INTERVIEW
2025.05.28
大好きだったギターを捨てて、お嬢様として振る舞う鈴ノ宮りりさが、本物のお嬢様でありながらドラムに魂を燃やす黒鉄音羽と出会ったことをきっかけに、再びギターを握り、押し殺したはずの本心と向き合う青春ロックアニメ『ロックは淑女の嗜みでして』(以下、『ロックレディ』)。ステージ上でなりふりかまず己を曝け出し、全力でぶつかり合うバトルのようなド迫力の演奏シーンが大きな注目を集めている本作もいよいよ終盤に突入。りりさと音羽がバンドを組み、仲間と共に初の対バンライブに挑むこととなる第9話を前に、りりさ役の関根明良と音羽役の島袋美由利、そして、EDテーマを担当するLittle Glee Monster(以下、リトグリ)のかれんと結海の初対面が実現。クライマックスに向けて、本作の魅力をたっぷりと語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
――関根さんと島袋さんはEDテーマを歌うリトグリにどんな印象をもっていましたか?
関根明良 楽器だと思いました。歌声や舞台に立っている姿すらも楽器そのものというイメージがあります。
島袋美由利 私、聞いていていつも人数がわからなくなるんですよ。30人くらいで歌ってるような厚みがある。でも、アーティスト写真を見ると指で数えられる人数だから、どうやってあの圧が出るんだろうっていつも気になっていて。この歌声を生で浴びたら、きっとひっくり返っちゃうんだろうなと思いながらいつも聴かせていただいています。
結海 ありがとうございます。
かれん 声がとてもきれいなお二人にそんなこと言ってもらえて、本当に嬉しいですね。
――リトグリは『ロックレディ』のEDテーマ「夢じゃないならなんなのさ」を歌うことが決まってどう感じましたか?
かれん リトグリは今までザ・ロックな楽曲は歌ってこなかったので、アニメタイアップとして新たなジャンルに挑戦させていただけることがすごく光栄でしたし、ありがたいことだなと思いました。
結海 このアニメは、お嬢様が本当はロックをやりたいんだっていうギャップがあって。今まで6人横並びで、爽やかに応援歌を歌い上げていた私たちがこの曲を歌うというギャップとリンクしている感じがして。歌わせていただけることにすごく嬉しいなという気持ちでいっぱいでした。
関根 初めてEDテーマを聴いた時は、ロックでかっこいいのもありつつ、なんて楽しそうなんだろう!と感じて。「夢じゃないならなんなのさ」からはお互いが合わさる楽しさがすごく伝わってきて。ロックテイストのかっこ良さもありつつ、淑女たる姿のきれいなところも感じました。なので、「すごい!この作品の良さが詰め込まれている!かっこいい!!」というのが第一印象でした。そこから改めて、歌詞をじっくり見て、MVも拝見させていただいて。“誰だ 誰だ”のところでみんなが段々と楽しそうに加わっていき “今だ 今だ 生きる時間だ”という歌詞の流れが、ライブ中のりりさと重なる気がして。一緒にエンディングの演奏をしているような気持ちになりますし、すごくすごく大好きな曲です。
結海 嬉しい!ありがとうございます。
島袋 私がEDテーマを初めて聴いたのは、確かアフレコ用の映像に何の予告もなく入ってたんですよね。「あ、入ってる!」って驚いて。私はそこで全部を聴くともったいない気がして、イントロの部分で止めて、どういう曲になるんだろう?という想像だけをしていたんです。ここからものすごいメタルになっちゃうんじゃないの!?って、勝手に妄想を膨らませていたんですけど(笑)、実際にフルで聴かせていただいた時に、なんて清らかなまま、熱を吐き出せる方たちなんだろう!と思って。『ロックレディ』の世界観はきれいなだけではなくて、激しく罵詈雑言があったりもする。リトグリさんの歌は激しい熱は持っているんだけれども、どこかしら常に品がある感じがして。でもストレートに歌ってるだけじゃなくて、ちょっとがなりが入っていたりもして。そこが挑戦する彼女と重なる部分があって、何度でも聴きたくなる曲です!
――“ハメのひとつすら”でがなりを入れてるのがかれんさんで、“クソクラエなんて 口が裂けても言わない”と珍しい言葉遣いをしてるのが結海さんです。
かれん 今までは爽やかに皆様の背中を優しく押すみたいなことが多かったんですが、やっぱり今回は言葉遣いも、今までのリトグリらしくないというか、荒ぶったリトグリをさらけ出す作業が必要だなと思って。
結海 ファンの方にも「言わなそう」っていう意見をいただきました(笑)。歌の中でもこんなに口悪い自分は初めてだったので、新しい自分を見れた感じでしたね。
関根 個人的に好きなところなのですが、“笑い返したっていいんだよね”ではなく、この楽曲では“笑い返したっていいんだよな”って言っているところが本当に大好きで。、“全力はまだだろう?”や“思いっきり巻き込もう”と言っているのもかっこいいなと思います。それこそ背中を押すというよりは、ガシッと肩を組んで、立ち向かわせてくれ、置いていかずにずっと奮い立たせてくれる応援歌だなと感じます。
島袋 私、さっき関根さんがMVを観て好きだっておっしゃってたところと被るのですが、サビに行くまでのだんだんと気持ちが乗っかっていく感じと、サビで「今、絶対にオーディエンスがクラップしているんだろうな」という感じが伝わる一体感みたいなのがすごく好きで。それは、この“誰だ 誰だ”“今だ 今だ”って、言葉が重なっているからこそ感じる部分でもあるのかなと思いますし、“生きる時間だ”という言葉のなんと尊いことか!りりさとも重なる部分もありますし。
かれん メンバーも同じことを言っていました。
島袋 本当ですか!?嬉しい!抑圧されてたものを全部取っ払って、気持ち良くなろうぜ! っていう感じがして。このBメロの辺り、大好きです。
かれん 普段、自分のやりたいことを隠してるりりさちゃんだからこそ、本当にやりたいものをやった時が本当の意味で生きている時間だっていうように捉えられるよね、みたいな話をMAYUがしていて。まさに同じことを言ってましたね。
――“一切のノイズが消えた”も劇中のシーンとリンクしていますよね。
関根 そうですね。すべてが繋がっているんじゃないかなっていうくらい。ネタバレになってしまうため、詳しくは絶対に言えないのですが、最終話を観た後に聴いたら私泣いちゃう気がして……。
かれん&結海 えーーー!やばっ!?
関根 最終話まで見届けていただいた後には、改めて、ファンの皆様にもじっくり歌詞を見ながら聴いていただきたいです!
――そして、“夢じゃないならなんなのさ”という歌詞が、アニメバージョンのラストフレーズだけ“この身体から溢れるものが 好きじゃないならなんなのさ”になっていますよね。
かれん そうなんですよ。先にアニメバージョンを録ったんです。
結海 音羽さんの「好き以外に理由があるなら教えてください」のセリフにリンクしていて。関われて本当に嬉しかったですね。
かれん 歌割りもちょっと違ったりするので、誰が歌っているかにも注目していただけたら嬉しいですね。原曲では“Gimme more”はmiyouだけなんですが、アニメバージョンは私も歌ってますし、歌の重ね方も違っていたりするので、両方楽しんでいただけたら嬉しいです。
――今あった 「好き以外に理由があるなら教えてください」というセリフはどう感じましたか?
島袋 私たちは収録をしている時の感情に立ち戻ってしまうがゆえに、私は音羽が楽しそうならそれでいいよっていう親心が出てきてしまいますね。「今が楽しくて仕方ないんだね」という気持ちに共感するというか、当てられるというか。そういった感情で演じていたので、そういうものにはなってしまうんですが……りりささんはどうですか?
関根 私も音羽の「好き以外にやる理由が~」のシーンを思い返すと、怒りやもどかしさといった感情になってしまって。。りりさはまだ葛藤の最中で、こっちはこんなに我慢してんのにっていうイラつきだったり、何も知らないくせに、みたいなところが思い出されてしまう。でも、それを一度忘れて、関根自身で改めて考えるのであれば、私も幼い頃から声優になりたいと思い続けずっとこの夢を追いかけているので、「なんでこの仕事を目指しましたか?」と聞いていただくことがあるのですが、まさに「好き以外理由はありません」という感じになるのかなと思います。
結海 うわー、かっこいい!
かれん 私も幼い頃から自分の好きなことをさせてもらって育ったので、音羽さんに近いかもしれないです。自分の好きなことをやったらいいよっていう親だったので、私はすごく恵まれて育ったなと思います。ただ、りりささんの気持ちもわかるんですよね。「高潔な乙女=ノーブルメイデン」を目指すために自分の好きなことを必死に我慢して閉じ込めてたのに、なんやねん!っていう。両者の気持ちが痛いほどわかって、「ううっ……」ってなりましたし、「わかるわかる」と思いながらテレビの前で観ていました。
結海 私も幼い頃から表現することが好きだったので、私も音羽さん寄りというか、応援してもらっていた側だったんですけど、もし今、夢を反対されて、やらないほうがいいのかなと思っている人がこのアニメを観たら、すごく響くと思います。「いや、私はこれがやりたいからやります」っていうふうに思えるんじゃないかな。なのでたくさんの方に観ていただきたいです!
――島袋さん、そういったメッセージも込められていますか?
島袋 私個人としては、その人の背景によって、聞こえ方がすごく変わるセリフだなと思うんですよ。自分に言い訳してる人だったら、そこで背中を押されるかもしれないですし、かえって、そこまで好きじゃないのかなってなったりするかもしれない。また、境遇がそれを許してくれない場合は、うるさいと思ってしまうかもしれないし。でも、このセリフを音羽が言っているということが私は何よりも大事なことだと思っていて……ただ、これを言うと、大ネタバレになってしまうということに気づいて、今急いでブレーキを踏んでいます。
結海 気になる!
島袋 彼女のバックボーンも考えると聞こえ方が変わるセリフでもあるなと思いますし、何も知らないで聞くと、ただただ熱いものを浴びせかけられる、最高な熱いシーンだというふうに思っています。
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