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2024.03.28

ホロライブの進化、煌めく“この瞬間”はこれからも続いていく――!生演奏による臨場感溢れるARライブ“hololive 5th fes. Capture the Moment”を振り返る

ホロライブの進化、煌めく“この瞬間”はこれからも続いていく――!生演奏による臨場感溢れるARライブ“hololive 5th fes. Capture the Moment”を振り返る

2024年3月16〜17日の2日間、VTuberグループ・ホロライブによる5度目の全体ライブ“hololive SUPER EXPO 2024 & hololive 5th fes. Capture the Moment”が開催された。ここではいくつかのポイントに分けて今年のstage1~3の魅力を振り返ってみたい。

TEXT BY 杉山 仁

今年は生演奏での臨場感溢れるARライブという基本路線はそのままに、会場の規模を拡大。ステージ数もHoneyWorks stageを含めると2日間で合計4公演の開催となった。なかでも新たな試みが、観客席を取り囲むように「左」「正面」「右」に用意された3つのメインステージ。公演中はこの3箇所をローテーションするように使用ステージが変化するため、会場の様々な場所にメンバーたちが現れる。大会場でアーティストを乗せて回るトロッコや移動式ステージなどにも通じるような、メンバーをより近くに感じられる工夫がされていた。

メインステージが3つあるということは、客席によってライブ体験が大きく変わるということでもある。「誰がどの曲を歌うか?」に加えて「どこに出てくるか?」という楽しみな要素がもう1つ増えたことで、ライブがよりエキサイティングになっていたように感じられた。また、終演後に「自分はこうだった」「こっちはこうだった」とリスナー同士の会話も弾むはず。それぞれに異なる体験や思い出を共有したりすることで、ようやく“Capture the Moment”(=この瞬間を残そう)という公演の全体像が浮かんでくるような雰囲気だ。

メンバーのパフォーマンスそのものからも、様々な変化や進化が伝わってきた。大きな目玉となったのが、ステージごとに数人が披露したメドレー/マッシュアップパート。過去にもライブ企画“Bloom,”などで演出としてDJミックス的に楽曲が途切れなく披露されたことはあったものの、全体ライブでのメドレー形式のパフォーマンスは恐らく初の試みとなる。

stage1では宝鐘マリンと天音かなたが「特者生存ワンダラダー!!」と「Ahoy!! 我ら宝鐘海賊団☆」をマッシュアップ。元々の歌詞をもじった“あん、神様ぁ/今日はこのかなたを/海賊の一味にしてくだたぁ~い”というフレーズなども加えつつ、2曲を行ったり来たりする変則的なパフォーマンスで会場を盛り上げた。沙花叉クロヱも自身の楽曲「右左君君右下上目きゅるんめちょかわ!」「人生リセットボタンぽちーw」「擬態ごっこ」を披露。彼女の個性でもあるキュート&クールの2種類の歌声が楽しめるステージで会場を魅了した。

stage2は大空スバルが「ぷ・れ・あ・で・す!」「スターライト」「Stellar Symphony」をメドレー。明るく元気な楽曲から同期の2期生4人のモチーフを盛り込んだ疾走感全開のロック曲、壮大なミドルバラードまで振り幅の広い楽曲を披露した。そしてstage3では星街すいせいが「灼熱にて純情 (wii-wii-woo)」「Newton」「ソワレ」を連続で披露。ロック色を増した2ndアルバム『Specter』の収録曲からそれぞれにタイプの違うキラーチューン3曲を次々に繋いで、楽曲が切り変わるたびに会場が大歓声に包まれた。

また、例年以上にJP/ID(インドネシア)/EN(イングリッシュ)のメンバーが混ざりあったユニット曲が増えたことも今年の特徴だろう。白銀ノエル、博衣こより、がうる・ぐらによる「にっこり^^調査隊のテーマ」や、低音/高音を意識的にパート分けしてデュエットした夏色まつり&アイラニ・イオフィフティーンの「テレキャスタービーボーイ」、百鬼あやめ、雪花ラミィ、アーニャ・メルフィッサによる「初恋サイダー」、常闇トワ、ラプラス・ダークネス、クレイジーオリーによる「RAD DOGS」など、ライブだからこその新鮮な組み合わせが多く見られたのも今年ならではだった。

加えて、サプライズ出演や休止中のメンバーによる嬉しい出演も。stage2には昨年末に長期療養から復帰したばかりのため出演予定がなかった赤井はあとが突然登場し、「アイドル」をカバーして会場は大歓声!事前に共有されていないにもかかわらずペンライトが一斉に彼女のイメージカラーに変わる様子は圧巻だった。また、現在インターネット上での活動を休止している紫咲シオンもstage3(&HoneyWorks stage)に出演。久々にリスナーの前に登場し、全体曲からソロ曲、ユニット曲までを披露して観客から大きな歓声を受けた。

こうした今年ならではのサプライズや変化に加えて、過去のライブから引き継がれた様々な要素もある。例えば、戌神ころねのソロパート「真赤な誓い」のカバーでは、毎年恒例のアクロバットを披露。エアギターを披露したあとに側宙を決めて会場を湧かせた。

一方、宝鐘マリンと天音かなたのMCでは、2人で一緒にハートを作るつもりが、1人だけグッドポーズになってしまうネットミーム「片思いハート」が誕生。これもMCパートの恒例で、昨年は湊 あくあにグッドポーズを決められていた天音かなたが、今年は自分がグッドポーズを決める側に回っていたこともユーモラス。ラスト曲でのTシャツ姿への衣装チェンジなども含めて、全体ライブが続いてきたからこその「おなじみ」が増えた印象だ。

ライブパフォーマンスの面でも、これまでの積み重ねと、新しく加わった要素との両方が、ますますライブを魅力的にしているように感じる。例えば、ときのそらがソロパートで披露した「ゆっくり走れば風は吹く」は、デビューして間もない頃の将来の夢を語った生配信がサンプリング的に挿入されている間奏に合わせて、「今年でフェスも5回目となります。毎回来てくれて、みんなの応援が聞こえてとっても嬉しいです。最後まで最高のフェスになるように、みんなも盛り上がってほしいよ!」と今の気持ちを伝えるパフォーマンスに。

開催ごとに音楽性もますます多種多様になっている印象で、stage1の開始早々会場一体となって異様な盛り上がりを見せた「美少女無罪♡パイレーツ」、ラテン音楽風のサウンドが楽しい「ねねちのギラギラファンミーティング」、観客も参加した特大のコール&レスポンスが起こった湊 あくあの「君の最推しにしてよ!」などライブ映えするようなアップテンポな楽曲もあれば、アキ・ローゼンタールによる幻想的な「シャルイース」や七詩ムメイの「mumei」、ロボ子さんによる中島美嘉「僕が死のうと思ったのは」のカバーなど、じっくりパフォーマンスを聴いていたいタイプのバラード曲なども多数ある。

以前から度々コラボしてきた角巻わため&森カリオペによる「Q」、共にキュート属性の歌声の相性が良い白上フブキ&さくらみこの「むげんだいすき」など、メンバー同士の歌声や音楽性のシナジーによって、パフォーマンスがより魅力的に感じられるような瞬間も多々あった。

そして今年最も印象的だったのは、stage3のソロ/ユニットパートのラストを務めた星街すいせいとAZKiによる「The Last Frontier」だろう。この楽曲は、元々ホロライブ内の音楽レーベル・イノナカミュージックの同僚で、共にホロライブに転籍した2人によるコラボ曲。“最前線の地へ 君なら行ける”という歌詞にも顕著なように、実はリリース当時は活動を終える予定だったAZKiが、残って活動を続ける星街すいせいへの想いを託した楽曲でもある。そんな楽曲の歌詞を、今回は星街すいせいがこのライブのために一部変更。三度ルート変更を経験して今に至ったAZKiの活動などを盛り込みつつ、“最前線の地へ 共に進もう”と、お互いに活動を続けることになった今の楽曲に変えて披露した。

全編を通して感じたのは、5回の開催を経て、ホロライブの全体ライブに魅力的な歴史が生まれつつあるということ。stage1~3のすべてで最後に披露された新たな全体曲「Capture the Moment」もまさにその魅力を伝える曲で、2019年に発表したグループ初の全体曲「Shiny Smily Story」(「SSS」)の作家陣が再び楽曲を担当。“いつも聞こえるエールは ここにキャプチャーして”という「SSS」の歌詞を連想する曲名に加えて、楽曲内にも同曲の歌詞や要素を盛り込んだホロライブの歩みを改めて感じる楽曲になっていた。

徐々に内容が明らかになりつつあるメタバースプロジェクト「ホロアース」や、運営会社・カバーによる初の海外拠点・COVER USA設立によるさらなる海外展開なども含めて、ホロライブの進化は今後も続くことだろう。恒例となったグループの全体ライブにおいても、5回という節目を超えて、次はどんな景色を見せてくれるのか――来年も楽しみにしていたい。


●ライブ情報
hololive 5th fes. Capture the Moment Supported By Bushiroad
会場:幕張メッセ「国際展示場1-3ホール」

・hololive stage1 : 2024年3月16日(土)
・hololive stage2 : 2024年3月16日(土)
・HoneyWorks stage : 2024年3月17日(日)
・hololive stage3 : 2024年3月17日(日)

【主催】
カバー株式会社 / hololive production

■配信チケット情報はこちら
https://hololivesuperexpo2024.hololivepro.com/tickets

©️ 2016 COVER Corp.

関連リンク

ホロライブプロダクション公式サイト
https://hololivepro.com/

ホロライブプロダクション公式Xアカウント
https://twitter.com/hololivetv

ホロライブ公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCJFZiqLMntJufDCHc6bQixg

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