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REPORT

2024.10.30

内田真礼と内田雄馬、姉弟対バンが実現!興奮と多幸感に包まれた「YUMA UCHIDA LIVE “VS YUMA 001- 内田真礼”」を振り返る。

内田真礼と内田雄馬、姉弟対バンが実現!興奮と多幸感に包まれた「YUMA UCHIDA LIVE “VS YUMA 001- 内田真礼”」を振り返る。

内田真礼内田雄馬、それぞれ声優およびアーティストとして華々しい活躍を続けている仲良し姉弟による、スペシャルなライブが、9月28日・29日の2日間、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて実現した。それが「YUMA UCHIDA LIVE “VS YUMA 001- 内田真礼”」。内田雄馬が新たに立ち上げた対バンライブシリーズ“VS YUMA”の第1弾となる公演だ。この2人だからこその多幸感に溢れたステージが繰り広げられた2デイズのうち、本稿ではDAY2公演の模様を振り返っていきたい。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY ウチダアキヤ

先発は内田真礼!エモーショナルに心を揺さぶるライブ

チケットは両日ともに完売、満員の会場には両者のファンが混ざり合っていつもとは少し違う光景が広がるなか、ライブはいきなりコラボレーションから幕を開けた。2段組みステージの上段に並んで登場した2人は、内田雄馬の最新曲「Chemi-story」を共に歌い始める。“VS YUMA”のテーマソング的な位置づけとして生まれたこの楽曲、EDMやR&B/ヒップホップの要素を自分流に昇華した音楽を多く届けてきた彼らしいミクスチャー感溢れるサウンドに仕上がっており、そのエネルギッシュな楽曲に呼応して力強くぶつかり合う2人の歌声が膨大な熱量を生み出していく。まさに内田姉弟のケミストリー(=化学反応)を実感できる立ち上がりとなった。

そしてお互いのソロパートへ。まずは内田雄馬がアグレッシブなミクスチャ―ロック「DangeR」を放つ。4人の男性ダンサー(通称、うちダンサーズ)をステージに迎え入れ、彼らとのシンクロダンスで見た目でも魅せながら、激しい歌声を会場全体に叩きつける内田雄馬の存在感たるや、ひと時も目が離せないほどだ。それに続いては、内田真礼が「ロマンティックダンサー」を披露。演奏メンバーも真礼バンドに交代し、今度は女性ダンサー4人が軽やかなダンスで華を添えるなか、主役はアッパーなロックチューンを意気揚々と歌い上げる。

そんな熱い楽曲の3連弾に続いて、“VS YUMA”のオープニング映像が会場のスクリーンに映し出され、バーサス感溢れる対バンモードへ。先手は内田真礼。「youthful beautiful」のイントロの印象的なギターリフが会場に爽やかな風を吹き込むと、再びステージに登場した内田真礼が「横浜ー!」とオーディエンスに呼び掛けて、青春感たっぷりの真っ直ぐな歌声を響き渡らせる。ラスサビで上空を仰ぎ見ながら歌う彼女の横顔が美しい。そこからデビュー曲「創傷イノセンス」で会場は一気に熱狂の渦へ。吹き出すスモーク、ド派手に飛び交うレーザー、熱く暴れまくる演奏、「誰にも触らせない」「私の道は私が決める!」といった決め台詞をひと際凛々しく言い放つ内田真礼。大切な弟との対バンとあってか、最初から代表曲を連続で畳みかけ、並々ならぬ気迫が感じられる。

「本日はわたくし、“姉さん”こと内田真礼が先陣を切らせていただきます!」と挨拶した彼女は、前日のDAY1公演より「8億倍くらい」熱いライブにしたいということで、あらかじめウェーブの練習をしたうえで田淵智也提供の「Smiling Spiral」を歌唱。田淵節全開のハッピーフィーリングに溢れたアップテンポなナンバーをダンサーと共にパフォーマンスして、コール&レスポンスやウェーブも込みで会場を一体にしていく。さらに同じく田淵が書き下ろしたエネルギッシュなパンクロック「take you take me BANDWAGON」に繋げて加速していくと、続く「モラトリアムダンスフロア」では、弟・内田雄馬のライブで恒例の撮影OKタイム“内田雄馬化コーナー”にならって“内田真礼化コーナー”を実施。彼女のライブで撮影OKタイムを設けるのは珍しく、これもまた対バンならではの相乗効果、特別な“お祭り騒ぎ”と言えるだろう。

ここまでアッパーなナンバーを投入してきた彼女だが、MCを挿んだ次のブロックでは、また別の表情を見せてくれた。クラブミュージックの要素が色濃い「c.o.s.m.o.s」では、煌びやかなサウンドと映像演出、レーザーによる七色の光と共に壮大な景色を描き出し、続く「セツナ Ring a Bell」ではスクリーンにMVの映像が大写しになるなか、ときに苦悶するような表情を浮かべながらひたむきな歌声を届ける。切なさを抱えながらも前を向いて刹那を生きる、まるで彼女自身の生き様を投影したかのようなパフォーマンスに心を奪われてしまう。フォーキーなメロがどこか泥臭くも美しい「ストロボメモリー」の、温かさと寂しさが同時に去来するような、独特のエモーショナルな空気も素晴らしかった。

だが彼女は次のMCで、「ストロボメモリー」の歌詞を飛ばしてしまい、とっさに「タラララ~♪」とそれっぽく歌ってごまかしたことを素直に報告。客席からの「大丈夫!」「かわいいよー!」といった声に「優しすぎる!」「ありがとう!雄馬のファン!真礼のファン!私たちのファン!」と感謝する。また、内田雄馬のファンネームが“内田雄馬”であることに触れ、「みんな“内田雄馬”っていうことは、私は“姉さん”ってこと?」「4000人以上の弟・妹ができたみたい(笑)」と喜ぶ一幕も。そんな流れから、ここで弟の楽曲「Congrats!!」をカバー。内田雄馬のライブではファンとの掛け合いによって素晴らしい一体感が味わえるこの楽曲、真礼バージョンでも“内田雄馬”たちの協力によって祝祭感に満ちた景色がパシフィコ横浜に広がった。

そこから間髪入れず、真礼ナンバー屈指のポジティブなロックチューン「ギミー!レボリューション」でいつも今が最高のトキメキをレスキューすると、早くもラストスパートへ。「何回、最後の曲っぽいのがきたのか?(笑)。しかし、私はまだまだ燃え尽きるまで歌いますよ!」と力強く宣言して、今年5月にリリースした最新アルバム『TOKYO-BYAKUYA』よりシック&ディスコティックなアップナンバー「RADIAL CITY」をダンサーと共に披露。続いての「Applause」では「みんなとクラップしたいと思います!」と呼び掛け、賑やかな手拍子でひとつになっていく。

その幸せな空気から一転、エモーショナルな歌声を爆発させたのが「透明な合図」。スクリーンに今この場で歌う内田真礼の姿とリリックが映し出され、郷愁を抱えながらも未来に向かって走るような、色んな感情がない交ぜになった表情で歌う彼女の姿が、胸をギュッと締め付ける。最後は左手のコブシを上に突き上げて締め括ると、どこからともなく聴こえてくるチャントの声。内田真礼パートのラストを飾ったのは、勇壮なアンセムロック「LIFE LIVE ALIVE」だ。すべてを牽引して、前へと突き進んでいくような歌声と佇まいが頼もしい。「雄馬にバトンを渡さなくちゃいけないんです。みんなの声、もっともっと聴かせてくださーい!」と呼び掛け、観客の心をひとつに導いていく。終盤で「みんな、愛してる!」と叫び、会場を愛で満たした彼女の存在こそが“HIKARI”であることを確信させてくれる、最高の締め括りだった。

「創傷イノセンス」カバーも!内田雄馬のエネルギッシュなステージ

2人のコラボ曲「Carnival」のMVとオフショットを交えた転換映像を挿み、今度は内田雄馬の出番。雄馬バンドによるスケール感溢れる演奏と光が降り注ぐステージに颯爽と登場した彼は、地平線の果てを感じさせるほどの大きな広がりを持ったナンバー「Horizon」を伸びやかに、そして力強く歌い上げる。曲中で「後半戦は内田雄馬と共に盛り上がっていきましょう!」と挨拶し、オーディエンスとの距離を一気に詰めると、今度はラウドロック調のハードな1曲「Hope」をパワフルに歌唱し、先ほどとは対照的なステージを繰り広げる。ヘドバンや側転など本能のままに動く内田雄馬につられて、客席の熱気もうなぎ上りに上昇していく。

MCで改めて「今日はもっともっと熱く楽しい時間にしていきましょう!」と呼び掛けた内田雄馬は、続いて自身も出演したTVアニメ『あひるの空』の第3弾EDテーマ「Over」を披露。1サビ入りの箇所では、ライブで恒例となっているマイクスタンドを思い切り蹴飛ばすパフォーマンスをバッチリと決めてみせ、サビでは大合唱が巻き起こる。本人もヒートアップしてきたのか、間奏で着ていたジャケットを脱ぎ捨てて身軽になると、エモーショナルな歌声を限界の先まで飛翔させる。

ここまでロックなモードが続いたが、続いて歌われたエレクトリックR&B「ERROR」では、ダンサーとの息の合ったダンスパフォーマンスも込みでマチュアな世界観を展開。そこから激しいミクスチャーロック「Loser」を投下し、スモークが噴出するなか、様々なグラフィティアートを映した映像演出と共にストリート感溢れるステージングで魅了する。MCを挿み、トロピカルハウス系の清涼感に満ちたダンスポップ「VIBES」では、恒例の“Vダンス”を自身のファンだけでなく、彼のライブは初見という内田真礼のファンにも呼び掛けて、みんなで踊って一体感を作り上げる。

「最高のダンスでした、ありがとう!」と礼を述べると、ご機嫌なファンクチューン「Relax」では、ステージ中を動き回ってバンドメンバーとも交流しながら、360度全方位にエネルギーを放出。さらに爽快なパンクロック「スタートライン」では、これもまた彼のライブでは恒例になっている反復横跳びしながら歌うパフォーマンスで会場を沸かせる。バンドメンバーのうちギター、ベース、キーボードも彼と一緒に反復横跳びしながら演奏するので、観ている分には賑やかで楽しいのだが、きっとやっている側はとても大変なはず。それでもブレることのない歌声と演奏には改めて感心してしまう。

「スタートライン」の後奏でバンドによるセッション風の熱い演奏が繰り広げられ、そのままファンキーな「Happy-go-Journey」に雪崩れ込むと、その間に新しい衣装に着替えた内田雄馬がにこやかに歌を届けていく。ややバックビートめの心地良いグルーヴにノリながら、軽快にステップを踏んだり、くるくる回転したりと、自由に動きながら歌う彼の姿を見ていると、理屈ではない音楽の楽しさが改めて身に染みて伝わってくる。

そしてここで対バンならではのスペシャルな1曲、内田雄馬による内田真礼楽曲のカバーが届けられることに。DAY1公演では「c.o.s.m.o.s」を歌ったとのことだが、この日、彼が歌ったのは姉の代表曲「創傷イノセンス」だ。曲名をコールした瞬間に会場は大きく沸き、雄馬バンドのワイルドな演奏と、姉よりもタフさとラフさを感じさせるアグレッシブな歌声に、会場のボルテージはさらに上昇していく。もちろん見せ場の決め台詞もバッチリで、特にラスサビ前の「自分の道は自分で決める!」での勢いだけでなく強い信念に満ちた声音と表情には、男女関係なくすべてのファンが痺れた瞬間だったのではないだろうか。

その強烈な余韻に浸る間もなく、続けて歌われたのは「NEW WORLD」。内田雄馬のアーティストデビューを飾った1曲だ。姉のデビュー曲から自身のデビュー曲に繋げる並びにグッとくる。自然や宇宙の広大さを感じさせるイメージ映像がスクリーンに映し出されるなか、どこまでも伸びやかで無限の可能性を秘めた歌声が会場いっぱいに広がっていく。そのようにして“VS YUMA”が切り拓く新しい世界を歌に込めて届けた彼は、続く「ものたんない」で恒例の撮影OKタイム“内田雄馬化コーナー”を実施。ステージを左右に行き交いながらダンサーと共にノリノリのパフォーマンスを繰り広げていく。ユーモラスな振り付けも盛り込まれていて、観ていて楽しいだけでなく撮影映えする1曲だった。

その後の告知コーナーでは、早くも“VS YUMA”の第2弾の開催を発表。気になるツーマンのお相手は……サプライズで上映されたコメント動画に登場したのは、なんと岡崎体育!「俺でーす!」と愉快に登場したあまりにも予想外な対バン相手に、客席からは歓喜とも驚きとも動揺とも取れる大きな声が上がる。岡崎いわく内田雄馬とは「初めまして」とのことで、「この日(ライブ当日)に仲良くなろうと思っています」とコメント。内田雄馬によると“VS YUMA”は色んなアーティストと交流することをテーマにした企画ということで、面識はないながらも一度交流してみたかった岡崎体育にオファーしたところ、快く引き受けてもらったとのこと。果たしてどんな化学反応が起こるのか、楽しみなところだ。

そして内田雄馬パートのライブは残り2曲に。彼は「みんなで歌って踊って帰ろうぜ!」と呼び掛けると、ブラスサウンドが楽しいポップチューン「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」をダンサーと一緒に踊りながら歌唱。ファンな気分を作り上げていく。ラストは「みんなの最高のパワーを一日ありがとうございました!いっぱいいっぱいみんなと顔を合わせた、これが僕らの糧になります!」と感謝の気持ちを伝えて、すべてを祝福する歌「Congrats!!」へ。ここまでの山あり谷ありの道のりには何ひとつ無駄はないこと、あらゆる出来事がこの瞬間の出会い、そして輝ける未来に繋がっていることを、内田雄馬は全力のパフォーマンスで伝え、祝福する。それは彼ひとりだけで成しえるものではなく、彼と心を同じにするファン“内田雄馬”もひとつになって声を合わせることで生まれる最高の瞬間。内田雄馬のファン、内田真礼のファン、内田姉弟に日々の活力をもらってきたすべての人の想いが繋がり合うなか、ライブは終演した。

次のページ:会場全体が内田家の「BIG LOVE」で満たされたアンコール

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