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INTERVIEW

2025.06.16

つんく♂がTVアニメ『前橋ウィッチーズ』OP主題歌の「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」作詞に向けて意識したこととは?聴く者を惹きつける言葉の魔法に迫る

つんく♂がTVアニメ『前橋ウィッチーズ』OP主題歌の「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」作詞に向けて意識したこととは?聴く者を惹きつける言葉の魔法に迫る

脚本を吉田恵里香が担当することなどで放映前から注目を浴びていたTVアニメ『前橋ウィッチーズ』。放映開始後、期待に背かぬストーリー展開と丁寧な演出・作画などと共に、本作の人気を高める一端となっているのがOP主題歌の「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」だ。今回は、アーティスト・クリエイター・プロデューサーとしてJ-Pop界を席巻し続け、「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」では作詞を手がけたつんく♂に話を聞いた。思わず口にしたくなるタイトルや、冒頭の“Petal占い”ほか惹きつけられる単語の数々など、さすがと唸らせる手腕の裏側を解説してくれた。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司

最後に必要なアイテムをネームプレートのごとくトッピング

――まず、つんく♂さんの元にオファーが届いた時のことについて教えていただけますか?

つんく♂ 以前、TVアニメ『クラシカロイド』という音楽をコンセプトにした番組で挿入歌をたくさん作ったのですが、その制作チームから声をかけていただきました。『クラシカロイド』でお仕事をご一緒した時は、音楽をアニメ番組でいじるということの奥深さを互いに共有できたので、とても信頼感があったんです。なので今作品の依頼に対して、即答で「やります!」と返事させていただきました。僕が参加することを決めた時点で「作詞をお願いします」というお話で、その後で曲を聴いたらとてもユニークだったし、番組の企画自体も面白くワクワクしました。実際とても楽しくやれましたね。

――アニメ『前橋ウィッチーズ』という作品の設定やストーリー、登場人物などに関してはどのような印象を持ちましたか?

つんく♂ 女の子がたくさん出てくる作品ではありますが、お色気で逃げたりしないし、変な色恋物語で引っ張ったりしないし。ある種健全かつ内容もとんちが効いているかっこいい作品ですね。

――TORIENAさんが手がけた曲についてはコンペで決まったそうですが、ユニークと感じた理由や、その曲に対してどのように詞を乗せていったかについても教えていただけますか?

つんく♂ 音符は細かいのですが、この曲は8ビートのリズムを感じるので、日本語を上手に乗せていく技が必要な曲でした。最初に曲を聴いた時、「このジグソーパズルのような曲を完成させたらきっと達成感があるだろう!」と感じ、実際にパズル感覚で歌詞を書いていった記憶があります。案の定、歌詞が出来上がった時はジグシーパズルやプラモデルを完成させた時のような達成感がありました。アドレナリン出まくりで興奮したことを覚えています。夢中で取り組んでいたこともあり、時間がどれだけ経ったのかわからない感覚でしたね。

――編曲者の岸田勇気さんとは初仕事かと思いますが、アレンジに関しての感想もぜひ教えてください。

つんく♂ 「理屈ではなく、感覚でアレンジを仕上げるタイプなのかなぁ?」って感じました。音数の多い部分もあれば、急激に少なくなる部分もあるので、勇気もあるアーティストですよね。普通、アレンジャーさんって音の空間(隙間)が怖くなって、どんどん埋めたくなる人が多いんです。でも、空間を作ることができているところはかっこいいですね。

――歌詞の内容についてはアニメサイドから何か要望はありましたか?

つんく♂ 各キャラクターのモチーフとなっている花を歌詞の中に溶け込ませたいという希望はありました。なので、「ウォーリーを探せ!」のような感じで溶け込ませています。皆さん!わかりますか?(笑)。あ、あとは『前橋ウィッチーズ』というタイトルを入れることですね。他には特に細かい要望はなかったように思います。

――サビ頭が特徴的ですが、最初に手掛けたのはそこからでしたか?

つんく♂ そうですね。僕はたいてい、曲の構成順で歌詞を書いていくので。皆さんに聴いていただいている流れのままに歌詞を書き上げています。

――ご自身として、歌詞制作で意識した点や気を付けた点などは何かありましたか?

つんく♂ タイアップ作品の場合、中身が番組のあらすじのようになっている曲も世間ではよく見かけます。でも僕はそうはなりたくなくて。どんな場合も基本的には普遍的な歌詞を書きたいんですね。で、最後に必要なアイテムをバースデーケーキのネームプレートのごとくトッピングするという方式をとっています。そこで大事なのは、いかにメッセージ力があるかということ。ケーキ屋さんでいえば「ケーキが美味しいかどうか」これが大事です。インスタ映えするかどうかは本来は関係ありません。美味しくて味わい深いケーキをちゃんと作ったうえで、でも最後に「○○ちゃん ハッピーバースデー!」というチョコレートのプレートを乗せて、やっぱり見た目も美しく仕上げる作業が大事なんです。なので今回の「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」も、「アニメです」「花屋さん」「魔法が出てきます」「女の子が多数登場します」という大きな設定を最初にいただいた後、“今”という時代の中でどんな歌詞を歌うのか、少しでも世間のリスナーの心に届けられるか、そこを考えて歌詞を書いていきました。言葉的には、ど頭に花占いを意味する“Petal占い”というフレーズを持ってきているところが目立ちますが、人生において迷った場面では願掛けというか、「か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り」みたいなおまじない的なことを誰でもやりますよね?だからそこを最初につかみとして書きました。あと、言いたいことは、「「勇気」や「根気」は魔法を超えるような奇跡を起こすんだよ!」ってことなので「深夜の孤独感を誰と共有するか」という設定も大事にしました。それから、原作のないオリジナルアニメなので、番組の方向として「魔法」がどんなふうに展開されるか視聴者にわからない。魔法がなんでも解決する物語かもしれないので、そのへんはわからないままに歌詞として独立したメッセージを残すように書き上げていきました。それらを落とし込んだ形が現状になります。

――つんく♂らしさ、というところで意識された点もありましたか?

つんく♂ つんく♂らしさとしてのアイテムは“WOW WOW YEAH YEAH”に振り掛けさせてもらいました。ここがテクニックというか……。あとはイージーリスニングしてる人には「なんか“マジ”“マジ”言ってる曲だな?」くらいの印象でいいんですけど、“マジ”って聴こえる部分がどうなっているかじっくり解読する人には「すげぇ!」って思ってもらえるはずの仕上がりにしています。なのでとにかく“マジ”が頭に残れば良いですね。同じ“マジ”に「Magic」「マジ(本気)」「真面目」「まじまじ」「前橋(まじではないけど)」と色んな意味を込め、パンチあるリズムが続くところは我ながら気持ち良いですね。

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