「アイドルマスター SideM」のBeit・渡辺みのり役や「スタンドマイヒーローズ」の荒木田蒼生役などでも知られる高塚智人がアーティストデビューを果たしたのが2022年1月。そして今回、久々のミニアルバムとなる『アイコトバ』を12月13日にリリースした。前作同様、軽快なサウンドをはじめバラエティに富んだ本作は、本人曰く「前作『ホシノオト』と併せて1枚のアルバムとして聴ける作品」とのこと。音楽が大好きで、深く狭く聴き込んでいくことを好む音楽ファンである高塚が正面から向き合い制作を進めた1枚について、話を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち
――ソロアーティストとしてデビューしておよそ2年。デビューに対しての周囲の反応はいかがでしたか?
高塚智人 「まだアーティスト活動をしていなかったんだね」と言われることが結構ありました。歌のコンテンツにそれほど多く関わっているわけではないのですが、歌のイメージがあるのか、「デビューしていると思っていた!」と周りの方から言われましたね。
――高塚さんが音楽好きなことが知られていたからかもしれないですね。実際にアーティストとしてデビューしたあとに、音楽の聴き方や向き合い方に変化はありましたか?
高塚 根本的なものはなにも変わっていないかもしれない。元々音楽を深く聴くほうでしたし、歌詞を見たり、曲のメロディをしっかり聴きながら「ここでこの楽器を使っているのか」「この音の使い方、すごく良いなぁ」と分析したりしていたので、アーティストデビューしたからといって音楽の注視するポイントが変わることはなかったです。
――最近、「これ良いな」とご自身のアンテナが反応したのはどういった音楽ですか?
高塚 これまでも「好きな音楽」というものが明確に僕の中にあったので、昨今の流行りでもあるK-POPアイドルの音楽には実はそれほど興味がなかったというか、あまり聴くことはなかったんです。でも最近、パフォーマンスも込みで楽しんで聴くようになりました。それによって自分の音楽観が広がったなと感じています。アイドルコンテンツに関わっているものの、アイドルの歌を聴くことがあまりなかったので、今はすごく刺激を受けていますね。
――K-POPアイドルはどちらかというとアーティストっぽくもありますよね。楽曲もパフォーマンスも自身でクリエイトされる方が多いですし。
高塚 また1つ、違うジャンルのようにも見えますよね。振りも皆さんで考えていると聞いていますし、刺激を受けています。とはいえ、刺激を受けつつもさすがにあそこまでの領域のことは、僕には出来ないので、次の人生ではあれくらい極めたいですね。
――今生でも近づきましょう!
高塚 あははは(笑)。でも、アイドルコンテンツに参加するうえではすごく参考にさせてもらっています。それこそ今回のMVの撮影でも、K-POPアイドルのMVを見て、「これだけのことが人間には出来るんだ」と自分の中での基準値を上げてから挑むと、モチベーションも上げることができて。そういった意味でも刺激や影響を受けていますね。
――デビューミニアルバム『ホシノオト』は世界観をしっかりと構築されたうえで作り上げた1枚でしたが、続く1枚に取り掛かる際にはどういうものを作ろうと思われたのでしょうか。
高塚 生きているうえで、「今、こういう音楽をやってみたい」とか「今、こういう曲を歌ってみたい」というものはタイミングによって変わっていくと思うのですが、今回はエモのある楽曲を軸に、統一感を持って作りたい想いや、バンドサウンド前面に一枚を作り上げてみようと当初は思っていて。ただ、まだジャンルを1つに絞るよりも1stミニアルバムでやり切れていない、自分が歌ってみたいメロディや音楽を、幅広くやってみたいと改めて思ったんです。それで2枚目のミニアルバムを作るとなったときに、1stと同じ感覚で「こういう歌をうたいたいです」という想いを伝えて、制作させていただきました。
――前作からの地続きみたいな感覚でしょうか?
高塚 そうですね。1stでやり切れなかったことを2ndでもやりたいと思い、制作を進めていきました。
――そうして出来上がった2ndミニアルバム『アイコトバ』。リード曲は「僕らのアンサー」です。高塚さんにとってリード曲とはどのような存在ですか?
高塚 本来、リード曲はアルバムのシンボルとなるものだと思うのですが、今回はリード曲をリード曲だと思わず、全曲シングルになる、くらいの気持ちで歌いました。なんだったら全部の曲を録り終わってからリード曲を決めたくらいで、“どの曲もリード曲”と思いながら作りました。全曲歌わせていただいて、聴き直したときに強いてリード曲を挙げるなら……となったときに決めたのですが、「僕らのアンサー」は作詞作曲を藤本記子さん、編曲を福富正幸さんがしてくださった曲で、僕としては夢のような1曲だったんです。特にお気に入りの楽曲ですし、お二人が手がけてくださった曲を歌えたことが本当に嬉しかったのもあって、リード曲にさせていただきました。
――お二人に対してはどのような想いがあったのでしょうか。
高塚 「アイドルマスター」で多くの曲を作っていらっしゃるのですが、僕の好きな曲をお二人が何曲も手がけていらっしゃったんですね。そんなときにたまたまお仕事でお会いしてお話をする機会があって、「お二人の音楽のおかげで、キャラクターの新たな魅力に出会うことができました」と感想をお伝えしたんです。そのときにはアーティストデビューもしていたので、いつかお二人に曲を作ってもらえたら嬉しいです、とお話をしたのですが、その際に名刺をいただいて。出会いからしばらく経過して、今回の2ndミニアルバムを作る話になったときにいただいた名刺から連絡をしてお願いしたところ快諾してくださったんです。本当に嬉しかったです。
――そのような経緯があったんですね。確かに、お仕事で色々なクリエイターさんの曲を歌っているからこその出会いも多い職業ですしね。
高塚 そうなんですよね。実際に今回のミニアルバムでは、すべて僕がお仕事でご一緒したことのある方々に作っていただいたんです。
前作はイメージだけをお伝えして制作の皆さんにお任せしたのですが、今回はこうした形で関わらせてもらい、前回も楽曲を作ってくださったクリエイターさん+僕がお仕事でお会いしたことのある方にお願いさせていただく形になりました。お仕事が繋いでくれる縁を感じながら制作できた1枚になりましたね。
――その「僕らのアンサー」ですが、楽曲が届いたときにはどのような感想がありましたか?
高塚 歌詞も曲も、何も言うことなしで……制作にあたってイメージをお伝えさせていただいたのですが、やっぱりお二人が作る曲は僕にぶっ刺さるんだろうな、と思いました。ただただ、ありがとうございます、という想いでいっぱいです。
――今回はキャラクターとしてではなく高塚智人としてお二人の楽曲と向き合うことになりました。どのように表現しようと思われましたか?
高塚 藤本さんがシンガーソングライターとしても活動されていた方なのですが、僕自身も歌うとなったときに声質や歌い方も、シンガーソングライターさんが作る曲調が合うだろうと思っていましたし、スッと歌える、という感覚がありました。自分の歌でもあるのですが、聴いているときには第三者として「すごく良い曲だなぁ」とアーティストさんの曲を聴いている感覚になれて、その感覚を持てたことも嬉しい1曲でした。
――そんな「僕らのアンサー」。「ここが良い!」と思うのはどの部分ですか?
高塚 全部良いのですが、やっぱり歌詞です。今回自分も作詞をさせてもらったからこそより強く感じるのですが、こんなふうに言葉で世界を表現できるなんてすごいな、と。歌詞に“青い斜面”と書いてありますが、そこでは若さという“青”を感じられたり、オレンジ色のエモーショナルな空もあれば、雲一つない空の色も感じさせる。色々な色彩が曲調からも歌詞からも感じられるんですよね。聴いている人の今の気持ちで、何色にもなれる曲だなと思いました。
――MVでは非常に楽しそうな高塚さんとアートのコラボレーションで魅せています。こちらのMVの撮影秘話をお聞かせください。
高塚 最初は外でロケをする、という案があって、僕も広い川辺や夕景のイメージを持っていたのですが、MV収録日近辺にすごく雨が降りまして、急遽全部がグリーンバックでの撮影となたんです。当初予定していたものではないけれど、とても面白いMVが完成しましたし、僕としては皆さんがMVを見て楽しんでいただけることが大事なので、面白いものになるなら問題ないなと思っていました。前回はモノクロで、MVではありつつも曲を広げるための映像でしたが、今回は僕がわちゃわちゃしているところを楽しんでもらえたらいいなと思って、僕自身も楽しんでやらせてもらいました。
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