アニメ音楽に特化した媒体「リスアニ!」と大阪のラジオ局・FM802のラジオ番組「802 Palette(ハチパレ)」による新たな音楽メディア「リスパレ!」が、今聴いてほしいアーティストを独自の視点で選出のうえプッシュするレコメンド企画「リスパレ!チョイス」。その第二弾選出アーティストの中から、今回は、次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発のリアルバンド・Ave Mujicaをピックアップ!メンバーの佐々木李子(Gt. & Vo.)、渡瀬結月(Gt.)、岡田夢以(Ba.)、米澤 茜(Dr.)、高尾奏音(Key.)に、これまでの活動を振り返ってもらいつつ、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』の放送を間近に控える今の心境について話を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――Ave Mujicaがレコメンド企画「リスパレ!チョイス」の第二弾アーティストに選出されました!
一同 ありがとうございます!
渡瀬結月 連絡がきたときはびっくりしたよね。メンバーのグループLINEでも「これはどういうこと?」「すごいね!」みたいなやり取りがあって。
高尾奏音 まだアニメも始まっていないのにプッシュしてくださるのが嬉しかったですし、「リスアニ!」は素敵な音楽をたくさん紹介している印象があるので、ムジカも参加することができて光栄です。
佐々木李子 私は「リスアニ!TV」をよく観させていただいていて、声優さんのコーナー、特に「みもりんのなつやすみ」(三森すずこのレギュラーコーナー)が印象に残っているのですが、そんな「リスアニ!」さんの企画にチョイスしていただけるのは本当に嬉しいです。
――今回はバンドの今までの活動を振りかえりつつ、色々なお話をお伺いできればと思います。まずは直近のトピックとして、10月13日に山梨・河口湖ステラシアターで行われた“Ave Mujica 3rd LIVE「Veritas」”の感想をお聞かせください。
米澤 茜 3rd LIVEでは初めて(無線制御式の)リストバンドライトが取り入れられて、いつも以上に一体感を感じることができましたし、会場も半分野外のような場所だったので、星空も合わさってみんなで一緒にライブの空気を作っている感じがしました。
岡田夢以 以前にインタビュー(https://www.lisani.jp/0000256138/)で「野外のステージに立ちたい」というお話をしましたけど、意外と叶うのが早かったです(笑)。
佐々木 外が見えるので時間の経過と共に空気感が変わるんです。どんどん闇が深くなっていく移り変わりも含めてすごく楽しめました。私、月が見えないか探しちゃったもん。
高尾 わかる!
佐々木 残念ながらステージからは見えなかったんですけど、ムジカがライブをやる日はいつも月が綺麗なんですよね。いつも天気が良いし、スーパームーンの日と被ったこともあって。
高尾 ムジカと言えば月だもんね。あとは(「Symbol I : △」の演出で)炎も出ました!
岡田 あれはテンションが上がったよね。後ろで火柱が上がっているのを感じながら「燃えてるぜ!」と思って演奏してた(笑)。
高尾 それとこれは裏側の話なのですが、いつもはステージに入場するとき、5人全員が揃って舞台袖に待機しているんですけど、今回は初めて3人と2人に分かれて両側から登場する演出だったんです。なので別れるときに「じゃあ次に会うのはステージ上でね、バイバイ」って挨拶したのが印象に残っています(笑)。
岡田 私とのんちゃん(高尾)とりこち(佐々木)で3人組だったのですが、距離があったので車で移動したんですよ。
渡瀬 (ライブが始まる直前に)5人全員が揃っていないのは初めてだったから不安だった。私、開演直前まであかねん(米澤)にギュッと抱きついて、全部をあかねんに委ねてたもん(笑)。
米澤 私も(渡瀬を)支えていると見せかけて委ねてた(笑)。
――個人的には、ライブを最後までやり終えた、皆さんが客席を見渡すような動きをしていたのが印象的でした。今までのライブはサッと立ち去ったり、幕が下りて終わることが多かったので、あまり見られなかった光景だったなと思って。
米澤 終わった後の達成感と、客席のみんなの表情がよく見える愛おしさの中見渡していました。
渡瀬 私もその気持ちに近いかも。客席のライティングも明るかったから清々しい気持ちになったよね。
高尾 ライブの最後に演奏した曲が「Ether」だったので、その曲の空気感にも合っていたと思います。これまでのライブは重たいストーリーが続いていたので、自分もそれに引っ張られて、共犯者(Ave Mujicaのファンネーム)のみんなと気持ちを通じ合わせるというよりも、「しっかり見せなくちゃ!」という気持ちで必死にパフォーマンスする部分が強かったんです。でも、3rd LIVEでは“光”が見つかったこと、自分自身が感動したこともあって、初めて明るい気持ちで終われた気がします。
佐々木 ムジカは2nd LIVE「Quaerere Lumina(=ラテン語で“光を求めて”)」で光を探していて、“真実”という意味の3rd LIVE「Veritas」でも、どれだけさ迷っても見つけることができなくて絶望するのですが、その先にムジカにしか見つけられない“光”に辿り着くというストーリーになっていて。0th LIVE(「Primo die in scaena」)から続いてきた物語が、3rd LIVEの最後は明るい雰囲気の曲で終わったことで、そこでひとつの物語が完結して、また新たなライブに繋がっていくことが感じられましたし、ひとつになれた感覚がすごくありました。
――Ave Mujicaのライブは、重厚なメタルサウンドを基調とした独特の世界観のパフォーマンスだけでなく、幕間劇などの演劇的な要素があるのも特色ですよね。
渡瀬 ムジカはまだアニメの放送前で各々のキャラクターの本質が明かされていないなかで、ライブでは毎回、そのヒントになる種を少しずつまいている感じで、幕間劇やステージングにも意味があったりするんです。それを受けて皆さんが考察してくださるのもムジカらしい魅力だと思いますし、その答え合わせを来年1月から放送されるTVアニメ(『BanG Dream! Ave Mujica』)でできると思います。
岡田 みんなの考察を見ていると結構いい線いっている人がいたりするよね。
高尾 そうそう。「その発想があったんだ!」って私たちが逆に気付かされる考察もあったりします。全キャラクターがとんでもない背景を持っているので(笑)。
佐々木 アニメの最終話まで観た後に、ぜひ0th LIVEから観返してほしいです。また別の楽しみ方ができると思うので。
――3rd LIVEを経て新たに見つけた課題、気付いたことはありますか?
渡瀬 いっぱいあります。私は今回のライブで初披露した「Ether」と「Symbol IV : Earth」で初めてリード的な部分を弾かせてもらったんです。今まではりこち(佐々木)が歌いながらリードギターもやっていて、それが彼女のすごみだと思うのですが、でもそれだけでは楽曲が完全に再現できない部分もあるので、この2曲ではその部分を渡瀬が担当させていただいて。特に「Ether」のギターソロは、ライブの最後の曲ということですごくプレッシャーもあったなかで、どうにか無事に弾くことができたので、だからこそ終演後に照明が明るくなったとき、壁が壊れて視界が開けたような気がしたんです。今まではリードに苦手意識があったのですが、それを乗り越えることができたので、これからもっとリードを頑張って、りこちをサポートできるようになりたいです。
佐々木 ありがとう!私もそう言ってもらえてすごく嬉しいし、ゆづむん(渡瀬)がリードを弾いているとき、私も別のパートを弾いていたけど、思わずゆづむんのほうを見てしまって。ギターで語れる仲というのは貴くて、ツインリードギターと言っていいくらい弾いてくれるので怖いものはないと思いましたし、私も頑張ろうと思いました。
米澤 え~、なんか泣きそうなんだけど。私が演奏している目の前には基本、りこちとゆづむんがいるんですけど、2人が目を合わせながら弾いたり、同じフレーズを弾いたりしているのを見ていて頼もしいし、一緒にバンドできて良かったなって幸せを感じながらドラムを叩いているので、今のお話は感無量です。いやー、私は感動してしまったので、ほかに言うことはないですね(笑)。
岡田 私は自分のスキルアップはもちろんのことながら、最近は音作りの部分でもスタッフさんと相談しながら新しいエフェクターの導入を検討していて。ベースはみんなのことを支える楽器ですけど、目立たなすぎるのもバンドとして物足りなくなるので、そのバランスを考えるのがすごく難しいんです。ムジカの楽曲的に太くてずっしりした低音を出しつつ、そこにプラスアルファをベースの先生と模索している最中です。
米澤 忙しいのに……なんて素敵な人間!
岡田 そんなことないよ(笑)。でもムジカのメンバーは、バンドにかける熱量が本当にすごいと日々感じるからこそ、自分もみんなと一緒に切磋琢磨していくことが楽しいし、それがやり甲斐になっているので、ベースの技術だけでなく音の作り方も含めて極めていきたいなって思っています。のんちゃんはどう?
高尾 個人的に今回の3rd LIVEは、ピアノソロもあったので、今までのライブのなかでいちばん緊張していたんです。周りからはあまり緊張してないように見られがちなのですが、実際はめちゃくちゃ緊張するタイプで、心の揺れ動きがダイレクトに指先に出るんですよ。でも、今回は舞台袖でみんながすごく勇気づけてくれて。ゆづむんなんて抱きしめてくれたりして(笑)。
渡瀬 私は抱きしめがちだから(笑)。
高尾 そのおかげでベストパフォーマンスを出すことができたので、今後の課題としては気持ちのコントロールの仕方、精神統一かなあと思いました。
佐々木 私は課題ではないのですが、気付いたことがあって。ムジカの楽曲の世界観は深いものが多いし、幕間劇もあるので、よりドロリスになれるからこそ、本当にその世界に行ってしまって、ゾーンに入ると幽体離脱したような感覚になるんですよ。自分がもうひとりいるじゃないですけど、スローモーションに見えてしまうことが、0th LIVEの頃からあって。
一同 え~!
高尾 すごい!何が見えるの?
佐々木 見えるというか、歌って弾いているんだけど、なんか天にいる感じというか、意識がふたつになる瞬間があって。憑依なのか、なんなのかはわからないけど。ライブ本番にしか起こらないんですけど、3rd LIVEでもその感覚があったので、今後はその状態も楽しみながらライブをできればと思います。
――佐々木さんはソロや他のコンテンツでのライブ経験も豊富ですが、それはAve Mujica特有の現象なのですか?
佐々木 はい、初めてです。自分的には精一杯リードを弾きながら歌うので、ムジカのライブは本当に集中しないとできないんですけど、もしかしたら限界突破したらそれが起こるのかも……自分でも研究していきたいなと思っています。
米澤 研究結果をお待ちしています(笑)。
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