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2023.11.06

All-time best team――宮野真守、“いつか”を耐え続けた先の光がここに。 “MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2023 ~SINGING!~” ツアーファイナルレポート

All-time best team――宮野真守、“いつか”を耐え続けた先の光がここに。 “MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2023 ~SINGING!~” ツアーファイナルレポート

2020年の新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言から影を落とし続けたエンタメ界にいよいよ光が射した2023年。今年、アーティストデビュー15周年を迎えた宮野真守は、「一緒に歌おう」という想いをそのまま形にした「Sing a song together」を軸に、「SINGING!」を冠した全国ツアーを開催。そんなツアーのファイナル公演をレポートする。そこに集うすべての人たち・チームマモが1つの「TEAM」として体感した、歌声に溢れた時間はまさに幸せの瞬間ばかりだった。

TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY 山内洋枝(PROGRESS-M)、青木早霞(PROGRESS-M)

「Sing a song together」を芯に置く、会場が一体感に溢れたツアーファイナルの夜

大きな拍手に包まれた、東京・国立代々木競技場 第一体育館。1964年に「世界のタンゲ」こと丹下健三が設計した日本のモダニズム建築の最も芸術的な姿を残すこの場所の、満員の観客が一身に視線を注ぐステージに宮野真守は立っていた。オープニングの映像と共に幕を開けた“MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2023 ~SINGING!~”は、その始まりから約4年ぶりの歓声響くライブとなった。

ショーの幕開けを告げるような高揚感ある音に導かれてバンドが、ダンサーが、そして宮野が姿を現し、「Sing a song together」が会場に響き渡り、そして“Na…”の歌声が会場から湧き上がる。「歌え!」と宮野の呼び声にオーディエンスの歌声はさらに大きくなる。始まりの1曲目から花道を歩き、遠く2階席の観客にも、まるで一人ひとりに声をかけるように歌う宮野はミントグリーンの衣装から伸びる大きな手を広げ、共に歌う。今年8月にデジタルリリースしたそんな想いをタイトルに冠したこの曲は、ライブが宮野自身の芯に在ることを感じさせ、「僕はここにいるよ」という歌声が少しもぶれることのない真っ直ぐで素直なメッセージを強く意識させた。

続く「SHOUT!」はアニメ『カードファイト!!ヴァンガードG ストライドゲート編』のOPテーマであり、戦いへと挑む熱が宿る1曲。ここでも大きく声を上げるオーディエンス。パワー感あるバンドのグルーヴが、宮野と会場の歌声の勢いをさらに加速させていくようだった。「THE ENTERTAINMENT(HIRO REMIX)」はポップなダンスチューンへとアレンジされたバージョンで、会場をダンスフロアへと変貌させる。ヒップなダンスでシェイクする宮野が、会場を魅了するとオーディエンスも軽快ビートに体を揺らして応える。

「Sing a song together」の軽快なSEで場面を変えると、続いたのは「FANTASISTA 2023」だ。3rdアルバム『FANTASISTA』に収録された1曲は、その誕生から時を経た2023年の姿として、都会的なシティポップのエッセンスを散りばめられたダンスチューンに。会場から大きな歌声の塊は振り注ぎ、バンドとの息の合ったステージングで大人な雰囲気を放った宮野はかけていたサングラスを客席へと投げると、ライブはホーンとピアノの音がゴージャスに響く「行こう!」へ。ステージ上を駆け抜けるように歌い、軽やかなステップを踏む宮野は会場と一体で声を上げ、ライブを全身全霊で堪能していることがうかがえる。畳みかけるように響いたロッキンなナンバー「Greed」では、ギター/バンドマスターの木原良輔がステージ前方へと出てくると、そのギターが鋭く唸りを上げる。そのリフに誘われるように宮野の歌声も雄々しく、荒々しく鳴ると会場で光るペンライトの輝きも大きな光の波を作っていた。

ツアーファイナルも“笑顔”を生み出し続けた宮野

バンドメンバー、そしてダンサー紹介でそれぞれのソロパートで大歓声が沸いた代々木第一体育館に静かなピアノとギターの旋律が響くと、ステージに一筋のスポットライト。そこにゆっくりと歩いて表れた宮野は黒のジャケットにパンツというスタイシッリュな姿。「Invincible Love」をしっとりと聴かせる。1つずつ、丁寧に言葉をオーディエンスに向けて差し出すような歌声に、フロアのオーディエンスがじっとその身に歌を受け止めるように聴いている姿が印象的だった。

歌を終えた宮野が顔を上げ、会場を見渡すと「マモー!」と彼を呼ぶ声が会場いっぱいに響く。イヤモニを外し、その声に耳を傾ける宮野。2019年に開催された“MAMORU MIYANO ASIA LIVE TOUR 2019~BLAZING!~”以来の歓声であるというこのライブを、心から噛み締めていることがその表情からも伝わってくる。ツアーファイナルが始まったことを告げると、改めてマイクを握る。「約4年ぶりの、念願の、声援ありのツアー。皆さん、楽しんでますかー?大いに声を出してください。盛り上がってますか?」と叫ぶ宮野に、「イェーイ!」と天井を突き破らん勢いの大歓声が応え、やっとこの瞬間がやってきた、と共に喜びを分かち合う。観客を全員座らせ、ここからゆっくりアコースティックの時間を、と呼び掛けたものの、「おめかししてきた」という衣装を見せるべく花道とその先のサブステージをランウェイに見立ててのウォーキングを披露する宮野。彼の動きに合わせて咄嗟の動きにあわせてすかさず演奏を入れ込むバンドメンバーと、それに呼応するオーディエンスに対して「すごいね!今日は神回だわ(笑)」と笑みを浮かべた。

アーティストデビュー15周年だからこそ昔の歌もやろうと思う、と2009年にリリースされた「ぼくのキセキ」をハートフルに歌い出す。「一緒に歌おう」と呼びかければ、観客もそのメロディに声を重ねていく。女子の声、男子の声、みんな一緒に。3拍子で紡がれる1曲は会場を1つにした。バンドメンバーと共に和気あいあいとしたMCタイムで、彼らとの柔らかな空気を醸すと、オーディエンスもステージのメンバー同様に笑顔に。そしてライブはアコースティックコーナーのラストナンバーである「EVERLASTING」へ。キーボードの佐野宏晃の織りなすドラマティックなピアノのフレーズと共に歌い上げる宮野。その声にドラムの中村“マーボー”真行のリズムが、ベースの前田逸平の奏でるビートが重なり、大きな存在感を放つ1曲は会場に染みわたっていった。

次ページ:“いつかきっと”と耐え続けた想いを結実させた大合唱

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