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2024.05.14

メジャーデビュー20周年を記念して全国47都道府県をめぐるツアー“KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY”FINAL公演をレポート!

メジャーデビュー20周年を記念して全国47都道府県をめぐるツアー“KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY”FINAL公演をレポート!

“421”。この数字はKOTOKOにとって、そしてアニソンの歴史にとって、大きな意味を持つ。2004年4月21日、それまでゲームシーンでカリスマ的な人気を誇っていたシンガー・KOTOKOは、アルバム『羽 -hane-』と共にジェネオン(現NBCユニバーサル)からメジャーデビューを果たした。以降、およそ20年にわたってアニソンシーンのトップランナーとして走り続けてきた。
そんな彼女が自身のメジャーデビュー20周年を記念して、2023年4月22日より全国ツアー”KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY”を開催した。ツアー初日の茨城公演を皮切りに、1年をかけて全国47都道府県をめぐるという長大なツアーは、いわば満20年に向けてのカウントダウンという側面もあった。そしてカウントダウンのあと、2024年4月21日に東京・立川ステージガーデンにて行われたのが”KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY -FINAL-”である。1年46道府県を駆け抜けたKOTOKOが壮大な空=SKYに描いたものはなんだったのか。実にKOTOKOらしい生命力に満ちたアニバーサリーの模様をお届けしよう。

TEXT BY 澄川龍一

1年にわたるツアー、そして20年の歴史を誇示する力強い幕開け

会場となった立川ステージガーデンのステージは実にシンプルなバンドセットが組み上がっている。シンプル、というと簡素に聞こえるが、そこにはおよそ1年間というロングランを走破してきたことを裏づけるようでもある。視覚的な豪華さよりもパフォーマンスという健脚ぶりを誇示する、まるでこのツアーおよびこの日のセットリストを予感させるような開演前の様相であった。そしてそれは概ね当たっており、当初の予想を遥かに超えるライブが幕をあけることとなった。

会場が暗転すると、まるで何かが起動するような重々しく機械的なSEのなかで、メンバーが続々とステージに登場する。そして、KOTOKOが大歓声のなかステージ中央に立つと、聴き馴染みのあるエフェクトが耳に飛び込む。そのなかで青いドレスに身をまとったKOTOKOが伸びやかな歌唱を聴かせる。この光景も幾度となく彼女のライブで目撃してきた。そう、2006年リリースのヒットナンバー「being」だ。当時リリースされたシングル盤のジャケットに写されたのは広大な空をバックにしたKOTOKOの姿。爽やかなサウンドとメロディにピッタリなアートワークだが、それもまた”SKY”というこの日の幕開けにもぴったりである。そしてサビの最後で聴かれる、空の果てまで伸びていくような驚異的ロングトーンも相変わらずだ。そんな、代表曲とともに彼女の20周年ライブは幕を開けることとなる。

そんな「being」のアウトロの祝福的な余韻に終わる前に、突如としてまた聴き馴染みのあるイントロが矢継ぎ早に鳴らされる。2004年にリリースされたメジャー2枚目のシングル「Re-sublimity」である。まさか絶対的アンセムがこの場所で……というどよめきと歓喜が混じった歓声のなか、「”47 SKY -FINAL-”へようこそ! 盛り上がっていくぞー!」とKOTOKOが絶叫して、攻撃的かつメロディアスなサウンドのなかでパワフルな歌唱を聴かせるKOTOKOに、観客もライブのクライマックスが訪れたように歓声を送る。中盤には田口智則のベース、八木一美のドラム、大島信彦のギターとそれぞれのソロパートを聴かれた。このツアー、あるいは長きにわたってKOTOKOのライブを支えてきたバンドは相変わらず鉄壁のパフォーマンスを聴かせる。

まさに20周年にふさわしい代表曲のオンパレードでスタートしたこの日。そしてふたたび「Re-sublimity」のアウトロにと重なるように重厚なギターリフが鳴らされる。真っ赤に染め上げられたステージ上では2007年のシングル「リアル鬼ごっこ」が披露された。ヘヴィなサウンドのなか、KOTOKOのボーカルも荒々しくがなり、あるいは美しいファルセットを聴かせるなど、どこか呪術的ホラーさを感じさせるのがこの曲の魅力だ。序盤からKOTOKOの20年というキャリアの、さまざまなアプローチを聴かせることとなる。

20年を彩るアルバムからなる、驚異の18曲メドレー!

冒頭からシングル曲を連発し、およそグレイテストヒッツ的なセットを予感させたこの日の序盤。しかしその予想は大きく外れ、ここからは20年という歴史をKOTOKOにしかできない異次元のセットへと突入していく。雷鳴のようなエフェクトとさまざまな楽曲のサンプリングが入り混じるなか、始まったのはKOTOKOの始まりのアルバム『羽 -hane-』のタイトルトラック「羽」だ。思えばこの曲、ちょうど5年前に小樽で行われた15周年ライブの最後にアカペラで披露されていた。今回はバンドセットでのパフォーマンスだ。かと思えばこの曲は1コーラスで終わり、そこからメガミックス的に「ひとりごと」の切ないサビへと続いていく。このセットはこのツアーの目玉である、アルバムタイトル曲とファン投票で1位を獲得した楽曲で構成されるメドレーであった。そこから2005年リリースの『硝子の靡風』より優しくフォーキーな表題曲を経て、観客のクラップを誘う軽快な「Wing my Way」へとつながると、ステージが赤く染め上げられるなかで2006年のアルバム『UZU-MAKI』のヘヴィーな表題曲を聴かせ、一転して青く爽やかなライティングのなかで同作収録の「サイダー」がセンティメンタルに鳴らされる。そこから2009年のアルバム『イプシロンの方舟(ふね)』からコズミックな表題曲「ε~Epsilon~」でふたたび硬質なビートを取り戻したあとは、切ないアルペジオが聴かれる「雨とギター」へと続いていく。

ここまでアルバム4枚、いわばメジャーデビューから所属したジェネオン〜ジェネオン・ユニバーサルの音源をメドレーで披露してきた。「ひとりごと」のようにメジャーデビュー前に発表された曲もあったが、アルバム収録的には時系列順にKOTOKOのキャリアをめぐるような構成となっていた。しかしすごかったのが、このメドレーはまだ半分も行っていないということ。ここからは彼女が独立してあらたなステージに身を投じたワーナー・ブラザース期のメドレーへと続く。2011年のアルバム『ヒラく宇宙ポケット』からは、新境地を表明するようにロッキンな「開け!ソラノオト」からスタートし、観客も歓声を送りジャンプする。そこから一転してエレクトロニック「☆-未来-列車-☆」ではキュートなハンドサインも見せる。そして2013年のアルバム『空中パズル』からはシャープなロックサウンドの表題曲を披露したあとは、RO-KYU-BU!に歌詞提供した同作収録の「SHOOT!」をダンサブルに聴かせる。

そして「SHOOT!」の”growing my determination don’t give up! and do your best! try your luck, and fight! chin-up!!”というリフレインを歌ったかと思えばそのまま「廻-Ro-tation」のサビへと繋がるというエキサイティングな展開を見せ、キャリアは2018年作の『tears cyclone -廻-』の楽曲へ。NBCユニバーサルからリリースされた、高瀬一矢との全面タッグとなった原点回帰作で、ふたたび強烈なサウンドを聴かせると(八木沼悟志から高瀬というバトンタッチもエモい)、センティメンタルな「夏恋」を披露し、このあとは2019年リリースの『tears cyclone -醒-』へ。盟友・中沢伴行との全面タッグとなった本作では、「醒-metallic tears-」で攻撃的なデジタルロックを聴かせ、一転して切ない中沢節が聴かれる「水無月の恋~mimetic memory~」へと続いていく。

そして長い長いメドレーコーナーもいよいよクライマックス。切ない余韻を突き破るように現状の最新アルバム『すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-』から、令和の世に甦りし電波ソング「INTERNET OVERDOSE」を強烈に響かせたあとは、同作収録のライブアンセム「すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-」へ。 「みんな手拍子しましょう!」とKOTOKOが呼びかけるなか、観客のクラップをしたり足を踏み鳴らしたりと全身を使ってこの曲を楽しんでいた。

KOTOKOを、そしてみんなを祝福する魔法の数字”421”

最後にKOTOKOが「アルバムメドレーでした! ありがとう!」と言って、KOTOKOの20年をアルバムでめぐるメドレーは幕を閉じた。ここでひと段落……かと思ったら、そのままセットは間を置かず次の曲「同じ空の下で」「Imaginary affair」と懐かしい楽曲が続く。あれだけのメドレーを聴かせたあとにこれだけ瑞々しい声出るのか……と驚嘆しつつも優しいノスタルジックなサウンドにしばし身を委ねる。

そこから”47 SKY”恒例となった日替わり楽曲へ。この日は2005年のシングル「421-a will-」収録の「秋爽」だ。こちらもノスタルジックな風合いが涙腺を刺激する一曲だ。そのあとは「ここで新曲を聴いてください」とひとこと告げて、「パズル」へ。ドラマティックなメロディを優しく、しかし全身を使うように体を大きく動かして歌う姿はグッとくるものがある。そこから心地よいシンセのサウンドが聴かれ、「LOVE A RIDDLE」へと続く。懐かしい『おねがい☆ティーチャー』らしい叙情的なメロディのあとは、これまた懐かしい2000年の『Dear Feeling』より「prime」がキラキラとしたサウンドで鳴らされる。

20年+アルファの歴史を堪能していると、”キュンキュン”とした小気味良いビートとともにKOTOKOが「もう中盤戦こえちゃってるんだよね〜。でも、まだいけるかな?」と語りかけると観客はもちろん大歓声。対してKOTOKOは「じゃあ一緒にキュンキュンしちゃおうね!」と宣言。となればここからは「さくらんぼキッス 〜爆発だも〜ん〜[2022mix] 」と共に電波ソングのコーナーだ。客席も待ってましたとばかりに「ハイハイ! キュンキュン!」の大合唱だ。そして「もういっちょいくぞー!」と叫んだあとはロッキンな「PRINCESS BRAVE!」へと続く。客席のボルテージも最高潮に達したなかで、そのまま「ハヤテのごとく!」へ。心地良いロックサウンドを聴かせたあとは、一転してテンションをさらに上げて「TOUGH INTENTION」で観客と力強いシンガロングを聴かせ、メドレー形式で「Stick Out」へ。ソリッドなサウンドを聴かせ熱量が高まるなか、KOTOKOも「みんな最高!」と実に楽しそう。そして本編もクライマックスを迎えたなか、絶対的なアンセム「Light My Fire」のリフが鳴らされる。会場が赤く染め上げられるなか観客も、そしてKOTOKOもこの日最大とも言える爆音でのシャウトを響かせる。強烈なアグレッションを見せつけたあとは、いよいよエンディングへ。4月21日、このアニバーサリーを祝福するにはこの曲しかないだろう。KOTOKOと、みんなの記念日を祝す名曲「421 -a will-」だ。2005年のリリース以降、みんなを包み込んできたメロディはこの日も同じ優しさで、あるいは20周年というこの日だけの輝きをもって会場に満ちていく。そして最後にはおなじみの”Thank you for your sincerely encouragement. I have my will, Because it’s my gratitude to you.”のリフレインを観客とアカペラで歌う。KOTOKOのキャリアを、そしてそこに寄り添ってきた観客が互いに感謝の気持ちを交歓する美しい光景とともに、祝福に包まれたアニバーサリーライブの本編は幕を閉じた。

KOTOKOが羽ばたく、未来へとつながる”SKY”

アンコールでは、「去年の4月22日から始まってまる1年間続いたツアーでしたが、ずっと前祝いをしながら421、この日に向かって旅をしてきたツアーでした」とこの1年間を振り返る。そしてその旅をともにしたバンドメンバーの紹介をしたあと、「みんなとまだまだ私はいけちゃいそうですけど……」と前振りして「蒼-iconoclast」を披露。2009年リリースのkotoko名義のシングルというまたレアな楽曲を聴かせたあとは、『BALDR FORCE』シリーズから「jihad」「Face of Fact」と荘厳な2曲をメドレーで披露。重厚な熱量が会場を包むなか、最後には2004年リリースのメジャー1stシングル「覚えてていいよ」の軽快なロックサウンドが鳴らされる。およそ20年前からみんなの背中を押し続けたポジティブなメッセージは、変わらずパワフルな歌声とともに客席へと響いていく。まさに大団円にふさわしいエンディングだ。

最後には演奏を終えたバンドメンバーひとりひとりと抱き合いながらツアー完走を労うKOTOKO。これにて”47 SKY”ツアー終了……かと思いきや、バンドメンバーが去ったステージに、KOTOKOひとりが残る。そしてマイクをとって「こんな素敵な20周年を迎えられるなんて、夢みたいです!」と言ったあと少し間を置いて、「私は小さな頃から空が好きでした」と語り始める。「人はちょっと苦手で、ひとり遊びが好きだった」彼女がいつしか歌と出会い、さまざまな出来事のなか過ごした20年。「たくさんの手に導かれて、今私はここに立っています」と感謝を述べたあと、「ここまで連れてきてくれたすべての人に、感謝と決意を込めて」と言って、歌い出したのは『羽 -hane-』に収録された「声が届くなら」。ステージでたったひとり、アカペラで歌う姿は神々しくすらある。やがて、彼女の背後にあるバックドロップに描かれた羽が光をおび始める。紆余曲折があったと語るこの20年だが、この歌を聴いて感じた確かなことは、彼女は今、間違いなく大空を羽ばたいているということだ。あまりに美しい、そして未来に繋がる力強い歌声とともに、この日のライブは幕を閉じた。

栄光のキャリアを、実にKOTOKOらしいタフなスタイルで描き切ったこのツアー。そのステージを目撃した誰もが、20年という大きな空をキャンバスのなかに描かれている、KOTOKOという歴史のなかに自身を見出すような、どこかエモーショナルなステージにも感じられた。

しかしその一方で、彼女はこの日に大きなピリオドを打つわけではなく、そこから先をすでに見据えているようでもあった。5年前に口にした”生涯現役”というワードを今やあえて口にすることなく、彼女自身、そして彼女の周囲にある人々の共通した想いとして刻まれている。彼女がこの日掲げた空のように、それは遥か遠く先まで広がっているのだ

“KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY -FINAL-”
2024年4月21日 東京・立川ステージガーデン
<セットリスト>
01.being
02.Re-sublimity
03.リアル鬼ごっこ
04.アルバムタイトル曲・投票1位曲★メドレー

ひとりごと
硝子の靡風
Wing my way
UZU-MAKI
サイダー
ε~Epsilon~
雨とギター
開け!ソラノオト
☆-未来-列車-☆
空中パズル
SHOOT!-KOTOKO ver.-
廻-Rotation-
夏恋
醒-metalic tears-
水無月の恋~mimetic memory~
INTERNET OVERDOSE
すぅぃ~とさいくろん-☆いぇいっ☆-
05.同じ空の下で
06.Imaginary affair
07.秋爽
08.パズル
09.LOVE A RIDDLE
10.prime
11.さくらんぼキッス~爆発だも~ん~([2022mix)]
12.PRINCESS BRAVE!
13.ハヤテのごとく!
14.メドレー
TOUGH INTENTION
SticK Out!
15.Light My Fire
16.421-a will-
EN1.蒼-iconoclast
EN2.メドレー
jihad
Face of Fact
EN3.覚えてていいよ
EN4.声が届くなら

関連リンク

KOTOKOオフィシャルサイト
https://www.kotoko.asia/

KOTOKO NBCユニバーサルオフィシャルサイト
https://nbcuni-music.com/kotoko/

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