TVアニメ『夜桜さんちの大作戦』のEDテーマでもあるCHiCOの 2ndシングル「fam!」の発売を記念したスペシャルイベントが、リリース日の5月22日に東京・代官山にて行われた。当日はイベントに当選した幸運な30名のファンが集まり、音楽評論家・冨田明宏による公開インタビューやミニアコースティックライブを披露。ポータルサイト「リスアニ!」ではその公開インタビューの模様をお届けする。
INTERVIEW BY 冨田明宏
TEXT BY 渡邉美樹(ライブ)
CHiCO スペシャルイベントなんて初めてだし、こんな素敵な場所でできるなんて本当に幸せです。では早速……公開インタビューなんて、どうするんだよ(笑)。でも、インタビューしてくれる方は、すごくすごくお世話になっている方です。“リスアニ!LIVE”でも大変お世話になっている方、冨田明宏さんです。拍手でお迎えください!冨田さーん!
冨田明宏 お邪魔します。いつもお世話になってます。まずはリリースおめでとうございます。
CHiCO ありがとうございます。
冨田 そして、冨田明宏です。よろしくお願いします。嬉しいんですよ、今日。こんなに素敵なCHiCO空間に呼んでいただけて。今まで、こんな距離感でイベントすることってありました?
CHiCO 最近はリリースイベントをショッピングモールでやらせていただいているので、このくらい近い距離ですけど、こうしたクローズドの空間で見られるのは初ですね。
冨田 めちゃくちゃスペシャルじゃないですか?みんなの方が緊張しますよね?めっちゃ、頷いてる!
CHiCO だから、みんな声が小さいんだ(笑)。
冨田 迂闊なことを言ったら、全部、CHiCOちゃんに聞こえちゃうってなりますよね。
CHiCO 笑い声も多分聞こえますからね。後の方もね。
冨田 そうですよね。1人1人、皆さんの表情も隅々まで見えちゃいますから。ところで、皆さん、代官山は慣れてます? 私も久しぶりに来たんですが、どうです?CHiCOさん的には代官山。本番前にりんご飴をバクバク食べてましたけど(笑)。
CHiCO 紅茶味が美味しかったです。
冨田 あれ、美味しかったですよね。口の中がアップルティーになりましたもんね。
CHiCO もうお店は閉まっちゃってると思うので、また代官山に来る機会があったら。
冨田 次はそのチャンスを狙ってね。私とCHiCOさんの関係性で言うと、私は“リスアニ!LIVE”でMCをやってるんですが、多分2017年がCHiCO with HoneyWorksの初出演で、そのときから7年ですね。
CHiCO そんなに経ちますか?
冨田 そうなんですよ。つい最近ですと、ミュージックレインの中にできたMiCLOVERという音楽アーティストマネジメントチームに関する連載記事のインタビューですね。今年早々に行われた“LAWSON premium event MiCLOVER FES.2024”に向けて、MiCLOVER所属全アーティストのインタビューを私が担当させてもらい、ポータルサイト「リスアニ!」で公開させていただきました。CHiCOさんはそのMiCLOVERの筆頭アーティストですが、ちょっと顔つきが変わったなと思って。
CHiCO 私がですか?
冨田 そう。ちょっと聞きたかったのが、もうすぐソロになられて1年になりますよね?
CHiCO 「光のありか」のリリースが去年の7月だったので、そろそろ1年ですね。
冨田 どうですかは、1人は?
CHiCO 正直、活動においての寂しさというのはまだ感じてなくて。というのも、チコハニの活動とソロの活動は全然違うし、チコハニはこういう気持ちで活動しよう、ソロはこう活動しようと分けていたというのもあって。ソロの方は知らない世界があまりにも多い。曲を作っていく流れや詞の作り方、アーティスト写真もそう。CHiCOというソロアーティスト像を作る流れとか、ソロになって知っていったことなので、寂しいと思う余裕がないのかもしれません。楽しいと大変の繰り返しであっという間に1年という感じです。
冨田 去年、インタビューや座談会でお話を伺ったときに思ったのが、自分名義でリリースする曲や自分の活動が、自分の主体性に結びついていくじゃないですか。ありとあらゆるものが、自分が動かないと何も動かない。誰かにまとわせてもらった活動ではないという覚悟みたいなものをすごい感じたんです。
CHiCO ちゃんと向き合わなければいけないんだなというのは思いました。考えなしにやってきたわけではないですけど、すごく難しいなと思いましたね。
冨田 その中で、間もなくソロ1周年を迎える前に素晴らしいシングル「fam!」が誕生しました。改めてこの曲はすごいですね。作詞・作曲が大塚 愛さんですよ。
CHiCO そうなんです。「プラネタリウム」や、TVアニメ『ブラック・ジャック』のEDテーマだった「黒毛和牛上塩タン焼680円」など、自分が子供の頃にテレビで聴いていたアーティストの方に、自分が同じアーティストになって楽曲を書き下ろしてもらう世界に自分がいるんだということがまだ夢みたい、まだ半分ファンの気持ちでいます。
冨田 夢見心地というか。
CHiCO 本当に色々なご縁があって書いていただいたんですけど、活動してきて良かったと心から思います。
冨田 実際に楽曲を受け取ってどんな感想を最初に持たれましたか?
CHiCO 『夜桜さんちの大作戦』のEDテーマでもあるので、作品に寄り添った温かい楽曲だなというのが第一印象で感じて。あと、また自分が歌ったことのないジャンルが来たな、と。大塚さんが直接歌ってくださった激レアなデモ音源をいただいたのですが、大塚さんの歌声だからこそできる歌い方で、これをリスペクトしたうえで私も歌った方が良いのか、それともCHiCO節で歌ったほうがいいのかは悩みました。
冨田 私の聴いた印象ですけど、ハイブリッドだと思って。あのメロディは大塚さんでしか生まれないメロディという感じがしますよね。だから「fam!」を聴いていると彼女の歌声が聞こえてきそうだけれども、完全にCHiCOさんの声だし。彼女のアドバイスなのか、彼女の仮歌から受けた歌声の表現なのか、丸さや優しさ、温かさの影響を受けて歌われたのかなとちょっと思ったんです。
CHiCO 影響されている部分もたくさんあります。ボーカルレコーディングのときに大塚さんから、ここはこう歌ってほしいというメモをいただいたんです。私はきっと高いところは裏声で歌ったほうが柔らかいし、エンディングでもあるから世界観がぴったりだろうなと思って挑んだんですけど、メモには「裏声ではなく地声で張ってほしい」と。意外と裏声をあまり使わないというのが書かれていたんです。そういう自分との考え方のギャップというか、あえて芯のある歌い方でいいとか、たくさんの気づきがありました。
冨田 改めてこういった曲調であったり、あと『夜桜さん~』という作品があっての曲だと思いますが、今までのCHiCOさんとは違う音楽性にもなってるし、歌にもなってると思っていて、その辺の新しい引き出しを開けた感はいかがですか?
CHiCO 可愛らしい楽曲はチコハニでも歌ってきましたけど、そことは違う可愛さを今回は出して歌っています。笑顔要素だったりとか。私の中で「乙女どもよ。」みたいなイメージなんですよ、「fam!」の歌い方が。だけど包み過ぎず、ちょっとストレートな感じも出しつつみたいな。今までは常に足し算で、あざとくとか大げさにと歌ってきたぶん、CHiCOの活動でのボーカルレコーディングは基本引き算のイメージです。
冨田 そこは大きいかもしれないですね。ある意味で言うとチコハニは演じる的な要素が歌の中で近い表現としてあったかもしれませんけど、最近は色々な音楽性や楽曲との出会いによって、自分らしい歌を素直に出す色々な挑戦があるのかなと思います。
CHiCO そうですね。結構、素直にストレートに歌うことが増えましたね。その中でここはシンプルすぎるからちょっと色を出しましょうとか、そういった感じでレコーディングをしています。
冨田 今回は可愛いという部分もありつつ、優しさというか、包まれる感じは今まで聴かせていただいてきた歌とは違う感じがありますよね。タイトルにもなっている“fam”ってものすごく気楽な間柄で使われる一種のスラングで、ファミリーのことを略した表現ですけど、温かさや距離の近さが出ているのはやはり『夜桜さん』の曲だからかなとも思います。。
CHiCO そうですね。主人公の朝野太陽が急に婿として夜桜六美の家族になって、六美のお兄ちゃんである凶一郎以外はすぐに太陽のことを受け入れてみたいな。懐の広さというか。でも、お兄ちゃんもお兄ちゃんで太陽のことを嫌っているのかな?と思うけど、蓋を開けると愛情があるみたいな感じですよね。
冨田 凶一郎はすべてにおいて妹思いですよね。そこがグッと来るところで。作品の印象はいかがですか?
CHiCO 平成の頃のジャンプ作品が帰ってきたなという懐かしさを感じます。
冨田 めっちゃわかる。
CHiCO ザ・シスコンな感じで(笑)。家族のキャラクターが濃い感じとか、コミカルなテンポ感とか、そういったところに懐かしさを感じますね。
冨田 平成のジャンプ作品って言われてすごく納得しますね。キャラクター設定とかも。
CHiCO ノリツッコミのネタ的なところがぶっ飛んでるんですよ。そこにストレートにツッコむというテンポ感に平成初期っぽさを感じます。
冨田 そうですね。その「fam!」というタイトルもそうですけど、今回、大塚さんが書かれた歌詞は、一般的な家族愛みたいなものとしても受け取れるし、『夜桜さん』の世界観が入ってる、六美から太陽へ向けた言葉のような印象もありますよね。その辺の歌詞の印象についてはいかがですか?
CHiCO 六美から太陽に向けての曲というのを感じますね。六美のために強くなりたくて頑張る太陽を受け入れた兄弟たちが、太陽の傷を治療したり、偽ものの皮膚で傷を隠したりという話がありますよね。六美が太陽に「無理しすぎないでね」と声をかけるときに2人がリビングにいる感じとかは「fam!」の一部をまんま切り取ってると思って……尊いです。
冨田 尊かったり、なんかちょっとモゾモゾしたり、色々とね。
CHiCO でも高校生なんだよなって思ったりもして(笑)。見ているこちらが恥ずかしくなるような、カップルのイチャイチャ感を通り越して、熟練夫婦の関係みたいですよね。
冨田 幼馴染みということもあるだろうけれども、それをはるかに凌駕した2人の関係性がいいですよね。その魅力がしっかりと歌詞に落とし込まれているところは作品のファンも嬉しいかもしれませんね。あと、どこかでたまたま聞いたという方にとっても、家族愛や親しい人への愛情みたいなものを感じられる曲かなと思います。
CHiCO 友人が先行配信で聴いてすぐ連絡をくれたのですが、涙が止まらなかったと言ってました。何か心配事でもあったのかしら?と心配になりましたけど、彼女の中で刺さる部分がたくさんあったんですよね。1人で抱え込まないで、そばにいるからねと温かく包み込むといった内容の歌詞がポイントでもあるので、色々な年齢の方に届いたら嬉しいなと思います。
冨田 親になった世代も我がことのように聞ける曲かもしれないですね。
CHiCO SNSで「fam!」のことを検索したときに、多分大塚さんのファンの方だと思うんですけど、「大塚さんが『fam!』を作ったってことは、娘ちゃんのことを思って書いたのかな」という投稿を見つけたんです。なので、親御さんから自分の子供に向けてや、私からみんなに向けてなど色々な目線で届けられたら嬉しいです。
冨田 そしてMV。観ましたか、皆さん?とってもオシャレでかわいいやつ。あれ、本当に素敵ですね。
CHiCO とても素敵に作っていただきました。監督が私も大好きなUVERworldさんの「一滴の影響」のMVを手がけてる方なんです。なので個人的にとても嬉しくて、打ち合わせにのときに「『一滴の影響』大好きです。MV最高でした」と、オタクを出しました(笑)。あと初めての撮影方法もあったんですよ。覗き込む感じでリップシンクするシーンがありますが、あのシーンは魚眼レンズを置いて真上から撮ったんです。それから頭サビが終わったあとのシーンは、「いいタイミングで自分で楽しんでください」と言われて、スタッフがいない広い空間で360度カメラのgo proを自分で持って、1人で撮りました(笑)。
冨田 見どころがいっぱいあるMVで、繰り返して何度も見たくなっちゃうし、パペットたちもかわいいし。
CHiCO はい! パペットは今HMV立川の方で展示されてるんですけど。
(会場から「池袋!」の声)
冨田 総ツッコミが入りました(笑)。
CHiCO すみません。HMVエソラ池袋店で展示されているんです。(パペットは)MVのために手作りで作っていただいて。
冨田 じゃあ1個しかないんだ。世界に。
CHiCO はい。
冨田 貴重!
CHiCO だから今回のツアーでみんなにどうしても見てもらいたい。HMVエソラ池袋店で展示してるので行けば見られるんですけど、夏のツアーでもどうか壊れない場所に置いてほしいと。
冨田 壊れず、取られず。
CHiCO そう。取ったら本当に怒るから!(笑)。
冨田 許さないんだからね(笑)。今、世界に1つしかないなんて言ったから、価値上がっちゃってると思います。
CHiCO そうですよ!ぜひ、色々な方に見てもらいたいと思います。
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