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2023.10.05

Berryz工房と15周年を迎えた『イナズマイレブン』――「青春バスガイド」「本気ボンバー!!」など物語を彩ってきた楽曲やシーンを振り返る

Berryz工房と15周年を迎えた『イナズマイレブン』――「青春バスガイド」「本気ボンバー!!」など物語を彩ってきた楽曲やシーンを振り返る

『イナズマイレブン』15年の歴史の中でBerryz工房が共に歩んだ日々を振り返る

雷門中学サッカー部のキャプテン・円堂 守は、たった7人だったヤル気のない部員たちを奮起させるべく奔走しながら、豪炎寺修也と出会いを経て、鬼道有人ら仲間も増え、熾烈な戦いを制しフットボールフロンティアで見事に優勝。雷門中学サッカー部は伝説を超える“イナズマイレブン“となった。優勝の喜びに沸く雷門中学サッカー部の面々が、優勝カップを見せるために雷門中学へ向かっていると、眼前で学校が破壊されてしまう。なんと宇宙人が襲来。エイリア学園のジェミニストームと名乗る彼らは、雷門のみならず各地の学校を破壊して回っていた彼らにサッカーで戦いを挑む円堂たち。それまでのストーリーから一気に物語の空気が変わった第2シリーズ「脅威の侵略者編」の緊迫したストーリーに飛びこんできたのが、Berryz工房の「青春バスガイド」だった。

2008年10月5日にアニメ放送をスタートしたTVアニメ『イナズマイレブン』(以下、イナイレ)。元々はニンテンドーDS用サッカーRPGとしてコンテンツがスタートを切り、そのゲームを原作にアニメとなってから、今年2023年は15周年のアニバーサリーイヤーとなる。第1シーズンではゲームのストーリーを追うようにライバル校のサッカー部との試合を通して、真っ直ぐな円堂に対戦相手たちが感化されたり、影響を受けて自身のサッカーを見つけるなど、スポーツ漫画ならではの熱血ストーリーだった『イナイレ』では、軽快なリズムで視聴者のワクワク心を刺激したOP「立ち上がリーヨ」(歌:T-Pistonz)はもちろん、雷門夏未と音無春奈、木野秋の女子マネージャー3人が軽快に踊るエンディング曲「青春おでん」(歌:twe’lv)のノスタルジックなポップソングも人気が高かった。

続くEDテーマとして第27話から『イナイレ』の物語を彩ったのは、Berryz工房が2009年6月にリリースした20thシングル「青春バスガイド」である。2004年に結成当時、メンバーの平均年齢が10.7歳だったが、5年目の楽曲となる本作は、前EDに続き女子マネズの雰囲気も滲む歌謡ロック。“胸が苦しい”といったトキメキ前の心情や、円堂たちを見守る乙女ゴコロも詰まった1曲だった。圧倒的な力で雷門中学サッカー部を叩きのめすエイリア学園。どこかレトロポップな1曲は、悲壮感漂う場面でも立ち上がろうと強い意思を見せたときにも、どんな心情にも寄り添うことが出来る、そんなカラーの1曲だ。Berryz工房はこのタッグから連続で『イナイレ』とのコラボレーションを重ねていく。

円堂の物語のターニングポイントを新たな曲で印象付けよ!

「青春バスガイド」はエイリア学園と戦うために日本中から集まった仲間たちと共に、「本当のサッカー」を教えよう!と立ち上がった円堂たちの物語と共に第27話から第50話までを支えていく。その最後は、イプシロンとの再戦へ。そして、試合が始まったところで続くED「流星ボーイ」へとバトンを渡す。

過酷になっていく試合で、円堂が祖父から託された必殺技が通用しないことで心折れていくイレブン。そこに“仲間を信じろ”と力強く歌い上げる。それまで女子マネズがかわいらしく踊るエンディング映像が印象的だった『イナイレ』のEDが、「流星ボーイ」では一人ひとりの選手をフィーチャーしていく表現となっていたことも記しておきたい。軽快なパーティーチューンから先へと踏み出した感ある1曲。特に菅谷梨沙子の歌い方がここにきて非常にソウルフルな響きを聴かせ、夏焼 雅と共に力強いボーカルで楽曲と、雷門イレブンを引っ張っていく印象が強かった。エイリア学園との戦いを描いてきた第67話まで物語の余韻を、そのパワーでBerryz工房は続くシリーズへと物語を紡ぐ翌週へと繋げていく。

彗星のような勢いをさらに増し、声を大きくしたのは『イナズマイレブン 世界への挑戦!!編」のED「雄叫びボーイ WAO!」。『イナイレ』と3度目のタッグを組むことになる。U-15発の少年サッカー大会「フットボール・フロンティア・インターナショナル」に出場するために、円堂ら16人の日本代表チーム「イナズマジャパン」が世界一を目指す。奇しくも放送タイミングは2010年。ワールドカップ・南アフリカ大会が開催された年、円堂や豪炎寺たちも世界へと挑戦をしたのだった。

そんな熱いシーズンのEDを飾った「雄叫びボーイ WAO!」は、アッパーに畳みかけるビートが印象的なエレクトロダンスロック。菅谷のアタックを効かせたレンジやエフェクトを入れたボーカル含め、全員が勢いをつけたスタイルでパワフルな歌声を響かせ、イナズマジャパンの疾風怒涛の勢いを感じさせる。全員で一体となって聴かせる掛け声のユニゾンはライブ感があり、『イナイレ』でBerryz工房を知ったリスナーをライブへと向かわせたことは間違いないだろう。

オーストラリアやカタールなど強豪選手たちと試合を重ねてきた円堂たちの前に立ち塞がる大きな壁となったイギリス代表ナイツオブクイーンとの試合に勝利した瞬間、新たなEDとして流れ出したのは「本気ボンバー!!」。これまでの楽曲とはガラリと空気を変えた夏のパーティーチューン。

リズミカルな歌にポジティヴな想いが溢れる。アニメ映像では海外での「イナズマジャパン」のメンバーたちのオフショットとも言える楽し気な様子が伺える。ビートの効いたロックチューンに乗るのは、軽快に跳ねるボーカル。これまでのEDではパワーボーカルを響かせてきたBerryz工房ながら、清水佐紀、嗣永桃子、徳永千奈美、熊井友理奈、須藤茉麻がハッピーかつポップなカラーで歌い上げた。

円堂たち選手と共に進化、成長を遂げた1年の“歌”

実に1年間に渡って『イナイレ』のEDを担ってきたBerryz工房。そのタッグの最後を飾ったのは、2010年11月リリースの24thシングル「シャイニング パワー」だ。対戦相手のイタリア代表チーム「オルフェウス」との試合が楽しみで気合いが入る円堂。そんな彼の幼なじみでもある久藤冬花が記憶を取り戻した第102話で、ゴージャスなブラスロックチューンを歌い上げるBerryz工房。

ノスタルジックでポップなロック味が色濃い1曲は、これまで以上にハロプロらしさをも感じさせる。熊井の重厚な歌声で幕を開ける1曲は甘さと力強さの両面を感じさせ、タイトル通りに輝く力を『イナイレ』ファンへと届けていく。

さらに、「マジカルフューチャー!」が2010年12月に発売されたNintendo DSソフト「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ジ・オーガ」のED曲に起用される。『イナイレ』とのコラボはアニメからついに本丸・ゲームへも!そんなゲーム本作は既発作「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! スパーク/ボンバー」に補完イベントを追加し、さらに「劇場版最強軍団オーガ襲来」のエピソードを加えたゲーム完全版として、世界大会のストーリーの中で、80年後の未来からオーガが介入してくる内容に。硬質なエレクトロが飛び交うトラックに力強いビートと艶あるボーカルが重なる1曲が、ゲームのエンドロールを劇的に彩った。しかも!なんとこの「イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ジ・オーガ」ではある条件を満たすとピストンベリーズというチームが登場する!(チームロゴがラーメンの上にイチゴが載っているとは。味噌ラーメン好きの菅谷やイチゴのショートケーキ好きのももちを思い起こさせる!?)そんなピストンベリーズと対戦し、勝利すると、ゲーム内でBerryz工房の7人が仲間にできるのだ(まぁ。キャプ、ピーチッチ、りしゃこ、ちーちゃん、みーや、ゆりなという名前のプレイヤーに)。ここにきて、ついに『イナイレ』の世界にも身を投じた7人だった。その「マジカルフューチャー!」は2011年3月リリースのBerryz工房7枚目のアルバム『⑦ Berryz タイムス』に収録され、「本気ボンバー」、「シャイニング パワー」と共に『イナイレ』を思い起こさせた。

Berryz工房と『イナイレ』の最初のコラボレーションとなった「青春バスガイド」から「シャイニング パワー」まで、たった1年とはいえ、円堂たちは廃部寸前から初めてのフットボールフロンティア優勝というスポ根ストーリーから、世界で強豪チームと熱い試合を見せるほどの成長を遂げた。そして、女子マネージャーのように初々しさのあったBerryz工房の歌も、1年で選手たちの背中を押し、勝利を掴む飽くなき情熱を放つほどの進化を遂げたことは間違いないだろう。チームや選手のみならずアーティストの成長のフィールドともなっていた『イナズマイレブン』、Berryz工房が楽曲で物語を彩ってきたシーンを、この15周年というスペシャルイヤーに改めてぜひ振り返ってほしい。

TEXT BY えびさわなち

関連リンク

「イナズマイレブンシリーズ」公式サイト
https://www.inazuma.jp/

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