REPORT
2025.05.22
2025年4月29日、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、“ソロCHiCO”初のホールワンマンライブ〈LAWSON presents CHiCO 1st Hall Live “CONFETTi”〉が開催された。当日はBURNOUT SYNDROMESの熊谷和海、FLOWからKEIGOとKOHSHI、そしてバーチャルシンガーの花譜をゲストに迎え、ソロ活動の中で出会った仲間達との多彩なコラボ楽曲を披露! 今も成長を続けるCHiCOとファンが、華やかなパーティを心ゆくまで楽しんだ。
TEXT BY 阿部美香
PHOTOGRAPHY BY江藤はんな (SHERPA+)
これまで数々のステージで歌声を披露してきたCHiCOだが、LINE CUBE SHIBUYAでのライブは、CHiCO with HoneyWorksとしてもソロ活動でも初めてのこと。しかも今回は、これまで楽曲でコラボしている音楽仲間――熊谷和海(BURNOUT SYNDROMES)、KEIGO&KOHSHI(FLOW)、花譜と、豪華なゲストアーティストとの共演が発表されていただけに、期待はますます膨らんでいた。最新曲「6:00 PM」のリリースインタビューで、「せっかくの機会なので、皆さんとは今まで挑戦したことのない曲でのコラボもやらせていただきたい!と、わがまま言わせてもらいました」と嬉しそうにしていたCHiCOの顔を思い出しては、「CHiCOナンバーからはどの曲がセレクトされるのだろう?」「どんなコラボが実現するのだろう?」と、ライブ当日がとても待ち遠しかった。そして、その期待が裏切られることはなかった!
タイトルにCHiCOが掲げた“CONFETTi”は、結婚式やパーティイベントで空中に投げられる“紙吹雪”を意味する言葉。その名にふさわしい、絶対に華やかなステージが約束されたこの日のパーティは、真っ赤なティアードドレスに身を包んだCHiCOがピンクのライトを浴びた、軽やかなオープニングナンバー「fam!」からスタート!リズムに合わせて客席で揺れる赤いペンライトを嬉しそうに見つめるCHiCOが、“共に笑おう”“そばにいるよ”とオーディエンスに優しく歌いかける。これまで共にソロツアーを回ってきた黒須克彦(b)が率いるCHiCOバンド――山本淳也(ds)、金井央希(key)、Ommy(g)、小濱信慶(mani)による完成度高く奏でられるサウンドが、CHiCOの歌声を支えながらLINE CUBE SHIBUYA全体に広げていく。そんな心地良さを、「さぁぶち上がっていくよ!」というCHiCOのパワフルな声が切り裂いた2曲目は、赤と青の照明がぐるぐる回転し、ヤンチャなロックの匂いに包まれた「SURVIVOR」。先ほどまでの柔らかさはどこへやら、「声出してこーぜ!」と煽るCHiCOにオーディエンスの大きな掛け声が重なって熱を上げ、疾走感に溢れたバンドチューン「Noel」へと繋がれる。様々なアーティストとのコラボレーション楽曲がフィーチャーされた1stソロアルバム『CONTiNUE』からの楽曲で畳みかけられたオープニングブロックが、ソロCHiCOらしい魅力を改めて感じさせてくれる。
笑顔しかないオーディエンスと「ついに来ました、ホールワンマンが!」と元気に挨拶を交わしたCHiCO。そんな彼女と一緒に、楽しそうに笑うファン。CHiCOライブらしい温かな空気に、思わず頬が緩む。「CHiCOソロ初めてのホールワンマンということで、皆さんと一緒に今日を迎えることができて超ハッピーです!」の言葉に、大きな歓声が送られる。アットホームな雰囲気を、さらに明るく盛り上げた次の曲は「HiGHTLiGHT」とCHiCO with HoneyWorksナンバー「恋色に咲け」。今の季節をたっぷり感じさせてくれる春らしい2曲をのびのびと歌いながら、CHiCOがステージを駆け回った。
ここで、本日初のコラボコーナーがスタートする。「次はコラボをしたいと思います。皆さんのパワーをもっともっとホールに響かせていきましょう!最初のゲストはこの方でーす!」と始まったイントロは、BURNOUT SYNDROMES×CHiCOの「Xross Road」!CHiCOのドレスとリンクするような赤いパンツスタイルの熊谷和海が、両手を広げてステージ中央から登場して「声出して行きましょう!」と客席を煽ると、さらに歓声が大きくなる。BURNOUT SYNDROMESとCHiCOがもしも一緒にバンドを組んでいたら?というコンセプトで熊谷が書き、BURNOUT SYNDROMES の5thアルバム『ORIGAMI』に収録されていたこの曲は、CHiCOのライブで歌われるのも初めてとあって、オーディエンスもヒートアップ。熊谷とCHiCOが向かい合い、寄り添い合ってハーモニーを重ね、一緒に拳を挙げてパワフルに歌い上げると、ステージは青春の1ページを刻むライブハウスへと姿を変えた。
これまでもコラボ曲や楽曲提供が多く、ライブでの共演も少なくない熊谷とCHiCOはトークも弾む。熊谷はCHiCOのワンマンに出演できて嬉しいと語り、2人が初めて「週刊少年ジャンプ」で対談をした5年前を振り返り、話は「イバラヒメ」をCHiCOに楽曲提供した時のことへ。「イバラヒメ」が他の楽曲提供者と違って個性的な曲に仕上がったのは、「CHiCOさんって、ダークファンタジーEDMお姉さんじゃなかったっけ?」という認識があったからだと言うと、CHiCOも改めて「熊谷さんってすごい。あの曲が私の幅を広げてくれました」とお礼を述べていた。そして「もう1曲、BURNOUT SYNDROMESの曲をコラボさせていただきます」と告げて放ったのは、2人で一緒に歌うのは初となる、縁の深いTVアニメ『ハイキュー!!』シリーズからの1曲「FLY HIGH!!」。ギターソロのパートでは、2人でOmmyを囲み、客席と一緒に拳を振り上げ、熊谷のリードでオーディエンスがシンガロング。力強く歌声を響かせた。
手を振って熊谷がステージを後にすると、会場は暗転。ネジを巻き上げるSEが響いて始まったのは、先ほどのトークにも登場した熊谷から楽曲提供された「イバラヒメ」。赤紫の照明がステージを覆い、イントロが流れた瞬間に客席が反応。妖艶なファルセットを聴かせたCHiCOは、続くダンサブルな「真夜中エスケープ」でも夜のムードを醸し出したセクシーなダンスで魅了する。ロックからポップスまでバラエティに富んだセットリストを届けるなかで、スルリと挟み込まれた大人っぽいCHiCOは、フェスなどでは見せないソロワンマンだからこその姿だ。
MCを挟んで、ここから2曲はしっとりしたバラードを。選曲のテーマは、4月という季節に合わせた“出会いと別れ”。「感情が揺れる4月ということで、この楽曲を用意しました」と言って届けたのは、学生時代の卒業の別れを歌うCHiCO with HoneyWorksナンバー「贈り歌」と、もう会えない人との別れをテーマに彼女自身が歌詞を紡いだ「オモカゲ」。2曲とも響きが異なる、切ない感情がこもったCHiCOの歌声が、静かに心の襞に染みこんでいった。
「次はまたコラボに行きたいと思います」とCHiCOが予告。「しっとりした気持ちだと思いますが……切り替えて(笑)。ぶち上げていきたいと思います。この方々でーす!!」とステージに呼び込まれたのは、世界を股にかけて活躍するFLOWのボーカル、KEIGOとKOHSHI!大歓声をうけ「すいません、余韻ぶち壊しちゃって!」と恐縮するKEIGOに、「とんでもない!セットリスト作ってるのは私なんで!」とこちらも恐縮するCHiCO。アルバム『CONTiNUE』で初めてFLOWに楽曲提供してもらい、「我物語」のMVにもなったレコーディング風景や、昨年CHiCOがシークレットでゲスト出演した“FLOW THE FESTIVAL 2024”を振り返る。少し緊張しながら話すCHiCOに、2人の先輩がツッコミを入れながらの愉快なトークにたくさんの笑いが起こり、会場の雰囲気も勢いづいていく。そして、「皆さん、掛け声もバッチリだと思います!」とCHiCOが告げてスタートしたのは、もちろん「我物語」だ。昨年の“CONTiNUE”ツアーでは、オープニングBGMとして音源で届けられていたこの曲。ついにCHiCOワンマンでの生歌唱が実現したとあって、オーディエンスのテンションも出だしから最大出力に!KEIGOのリズミカルなラップ、KOHSHIとCHiCOのパワフルなボーカルに負けじと、客席から「Oh~Oh~Oh~」の大合唱が重なり、ペンライトが激しく振られる。
一気に高熱を放出し、「今日というステージを家宝にして、一生忘れません。子供の頃からずっとFLOWを見て来て、ライブで皆さんと一緒にペンライトを振って、(大声で)ふぁーっ!わーっ!ってやってたのが、こうやってステージに立てて…」と感無量で語るCHiCOを励ますように、KEIGOとKOHSHIが「コラボ曲は披露する場が少ないから、こうして1年ぶりに〈我物語〉を歌えるのがめちゃくちゃ嬉しい」と温かい言葉をかける。そしてCHiCOが「子供の頃の自分、見てるかー!これから一緒に歌うぞー!」と叫んで、もう1曲用意されたコラボ曲「GO!!!」のイントロでKEIGO、CHiCO、KOHSHIが3つのお立ち台から同時にジャンプすると、LINE CUBE SHIBUYAのテンションはダダ上がりに! 3人がステージを駆け回り、FLOWライブでも恒例のウエーブを巻き起こし、KEIGOとKOHSHIが煽るたびにオーディエンスがペンライトを振り上げながら大合唱!最後は全員でジャンプを決めた。
嵐のようなFLOWコラボが終わっても「わー、最高だー!」とCHiCOは興奮ぎみ。そんな彼女に客席から「おめでとう!」の声が飛んでいた。
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