REPORT
2025.05.15
トゲトゲが前回Kanadevia Hall(当時はTOKYO DOME CITY HALL)に立ったのは『MyGO!!!!!×トゲナシトゲアリ「Avoid Note」』で今年1月のことだった。ただ、ライブ中にメンバーからも触れられた通り今回のKanadevia Hallは劇中のトゲトゲにとって苦い思い出がある場所でもある。彼女たちにとって因縁のバンドであるダイダスがアニメ内にて、ワンマンライブを開催したのがこの場所だからだ。
桃香がかつて所属していたが脱退、その後はいわゆる“アイドルバンド”に変貌したダイダス。仁菜にとっては「命の次に大事なもの」と言えるバンドだったにも関わらず、彼女が決別した親友=ヒナが加入したという衝撃の事実を突きつけられたのもこの会場でのことだった。そんなダイダスがプロジェクト始動以来、リアルバンドとして初めてステージに舞い降りる。
ダイダスが披露したのは「ETERNAL FLAME ~空の箱~」「Cycle Of Sorrow」の2曲。前者の楽曲では、歌い終わりの“どう足掻いても明日はない”を理名と同じく前屈みになりつつ、一方で対照的にその姿勢のまま片方の腕をぴんと上に伸ばして歌い上げる近藤玲奈(v/ヒナ役)。客席からの見え方を忘れないのがどこまでもヒナそのものだ。また後者の楽曲ではメンバーの前に吊るされた妙幕にキャラクターのイメージカットを投影する演出も見られた。アニメに登場したダイダスも取り入れそうな演出で、本当に劇中の世界に入ったような感覚にさせられてしまった。
パフォーマンス全体として、作中で桃香が言うところの「あんなクソみたいな演奏」ではなかったと強調しておきつつ、近藤のボーカルにアイドルっぽさを感じ、トゲトゲとは正反対に音の輪郭に鋭さ=“トゲ”がなかったのは、楽器の調整だけで表現できるものではないだろう。その他ヘアメイクに衣装、肘を起点に腕を振る煽り方に至るまで、とにかく“女の子らしさ”に重点が置かれたパフォーマンスだった。リアルバンドとしての両者の特色を比較するならば、キャラクターの演奏技術を超えていくバンドがトゲトゲだとしたら、ダイダスは絶対にそのボーダーを超えず、とにかく忠実な“再現”に徹するバンドであり、ある意味ではメディアミックス出自の集団としてとても原理的なスタンスにあるのかもしれない。筆者はそのあまりの完成度に歓声を上げてしまったのだが、ダイダスはトゲトゲにとってあくまでライバル。それを思うと「ここで盛り上がったら、トゲトゲに合わす顔がない」というジレンマを抱え複雑な心境に……。そんなことを考えていると、ステージ上のダイダスメンバーが演奏を終えて、下手側の舞台袖に向けて一斉に小指を立てる。カメラがその先へとパンすると……そこに立っていたのは、いぶかしげな表情をするトゲトゲの面々。ノーガードで殴り合う、これが『ガールズバンドクライ』流のライブのやり方である。
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