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INTERVIEW

2023.10.07

再スタートの2023年に――NORISTRYがTVアニメ『ブルバスター』OPテーマ「トライ・ライ・ライ」のレコーディングや、作品の解釈・表現に対してのこだわりを語る

再スタートの2023年に――NORISTRYがTVアニメ『ブルバスター』OPテーマ「トライ・ライ・ライ」のレコーディングや、作品の解釈・表現に対してのこだわりを語る

オンライン小説から書籍化され、そして10月4日からTOKYO MXほかで放送がスタートしたTVアニメ『ブルバスター』。物語は、北九州の舞台に出現した「巨獣」を駆除するため、ロボットの操縦者となる技術者・沖野鉄郎が害獣駆除を請け負う零細企業である波止工業に出向するところから始まる。波止工業のメンバーは、様々なコスト管理に四苦八苦しながらも、巨獣駆除に立ち向かっていく。そのOPテーマ「トライ・ライ・ライ」を担当したのが、歌い手・NORISTRYだ。今年、4月の「歌ってみた Collection ~2023 Spring~」(以下、歌コレ)において史上初の4冠を達成したことをはじめ、歌い手としてスポットライトを浴び続けているNORISTRYが「トライ・ライ・ライ」の前向きな歌声の裏側に隠れた真実を語ってくれた。

INTERVIEW & TEXT BY 小町碧音

「正直なところ、僕でいいのかな」

――年内も残すところ、約3ヵ月です。昨年の活動10周年を経て、現時点までを振り返った感想を聞かせてください。

NORISTRY 今年になってオーディション番組「Japan’s Got Talent」への出演や、「歌コレ」で友達と3人でコラボした「新人類」で優勝(TOP100、グループ、まらしぃ部門ランキングのすべてにおいて1位を獲得)させてもらったり、ボカコレ(ボカロ文化のオンライン祭典「The VOCALOID Collection」)のMCも引き続き担当したり、現場仕事も増えました。業界全体に復活の兆しが見えてきことが嬉しくて、再スタートみたいな気持ちがありますね。ただ、1つだけコロナ禍以前とは変わったことがあって。今、イベントが開催されたり仕事ができることへの感謝の気持ちを、当時より噛み締めることができていますね。

――NORISTRYさんは日々カバー動画を投稿されていますが、ご自身のボーカルスキルの成長を感じた瞬間はありましたか?

NORISTRY リアルイベントよりもレコーディングで歌う機会が増えたので、改めてレコーディングした自分の歌声を見つめ直す年でもあったかなとは思っていて。以前はリアルイベントをこなしながら空き時間にレコーディングを行っていたんですけど、リアルイベントの割合が少なくなったぶん、カバー動画に割く時間が増えました。なので、より1つの動画作品に対してこだわる時間が増えた感覚があります。

――なかでも記憶に残っている出来事というと?

NORISTRY やはり「Japan’s Got Talent」に出演させてもらったことだったり、「歌コレ」に投稿した「新人類」で優勝できたことが印象深い出来事でしたね。オーディション番組に関しては、歌を歌ったあとに評価される経験はあまりしてこなかったので、今まで感じたことのない緊張感も味わえましたし、滅多に経験できることではないので良い経験にもなりました。

――では、ここからはアニメについてや、10月から放送が開始されるTVアニメ『ブルバスター』のOPテーマについて聞かせてください。まず最初に、NORISTRYさんの好きなアニメを教えてください。

NORISTRY ストレス発散したいときはバトル系のアニメ、ハラハラドキドキしたいときはホラー系のアニメのように、アニメ全般ジャンルにこだわらず色々観るタイプなんです。なかでも一番好きなのは、起承転結がないようなほのぼのした日常系のアニメが好きですね。それこそ『日常』だったり、『ばらかもん』とかも好きですね。

――そういう点では、経済的な視点からストーリーを描く『ブルバスター』も日常に通じる部分もあるのかと思いました。『ブルバスター』のOPテーマのタイアップが決まった時の気持ちを教えてください。

NORISTRY 正直なところ、僕でいいのかなと思いましたね。これまでにネットアニメの主題歌だったり、1話完結型のアニメの主題歌を歌わせていただいた経験はありましたけど、TVアニメの主題歌を1クール担当するのは今回が初めてだったので、僕にこの役割が果たせるのかというプレッシャーもあって。でもそれと同じくらい嬉しい気持ちもありました。

作品の世界に寄り添ったディレクション

――『ブルバスター』のストーリーから感じた作品の第一印象はいかがでしたか。

NORISTRY 町工場が予算を気にしたり、経済的な視点にも立った現実的なストーリー設定は一般的なアニメとは異なる独自の世界観を確立していると感じました。もし、現実に大きな怪獣が現れてロボットを作る下請けの工場が存在したら、確かに金銭的な面も問題になっていくでしょうし。この妙にリアルなアプローチが視聴者に親近感を抱かせる要因の1つだと思いました。

――NORISTRYさんは、しっとり聴かせるタイプのバラードを歌唱されるイメージがあるのですが、今回のファンキーなサウンドが鳴った「トライ・ライ・ライ」では周りを巻き込む強気な歌声が新鮮に響きました。

NORISTRY ありがとうございます。僕は吹奏楽部出身なので、ブラスが入っている楽曲がすごく好きなんですよ。なので、初めて音源を聴いた時は、メロディや歌詞より先にブラスの入っているところに注目してテンションが上がりました。最初はブラスとかが打ち込みだったんですけど、アレンジが進んでいくにつれて生演奏になっていって、「最初と最後でここまで違うのか!やっぱりアニソンの主題歌ってすごい!」っていうテンションの上がり方をしていた記憶があります。

――実際に歌ってみた感触はいかがでしたか?

NORISTRY 自分の中に落とし込むのには時間がかかった気がしますね。キーが結構高い曲なので、最初はボーカルが苦しそうな印象を残さないように歌う練習をしていたんですよ。強いて言うとスタイリッシュなイメージで。でも、プリプロの段階で、「作品の人間臭さを考えると今の歌い方だとカッコよすぎるから、野太く、良い意味で古臭いイメージの歌声のほうがいいかもしれない」とディレクションをしていただいたんです。本番のレコーディングでは一気にカッコよさの方向性を転換することになって、ちょっと焦りましたね(笑)。

――当初想定していた「トライ・ライ・ライ」のボーカルイメージとはまったく別の方向に動き出したんですね。

NORISTRY 「声色変えてみようか」とか、「ここ強く歌っているけど、弱く歌ってほしい」とか、基本的な歌い方について要望を受けることは結構あるんですけど、方向性をガラッと変えるのは初めてでした。なので、ディレクションしていただいた方々と作品を一緒に作っていっている感じがすごく新鮮で印象的で、「今の歌い方良いね」とか、「今の表現かっこいいね」みたいなコメントをもらいながら進めることができたので、楽しみながらレコーディングも進めていけたのが嬉しかったです。

――作詞は、hotaruさん、作曲は、Tom-H@ckさん、編曲は堀江晶太さんと名だたる方々がご担当されています。

NORISTRY 僕、作曲に関わってくださっている方々の名前の中に堀江さんの名前を見かけていたんですけど、まさかあの堀江さんだと思っていなかったんですよ。スタジオに集まって最終的にトラックダウンをやった日に堀江さんから挨拶があって、そこで初めてあの堀江さんだったことを知るという。めっちゃ緊張していたんですけど、個人的には10年前くらいからずっと堀江さんの曲は聴いてきたので、こういう形でご一緒できたのも嬉しかったですね。完成音源を聴いたときに、そのときの信じられない感情を改めて思い返しました。

――普段からタイアップ作品を歌う際に意識していることはありますか?

NORISTRY 作品の解釈や表現に忠実であることですね。今までのカバー動画の中でも、アニメの曲を歌わせていただくときは、絶対にそのアニメを観てからカバーさせてもらっているんです。今回、『ブルバスター』のイメージに沿ったディレクションを受けたことで、改めてイメージと違う歌い方をしたらあかんな、と気付かせていただく機会になったと思います。

自分とは違うタイプの人間がくれた新しいボーカル

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