スピラ・スピカ(以下、スピスピ)の幹葉が、自身の憧れの人物に直接会いに行き、その人たちから様々な話を聞く対談形式の連載企画「幹葉の森 おしゃべりルーム」の出張版がスタート!
1月27日(土)・28日(日)に日本武道館にて開催される“リスアニ!LIVE 2024”で“宣伝隊長”を務める幹葉が、出演アーティストに当日の意気込みなどを聞く企画「幹葉の森 おしゃべりルーム」“リスアニ!LIVE 2024”出張版。今回会いに行ったのは、2024年1月27日(土)・28日(日)に日本武道館にて開催される“リスアニ!LIVE2024”へ、「UPCOMING ARTIST」として両日出演することが決まった「UniteUp!」のPROTOSTAR・清瀬明良役の戸谷菊之介。共に朗読劇に参加したこともある2人は音楽的なバックボーンにも実は近いものがあったようで……!?今回の対談では、戸谷の“これまで”の道のりや“リスアニ!LIVE 2024”に対する想いを聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
PHOTOGRAPHY BY 堀内彩香
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──お二人は同じ事務所(ソニー・ミュージックアーティスツ/以下、SMA)に所属されていますが、知り合ったのはいつくらいなんですか?
戸谷菊之介 2022年のスピラ・スピカ(以下、スピスピ)のライブにお邪魔させてもらったんです。ライブ後に楽屋で挨拶させていただいて。
幹葉 2022年12月のソロ一発目のワンマン(“スピラ・スピカ One-Man Live 2022 winter ~ネクストステージ~”)でしたよね。スタッフさんから「戸谷くんが来てくれるかも」というお話を事前にうかがっていたんです。そのときに、戸谷くんが「トロンボーンを吹いていて、YouTubeで〝TOYA JAZZ KIKU JAZZ〟というチャンネルもやっている……」という話を聞いてそれをチェックしていて。だから、最初は声優というよりも“トロンボーンの人”という印象から入ってたんです。
戸谷 ご挨拶のときに、〝TOYA JAZZ KIKU JAZZ〟を見てると言われて、「なんで知ってるんですか?」と驚きました(笑)。
幹葉 〝TOYA JAZZ KIKU JAZZ〟には、演奏だけじゃなく、トークもあって。その人柄を見て「優しいオーラが出まくってるんだろうな」と思ってたんですよ。実際ライブで挨拶したときに「そのままや!」って!
戸谷 それこそ、スピスピのライブを見たときに同じことを思いました。「そのままだな」って。いや……そのままより上きたな、くらい(笑)。元気で、たくさんお喋りもしていて、本当にすごいなと思いました。
幹葉 ありがとうございます!でも、そのときは優しくふわっとした印象だったんですけども……その後、朗読劇(2023年5月 Act Session vol.2『Re: -the beginning of the end-』)でご一緒したときは、また違った印象を受けました。戸谷くんがいると自然と周りが明るくなるんですよね。盛り上げ上手だなって。
戸谷 え、本当ですか?嬉しい。
幹葉 私は初めての朗読劇だったので、めちゃくちゃ緊張していたんです。でも、そんな私でも入っていきやすいような空気感を作ってくれて、すごく助かりました。あと、思ったよりはっちゃけてるんだ!って(笑)。
戸谷 人見知りなので、最初に人と接するときはちょっと抑えちゃうんですよ。仲の良い人、それこそ「UniteUp!」のメンバーの前だとはっちゃけますね(笑)。
幹葉 でも、やけんこそ戸谷くんの周りには人が集まってくるんだなって感じました。
戸谷 すごく嬉しいです。幹葉さんは朗読劇が初めてということで緊張されている姿を見て、それこそ意外というか「そういう一面もあるんだ」って思いました。でもすごく良かったです、お芝居。
幹葉 いやいやいや。というか、戸谷くんのお芝居がすごくって!もちろんお芝居だけでなく、ものすごく臨機応変に、色々なことに対応している姿を見てすごいなと思っていました。2人でじっくりとお喋りする機会はなかったので、今日は色々なことを聞いていこうと思っています!まず、何度もお話しているとは思うんですけど、声優になったきっかけを改めて伺ってもいいですか?というか、戸谷くんは芸人さんを目指していたって本当?
戸谷 本当です!中学生の頃からコント番組が好きだったんです。特に、東京03さん、バカリズムさん、劇団ひとりさん、早見あかりさんがやっていた「ウレロ☆シリーズ」(テレビ東京系列で放送されていいたテレビドラマシリーズ)がすごく好きで「これをやりたい!」と思ってお笑い芸人を目指していました。
幹葉 声優になろうっていう前に、まずその大きな夢があったんだ。
戸谷 そうなんです。絶対お笑い芸人になろうと思って、学内で有志団体を立ち上げたんです。最初はお笑い部を作りたかったんですけど「部活をやるには実績が必要」と言われて、じゃあまず有志団体を作ろうと。
幹葉 行動力がすごい!
戸谷 本当にこのときはすごくて(笑)。絶対芸人になると思っていました。で、漫才やって、コントやって……。
幹葉 漫才やって、コントやってって言ってるけど、簡単にできることじゃないですよね……!やっぱり戸谷くんの周りには人が集まるんだね。
戸谷 たまたま関西出身の友達がいたんですよ。で「漫才やらない?」って誘ったら、「いいよ」って言ってくれて。でもコントをやるってなったら人数が必要じゃないですか。だから周りに声をかけて、人を集めて。
幹葉 すごいね。遡ると、幼稚園や小学校の時もクラスの中心にいる感じだったの?
戸谷 いや、中心にはいなかったですけど、みんなとわちゃわちゃやってる感じはありましたね。あと、僕は三人兄弟の一番下なので、何をやっても家族がみんな笑ってくれるんです。そういう体験がもとになってるんじゃないかなと。
幹葉 なるほど。そこから声優にどうやって繋がっていくんだろう?
戸谷 高校卒業後、色々なオーディションを受けてたんです。芸人さんの事務所、養成所、歌のスクールとか。いくつかは合格をいただいていたんですけども……養成所に所属となるとお金もかかりますし、お笑い芸人から広げていったんです。役者とか。
幹葉 そうか。コントが好きだから、演じるって意味では近いものがあるもんね。
戸谷 そうなんです。やることは変わらないかなと思って広げてみたんです。そのなかに声優もあって。その後、SMAが主催するオーディション「第6回アニストテレス」(2017年)を受けて、特別賞をもらったんです。「あれ、もしかしたら(自分が向いているのは)声優なのかもしれない」と。
幹葉 元々アニメも好きだったの?
戸谷 はい、好きでしたね。小さい頃からめちゃくちゃテレビっ子で、CSのアニメ専用チャンネルをずっと観ていました。そういうこともあって「声優向いてるのかもな」と。そこから本気で声優のお芝居を学び出したって感じです。
幹葉 もしかして、スピスピと同じくらいからSMAにいるってことかな……?私は2017年頃からお世話になっているんですよ。
戸谷 「第6回アニストテレス」が2017年だったので、一緒です!同期だったんですね。
幹葉 お!同期だったのか!同じ事務所でも、音楽と声優で色々違うと思うんだけど、声優オーディションに合格後は、どうなっていくの?
戸谷 SMAに入ってくる人たちは、高校を出てすぐ、もしくは専門学校で勉強して入ってくることが多いんですけど、ほかの声優事務所の場合は養成所があって、そこから事務所へ、という場合もあります。僕は演技の経験がなかったので、独学で「外郎売」などの発声練習をやっていました。それと、お芝居に関しては、声優の緒方恵美さんが開設した俳優私塾「Team BareboAt」でご指導を受けていました。
幹葉 色々な方法があるんだね!緒方恵美さんの私塾には、自分で調べて通うことに?
戸谷 教えてもらって、オーディションを受けたんです。そしたら合格をいただき、通うことに。大体週に一度稽古があって、それを一年間やるんですけど、そのあとも「いていいよ」と言っていただけて僕は3年間いました。
幹葉 演じるっていう意味では過去にやって来てたコントも近いものがあるのかなと思ったんだけど、実際に声優の世界に飛び込んでみて全然違うなって思うこともある?
戸谷 演じるって、すごく心を使うなって。その人にならなきゃいけないわけじゃないですか。それが今まで向いてきた側の演技とは全然違うなと思いました。
幹葉 しかも緒方さんは現役で活躍されている方だから、学べるものがたくさんありそうだよね。
戸谷 めちゃくちゃありました。緒方さんは芝居に対する熱量がすごくて。その姿を間近で見られたり、緒方さんと一緒に掛け合いが出来たりする場所だったので、本当に貴重な経験でしたね。
幹葉 戸谷くんは声量もすごいじゃない?
戸谷 えっ、声量ですか?
幹葉 朗読劇のときに「声量がすごい!」と驚いたんです。それも、私塾での経験が大きいのかな?
戸谷 嬉しい!でも、声量は多分別なんですよ。
幹葉 あ!トロンボーンの肺活量が関係してる?
戸谷 それも違って……。
幹葉 違うんかい!(笑)
戸谷 (笑)。多分、野球なんですよ。
幹葉 へっ?野球の経験が声量に繋がるの?
戸谷 はい。僕、中学時代に野球もやっていて、野球部では副キャプテンだったんです。外野を守ってたんですけど、バッターまで声をかけるんですよ。「ばっちこーい!」って。それを3年間ずっとやっていたので、声はとにかくでかかったんです。それが今になって活きているなとは自分でも感じています。
幹葉 なるほど……!いや、本当に声が大きくて。朗読劇でご一緒したときに「この子はマイク要らないんじゃないか?」って思って。しかも、ただ声が大きいというわけではなく、演じてるキャラクターの感情を声量でも表現している。読み合わせのときから飛び抜けていて、その迫力に圧倒されました。
戸谷 あははは、嬉しいんですけど、なんだか恥ずかしいです(笑)。
幹葉 それにしても戸谷くんは、色々やってるんですね。トロンボーンは漫才よりも先?
戸谷 えっと、ピアノが一番先です。小さい頃からピアノをやっていて、トロンボーンは高校から。だから、ピアノ、野球、お笑い、トロンボーン……という順番ですかね?
幹葉 すごい!おもろ経歴やね。ほかに習い事は隠してない?
戸谷 大丈夫です。出し切りました(笑)。でも、トロンボーンを始めたのはあまり本意ではなくて。高校にジャズを演奏する部活があって「お洒落な部活だな、よし入ろう」と思って。ピアノをやりたかったんですけど、ピアノ希望者の人数がすごく多かったんですね。
幹葉 ああ、部活あるあるですね。一点集中の。
戸谷 そう。そしたらコーチに「君はトロンボーンの口をしているね」と言われて。
幹葉 トロンボーンか。私も小学生の時に金管バンドに入っていて、トランペットを吹いていたんです。でもドロンボーンはトランペットと違って、自分の匙加減もあるから、めっちゃむずいよね。
戸谷 そうなんですよ!隙間がたくさんあるからピッチを合わせるのも大変で。「うーん」って思いながら吹いてたんですけど、なんだか愛着が湧いてきて「好きだな」と思うようになって。卒業後もずっとジャズを続けていました。
幹葉 話を聞いていて思ったんだけど、トロンボーンを組み込んだ漫才とかはどう?
戸谷 えっ、ジャズ漫談みたいな感じですかね?めちゃくちゃ面白そうですね。考えたことなかったです。あとでメモしておこう……。僕、3月にイベントをやるんです(3月31日渋谷Spotify O-nest『Ultoya Party!! 〜BIG LOVE〜』)。去年の2月にもやっていて、その2回目となるイベントなんですけど、そこでお笑いやろうと思ってるんですよ。
幹葉 おお、観に行きたい!1回目のときはどんなことしてたの?
戸谷 ピアノの弾き語りと、トロンボーンと、お笑いのピンネタを。
幹葉 ええ!本当にすごい!
ーーお二人は漫才の息が合いそうですね。
戸谷 え!?幹葉さん、漫才やるんですか?
幹葉 漫才ではないんだけど、落語に興味があって勉強中なんです。まだ初心者で、見よう見まねではあるんだけどね。昨年、音楽と落語が融合したイベントを観に行ったんですが、それも今までにない組み合わせで面白かったから、ジャズ漫才も新たな扉が開きそうだなって。
戸谷 確かにありですね。考えてみます。というか、幹葉さんはトランペットもやられていたんですね。何か一緒にできたら面白そう。
幹葉 確かに、一緒にできたら面白いよね!やってみたい!もし何か機会があったら、トランペットも練習しておく!(笑)
戸谷 あはは、やりたい。やりましょう!
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