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REPORT

2023.11.02

ライブにこだわり、駆け抜けてきたKOTOKOの20年――“好き”を詰め込んだ「KOTOKO Special Live 2023“リデコレイト・マイセルフ”」で魅せた圧巻のステージ

ライブにこだわり、駆け抜けてきたKOTOKOの20年――“好き”を詰め込んだ「KOTOKO Special Live 2023“リデコレイト・マイセルフ”」で魅せた圧巻のステージ

2004年4月21日に、アルバム『羽根 -hane-』でメジャーデビューを果たして以来、アニソンシーンに多大な影響を与え続けているシンガー・KOTOKO。来年のメジャーデビュー20周年が目前に迫った現在は自身2度目となる47都道府県ツアーの真っ最中だが、そんな彼女が自身のキャリアを彩ってきた楽曲たちを“リデコレイト”という新たな装いでレコーディングしたアルバム『リデコレイト・マイセルフ』をリリースしたばかり。そんなアルバムを引っ提げた一夜限りのワンマンライブが2023年10月9日に東京・Zepp DiverCityにて開催された。アニソンからゲーソン、人気曲から意外な楽曲までを詰め込んだアルバムを伴った、彼女の20年以上のキャリアを凝縮した万華鏡のように様々な輝きを放つ圧巻のステージをレポートしよう。

TEXT BY 澄川龍一

スペシャルな一夜、前半戦は電波ソングセット!

Zepp DiverCityのフロアに環境音のSEが流れ、それがやがて小気味良いポップなトラックへと変わっていくと、ステージには八木一美(dr)、大島信彦(g)、田口智則(b)というバンドメンバーが登場。そして、この日の主役であるKOTOKOがステージ中央に立った次の瞬間、「テッテレー」というファンファーレのあと、「恋愛 CHU!」のイントロが鳴り響いてスペシャルな一夜が幕を開けた。アレンジはもちろん『リデコレイト・マイセルフ』収録のバージョン「りでこれいとばーじょん」だ。のっけからピンクの照明とおびただしい数のレーザー、そしてピーキーな電波サウンドがフロアを埋め尽くすなか、観客も「イエーイ!」とテンションの高い合いの手を返す。オリジナルは20年以上前に発表された電波クラシックといえる楽曲ではあるのだが、そこにまつわるキラキラとキュンキュンは色褪せず、キュートな歌唱を聴かせるKOTOKOのボーカルもまた変わりなく、というよりさらにフレッシュな瑞々しさすらある。

冒頭から電波の、そしてKOTOKOの驚異的なポテンシャルに圧倒されながら、セットはそのまま「きゅるるん Kiss でジャンボ♪♪ -りでこれいとばーじょん-」へ。八木のドラムはとにかくビッグに、そこに田口の小気味良いスラップと大島の変幻自在なギターが絡む『リデコレイト・マイセルフ』で生まれ変わったこの曲も、ライブでさらなる躍動感を得たようで、そこにKOTOKOとキラキラとしたボーカルが加わると、とてつもなくジャンクな甘味が突き抜けていく。この、脳に直結するような甘さこそが、電波なのだ。

最初のMCではアルバム『リデコレイト・マイセルフ』への想いを語り、前半戦はそのアルバムから電波ソングが収められたDISC-2からのセットであると告げる。「電波コーナー、最後まで思い切り盛り上がって楽しんでくださーい!」と宣言したあとは、電波ソングの名曲たちが“りでこれいと”され、連発されていく。まずは人気曲「めぃぷるシロップ」は、「りでこれいとばーじょん」でベースラインも際立つフレッシュなアレンジに。続く「常識!バトラー⾏進曲 -りでこれいとばーじょん-」でKOTOKOがバトンを持って小気味良いパフォーマンスを見せたあとは、「Change my Style~あなた好みの私に~ -りでこれいとばーじょん-」へ。前列の観客に向けて「タイホします!」と、電波ソングではお馴染みのセリフもバッチリで、最後の長回しでは客席からは大歓声と共に万雷の拍手が起こった。

MCを挟んでの「Mighty Heart~ある⽇のケンカ、いつもの恋⼼~ -りでこれいとばーじょん-」でも冒頭から長回しのセリフが入り、そこから観客とのシンガロングも完璧に、電波な一体感を作り上げる。そうして会場のボルテージもぐんぐん上昇するなかでの「ねぇ、…しようよ! -りでこれいとばーじょん-」「Princess Bride! -りでこれいとばーじょん-」と、これぞ電波!な名曲を連発。まるでクライマックスかのような解除のテンションに、KOTOKOも直後のMCで思わず「あっという間だよね……?」と観客に語りかける。そしてそのまま「まだまだ盛り上がっていっちゃうよー!」と叫んでロッキンな「Short Circuit -りでこれいとばーじょん-」を披露し、最後には「↑⻘春ロケット↑ -りでこれいとばーじょん-」で観客と一緒にジャンプをして、ポップでキュート、そして何よりラウドなセット前半を終え、ステージを去った。

好きを詰め込んだ20年、歓喜の瞬間はもうすぐ

その後、残ったバンドによる「INTERNET YAMERO -DECO×DECO MIX-」をモチーフとしたヘヴィなインストパートを経て、セットは後半戦へ。濃厚な電波セットのテンションをクールダウンさせることなく、さらにハイテンションな「Light My Fire -Redecorate ver.-」へ。ヘヴィなバンドインストを引き継ぐように、高瀬一矢流のハードコアテクノサウンドをバンドに落とし込んだ、オリジナルに劣らず熱量の高いサウンドが鳴らされる。そのなかでKOTOKOのボーカルも噛みつくようなアグレッションで「叫べ!」と歌えば、観客も「Wow Wow!」とシャウトを返す。そのままロッキンなアプローチのまま、しかし今度はポップな「七転⼋起☆⾄上主義! -Redecorate ver.-」へと続く。ライブ後半戦は、『リデコレイト・マイセルフ』のDISC-1から、アニソンなどスタンダードナンバー中心のセットリストだ。

 

MCでは「どんなふうに生まれ変わってもいいものはいいんだ、“好き”を詰め込んじゃおう」と、改めて『リデコレイト・マイセルフ』の話題へ。そしてアルバムを作るにあたってファンからの声の多かった楽曲に言及し、そこで意外と人気の高かった楽曲として「went away -Redecorate ver.-」を披露し、ドラマティックなサウンドのなかでKOTOKOらしいメロディアスな歌唱を聴かせる。そこから一転してスタイリッシュに聴かせる「Pure Heart ~世界で⼀番アナタが好き~ -Redecorate ver.-」と続けたあとは、「私にとって大切な仲間であり親友であり、後輩でありライバルである川田まみちゃんのメジャーデビュー曲」と告げて、川田と歌詞を共作した「radiance -Redecorate ver.-」を披露。川田との絆を感じさせる力強くも優しい歌唱を聴かせたあとには、間を置かずに「Shooting Star -Redecorate ver.-」のイントロが流れ出す。美しくも切ないメロディを丁寧に歌い上げるKOTOKOのボーカルも、彼女と同じ手の振りをする客席のキラキラとした光景は、時が経っても決して色褪せない感動がある。

いよいよライブも終盤戦に入り、まずは「→unfinished→ -Redecorate ver.-」でビートも太いサイケデリックなサウンドで盛り上げると、「being -Redecorate ver.-」へと続く。終盤にきてもそのボーカルは決して衰えることなく、より伸びやかに壮大なスケールで響き渡る。ライブ冒頭から様々なジャンルを横断しながら変幻自在なボーカルを聴かせてきたが、最後まで瑞々しくその声は届く。これまで幾度となくその光景を見つめてきたが、その都度KOTOKOはとてつもないシンガーなのだと思わせられる。そして最後には「Re-sublimity -Redecorate ver.-」で、オリジナルより熱量の高いアレンジで完璧な歌唱を聴かせて本編を駆け抜けた。

まさに圧巻のステージ。その余韻の中でも観客はそのままKOTOKOコールを叫び続ける。その声に導かれるように始まったアンコールでは、突如ドスンとしたヘヴィなサウンドが鳴り響く――現代に電波ソングをリバイバルさせたAiobahnによる「INTERNET YAMERO」、しかもオリジナルではなく『リデコレイト・マイセルフ』のあにばーさる盤の特典である「-DECO×DECO MIX-」だ。中盤のバンドインスト同様にヘヴィメタリックな爆音の中で、しかしKOTOKOはオリジナル同様にラップかトースティングかというようなフローを速射砲のように撃ち放つ。初めて生で観るパフォーマンスだが、これがあまりにもすごかった。繰り返しになるが、アンコールというライブの最終盤でこんなに凄まじいパフォーマンスが……と呆気に取られるほどで、またしてもKOTOKOのパフォーマンスが更新された、そんな1曲だった。

最後のMCでは「すべてのことが奇跡みたいで、その1つ1つが繋がって今ここにいるんだなと思います。こういう節目ごとに色んなことを思い返してたくさん感謝をしているんですけど、この感謝の気持ちを忘れないように、歌を作りました」と語る。「私の大切な日、みんなと出会った記念の日、忘れないよう心を込めて、今日も歌わせていただきます」と告げたあとに鳴らされたのは、もちろん、KOTOKOとファンの記念日である4月21日を祝福する「421-a will- -Redecorate ver.-」だ。20周年という、来るべき歓喜の瞬間に向けてその想いは一層高揚している、そんな彼女の喜びに満ちた美しくも人懐っこいボーカルが感動的に響き、この日限りのスペシャルなセットは幕を閉じた。

長いキャリアの中でシーンの光景を変える偉業を成し遂げながら、現役にライブにこだわり駆け抜けてきたKOTOKOの20年。そんなキャリアを彼女なりに模様替えをして聴かせたのが『リデコレイト・マイセルフ』というアルバム。そして、そのキャリアをライブという現場に凝縮して、かつこれまでとはひと味違った光景で見せてくれたのがこの日のステージだった。そんなスペシャルな夜を終え、息つく間もなくKOTOKOは47都道府県ツアーを再開させた。その長いロードの果てに見えるものは何か。来年の”421”という運命の日は、気がつけばもうすぐそこまで迫っている。

■KOTOKO Special Live 2023 “リデコレイト・マイセルフ”
2023年10月9日(月・祝)@Zepp DiverCity

<SET LIST>
M01 恋愛 CHU! -りでこれいとばーじょん-
M02 きゅるるん Kiss でジャンボ♪♪ -りでこれいとばーじょん-
M03 めぃぷるシロップ -りでこれいとばーじょん-
M04 常識!バトラー⾏進曲 -りでこれいとばーじょん-
M05 Change my Style~あなた好みの私に~ -りでこれいとばーじょん-
M06 Mighty Heart~ある⽇のケンカ、いつもの恋⼼~ -りでこれいとばーじょん-
M07 ねぇ、…しようよ! -りでこれいとばーじょん-
M08 Princess Bride! -りでこれいとばーじょん-
M09 Short Circuit -りでこれいとばーじょん-
M10 ↑⻘春ロケット↑ -りでこれいとばーじょん-
<BAND INST 「INTERNET YAMERO -DECO×DECO MIX-」 >
M11 Light My Fire -Redecorate ver.-
M12 七転⼋起☆⾄上主義! -Redecorate ver.-
M13 went away -Redecorate ver.-
M14 Pure Heart ~世界で⼀番アナタが好き~ -Redecorate ver.-
M15 radiance -Redecorate ver.-
M16 Shooting Star -Redecorate ver.-
M17 →unfinished→ -Redecorate ver.-
M18 being -Redecorate ver.-
M19 Re-sublimity -Redecorate ver.-
EN1 INTERNET YAMERO -DECO×DECO MIX-
EN2 421-a will- -Redecorate ver.-

当日のセットリスト順のプレイリストをSpotifyにて公開中!
https://open.spotify.com/playlist/2TmhwoXnqMDFE4eM9s9My5?si=cc558f43fe404690


●ライブ情報
KOTOKO 20周年47都道府県ツアー第2弾ブロック
「KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY -Flash-」

前売チケット代 ¥6,900(税込・別途ドリンク代必要)
※座種:立見(整理番号付き)
※入場者特典付き

2023年11月3日(金) 山形・ミュージック昭和SESSION [開場16:00/開演16:30]
2023年11月4日(土) 栃木・HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2 [開場16:00/開演16:30]
2023年11月11日(土) 宮崎・LAZARUS [開場16:00/開演16:30]
2023年11月12日(日) 大分・DRUM Be-0 [開場16:00/開演16:45]
2023年11月23日(木) 新潟・NEXS [開場16:00/開演16:45]
2023年11月25日(土) 福島・郡山 CLUB #9 [開場16:00/開演16:45]
2023年11月26日(日) 埼玉・HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1 [開場16:00/開演16:45]
2023年12月2日(土) 滋賀・U★STONE [開場16:00/開演16:45]
2023年12月3日(日) 岐阜・club-G [開場16:00/開演16:45]

KOTOKO 20th Anniversary Tour 47 SKY -Flash-」公演情報
https://www.kotoko.asia/posts/news/vewdhn

●イベント情報
・X-Dimension
2023年12月8日(金)
OPEN 10:00 / START 11:30 / END 22:00(予定)
会場:幕張メッセ国際展示場 9〜11ホール
Aiobahn feat. KOTOKOとして出演決定!

・「京 Premium Live 2023」
2023年12月9日(土) 開場14:15 / 開演15:00

出演(50音順・敬称略)
12月9日(土)
KOTOKO、sana (sajou no hana)、TRUE、なすお☆、halca、前島麻由、May’n、and more
会場:京都ロームシアターメインホール

関連リンク

KOTOKOオフィシャルサイト
https://www.kotoko.asia/

KOTOKO NBCユニバーサルオフィシャルサイト
https://nbcuni-music.com/kotoko/

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