――では、アーティスト活動での転機についてはいかがでしょうか?
佐々木 アーティスト活動での転機もたくさんあります。私自身、結構悩むタイプなので、音楽面でも、自分の中での挫折のような経験を色々してきていて。それこそ声優のオーディションになかなか受からなくて落ち込むこともありましたし、アーティスト活動でも他の人と比べてしまって、「自分は向いていないんじゃないか」と思い詰めてしまった時期もありました。その頃の私は、毎日日記をつけていたんですけど、一時期、未来を想像するのが怖くて書けなくなったんです。スランプじゃないですけど、自分の中の音楽の正解がわからなくなってしまって。
――葛藤があったんですね。
佐々木 それがちょうど1stアルバム(2018年リリースの『瞼の裏に映るもの』)を出した頃で、秋葉原でリリースイベントがあったのですが、精神的に動けなくなってしまって……。でも、マネージャーさんが家まで来てくれて、何も言わずにただ一緒に会場まで歩いてくれたんです。きっとそれが無かったら会場に行くこともできなかったし、ステージに立つ直前まで「自分はもう歌えない、どう歌えばいいかわからない」という気持ちだったのですが、いざステージに立ってファンのみんなの前に立ったら、その気持ちが全部吹き飛んでしまって。歌い始めたら「やっぱり音楽が好きだし、悩んでる今のままでいいじゃん」と思えて、その時、音楽が自分の生きがいなんだと再確認しました。
――やはり自分には音楽しかない、と。
佐々木 その日、私はずっと大号泣しながら歌っていて、きっとファンの人たちは困惑したと思うんです。それでもすごく応援してくれたみんなに、支えてくれるスタッフさんの存在に、すごく救われて。その日のことは忘れられません。どんなに辛くても、くじけそうになっても、音楽と、周りにいてくれるみんながいれば、もう何も怖くない。その後のコロナ禍も結構大きな転機で、ライブができないストレスや辛さがありましたけど、その悔しい気持ちをバネに制作に力を入れて、例えば「NaNaNa FRIENDS」という楽曲ができたりして。一度どん底に落ちた経験があるからこそ大丈夫と思えたし、今、強くなれているんだと思います。
――「NaNaNa FRIENDS」は佐々木さんが作詞・作曲した楽曲で、他にも多数の楽曲をご自身で制作していますが、曲を作るうえでのこだわりはありますか?
佐々木 やっぱり自分の人生で経験したこと、実際に体験したことを入れるようにしています。その方が説得力がありますし、誰かが共感してくれるかもしれないと思うので。初めて作詞に挑戦した「Finale」(毛蟹と共作詞)も、自分が何者かわからないけど、それでも探し続けるという気持ちを書いていますし、「Empty Doll」(村田祐一と共作詞)は自分の意見を言えずに誰かに言われたことだけをやっていたデビュー当時の悩み、人形のように空っぽな気持ちを歌詞に入れていて。普段から自分が感じたことをメモしたり、昔の日記に書いているので、そういうものを読み返して歌詞を書くことが多いです。
――なるほど。そういったご自身のパーソナルに結びついた楽曲がある一方で、物語のような世界観のある楽曲も作られていますよね。
佐々木 そうですね。オリジナルの物語を自分で考えて歌詞にすることもあります。例えば「5:55」は、世界の終末に自分1人だけ生き残ってしまった物語を描いていて、そこで初めて世界の広さや周りの人の大切さを知る、という設定になっています。ただ、歌詞の中にある“「君の世界は狭いね」”は実際に私が言われたことのある言葉で。その方は私のライブのリハーサルを観て、「もっと上を目指してほしい」という愛を持って言ってくださったんです。「ライブハウスじゃなくてアリーナを想像しないの?」っていう。その言葉がすごく心に残っていたので歌詞に入れました。そういう自分が実感を持って歌える言葉もちゃんと散りばめるようにしています。歌っている時も気持ちが入りやすいので。
――作曲はどのようにされていますか?
佐々木 コード進行を決める時はギターかピアノで、曲によって使い分けています。楽器を使わずに鼻歌から始めることもありますし、書きたい世界観によって変えています。
――初めて自分で作曲した楽曲は「かわいい向上委員会の歌」(『キラッとプリ☆チャン』挿入歌)らしいですね。放送当時、SNSにポストしていました。
佐々木 懐かしい!それ以前から遊びで作ったりはしていたのですが、初めて世に出たのはあの楽曲になります。あれはアコギで作ったんですけど、その頃、アコギで弾き語った「歌ってみた」動画をSNSにアップしていたら、音響監督の長崎(行男)監督が観てくださったみたいで、「ギターを弾けるなら曲を書いてみない?」とアフレコの時に言ってくださったんです。それで「すぐ作ります!」とお返事して、次のアフレコまでに何パターンか録ってお渡ししたうちのひとつを採用していただきました。それまでも自分で作詞・作曲した曲を溜め込んでいたんですけど、なかなか人に聴いてもらう勇気が出なくて。でも、このことがきっかけで、もっと気軽に作って聴いてもらおう、という気持ちが芽生えた気がします。
――さて、ここからはアーティスト・佐々木李子を知ってもらううえで、まず聴いて欲しい楽曲を何曲かレコメンドしていただけますでしょうか。
佐々木 全部が好きな楽曲ですし、様々な世界観を歌っているので、本当に迷うんですけど……まず、先ほどお話しした「5:55」は、壮大で少し幻想的な雰囲気が佐々木李子固有のものだと自分でも思いますし、昔から物語を想像するのが好きだったので、そういう一面を象徴する楽曲として挙げたいです。私は曲の世界に憑依して歌うのが好きなので、この曲はピッタリだと思います。
――“憑依系シンガー”を標榜していますものね。
佐々木 あとは、二面性というか、普段の明るく話している感じとは違う、ちょっと大人っぽい、闇の部分もあることを知って欲しいので、その意味では「酩酊」ですね。この曲は「誰ソ彼ホテル」というアプリゲームの挿入歌なのですが、その作品自体の謎めいた雰囲気やキャラクターの深い心情を表現していて、どこか“諦め”ながら歌っている感じなんです。そういう楽曲も憑依することで歌えるし、何者にでもなれるところを見てもらえたらと思います。
――佐々木さんはパワフルな歌声を活かしたロックな楽曲も多いですが、その路線でお薦めの曲は?
佐々木 やっぱり「Windshifter」は王道の真っ直ぐなロックなので外せないです!楽曲的にも疾走感がありますし、ランティスからのデビュー曲ということで「私はまだまだどこまでも行くよ!」という気持ちを歌っているので。それと最新シングルの「Palette Days」のカップリング曲「Daydreamin’」はライブでみんなの声があって完成する楽曲になっていて、一緒に心を通わせ合う時間の尊さ、それが明日を頑張る力になることを歌っているので、元気を出したい時に聴いてもらえると嬉しいです。私も今朝、この曲を聴きながら早くみんなに会いたい気持ちを高めていたので(笑)。
――ありがとうございます。そのように多彩な楽曲を歌っている佐々木さんですが、音楽活動全体を通じてリスナーに伝えたいことがあれば教えてください。
佐々木 それはやっぱり「ひとりじゃないよ」ということです。音楽は受け取る人がいないと成り立たないもので、私自身も音楽を通してひとりじゃないことに気付くことができましたし、私と同じように悩んだり迷ったりしている人が、私の書いた曲や歌を聴いて「ひとりじゃないんだ」と思って、少しでも前に進む力になれたら嬉しくて。とにかく私はファンのみんなと一緒に幸せになりたい気持ちが強くて、私一人がやりたいことをやるのではなくて、みんなを巻き込んで、お互い支え合いながら幸せになりたい。ライブで会っている時だけでなく、会えない時でも、私の楽曲が少しでも誰かの支えになって、その人の人生を少しでも彩れたら、頑張ろうって思ってくれたらいいなと思うので。聴いてくれる人のことを想いながら、これからも音楽をしていきたいです。
――最後に、佐々木さんの理想の未来像について教えてください。5年後、10年後、30年後、どんなアーティストになっていたいですか?
佐々木 とにかくビッグになりたいです!世界中で活躍して、世界に通用するアーティストになりたい。私が言葉の意味もわからないのにセリーヌ・ディオンの歌を聴いて涙が溢れたように、歌は国境を超える力があると思うんです。そして近い未来、5年後くらいには……ずっと昔から夢の日本武道館でワンマンライブをやりたいです!さらにアリーナでワンマンができるようなアーティストになっていきたくて。昔は、未来を想像するのが怖くて、「武道館でやりたい」と言うのも内心ドキドキだったんですけど、今はたくさんの経験を通して、自分の夢をはっきりと言えるようになったので、諦めずに、叶えたいです。
●佐々木李子 Profile
幼少期より歌と音楽をこよなく愛し、様々な音楽と触れ合いながら育つ。
小学校5年生の時にミュージカル「アニー」の主役を約9000人の応募の中から勝ち取る。
それ以来歌と演技に目覚め、高校受験の際に音楽専門課程がある高校の音楽科、声楽科専攻に入学。
その小柄な体からは想像もつかないソウルフルな歌声を響かせる。
現在声優としても活動中。
代表作としてTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』(三角初華/ドロリス役)、
TVアニメ『日本へようこそエルフさん。』(ミュイ役)、TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』
(虹ノ咲だいあ役)、TVアニメ『かげきしょうじょ!!』(山田彩子役)、
TVアニメ『ワールドダイスター』(流石知冴役)など。
●「リスパレ!」とは
アニメ音楽メディアである「リスアニ!」と、大阪のラジオ局・FM802で、カラフルな音楽との出会いを描く番組「802 Palette」がタッグを組んだ音楽メディア。
アニメ・ゲームカルチャー・ネットミュージック、そしてその枠を越えた様々なアーティストの魅力を発信します。
また、「リスパレ!」がプロデュースするライブイベント「リスパレ!LIVE vol.3」の開催も決定!
「リスパレ!LIVE vol.3」
2025年7月5日(土)・6日(日)
開場:16時15分 開演:17時00分(予定)
会場
なんばHatch
http://www.namba-hatch.com/index.php
出演者(50音順)
7月5日(土):愛美/青木陽菜/岡咲美保/立花日菜/夏川椎菜
7月6日(日):佐々木李子/シネフォト部(雨宮さつき/CV.三川華月、霧山アン/CV.古賀葵、敷島桜子/CV.遠野ひかる)/harmoe/fripSide(阿部寿世、上杉真央)/前島亜美
チケット
スタンディング ¥7,700(税込)
※入場時ドリンク代別途¥600が必要
詳細やチケット申し込みは下記
https://funky802.com/lispale/
佐々木李子
公式サイト
https://sasakirico.com/
リスアニ! × 802 Palette「リスパレ!」
公式サイト
https://funky802.com/lispale/
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