INTERVIEW
2025.04.17
――DISC2もまたへきるさんが歌われる“ROCK”に様々なアプローチがあるなと。それこそ1曲目からして「スーパーガールズ Funky No.1」という。
椎名 1996年ですね。よくこれを歌わせようって思ってくださって、もう感謝しかないです。アコギと一緒に始まるちょっと昔っぽいというか「かっこいいけど女の子ボーカルでこれ持つのか?」って曲じゃないですか。みんな冒険者だなと(笑)。
――そして「ROLLING STONE」が収録されるのも印象的ですね。
椎名 「ROLLING STONE」は当時ライブでも定番でした。「Graduater」を作ってくださったアキレスKENさんとTACOS NAOMIさんのタッグによる曲なのですが、2人とも私のライブも観に来てくださっていて、ライブの雰囲気とかファンの方々のエネルギッシュさもご存じだったんですよね。なのでこの曲はライブを想定して「「Graduater」を超えるものを作ろう」と。これも編曲が大坪さんで、変わったドラムなんですよ(笑)。すごく紛らわしくてドラマーの方に「えっ、なになに?」っていつも言われます。
――また一方で「DREAM THEATER」のような壮大な曲もありますね。
椎名 「DREAM THEATER」は木根尚登さんが初めてプロデュース(葛城哲哉との共同)してくださったアルバム『Sadistic Pink』の1曲目で、アルバムの幕が開いてそこから物語が始まっていくような雰囲気でと作られた曲です。だからこの曲を単体で考えることはこれまであまりなかったと思うんですよね。なのであえて入れておきたいなと思って選んでいます。
――そしてクライマックスには「電撃ジャップ」からの「旅立ちの唄」という代表曲が2曲続きます。「旅立ちの唄」は『HARMONY STAR』収録のピアノから始まるバージョンではなく、最初からロッキンなオリジナルバージョンです。
椎名 この当時の思いをそのまま収めました。2005年の曲なんですけど、これも「スタンバイ!」と同じように社会に出たファンの方たちを応援する歌詞になっていて。びっくりすることに私よりも10歳20歳下の後輩に会うと「旅立ちの唄」を知っている子たちがいて、「すごく泣けるんです」って感想をいただけるんです。この曲は当時の私が地元から都会に出て、右も左もわからずに夢をガムシャラに追いかけていく時の気持ちを歌にしていて、当時の葛藤や実体験をたくさん歌詞に入れ込んでいるんですよ。それが皆さんにも重なるみたいで、地方から来た子たちがこれを聴いて「諦めちゃいけない」ってすごく思ってくれるみたいなんです。
――この曲もライブでは皆さんで一緒になって歌う曲となっています。「スタンバイ!」と同様にファンの方にとって実感がこもる曲になっているのかなと。
椎名 この曲で歌われていることを誰しもが感じているんだと思うんです。例えようのない不安な世界でも「諦めたら終わりなんだよ」と。そういう若い頃の思いはみんなずっと、大人になっても忘れない。だから「旅立ちの唄」は私の青春ソングなんです。
――へきるさんは近年、自身の現在を“大人の青春”と言っていますが、ずっと青春が続いていくように昔からの思いは変わらないというか。
椎名 この曲の歌詞で“引き出しにしまってた 殴り書きした日記に 連ねた言葉は 嘘じゃない”と書いていますけど、日記を書くというのは私自身が中学生の時から実際にやってきたことで、もう何冊分もの日記帳が溜まっているんですよ。そこには人に言えないこと、自分の愚かさや浅はかさ、他人への嫉妬もたくさん書かれていて。そういうドロドロでぐちゃぐちゃにこじれた感情をまとめて消化するために日記を書いていたんです。でも、そういう感情ってなくさないでいい、ぐちゃぐちゃなままでいいと私は思っているんですよ。いつか落ち着く時が絶対に来るから。だから歌詞にも“ガムシャラにバカになれ”という言葉が出てくるんです。わからないならわからないなりに、ガムシャラに生きればいいと思っているので。
――中学生の頃から抱える思いが2005年に綴られて、それを20年後の今も変わらず歌われているわけですね。
椎名 そうですね。もちろん私自身も昔ほど無鉄砲じゃなくなったと思うんですけど(笑)。ただこの令和になって若い子たち……って言い方はちょっと上から目線になっちゃって申し訳ないんですけれども、今って夢を追いかける人が自分の好きなことを我慢している状況じゃないですか。生活をしていくために夢を諦めたり、持っている情熱に蓋をしなきゃいけない状況に迫られている人がいる。私よりもまだ何十年も未来がある子たちが我慢を強いられる世界がすごく悔しくて。「人生の可能性はまだ山ほどあるよ、だから本当にやりたいなら諦めるな」というエールを送りたい。若い子たちを励ましたいんです。例えば声優の世界でも、10代や20代で現場に出てきて、やっぱりみんな葛藤しているわけですね。そこで諦めざるを得ない子たちのほうが圧倒的に多い。それでも葛藤しながら舞台に立ち続けている子たちもいて、その子たちのガムシャラさを見ると私自身も胸が熱くなりますから。
――そういう意味では今のへきるさんは未来に繋ぐために歌いたい、伝えたいものがあるんですよね。
椎名 そうですね。私が昭和の人間なのもありますけど、もっと自由でいい、もっと自由に開放してほしいんです。「まだ未来がこの先いっぱいあるから、頑張れ!」って応援したいです。
――こうしてお話を聞くと、やっぱりへきるさんの歌はこれからも必要なんだなと思いますし、昨年から続いている30周年のアニバーサリーの先というものも期待したくなります。
椎名 急にそんな改まって!(笑)。
――例えば5月に“椎名へきる ファンクラブイベント2025 in新宿村〜推し活ドリームライフ♡〜”もありますが、今後ライブなどやってみたいことはありますか?
椎名 もちろん実現したい目標はたくさんあるんですけど、なかなか難しいことも多いですね。でも、自分がやれる範囲ではまだまだやっていこうとは思います。私1人でどうこうできることでもないと思うので、そこは謙虚に(笑)。でも、まずはこの『LOVE and ROCK go together』を引っ提げてライブをやりたいですね。ただこの曲数、1回で全部披露できるかな……?
――たしかに32曲ありますからね。
椎名 ディスク1枚16曲だけでも濃すぎる内容なので、私にとっては地獄のライブになる(笑)。体がもつのか?というくらいエネルギーがある曲ばかりなんですよね。どう考えても全部全力で行かないと無理ですもん。休めないでしょ……どうしよう(笑)。
――そこも含めて期待しています!
椎名 はい!じっくり考えますので、楽しみにしていてください。
●リリース情報
LOVE and ROCK go together
4月17日発売
品番:MHCL-31072
価格:¥5,000(税込)
<ブックレット>
カラー全52ページCDブックレット
最新インタビューによる選曲解説掲載
<DISC1>
1. すごく楽しい空になるのに
2. 攻撃は最大の防御
3. 星空のシャワー
4. 246
5. 抱きしめて
6. この世で一番大切なもの
7. あいたい
8. live to love ―もう少し早く逢えたなら―
9. Love Graduation
10. 眠れる森
11. Anniversary
12. スタンバイ!
13. Always
14. メモリーズ
15. ラヴ・ジェット・コースター
16. ロックンロール・ラヴレター
<DISC2>
1. スーパーガールズ Funky No.1
2. Distance
3. This Moment
4. ROLLING STONE
5. Everlasting Train-終わりなき旅人-
6. BESIDE YOU
7. 大切なページ
8. Jungle Life
9. DREAM THEATER
10. SNOW fall
11. PROUD OF YOU
12. レヴェランス
13. 電撃ジャップ
14. 旅立ちの唄
15. 幻想の雪
16. WONDER☆RIDER
●ライブ情報
椎名へきる ファンクラブイベント2025 in新宿村〜推し活ドリームライフ♡〜
日程:2025年5月17日(土)
会場:新宿村LIVE
オフィシャルサイト
https://www.hekiru-shiina.jp/
オフィシャルX
https://x.com/shiina_hekiru_
オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@shiina_hekiru
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