INTERVIEW
2025.07.06
7月2日にリリースされたTVアニメ『mono』のキャラクターソングアルバム『monoのうた』。キャラクターの個性が伝わってくる歌詞、そして歌声。『mono』の世界を歌でも楽しめるアルバムだ。新曲6曲のうち5曲の作詞を担当したのは、作詞家の稲葉エミ。『けいおん!』シリーズの「カレーのちライス」「天使にふれたよ!」や『冴えない彼女の育てかた』シリーズの「M♭」、『ヤマノススメ』シリーズの「スタッカート・デイズ」「夏色プレゼント」他多数の楽曲を手掛けてきた彼女が、『mono』の世界をどのように切り取り描いたのかを、音楽ディレクターの安谷屋光生と共に振り返ってもらった。なお、7月26日には都内某所でミニライブ+トークイベントも開催。そちらで歌唱する姿も見られそうだ。
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
▼TVアニメ『mono』キャストインタビュー
▼TVアニメ『mono』愛敬亮太監督インタビュー
TVアニメ『mono』アニメーションプロデューサー藤田規聖×アニプレックスのプロデューサー田中 瑛対談
TVアニメ『mono』音楽担当・百石 元インタビュー
――キャラクターソングアルバムの企画は、どのような経緯で始まったのでしょうか?
安谷屋光生 TVアニメ『mono』のプロデューサー・田中 瑛から、キャラクターソングを出すという話は聞いていたのですが、パッケージの特典として収録されるものだと思っていたんです。でも、アルバムを出すとのことだったので、それならばキャラソンを全力で作りたいと思い、最近聴かないような、アニソンならではの曲調を取り入れつつ、ブレーキを踏まずに楽しく作っていこうと思いました。
――TVアニメ『mono』のOPテーマ「メニメリ・メモリーズ!」の反響はいかがでしたか?
安谷屋 色々と反応を追いかけた限りでは、すごく良い反応をしてくれているのかなと思いました。作曲・編曲の石濱 翔さん(MONAKA)にまずお声掛けしまして、石濱さんと打ち合わせをした際にやぎぬまさんのお名前が上がったので、その流れでオファーした形となります。
石濱さんとやぎぬまさんはよくご一緒されてたこともあって、すごく理想的な曲を作っていただけたと思っています。
――キャストが出演するMVもすごく良かったですが、特典Blu-rayには、そのMVとメイキングが収録されるそうですね。
安谷屋 メイキングには、キャストさんの素の雰囲気、仲の良さ、等身大のかわいさがたくさん詰まっていると思います。MVのサビの振付も遠野ひかるさん(敷島桜子役)がコレオグラファーを務めると聞いて、皆さんが前のめりに参加してくれているなと。そんな雰囲気も感じていただけると思っています。
――新たにキャラクターソングを作るにあたって、作詞は同じ方にお願いしようというのがあったのでしょうか?
安谷屋 そうですね。最初に(音楽制作事務所の)F.M.Fさんと話していたのは、稲葉エミさんには絶対にやっていただきたいということで。ただ、曲数が多いので、どのくらい相談できるのかなと思っていたんですが、ほとんどやっていただけるということで、「マジっすか!?」となりました(笑)。
稲葉エミ 新曲6曲中、5曲の作詞を担当しました。駒田華子(CV:河瀬茉希)の「ソフトクリームイグニッション!」だけは、大畑拓也さんが作詞・作曲・編曲を担当しているのですが、それ以外の曲は、私が作詞をしています。
安谷屋 そこはちょっと発注が特殊だったこともあるんですけど、制作にあたっては、作詞家の稲葉さんが最初に決まっていました。
稲葉 ありがとうございます。
――作詞のオファーがあった時の率直な感想をお聞かせください。
稲葉 キャラクターソングは大好物なので、「やったー!」という感じでした(笑)。私としては、まとめてご依頼いただいたほうがストーリーを頭に入れて一気に書けるので、スムーズに取り組めるんです。
――原作を読まれていかがでしたか?
稲葉 私、山梨が好きで、割と行くんですよ。「◯◯狩り部」というのが事務所にあって、シャインマスカットや桃狩りに行っていたりしたので、まずは「山梨のアニメだ!嬉しい」と思いました。あとはキャラクターが面白いですよね。歌詞を書くのが決まってから初めて原作を読んだのですが、「歌詞、書きやすそうじゃないか!」と思いました(笑)。
――今回の楽曲を聴いて、少し前のキャラソン全盛期の頃のキャラソン感があって、すごく良かったです。キャラクターが歌っている感じがすごく出ていたのですが、この辺りもこだわられた部分でしたか?
安谷屋 基本的に、僕らはいつもキャラクターで歌ってもらうことを重視しています。たまに、キャラクターがあまりに低音で、その声で歌えないからイメージを膨らませて歌おうとかはありますが、今回はそれを考えることもなかったです。キャラクターだと桜子があまり声を張らないキャラなので、歌で苦労するのかな?と思っていたら、実際は一発で「これは桜子ですわ~!」となったので、遠野さんの力量なのかなと思いました。ただ全員、歌い方や声質について、そんなに指示をしていないんですよ。というのも、アフレコから時間があまり空いていなかったので、みんな完成形が見えている状態でレコーディングに臨めていたんです。だから後は微調整と、本人が用意してきた歌声に合うマイクを選択するということくらいでした。
――ここからは1曲ずつ聞いていきたいと思います。「ココロパノラマ」(雨宮さつき/CV.三川華月)は、元気でお洒落なポップチューンでした。
安谷屋 「アップテンポでライブで盛り上がれるアニソンっぽい曲」というオーダーで、リファレンス曲も添えて作曲をしてもらいました。さつきは普段は割と落ち着いていますが、決して元気じゃない訳ではないので、テンションが上がったらこのくらい元気な曲でも歌えるのかなと。
稲葉 実は最初に曲が上がってきたのが秋山春乃(CV:上田麗奈)さんの曲、次に桜子だったので、なかなかさつきの曲が届かなかったんです。だから、他の子の作詞をしながら、カメラに関することは取っておかなきゃいけないなというのは頭の片隅にありました。なので“パノラマ”という言葉や、広がる感じや駆け出す感じ、“丸い地球の全方向へ”はまさにそうですね。色んなモノを撮りたくて、ここから駆け出すよ!という雰囲気が伝わればいいなと思いながら、言葉を抽出していきました。「ライブで歌う曲である」というのと「アニソンらしさを大事にしてほしい」としか言われていなかったので、それ以外は自由でいいんだな!と思いながら作詞していました(笑)。
――ライブで盛り上がりそうですよね。
稲葉 “Fun! Fun!”や“Jump! Jump!”なんかは、ライブを意識して出てきた言葉ですね。
――そして、おっしゃるとおりカメラにまつわるワードが多かったです。“シャッター音”や、“360度”などはさつきを象徴するワードですね。
稲葉 さつきの場合は、景色を感じるので”外”な感じですよね。だから逆に春乃さんは、家から絶対に出したくないなと考えていたんです。“360度”は実は入れるか迷っていて。halcaさんが歌うEDテーマの「ウィークエンドロール」で歌詞に入っているのは知っていたので、どうしようかなあと思ったんですが、さつきのキャラクターソングなら入れたいなと思いました。サビ頭や目立つところでなければ「らしさ」になるかなと思ったので、お洒落な感じでひゅっと入れています(笑)。
――ボーカルはいかがでしたか?
稲葉 皆さん本当に上手かったんですけど、特に三川さんは1音も外さないくらい上手でした!
安谷屋 リズムとピッチがすごく良くて、転調もある難しい曲なのに何の問題もなかったです。
稲葉 本当に直すところがないくらいでした。
――続いて「Happy Moviegenic!」(霧山アン/CV.古賀 葵)は、元気で疾走感のある詰め込み系の楽曲でした。
安谷屋 アルバムの中で一番、電波っぽい曲にしようと思いました(笑)。ハイテンションで元気いっぱいの曲にしたかったので、やしきんさんに作・編曲をお願いしています。やしきんさんらしい、良い意味で色々忙しい曲になったと思っています。
稲葉 アンちゃんは、元気なところを書こうと思いました。でもこれは、曲から受け取ったイメージを素直に歌詞にした感じですね。言葉(音符)が多い曲って、取っ掛かりが難しいんですよ。どこから書こうかなとなるんですけど、そういう場合は、だいたいサビからなんです。サビが決まらなきゃ、周りが埋まらないんです。
安谷屋 サビの“風吹いて 髪がツイスター”って、すごいワードですよね。ここはメロディとのハマりも良くて大好きです。
稲葉 この曲の作詞は少し難しかったです。というのも、作曲の方が意識しているハネ具合があるんですよね。そこには、ちょっとやそっとの言葉じゃ合わないんです。
安谷屋 また“Lazy Lazy!”から始まるんですけど、もはや“ねじねじ!”でいいのではないかって話もしましたよね。
安谷屋 ねじっぽいことを言っているけれど、本当に“ねじ”と言っているのだろうか?みたいなことは意識しました(笑)。その後しっかり“ねじねじ!”と歌っているんですけどね。ツイスターもそうですけど、アンちゃんの大好物はひねり揚げなので、ねじねじ言っています(笑)。
――個人的に、アンだと、さつきへの想いも歌詞にできるのかなと思っていたのですが。
稲葉 そうなんですよね。でもこの曲調だったので、ここは振り切ったほうがいいかなと考えました。うわ~~!って走り過ぎて、色んなものがねじねじに絡まるイメージというか。ちなみに私が好きな歌詞は、2サビの“今日も地球のサーキュレーターは 追い風モード”です。とにかくぐるぐるしまくっている感じがしますよね(笑)。
――ボーカル録りはいかがでしたか?
安谷屋 一発でアンちゃんだったので、何の問題もありませんでした。ただ、やしきんさんのメロディは「そこ行く!?」みたいな変わったところもあるので、そこはちょっと苦労したんじゃないかなと。あとはガヤが多かったので、そこもキャラ全開でやってもらいました。
稲葉 おそらく一番難しい曲ですよね。でも、聴いていて「アンだなあ」ってなりました。皆さんそうなんですけど、それがすごいですよね。
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