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INTERVIEW

2025.04.17

アーティスト活動30周年を迎える椎名へきるが時代を超えて伝えたいメッセージとは――アルバム『LOVE and ROCK go together』リリースを記念し椎名へきるの音楽を振り返る

アーティスト活動30周年を迎える椎名へきるが時代を超えて伝えたいメッセージとは――アルバム『LOVE and ROCK go together』リリースを記念し椎名へきるの音楽を振り返る

ファンと共に歩み、これからも変わらず生き続ける“LOVE”

――それを踏まえて改めて本作のDISC1“LOVE”に目を落とすと、歌詞が等身大な曲が多いですね。

椎名 自分で歌詞を考える時も共通してなのですが、他の人に作詞をお願いするにあたって「できるだけ等身大でお願いします」というお話はしていて。大人の女性すぎると私が感情移入できない、キャラクターを作っているみたいになっちゃうので「できるだけ年齢が同じくらいの女の子の気持ちで歌いたい」っていうことはお伝えしてきたんです。

――等身大の目線から浮き彫りになる様々な“LOVE”が凝縮されているのがDISC1なのかなと。

椎名 “LOVE”には色んな形がありますよね。その中には悲しいこともつらいことも、孤独なこともあるし、もちろん幸せも喜びもある。それらの感情が1人の人間の中にたくさん芽生えていることの素晴らしさが“LOVE”だと思っているんですよ。そこから生み出されるエネルギーというものが音楽を通じて、感情も含めて伝わったら嬉しいなと思います。

――そうした“LOVE”も時系列で聴いていくとより広がりが見えてきます。

椎名 自分が歌詞を書いたものに関して言えば、例えば「スタンバイ!」「Always」「メモリーズ」なんかは、ファンの方々と共に成長しながら歩んできた道のりがあって。みんなが頑張っているのを私も見ているし、みんなも私が歩んできた道を見ていて、そのなかでの大きな意味でのエールを皆さんに送りたいという意味で書いた楽曲でもあるんです。そういった愛が伝わったら嬉しいなという意味で今回これらの曲をセレクトしました。

――「スタンバイ!」は2003年の曲ですけど、2023年8月の“椎名へきる LIVE 2023~STARTING LEGEND“0”~”で、ファンが“歳をとってもいつまでも”と歌った光景が感動的で。

椎名 リリースから20年以上経ってます!?怖い!(笑)。あの当時、ファンの方たちに対して何か歌で応援できないかなと思って作った曲なんですけど、その気持ちは今も変わっていないんですよね。それはやっぱり今も感謝の気持ちがあるからだと思います。ファンの方々が変わっていく歳月のなかで、私も皆さんを見ているし、皆さんも私を見ててくださっている。そこへの感謝があるから同じ気持ちで歌い続けられているんだと思うんです。

――20年経っても“どうぞこれからもよろしくね”と言い合える関係は本当に美しいと思います。

椎名 まさかのこんな歳になっても“よろしくね”を言い合えるのは、もうびっくりですね。

――個人的には「Always」も印象深くて。メロディが素敵ですよね。

椎名 作曲は木根尚登さんで、昨年11月にお亡くなりになられた勝又隆一さんが編曲を担当、素晴らしいクラシカルなアレンジをつけてくださって完成したものなんです。元々メロディラインがとてもきれいで、それを幻想的なバランスに仕上げてくださったのは勝又さんの持っている優しさですよね。

――優しさですか。

椎名 はい。優しさのセンスというんですかね、その包み込むようなメロディライン、そこにストリングスの重ねていく美しさとか。木根さんから楽曲をいただいた時に、すぐに「(編曲は)勝又さんにお願いしたい」って思ったんです。それで久しぶりにアレンジをお願いしました。アレンジにあたってクラシックのように旋律を倍音で響かせたいってお話をして。それを良しとしないというか、できない方も結構いらっしゃるんです。であればクラシックの良い部分を知っている方にアレンジをお願いしようというところで勝又さんが浮かんで。アレンジの話で言うと、例えば“ROCK”のほうの「電撃シャップ」とか「WONDER☆RIDER」に関しても同じことが言えるんです。洋楽とかのアレンジのかっこ良さってちょっとクラシカルな部分が入っているんですよ。楽器ごとに細かく違うことをやって埋めるんじゃなくて、ドーンとみんなが同じことをやるからまとまっていてかっこいいっていうのが洋楽にはあって。対して日本の音楽だと違うことをやって全部埋めていこうってしちゃうんですね。そうじゃない、洋楽的なかっこ良さを出したいとお願いしたのが「電撃ジャップ」や「WONDER☆RIDER」。アレンジの依頼をする時にはアンドリューW.K.(アメリカのロックアーティスト)を例えに挙げて。

――豪快なイメージがありつつもクラシカルなロックという辺りがまさにそうですよね。

椎名 そうなんですよ。あの人はクラシックをちゃんとわかってる人だから、旋律を倍音で響かせる良さをわかってるですよね。それが気持ち良いことを理解してほしいっていうのが私の意図だったんです。

次のページ:これから旅立ちを迎える若者たちへ送る、椎名へきるからのメッセージ

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