――ここからは佐々木さんのニューシングル「Majestic Catastrophe」について、詳しくお話を聞いていければと思います。まずは豊田さんの感想をお伺いできればと。
豊田 李子さんは、歌う楽曲の主人公を自分に憑依させて、その人になり切ることで得た表現力を、そのまま自分のものにして次のステージに行く方、という印象がありまして。その意味で今回の楽曲は、Ave Mujicaで培ってきた世界観が、シンガー・佐々木李子にもすごく反映されているなと感じました。ただ闇の強さを前面に押し出すのではなく、引き算の繊細さもしっかりとされていて、ダークな楽曲のなかでここまでグラデーションを作れるところに、改めて李子さんの表現力のすごさを感じる1曲でした。
佐々木 そう言っていただけて嬉しいです!私個人としては、昔から闇の部分を表現した楽曲を歌ってきているので、その延長線上で、佐々木李子として新鮮な気持ちでこの曲と向き合ったのですが、表現の仕方に関しては、色んなコンテンツのお仕事の経験を経て確実に進化したと思います。ただ強く歌うだけでなく、楽器の繊細な音色に寄り添ったり、ささやくように歌うのは、いまや頭で考えなくても自然にできてしまうところがあって。プラスしてこの曲は、クワイアのようなコーラスもすべて自分で歌わせていただいていて、オペラのように壮大な雰囲気になったので、その意味で今までよりも闇を極めた1曲になったと思います。
――「Majestic Catastrophe」におけるシンフォニックメタル的なサウンド感やダークな世界観は、本楽曲がOP主題歌となるTVアニメ『異世界黙示録マイノグーラ~破滅の文明で始める世界征服~』の作品性に紐づいて生まれたものなのでしょうか。
佐々木 まさしくその通りで、主人公のイラ=タクトとヒロインのアトゥはチート並みの強さを持っていて、その2人が邪悪国家のマイノグーラを建国してみんなを引っ張っていくところは楽曲にも繋がります。作品自体、バトルやかっこいいシーンだけでなく、くすっと笑えるような場面もたくさん出てくるのですが、その二面性も「Majestic Catastrophe」の闇だけでない光の部分、例えばDメロの語りかけるように優しく歌っているところとリンクするのかなと思います。
――歌詞に目を向けると、一見すると破滅に導く歌にも見えますが、創造性にも溢れていますよね。“愛すべき仔たちよ”のように、ある種の優しさや母性を感じる瞬間もあって。
佐々木 そうなんです。本当に優しい人というのは、強さを兼ね備えていると思うんです。強くなるために色んな経験を積んでいるからこそ、困っている人の気持ちがわかったりもするし、他人のことを考えることもできる。この曲にはそういう思いも込められています。
――佐々木さん自身も、周りの人のことを思いやれるくらい強く優しい人間になれていますか?
佐々木 えー!どうなんだろう?私はよく「もっと自信を持ちなよ」と言われたりするので、色んな意味でもっと強くなっていきたいですね。心の部分もそうですし、もっと難解な曲もどんどん歌えるようになっていきたいです。でも、最近、道端でおばあちゃんに話しかけられる率が本当に高くて。この間なんて1日に3回も、違う駅で違うおばあちゃんに道を聞かれたりしたんです。私、金髪で派手なので、いかにも孫っぽくはないと思うんですけど(笑)、優しさというか「話しかけてください」オーラが滲み出ているのかなあと思って。ともかく、強く優しい人になりたいですね。
豊田 この曲を歌っている時はどんな気持ちになるんですか?
佐々木 「Majestic Catastrophe」は自分の限界を突破できるような、自分の知らない境地に導いてくれる楽曲なので、歌っている時にすごく入り込んでしまって、その時の記憶がないくらいの時もあります。後からライブの映像を観返したら、自分でも見たことのない表情をしていたりして。歌詞にも“純白を漆黒へと”や“聖を邪に塗り替えて”とありますけど、私は自分の中にある光の部分も闇の部分も好きなので、それを兼ね備えた楽曲という意味で自分らしい曲なのかなって思います。
――自分自身の良い部分も悪い部分も受け止めたうえで、自分らしくありたいという信念、周りの価値観にこだわることなく自分の正しい世界を創造するという意志が、この曲には込められていますよね。
佐々木 本当にそう思います。自分の中にある黒い感情も、すべてが悪いものとは限らないと思っているので。例えば、私は悔しい気持ちや悲しい気持ちもパワーに変えるタイプで、何かに落ち込んだ時も、それすらも養分にしてやろう!という気持ちで頑張れるんです。そういう黒い感情もすべて受け止めてくれる、“闇りこち”に相応しい楽曲です。
――その“闇りこち”というキャッチコピーにちなみ、佐々木さんと豊田さんが自分自身に闇を感じる瞬間、闇に中二病的なかっこよさを感じることがあれば聞いてみたいです。
豊田 うわー、何だろう?
佐々木 豊田さんは闇がなさそうだなと思っていたんですけど、さっき世間話をしている中で、共通の闇をひとつ見つけました。それは「一人行動が好き」です。
豊田 確かに!李子さんもさっき一人で万博に行ったとお話してましたけど、私も一人行動がめちゃくちゃ多いんですよ。焼肉も一人で食べに行きますし。でも、私も李子さんのお話を聞いていて、負の感情をエネルギーにするのは一緒だなと思いました。私も「悔しい」とか「見返してやりたい」という気持ちが原動力になるタイプなんです。根本的に体の中を渦巻いているのは闇っぽいドロドロしたものなので(笑)。
佐々木 えー、仲間です!(笑)。それとこれは闇というより中二病なのかもですが、人と被りたくない、唯一無二でありたいみたいな気持ちがすごくあって。でも、流石に1人でバンジージャンプを飛びに行った時は、自分でも結構ヤバいやつだなと思いました。
豊田 そういえば動画を撮ってましたよね。
佐々木 林鼓子ちゃんのバースデーイベント用のお祝い動画として撮影したんですけど、ひとりで飛びに来る人はめったにいないみたいで、従業員の方にも心配されました(笑)。
――“闇りこち”にちなみ、もうひとつ質問させてください。「Majestic Catastrophe」で初めて“闇りこち”のトリコになった方に向けて、次にお薦めしたい“闇りこち”な楽曲をレコメンドしていただけますでしょうか。
佐々木 闇系の楽曲はいっぱいあるので悩むのですが……「Majestic Catastrophe」系の闇が好きな方には「Psycho」をお薦めします!私の楽曲のなかでも狂気さという意味では頂点に君臨するような楽曲で、レコーディングしたのは何年も前なのですが、一度録り終えて完成した後に自分で聴き直したら、綺麗に歌おうとしている感じが納得できなくて、もう一度録り直させてもらったんです。もっとサイコじゃないといけない、もっといけるはず、と思って。より発展させた闇や狂気さにこだわったので、「Majestic Catastrophe」が好きな人ならハマると思います。
豊田 そんなにこだわりを持って録った曲なんですね。
佐々木 それともう1曲、これは“闇りこち”というよりもロック繋がりになるのですが、「Windshifter」のカップリング曲の「PROVE」は、傷だらけでもその傷が自分の証明になるし、それを受け入れて一緒に進もう!という曲なので、「Majestic Catastrophe」が好きな方には気に入ってもらえると思います!
たくさんの想いと出会いを受けて咲かせた花、そして種を撒く側へ
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