REPORT
2025.05.15
“『ガールズバンドクライ』2nd Anniversary LIVE”が4月27日、東京・Kanadevia Hallにて開催された。東映アニメーションが製作するオリジナルTVアニメ『ガールズバンドクライ』の2周年を迎えたことを“お祝い”して開催された本ライブでは、劇中の主人公たちによるバンドと連動するリアルバンドのトゲナシトゲアリ(以下、トゲトゲ)と、劇中にてトゲナシトゲアリのライバルバンドとして登場するダイヤモンドダスト(以下、ダイダス)が躍動。作中で“約束の地”として描かれた場所で開催される、『トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館“奏檄の叫”』に向けて、さらに弾みをつける一夜となった。
TEXT BY 一条皓太
PHOTOGRAPHY BY 冨田味我
「今日はまた、特別な夜になります。ぜひ楽しんでいってください」。ライブ冒頭、メンバーの朱李(b/ルパ役)から届けられた挨拶の言葉である。意外だったのは、ライブと言いつつ本公演が曲始まりではなかったこと。まずはトゲトゲの面々が、なにかの式典のようにぞろぞろとステージに登場し、客席全体がそれを温かな拍手で包み込む。“お祝い”という意味で、これ以上に相応しい光景はない。
今回の公演は冒頭の2曲を終えてからのMCで朱李が趣味の野球観戦に絡めて、この日の会場の隣に東京ドームがあることからシーズンインを宣言しようとしたり、夕莉(g/河原木桃香役)が「河原木桃香、ハタチ」と自己紹介しながら色々な感情に耐えきれずニヤニヤとしてしまったりと自由な振る舞いを見せ、そんな2人と対照的に客席に向けて「だってみんなね、ライブ見たいでしょ……」とやや物怖じしながら最年少の理名(井芹仁菜役/Vo.)がその場をまとめ上げようとするなど、全体を通してどこかゆるりとした空気が流れていた。しかし、そんなトゲトゲもひとたび楽器を握れば、もはや“豹変”と言えるほど違った表情を見せる。あまりの轟音でこの日の1曲目ながらフィナーレのようなボルテージとなったTVアニメ『ガールズバンドクライ』OP主題歌「雑踏、僕らの街」を皮切りに、同世代のやるせなさをボーカルで畳み掛ける「傷つき傷つけ痛くて辛い」、そこから春風のような柔らかさを笑顔と共に運んできた「運命に賭けたい論理」など、次々と異なるアプローチでキャラクターの不安定な情緒を彩やかに表現してくれるのだ。
ファーストブロックを一気に駆け抜けると、続いては“この会場”だからこそ、アニメのストーリーに入り込んでライブを進めていくことが語られる。まずはデビュー曲「名もなき何もかも」を披露すると、舞台後方のスクリーンにリアルタイムで捉えた理名の姿が映し出され、そこに彼女演じる仁菜を象徴する心の“トゲ”を重ねる映像演出が見られる。そして映像の舞台は東京から作品の聖地=神奈川・川崎駅前に。夕莉のエレキが五線譜の上を滑り出すと、披露したのはTVアニメ『ガールズバンドクライ』第1話挿入歌「空の箱」だ。
驚かされたのは、音源と異なり本来はないサビのワンコーラスを冒頭に挿入し、それを夕莉が1人で弾き語りしたこと。第1話にて夕莉が演じる桃香の演奏シーンを再現した演出で、駅前に実際にいるストリートミュージシャンのような不器用だけども心に訴えかける表現として仕上がっていた。そこからひと呼吸を置き理名にボーカルが移ると、アニメ同様に各パートの音が徐々に重なっていき気持ちをぶつけていく。歌い終わりの“どう足掻いても明日はない”を理名が大きく前屈みに、かつ両手でマイクを握り全身全霊を込める姿は彼女が演じる仁菜らしさに溢れていた。
この直後の「声なき魚 (新川崎(仮))」をはじめ泥臭くタフなライブを届けるトゲトゲ。彼女たちのステージを見ているとなぜだか我々まで悔しく、やるせない気持ちを抱いてしまう瞬間がある。その想いを受け取った人々が新たにバンドを組み、次の世代へと“トゲ”を繋いでいく、そんな未来すら見えた気がした。
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