合って視線を交わしながら歌唱。伸びやかでパワフルな歌声を重ね、この曲での初コラボを通じてさらにステージを熱く盛り上げてくれた。
そして歌唱後、水樹は「まだ走ってないんで、走り回っていいですか?」と問いかけると、それに続けて歌い始めたラストナンバーは「Synchrogazer」。歓喜の声の中、冒頭から美しくも力強い歌声を高らかに響かせていけば、直後言葉どおりにAメロまでに上手の端にダッシュで到達。そのうえ息切れなどは全くなく、歌い続けてもそのボーカルには一切支障がない。しかも1サビ後には、2コーラス目が始まるまでに、ステージの反対側へとまたもダッシュで到達。これでも息切れ全くなく歌声のパワフルさも不変という事実が、水樹奈々という存在の“凄さ”を改めて心に刻み込む。終盤にはステージ中央に戻って美しく高らかにDメロを歌い上げれば、場内を包むオレンジの輝きへと最後まで力いっぱいにエネルギーをぶつけ、“圧倒的”という言葉の権化のようなステージを完成させたのだった。
最後に、DAY3出演のアーティストがステージに勢揃いして、テーマソング「ONENESS -20th Anniversary-」を歌唱。ゆっくりと揺れるペンライトの輝きが会場を彩るなか、誰もが自身のパートを大事に歌い、歌声を繋いでいく。ハモも美しく重ねつつDAY3でもまさに“ONENESS”な光景を作り出して、20周年という節目の年のアニサマは大団円を迎えたのだった。
改めて今年のアニサマを振り返ると、他の年であればトリを務めてもおかしくないアーティストが非常に多数出演した、20周年という節目に実にふさわしい豪華なものになったことを感じる。そんな彼ら・彼女らがバトンを繋ぎ、形作ったひとつのステージは、この上なく尊いものだったようにも思った。
来年のアニサマは久々の7月開催、そして会場も幕張メッセとなる。MCでfhánaの佐藤純一も語っていたが、アニサマもアニソンシーンも、少しずつ変わりゆくものなのだろう。だがこの日もラストにテーマソングに乗せて歌われ、3日間のステージを形にした“ONENESS”の精神があれば、アニサマはアニソンを繋ぎ続ける。世界最大級のアニソンライブイベントとして、アーティストにとってもアニソンファンにとっても、大切な存在であり続けられるはずだ。
そう確信させたこの3日間のステージに携わった全ての人へのリスペクトと、最大級の“ThanXX!”を捧げ、アニサマ2025のレポートの結びとしたい。
「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」DAY3
2025.08.31@さいたまスーパーアリーナ
【SET LIST】
M01. Pray / 水樹奈々×LiSA ~ Rising Hope / LiSA×水樹奈々
M02. Paradise Lost -at next nest- / 茅原実里
M03. TERMINATED / 茅原実里
M04. No tears here / 茅原実里
M05. STRIKE WITCHES 〜わたしにできること〜 ~ STRIKE WITCHES 2 〜笑顔の魔法〜 / 石田燿子
M06. 乙女のポリシー / 石田燿子
M07. COLORFUL BOX / 石田燿子
M08. WILL ~ フェアリーテイル~約束の日~ ~ 約束の場所へ / 米倉千尋
M09. Pale Blaze ~ 嵐の中で輝いて / 米倉千尋
M10. 星空のワルツ / 栗林みな実
M11. 翼はPleasure Line / 栗林みな実
M12. Get along / 奥井雅美×栗林みな実×石田燿子×米倉千尋
M13. BAD END / 蒼井翔太
M14. イノセント / 蒼井翔太
M15. Eclipse / 蒼井翔太
M16. 星屑のインターリュード / fhána
M17. 天使たちの歌 / fhána
M18. 「小林さんちのメイドラゴン」主題歌アニサマスペシャル / fhána feat. REAL AKIBA BOYZ
涙のパレード ~ 愛のシュプリーム! ~ 青空のラプソディ
M19. DRIVE A LIVE / アイドルマスター SideM
M20. バーニン・クールで輝いて / 神速一魂 ~ We’re the one / C.FIRST ~ True Horizon / 天ヶ瀬冬馬、天道輝、天峰秀
M21. SUPREME STARS !!! / アイドルマスター SideM
M22. DAYS of DASH / Poppin’Party×鈴木このみ
M23. イニシャル ~ ティアドロップス / Poppin’Party
M24. Tomorrow’s Door / Poppin’Party
M25. キズナミュージック♪ / Poppin’Party
M26. サムライハート(Some Like It Hot!!) / SPYAIR
M27. RAGE OF DUST / SPYAIR
M28. オレンジ / SPYAIR
M29. 亡國覚醒カタルシス / ALI PROJECT
M30. 聖少女領域 / ALI PROJECT
M31. 禁じられた遊び / ALI PROJECT feat. 蒼井翔太&茅原実里
M32. モラトリアムダンスフロア / 内田真礼
M33. ストロボメモリー ~ youthful beautiful / 内田真礼
M34. ラウドヘイラー / 内田真礼
M35. アルカテイル ~ Lasting Moment / 鈴木このみ
M36. Reweave / 鈴木このみ
M37. Realize / 鈴木このみ
M38. crossing field / LiSA
M39. ADAMAS / LiSA
M40. QUEEN / LiSA
M41. 紅蓮華 / LiSA
M42. 拍動 / 水樹奈々
M43. DISCOTHEQUE / 水樹奈々
M44. WILD EYES / 水樹奈々×奥井雅美
M45. Synchrogazer / 水樹奈々
M46. ONENESS -20th Anniversary- / アニサマフレンズ
©Animelo Summer Live 2025
「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」公式サイト
https://anisama.tv/
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