スフィアがデビュー15周年を記念したニューシングル「Shining days, shining stars!」を11月27日にリリース!これまでもスフィアの節目となる楽曲を作ってきた畑 亜貴&黒須克彦がタッグを組み、スフィアらしさ全開のアニバーサリーソングとなった。さらに来年2月には5年ぶりのライブも控えている。変わらないために変わり続ける4人が、スフィアの現在と、これからを語る。
INTERVIEW BY 青木佑磨(学園祭学園)
TEXT BY 金子光晴
――今日は曲の話もお聞きしたいんですけど、まずはざっくりしたところで、最近のスフィア、どうですか?
高垣彩陽 最近はよく会っていましたね。7月はMVの撮影があったりしてこの「Shining days, shining stars!」関連でも会っていたし、『IDOLY PRIDE』という作品でLizNoirというユニットでのお仕事もあって、いつもやっているスフィアのラジオもあったので、本当に毎日会っていたよね?
寿 美菜子 8日連チャンで会ったりしたよね。
戸松 遥 私たち、9年くらい交換日記をしていて、本当に超プライベートなので中身は一生公開できない日記なんですけど、最近よく会うから回りが早いです(笑)。
――日記は会ったタイミングで交換というルールなんですか?
寿 そうなんです。
戸松 私は一度、このノートを2年半くらい家に置きっぱなしで化石にしたことがあるんですけど、それ以降、スフィアのラジオ現場に必ず持ってくることになりました。しかも収録中に交換ノートを書くっていう(笑)。
――その交換日記は各々の日常について書いているんですか?
戸松 スフィアのことを書くときもありますね。
高垣 例えばツアータイミングだと、セットリストのことや忘れちゃいそうな振りを書いていましたね。「By MY PACE!!」の時計(※4人が別々に時計の針の動きをする)の順番とか書いていたよね。
豊崎愛生 よくわからない暗号みたいなのが残ってることが多いですね。で、誰かが「きっとこういう意味だよ!」って思い出してくれたりして(笑)。特にはるちゃんの日記は説明がなく、単語だけ並んでるので思い出しがいがあります(笑)。
戸松 自分で見ても覚えてないんですよ。「何これ?」みたいな(笑)。
――10周年直前のタイミングで「スフィアニ!」というのを作らせていただきました。そこで充電期間に入られるにあたってのインタビューをさせていただきましたけど、ずっと制作に追われる状態から、10周年にあたってじっくり物作りがしたいということも含めての充電期間だったというお話でしたよね。その時とは状況が変わって、ご本人たち的に何か変化はありますか?
高垣 グループLINEはあって、連絡は取り合っていたりするので、気持ち的に変化は感じないですね。10周年から15周年の間で言うと、美菜子がイギリスに行ったり、コロナ禍で直接会うのが難しい時期はラジオもリモートで録っていたりしたので、なかなか会えない時期が長かったこともあって、8日連続で会うみたいなのは久しぶりで、「スフィアやってる!」という実感はありますね。
寿 「Shining days, shining stars!」はすごく時間をかけて、打ち合わせにも参加させてもらったので、「もっと時間をかけて作品を作りたい」というのも「叶ってるよ」って過去の自分たちに言いたいですね。
――以前「トゥインクルクス」のインタビュー時に、豊崎さん、高垣さんの二輪になってお互いの動きが少し変わった、2人だからできる作り方になったというお話があったんですけど、今回は久しぶりに四輪で動いてみてどうでしたか?
豊崎 そうですね。2人の時は、「彩陽ちゃんとだから表現できることってなんだろう」というところからスタートしていたんですけど、スフィアは本当に「帰ってきた」感覚がありました。スフィアの4人が揃うと、写真を撮る時の並びや歌の表現も、15年やってきたっていう時間があるから自然にスッと入れて、「実家」みたいな安心感がありましたね。
――スフィアのデビュー当時、インタビューなどで「私はスフィアの○○担当で」みたいな話があったと思うんですけど、今の4人のポジションってどんな感じだと思いますか?
寿 ケーキ(小声)。
戸松 あっ、そうだ、ケーキ!私はスフィアを「ケーキ」に例えているんです。ケーキでいくと、スポンジは美菜子だと思っていて。クリームが彩陽で、私がイチゴなんですね。で、愛生がカラースプレー。スフィアはリーダーとか、「私は○○担当です」とかが明確にあるわけじゃないけれど、なんとなくリーダーシップをとってくれるのが美菜子で、レコーディングもたまたまかもしれないですけど美菜子が最初にやってくれることが多くて、最初にやってくれると(音程が正確で次の人が歌いやすいので)超ありがたい(笑)。そういう意味で土台をやってくれるからスポンジ。彩陽は歌声でそこに「ケーキの立体感」を作ってくれる。
――クリームで何のケーキか変わりますからね。
戸松 あっ、ショートケーキです!私、イチゴなので!
高垣 もしクリームがチョコならチョコケーキになるし、イチゴ味ならイチゴケーキにもなるから、ケーキが何になるかはクリーム次第ってことだよね。
戸松 あっ、そういうことか!ショートケーキと言ったら白いクリームのイメージしかなかった(笑)。その例え、いただきますね(笑)。
豊崎 確かに、美菜ちゃんが土台を固めてくれたうえで、方向性を決めてくれるのはいつも彩陽かもしれない。
戸松 私はイチゴなんで、何をやってもショートケーキになるんですよ(笑)。
――ショートケーキの象徴たる部分ですからね。
戸松 おいしいとこ取りみたいな(笑)。で、最後に愛生なんですけど、「スフィアになる」と思う瞬間って愛生の声が入った時だと私は思っているんですよ。愛生は「あ、これでスフィアになった」って完成するカラースプレーなんです……と言いつつ、このケーキの例えを布教しようと思っているんですけど、ファンの皆さんからのレスポンスが全然なくて(笑)。私は自信を持ってすごくいいことを言っているつもりなんですけど、全然刺さってない(笑)。
――スフィアの一番驚異的なところって「継続力」かもしれないって思うんですよ。4人で集まると自然体でこうなっているんですか?
寿 さっき愛生ちゃんが言ってくれたみたいに、安心するんですよね。「ここは私のハマる場所だ」っていうふうに自然となるから。会ってない期間があってもまったくブランクを感じないのがスフィアなんだと思います。
高垣 よく「スフィアって仲いいですね。ケンカとかしないんですか?」みたいな質問をされることがあって、そういう時に、「家族」みたいだなってよく思うんです。もちろん人間だから、お互いに好きな部分とか、ちょっと苦手かなって思う部分もあるかもしれないけど、そこが憎しみに変わるとか、一緒にいたくないとかいう方向には誰も行かなかったんですよね。「違い」をネガティブに捉えるんじゃなくて、「自分にないから素敵だな」って、お互いの違いを許容して違った部分も愛し合える……愛し合えるっていうと言い過ぎなんですけど(笑)。でも、そもそも「スフィアという居場所」であることは変わらないから、その中で4人でスフィアとしてどうやっていくかというところで、私たちは関係性を積み上げてきたのかなと思うので……だからもう、好きとか嫌いとかないよね(笑)。超越したなっていう感じがします。
寿 だからこそ、一定のいい感じの距離感をみんなが自然と保てるし、「尊重して、尊重し合える」のかなという気がします。失敗を恐れずにお互いにチャレンジもできるし、リラックスもできるという場所が1つあるのが強みなのかなって思いますね。
豊崎 スフィアって、ずっと笑っているなと思って(笑)。隔週でラジオの収録があってその時に必ず会うんですけど、毎回帰りにランチしたり、帰り道に「いやー、今日も笑ったわ」って言いながら帰っていて。
高垣 声枯れるもんね(笑)。
豊崎 私は3人に人間として、声優としてのリスペクトがあるし、シンプルにみんなちょっと変だし面白いから(笑)、一緒にいて飽きないですよね。それは好きだからというところもあるんですけど、例えば人生の中でネガティブなことがあって、弱音を吐いた時に、私以上にめちゃくちゃ怒ったりとか、私の代わりに号泣してくれたりとか、そういうことがすごくあって、「じゃあ、まあいいか」って何でも面白くなっちゃうんですよ。それがずっと繰り返されてきた15年で、それぞれ助けてきてもらったことに感謝とリスペクトが3人にあるので、そこは変わらない部分かなと思いますね。
高垣 私、自分みたいな超ネガティブな重いところがある人が同じグループにいたら普通は「うわ、めんどくさ……」ってなると思うんですけど、それもいい意味で許容し合ってるのかなって。別にそれで「彩陽とは口きかない!」ってなるわけじゃないし……。
戸松 中学生のケンカじゃん(笑)。
高垣 そうなることもなかったし、それぞれの苦手なところも受け止めてきたから、ここがあるんだなって。
豊崎 シンプルに自分のコンプレックスや自分の嫌だなと思うところを、4人は長所だと認めてくれて、「それが愛生ちゃんのいいところだよ」って言い続けてくれたので、「家族」みたいだし、いつも味方でいてくれたのがスフィアの良さかなと思います。はるちゃんが台本読まなくても、「それでいいんだよ」って(笑)。
寿 スフィアの時は許される(笑)。
戸松 仕事の台本はちゃんと読みます。あっ、スフィアも仕事なんだけど(笑)。
高垣 今の取材もそうだけど「これ本当に仕事なのか?」みたいになるくらい楽しくなりすぎちゃうところがあるよね。
豊崎 「仕事」と「遊び」のラインのギリギリ「遊び」のほうに振っちゃっている感じはします。
戸松 そんなプライベートなスフィアが見れるのはWebラジオ「Pl@net Sphere」だけ!
――すごい!しっかり宣伝に繋げていくのがさすがですね(笑)。
――そろそろ曲の話に入りたいと思うのですが、久しぶりのシングル「Shining days, shining stars!」がリリースされますね。
高垣 「スクランブルデイズ」という曲をコロナ禍(2021年リリース)に出しているんですけど、それは美菜子がイギリスで収録したり、ラジオもリモートだったりで会えないような状況の中で、MVもジャケット写真もバラバラに自分たちで撮影していたので、「離れていても作品が作れるよね、スフィアなら」というのを体現できたかなと思います。でも、今回はみんなで会って、お客さんとも会って、作り上げたある意味初めての1枚になりましたね。
――今回は打ち合わせでどういうお話をして完成していったのですか?
寿 打ち合わせもリモートじゃなくて、畑(亜貴)さんとも黒須(克彦)さんともすごく久しぶりに直接お会いしてお話しできました。畑さんとは「この15年どうでしたか?」みたいな雑談の延長線上から、みんなそれぞれ15周年だからこそ未来を向くのか過去を振り返るのかとか、色んな視点があることもお話ししつつ、今自分たちがスフィアについてどう思っているのかということも話せたので、やっぱりスフィアっていいなというのを再認識できる打ち合わせでした。
――皆さんから「こういう曲にしたいです」というコンセプトを置くことはあったんですか?
寿 私自身もみんなも、楽曲のテーマとしては「A.T.M.O.S.P.H.E.R.E」や「Eternal Tours」みたいな懐かしのエモいスフィアのあのテンション感も引っ張りつつ、私たちもだいぶ大人になったから等身大の歌詞も重ねていくと、どういうフュージョンが見られるかなという話は、最初の打ち合わせやメールでさせていただきました。
――YouTubeの配信でMVが初披露になって、コメント欄も拝見したんですけど、皆さんもスフィアらしさを感じていて、アルバムやシングルの大事な曲が集合している感じがありますね。こうしたサウンド面でのオーダーはあったんですか?
高垣 畑さんと黒須さんのお二人のタッグというのはランティスさんが挙げてくださったんですけど、大事な節目の曲をお二人のタッグで作ってくださることが多くて、お二人ともスフィアのことをよく知ってくださっているので、我々も今までの周年曲を踏襲しつつ、今打ち出せるものはなんだろうって話していてお願いしたというところですね。
――お二人が「15周年で皆さんが言いたいこと」を汲み上げてくれた感じなんですか?
高垣 そうですね。みんな言い方は違ったとしても基本的に言いたいことは同じで、rinoさんが「Planet Freedom」という曲で書いてくださった歌詞にあった「変わらないために変わる」だったと思います。それが私たちの充電期間でも15周年でも大事なワードだなと思っていて、動き続けるために形を模索していく。そして、形は変わってもスフィアとしてあり続けたいという気持ちはみんな一緒だったので、そういう部分をお伝えして受け止めてくださったんだなと思います。畑さんの歌詞を見て「まさにこういうことなんだな」というのもあれば、「畑さん、私たちからこういうことを感じてくれたんだな」というところもあって、すごく「今のスフィア」だなという歌詞になっています。
――スフィアとしてリリースするのが久しぶりになりますけど、作品を久しぶりに受け取るお客さんに見せたいものはありましたか?
豊崎 前回、「スクランブルデイズ」というタイトルの曲で、それぞれがそれぞれの道で頑張っている、また「いつもの場所で会えるまで」とにかく頑張ろうみたいな歌詞だったんですね。そんな「スクランブルデイズ」が今回「Shining days」になって、1つの大きなテーマとしては「再会」。世の中的にもみんな集まって声を出せるようになってきて、私たちが15年前からやってきていたお客さんとテンションをぶつけ合うみたいな、ザ・アニソンライブみたいなことを今一度みんなでやりませんかというイメージがすごくありました。だからこそ、今までの楽曲だったら何が一番スフィアらしくて、コールも入っていて、代表っぽい曲になるかな、と考えた時に、みんなの中でライブのイメージを含めて「A.T.M.O.S.P.H.E.R.E」みたいな曲をやりたいとなったんですね。最初のクラシカルな部分もあえて「A.T.M.O.S.P.H.E.R.E」を彷彿とさせるようにしていただいて、サウンド的にも「Eternal Tours」という5周年の楽曲とも姉妹曲になるような系譜の楽曲を作ってほしいというのを私たちから黒須さんにお願いした感じですね。さっきの話に繋がるのですが、スフィアは「実家」みたいな感じで、15年でファンの皆さんの環境も変わっていく中で、スフィアを人生の一部にしてくれている方に、この曲を通じて「久しぶりに会いませんか?」というお誘い曲にしたいというイメージはお伝えしました。
――確かに久しぶりにアクセルベタ踏みで、自分たちもお客さんも「盛り上がりましょう」と「楽しみましょう」が入っているイメージですね。
豊崎 MVもお客様と一緒に撮れるとなった時に、「これはみんなの声が入って完成する曲なんだ」と思って、これぞスフィアっていう感じがしましたね。
高垣 チャイムが見事だよね。「集まれ~」みたいな。
戸松 確かにMVでそこの部分はお客さんが走って集まるみたいな演出にしてくださってたね。
寿 実はあのチャイム、消える可能性があったんですよ。15周年にかけて曲の長さを「5分15秒」にしたいねって話になって、黒須さんが間奏のチャイムをなくしてアレンジしてくださったんです。でも、MVの監督の河谷さんは「チャイムでお客さんも集まる」という映像のイメージができていたので、黒須さんが「チャイムも5分15秒もどっちもとりましょう」と今の形で作ってくれたんです。神でした。
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