下北沢の幕間映像を挿んで、今度は結束バンドのドラマー担当・伊地知虹夏役の鈴代紗弓が元気よくステージに登場。the peggiesの北澤ゆうほが楽曲提供したTVアニメ第8~11話のEDテーマ「なにが悪い」を虹夏らしい明るくキラキラした歌声で届けていく。カメラに寄ってサービスするなど伸び伸びとしたパフォーマンスにこちらも思わず笑顔になってしまう。会場中が手を左右に振りながら大合唱する美しい景色を作り上げると、続くMCでは「皆さん楽しんでますか?」「私も楽しいです!」と満面の笑みでファンとやり取り。アニメのオーディションを受けた当時は、まさかこんな会場でライブができるようになるとは思っていなかったと喜びと感謝の気持ちを伝えると、EP『We will』収録の04 Limited Sazabysが手掛けた虹夏歌唱曲「UNITE」の披露へ。虹夏の好きなメロコア調のサウンドに乗せて、エネルギッシュに歌う彼女の気迫は並々ならぬもので、サビの“繋いでもっと君に届ける”という箇所で手を伸ばしてギュッと握るアクションにも強い意志が感じられる。バラバラな性格の4人が集まる結束バンドを繋いだ虹夏としての想い、ライブを通してファンとの心を繋ぐ演者としての想い。ラストにSTARRYのロゴがスクリーンに大きく映し出される演出を含め、色々な想いが重なって聴こえる迫真のパフォーマンスだった。
その熱を引き継ぐようにドラムがリズムをキープするなか、鈴代に変わって長谷川が再登場し、TVアニメ第12話「君に朝が降る」の文化祭ライブのシーンで披露された「忘れてやらない」へ。しかもスクリーンには同シーンのアニメーション映像が流され、まるでアニメで描かれたあの体育館でライブを観ているような不思議な感覚になってしまう。心から楽しそうに歌う長谷川の振る舞いにも喜多ちゃんらしさが滲む。そして文化祭ライブの2曲目「星座になれたら」も続けて披露。しかも楽曲に入る前に「星座になれたら」のリリックビデオで使われているイラストと同じ場所、下北沢駅西口の踏切前の実写を挿む粋な演出も。長谷川の甘酸っぱくも胸をギュッと締め付けるような歌声、バンドによる軽快なグルーヴ、スクリーンに投影されたアニメのライブ映像、そしてakkinによる喜多のギターパートから三井がスライドバーを使って後藤の即興ギターソロを完全再現する流れを含め、あの日の文化祭ライブを完全に追体験できるスペシャルなステージが実現した。
その後のMCで長谷川は、これまでの結束バンドとしての活動を「飛び級に近い感じで進んできた」感覚と振り返りつつ、たくさんのファンからの反応・反響と自己評価にギャップを感じることも多いと語る。自分は特別な人間だと思っていたこともあったが、そんなことはないと気付いた「ごく普通の人間」の自分が、こうして大きなステージに立てているのは、作品との出会いと応援してくれるファンのおかげ。「大好きな人たちと、大好きなステージで、大好きな歌を、大好きで大切な皆さんに届けられるのが本当に幸せです」と伝えた彼女は、そんな気持ちも込めて、ライブ本編ラストの楽曲「月並みに輝け」を歌い始める。冒頭の“天才だって信じてた バカみたいだ”というフレーズが先ほどのMCの内容と共振しながら、秒速340m(=音の速さ)でアリーナ全体に伝播していく。作中の設定では後藤ひとりが書いた歌詞(実際は樋口愛が作詞)だが、そこに込められた想いは、ボーカル担当の喜多郁代の気持ちにも、その声を担当する長谷川育美の気持ちにも、そして『ぼっち・ざ・ろっく!』と結束バンドを愛する多くのファンの気持ちにも寄り添うもの。だからこそ結束バンドの音楽は、これほどまでの熱狂を生み出すことができるのだ。ラスサビでは後藤ひとりと結束バンドの演奏シーンにフォーカスしたアニメ映像がスクリーンに映し出されて、アニメとリアルの結束バンドがさらに強くシンクロすると、最後は結束バンドのロゴが大きく表示されてライブは締め括られた。
会場からアンコール代わりの「BTR」コールが巻き起こると、間もなくツアーTシャツを羽織った青山吉能がバンドメンバーと共に登壇。そして後藤ひとりが愛用しているのと同じ黒のレスポールカスタムを手にすると、「アンコールありがとう!」と伝えて『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』のエンディングテーマを飾ったASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲のカバー「Re:Re:」を演奏し始める。先ほどとは髪型を変えてピンク色の髪結いで後ろにまとめた彼女がギターを弾きながら堂々と歌う姿は頼もしく、ソロパートでは三井と顔を見合わせながらユニゾンでフレーズを奏でる場面も。また、バンドメンバー4人をフィーチャーした映像演出も、実際に下北沢界隈のバンドシーンでの活動を経て今この大きなステージで音を合わせている彼らの背景を思うとグッとくる。
「Re:Re:」を歌い終えて「皆さん、ここまで連れてきてくれて、私をギターヒーローにしてくれてありがとう!」と感謝の気持ちを述べた青山は、ラストにTVアニメ最終話のエンディングを結んだもう1曲のアジカン楽曲のカバー「転がる岩、君に朝が降る」を披露。スクリーンにはアニメの中で見覚えのある金沢八景や下北沢の景色が実写で次々と映し出されていくなか、青山はこれまでの軌跡をすべて引き連れて先へと進むように、万感の思いを込めて感情たっぷりに歌を届ける。“後藤ひとり役の青山吉能”というよりも、作品と結束バンドを愛する一人の人間としての“青山吉能”による感謝の歌――そんなことを感じずにはいられないいつも以上に朗々とした歌声と、楽曲が進むにつれて背景の映像がアニメーションのものに切り替わり、アニメと現実の境界が融合していく演出がエモーショナルな気持ちを呼び起こすなか、アンコールは終幕を迎えた。
だが、この日のライブはまだ終わらなかった。再び「BTR」コールで沸く会場に、新たに楽器をセッティングの調整をしている音が漏れ伝わってきて、予想外の展開にどよめく客席。そしてスクリーンに突然、結束バンドTシャツを着たキャスト4人のバックステージでの様子が中継で映し出される。控室と思しき場所から廊下に出て、ステージへと向かう4人。そしてステージ袖に到着すると、円陣を組んで手を重ね合わせ、虹夏役の鈴代の号令で「オー!」と手を上げて気合いを入れる。アニメで結束バンドが文化祭ライブの直前に行っていたのと完全に同じ風景だ。
そしてステージに現れた4人は、楽器の方に真っ直ぐに向かう。鈴代はドラム、水野はベース、長谷川はギターを手にしてステージ中央にスタンバイ。青山は今度はYAMAHAのPACIFICAを手にして、後藤ひとりと同じステージ上手のポジションへ。まさかの展開に会場中がどよめくなか、4人は顔を見合わせてタイミングを計ると、鈴代によるスティックの4カウントを合図に「フラッシュバッカー」を演奏し始める。ドラムの叩き出す力強いビート、心地良くうごめくベースライン、正確なテンポで刻まれるリズムギターと情感に満ちたボーカル、そしてソロパートを交えながら楽曲を先導していくリードギター。キャスト4人による結束バンドの実現に会場は言い知れぬ感動と興奮に包まれる。しかも「フラッシュバッカー」と言えば、TVアニメ最終話の放送終了直後にYouTubeで公開された本PVに使用された楽曲。アンコールラストの「転がる岩、君に朝が降る」からの流れを含め、最高のサプライズプレゼントとなった。
演奏し終えて集結した4人は「結束バンドでーす!」(青山)と名乗りを上げると、この日のために1年以上かけて楽器の練習をしてきたことを明かし、「最高でしたー!」(鈴代)、「一生の思い出です!」(水野)、「本当に楽しかった!」(長谷川)、「またやろう!」(青山)と口々に感想を伝え合う。そして「皆さんとだったら、夢だって、何だって叶う気がします。だからこれからもお願いします。結束バンドを!」(青山)、「〈ぼっち・ざ・ろっく!〉を!」(4人)という言葉に続いて、スクリーンに再び下北沢の実写映像が映し出される。その場所は下北沢SHELTER。アニメに登場するSTARRYのモデルとなったライブハウスだ。その掲示板に書かれた文字は「We will Be back!」。そしてアニメ2期制作決定の報が伝えられ、会場はこの日一番の歓喜の声に包まれる。ライブタイトルの“We will B”にかけたにくい告知だ。
アニメ2期は、1期で副監督を務めた山本ゆうすけが監督を務め、脚本は吉田恵里香が続投、キャラクターデザインはけろりらに加えて新しく小田景門がメインで担当。会場では1期の監督だった斎藤圭一郎と、2期の監督となる山本ゆうすけからの手紙が読み上げられたほか、2期のキャラクターデザインとなる小田景門によるイラストも公開されて、一気にお祝いムードになる。なお、監督が交代した理由などについては、本公演の直後にYouTubeで公開された【緊急】「ぼっち・ざ・らじお!」【特別編】で、両監督とけろりら本人の口から語られているので、ぜひチェックしてほしい。
驚きと喜びと感動に溢れたライブもついにラストスパート。長谷川が「まだまだいけますか!」と檄を飛ばすと、『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:』のEDテーマ「今、僕、アンダーグラウンドから」を真っ直ぐな歌声で届ける。そして「次がラストの曲、みんなの気持ち、全部ぶつけてきてくださーい!」と両手をいっぱいに広げて叫ぶと「光の中へ」を披露。ステージをダッシュしたり左右に行き交いながら疲れ知らずのパフォーマンスを見せる長谷川。カメラにアピールするなど遊びのある動きも交えて、まばゆいばかりの輝きに満ちたステージを作り上げていく。最後はキャスト4人が再び集結して“束ねていこう 今を 明日も もっと きっと 何処までも”というフレーズを歌い合い、この先の光ある未来を約束すると、バンドが掻き回しの演奏をするなか、4人はステージの端から端まで走って観客に感謝の気持ちを伝え、ラストはみんなで一斉にジャンプ。発破音と共にピンク・黄・青・赤の4色のテープが発射され、「センキュー!」というお馴染みの決め台詞で結束バンドの記念すべき初アリーナライブはフィナーレを迎えた。
これまでのライブではバンド然とした見せ方を志向してきた結束バンドが、アニメ本編の映像も演出に組み込むことで、より作品やストーリーとの結び付きを強調し、アニメと音楽の相乗効果を存分に発揮した今回のワンマンは、間違いなく彼女たちのこれまでの総決算にして、新しい未来に繋がる公演になった。“We will B”のその先、“We will Be Back!”の続報を待ちつつ、今年もすでに“JAPAN JAM2025”などの大型イベントへの出演が決まっている結束バンドのさらなる活躍を期待したい。
<SETLIST>
M01. 青春コンプレックス
M02. ギターと孤独と蒼い惑星
M03. ひとりぼっち東京
M04. カラカラ
M05. 惑う星
M06. Distortion!!
M07. 僕と三原色
M08. milky way
M09. 夢を束ねて
M10. 秒針少女
M11. あのバンド
M12. ドッペルゲンガー
M13. なにが悪い
M14. UNITE
M15. 忘れてやらない
M16. 星座になれたら
M17. 月並みに輝け
EN1. Re:Re:
EN2. 転がる岩、君に朝が降る
EN3. フラッシュバッカー
EN4. 今、僕、アンダーグラウンドから
EN5. 光の中へ
●「結束バンド TOUR “We will B”」アーカイブ配信中!
・配信期間:2025年2月24日(月)23:59まで
・販売期間:2025年2月24日(月)20:30まで
・価格 :5,130円(税込)
▼チケット購入はこちら
https://stagecrowd.live/s/sc/group/detail/10559?ima=0000&link=ROBO004
●『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:/Re:Re:』Blu-ray&DVD好評発売中!
https://bocchi.rocks/omnibus/bddvd/
●「結束バンド」EP『We will』好評発売中!
https://bocchi.rocks/kessokuband/discography/?article_id=wewill
『ぼっち・ざ・ろっく!』公式サイト
https://bocchi.rocks/
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