多次元アイドルプロジェクト「UniteUp!」では、ストレートなロックンロールからジャズのテイストやソウル、ダンスやエレクトロまで多彩なサウンドを響かせるバンドアイドルユニットのJAXX/JAXX。劇中では共同生活を送り、まるで家族のような温かさのある彼らのその親密な空気はキャストの5人の仲の良さにも滲む。そんな強い絆で結ばれた彼らがニューアルバム『JAXXPOT TIME』をリリース。黄金色に輝くサウンドが溢れ出す1枚をレビューする。
★PROTOSTAR『United Stars』レビューはこちら
https://www.lisani.jp/0000281111/
★LEGIT『How Is This』レビューはこちら
https://www.lisani.jp/0000282233/
★新連載スタート予定!詳しくはこちらのページをチェック!
https://www.lisani.jp/series/uniteup_76pacifico/
TEXT BY えびさわなち
ジャラジャラと金貨がスロットマシーンから溢れ出す様子が浮かぶようなタイトルのついたJAXX/JAXXの1stアルバム『JAXXPOT TIME』。その幕開けを飾るのは、ギターの、ベースの、キーボードの、ドラムの音がそれこそジャラジャラと溢れるように響く「Sailing Story」だ。TVアニメ第2期『UniteUp! -Uni:Birth-』の中で、sMiLeaプロダクションが開催し、各アイドルが同じテーマの下、それぞれに新曲を披露した「リリースバトルライブ」でJAXX/JAXXがライブをした会場は横浜の海の見える会場だった。キラキラと宝石のような輝きを放つ5人で世界をジャックする!という意気込みが宿るアッパーチューンは、夢という大海原の航海へと飛び出す5人の物語の始まりが高らかに歌われる。海賊をモチーフにしていることもあり、勢いをつけて、どんな大波であろうとも乗り越えて進もうという気概と同時に仲間と共に意気揚々とアルバムの世界へと漕ぎ出すための力強さを感じさせる「鬨の声」の歌。アルバムの世界へと一気に引き込んでいく情熱に満ちたナンバーだ。
2曲目には「Mayday (JAXX/JAXX ver.)」を収録。UniteUp!公式YouTubeチャンネルから水星の如き輝きと共に歌い手シーンに登場したはる賀こと春賀楽翔が、2022年4月にアップしたシンプルかつ軽快な1曲をJAXX/JAXXバージョンで響かせる。クラップのリズムはそのままに、躍る鍵盤や歌うようなベースライン、勢いをつけるギターのリフに跳ねるドラムのリズムやスクラッチ、カラフルなコーラスによってJAXX/JAXX流のパーティチューンへと変貌。楽しそうに駆け巡る音によってJAXX/JAXXのメンバーの息の合った様子や絆の強さを感じさせる。
新曲「愛依存」は春賀楽翔の作詞作曲として楽翔役のmasaが楽翔として書き下ろした1曲。元気いっぱいなJAXX/JAXXが持っている情念という一面を出した叙情的なナンバーは、エモーショナルなギターと、抑揚で情感豊かに響かせるボーカルとが印象的。
続く「AXXEL」も本アルバムのための新曲。「SPYAIR」の楽曲を数々手掛け、昨年リリースされた「どうにでもなれ!」のアレンジを担当したtasukuと「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の楽曲をはじめ数多くの楽曲を手掛ける鈴木エレカと共に、シンガーソングライターでもあるmasaが作ったライブユースなアッパーチューン。畳みかけるようなロックンロールはオールドスクール的な王道感がありながら、向かい風をも吹き飛ばしてタオルを回して楽しんでしまうようなパワーと強い意志を宿す。野外フェスで歌い上げるJAXX/JAXXが見えてきそうな、疾風の息遣いが宿ったナンバーだ。
アニメの劇中で開催された「sMiLea LIVE -Fly into the Uni:Birth-」でPROTOSTARプロデュースのステージで披露した「RAYS」も収録。バンドアイドルユニットである彼らがダンスパフォーマンスのステージで魅せたことが記憶に鮮やかな本ナンバーは、スケール感と広がりのあるエレクトリックダンスミュージックで、爽やかかつJAXX/JAXXの大人の色香をも感じさせる。JAXX/JAXXの「STORM’s EYE」や「A.P.P.L.E.」をプロデュースしたBURNOUT SYNDROMESの熊谷和海が手掛けたこの曲の、メンバーのボーカルを繋いでいくパートは1人1人のボーカルをじっくりと聴くことができ、重なるハーモニーの美しさも光る楽曲だ。
そして、2024年7月に配信リリースされた「恋しようぜ」がアルバムで初の音源化。リラックスムードの中で優しく柔らかな歌声が印象的で、そのハーモニーからはJAXX/JAXXの仲の良さがひしひしと伝わってくる。レコーディングスタジオに5人揃って入って、「恋しようぜ」を収録する様子をリラックスした雰囲気たっぷりに、時にコミカルに、時に笑顔いっぱいに映したドキュメント風のMVからも、普段の彼らの姿が見えるだけではなく、キャラクターの5人の仲の良さが見える。きっとこうして彼らは視線を合わせて、楽しげにクラップをしているのだろう、とイメージができ、多次元アイドルプロジェクトならではの、キャストとキャラクターのクローズな様を見せてくれる。
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