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INTERVIEW

2023.08.11

【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第4回:羊宮妃那×立石 凛×小日向美香が語る3rdシングル、5th LIVE、“迷うことに迷わない”バンドに至る軌跡

【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第4回:羊宮妃那×立石 凛×小日向美香が語る3rdシングル、5th LIVE、“迷うことに迷わない”バンドに至る軌跡

次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド、MyGO!!!!!。彼女たちの“迷うことを迷わない”物語を描く新作アニメーション『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』が、この夏、ついに開幕した。

リスアニ!では、そんなアニメの魅力を音楽面を軸に掘り下げる連載特集を展開。連載第4回となる今回は、MyGO!!!!!のボーカルの高松 燈役・羊宮妃那、ギターの千早愛音役・立石 凛、ベースの長崎そよ役・小日向美香が、衝撃の展開が続くアニメのこと、リリースされたばかりの3rdシングル「壱雫空」、そして8月12日に開催される5th LIVE「迷うことに迷わない」への意気込みを届けてくれた。

■【連載】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』――“迷子たち”の音楽を徹底特集!

【特集】アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』――“迷子たち”の音楽を徹底特集!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

「壱雫空」と「栞」――アニメ主題歌の2曲をさらに深く楽しむためのポイント

――まずは3rdシングルのお話を。収録曲のうちアニメのOPテーマ「壱雫空」とEDテーマ「栞」については、これまでの連載でもお話を聞いてきたので、今回はそれぞれの楽曲のフルコーラス版ならではの聴きどころをお薦めしていただけますでしょうか。

小日向美香 「壱雫空」の1番のサビが終わったあとに、ギターとベースとドラムのフレーズをみんなで一緒に合わせるところがあるのですが、そこはライブでは羊ちゃん(羊宮)も含めてみんなで輪になって目を合わせて弾くポイントなので、ライブの見どころであり、音源でも聴きどころになっています。あと私は落ちサビのギターと羊ちゃんの歌声だけになるところが、エモいなぁと思います。

立石 凛 そこのギターのアルペジオは私が弾くパートなのですが、初めて披露した4th LIVEのときに、自分の中ではあまり上手くできなかったので、5th LIVEではしっかり弾きたいです。全体的に明るい曲調の中で落ち着くパートなので私もお気に入りですし、そこから最後にかけての盛り上がりも、CDでもライブでもみんなに楽しんでほしいポイントです。

羊宮妃那 でも、あの落ちサビのパート、実は結構早くてゆっくりとは歌えないので、しっとり歌っているように見せながら、結構刻んで歌っているんです。なのでめちゃくちゃお腹に力が入ります(笑)。

立石 そうだったんだ(笑)。

羊宮 技術面で言うと、「壱雫空」は最初から最後まで、歌うのがすごく難しい曲なんです。それとフルコーラスならではのお話だと、OPバージョンの歌詞は“もしこの雨が上がっても 忘れずに歩いてくよ”で始まって“僕はあつめたいよ ああ ひとしずくを”で終わるのですが、フルコーラスは“いまこの雨が上がってく”“僕は連れていこう ああ ひとしずくを”という歌詞で締め括られるんですね。“あつめたい”は私の中ではその場で留まるようなイメージなのですが、“連れていこう”だと、それが前であれ後ろであれ、忘れずに進んでいく・迷っていく決意が表れているように感じられて、MyGO!!!!!らしさが詰まっているように思います。

――加えて“雨”という言葉は、第3話の(高松)燈の回想シーンなどでも重要なワードとして登場するので、それを踏まえて聴くとまた別の深みが出ますよね。

羊宮 そうなんですよ……!アニメを全部ご覧いただいたうえで、またフルコーラスで聴いてほしいくらい素敵な曲です。

――「栞」のフルコーラス版に関してはいかがでしょうか?

小日向 1番のギター2本とボーカルだけのしっとりした感じもいいんですけど、2番からベースとカホンが参加して音数が増えることで、楽曲の聴こえ方や感覚が変わってくると思いますし、2番のサビが終わってそのあと私たち楽器隊が“(いいよ)”とコーラスを入れるパートは、不安になっている燈ちゃんを「大丈夫だよ」と抱きしめてあげるような気持ちで歌っていて……インタビューの掲載が第9話が放送されたあとなので、(長崎)そよちゃん役の私が言うと皆さんも困惑されるかもしれませんが!

立石 そよさん!(笑)。

小日向 でもレコーディングやライブではそういう気持ちを込めて歌っているので、注目して聴いてもらえると嬉しいです。

立石 私も(いいよ)のパートはお気に入りなのですが、その直後の、みんなで「ジャジャッツジャー♪」って合わせて演奏するところは、アコースティック編成だと合わせるときの呼吸感が大事になるので、いつもよりみんなで一緒になって弾いている感じがして、すごく好きです。

小日向 あそこで一気にまとまっていく感じが気持ちいいよね。

羊宮 私は、この曲の2番が好きな理由というのがあって。1Dでは“うじうじ しくしく 僕だから”と歌っているのですが、“うじうじ”の意味を調べたところ、「何かしようとしながら、決心がつかず、もじもじする様」という意味なんです。それに対して、2Dの“いじいじ めそめそ 僕だから”の“いじいじ”は「いじけて思い通りの振る舞いもできないでいる様」という意味で。それは本当にアニメのお話通りなんですね。最初はうじうじしながらも自分で考えていた燈ちゃんだったけど、そよさんとCRYCHICのことでいじけてしまう燈ちゃんも出てきて。でも、そのあとの2Dの歌詞に“物事になんでもかんでも 意味を⾒出さなくたっていいからさ”という言葉が出てくるんです。

小日向 うんうん。

羊宮 そこで「〇〇が悪い」とか「何でそうなったのか?」みたいなものはなくてもいいと歌ったあとに、燈ちゃんが「じゃあ信じてもいいのかな?」と歌って、みんなから「いいよ」と返ってきて、「ここにいてもいいのかな?」「いいよ」って返ってくる。これは完全に私の中の解釈になるのですが、この2DからFメロの流れが本当に大好きなんです……!

立石小日向 わかる!

羊宮 2Dだけに“いじいじ めそめそ”という言葉があるのは、Fメロへの繋がりを考えてのことなのかな?と考えると、ただの擬音語に思えるこの言葉にも感じるものがあるなあと思いました。

小日向 今の話を聞いたうえだと、また違った気持ちでコーラスを歌うことができそう。

羊宮 優しい……!気になった方はぜひ“しくしく”と“めそめそ”の意味も調べてみてください。私は調べました(笑)。

小日向 宿題だ(笑)。

今まで話せなかったそよの本心――衝撃の展開が続くアニメ第9話までを振り返る

――先ほどそよの話が出てきましたけど、第9話まで放送された今、小日向さんには改めてそよのことについてお話を聞いてみたいです。

小日向 わー!

立石 やっと話せるじゃん。今まで話せなかったこと、いっぱいあるでしょ。今までは「みんなのママです!」としか言えなかったから。

羊宮 いつも舞台裏では「本当は話したいことがたくさんあるけど、ネタバレになっちゃうから言えなくて、そよちゃんのことをあまり理解できてない人みたいになっちゃう……」という話をしながらも、舞台上ではニコニコして「そよちゃんは優しい子で」って話しているのを横で見ていて、「何て健気なんだろう……!」と思っていたので、私もたくさん話してほしい気持ちでいっぱいです!

小日向 ありがとう……!第9話のお話だと、Aパートはそよちゃんの過去が描かれるんです。小さい頃に両親が離婚して、急に環境が変わって気持ちが追い付かないなか、お母さんに心配をかけたくない一心で、言われた通り月ノ森女子学園に進学して、だんだんクラスや部活の子たちからも信頼されるようになって。でも、おうちでは1人でいることが多くて、孤独を感じていたなか、お母さんに「そよがいてくれて良かった」と言われたときに、誰かに必要とされることで寂しさを埋められることに気づいたんだと思うんですよね。そんなときに出会ったのがCRYCHICだったんです。だからCRYCHICの中ではみんなのママ的なポジションになったし、学校でもバンドでも頼ってもらえるようにお姉さんキャラを自分で選んで進んでいると思うんです。

――寂しさを埋める心の拠り所でもあったからこそ、そよのCRYCHICへの想いは人一倍強かったし、執着もしていたんですね。

小日向 だと思います。だからこそ、どうしてもCRYCHICというものが壊れてしまったと思いたくなかった。まだ取り戻せると思っていたから、燈ちゃんと立希ちゃんもCRYCHICをやりたいと思っていると信じていたし、第7話でみんなが「春日影」がやったこと、そこで祥ちゃん(豊川祥子)が傷ついてしまったことにも怒ってしまって。でも、第8話で祥ちゃんから最後通告をされてしまって……きっとアニメを観ている方の中には、そよちゃんのことを、CRYCHICを元に戻したいためだけに動いている女の子と思っている人もいると思うのですが、そよちゃんは最後まで、CRYCHICのメンバーはみんな戻りたいと信じていたので、私もそういう気持ちで演じていました。

羊宮 その気持ち、すごく伝わってきてるよ。それこそ「栞」の歌詞と繋げると、そよちゃんの中での「“普通”とか“あたりまえ”」に思っていたものが、すべて崩れ去ったのが第8話のあの瞬間で。私も上手く言葉で言い表せられないけど、あのお芝居を聞いて、そよちゃんを観ている人たちは、きっと感じ取ってくださると思う。

小日向 ありがとう。そよちゃんは本音を隠していて、普段はなかなか取り乱すことはないし、落ち着いた印象の女の子ですけど、第8話では、祥ちゃんを前にして、自分を取り繕うことができなくなってしまって、必死にしがみついて懇願するんですね。そこまで必死に戻りたかったことを、私も台本を読んですごく伝わってきて、これは覚悟をもって演じなくてはいけないと思ったんです。ここからは裏話になるのですが、第8話のそのシーンのアフレコだけ、MyGO!!!!!のメンバーとは別録りだったんですよ。

立石 そうそう。

小日向 まさにアニメのストーリーと同じ状況でアフレコをさせてもらったので、自分自身もそよちゃんの気持ちとしっかり向き合うことができました。それと第8話の祥ちゃんとの会話シーンは、実はリハーサルのものを使っていただいているんです。

――えっ、そうなんですか?

小日向 私、リハーサルのときに、どうしても涙が止まらなくなってしまって……今も泣いちゃいそうでこらえているんですけど(苦笑)。で、ボールドや画面も全部見えなくなってしまって、自分の中では祥ちゃんが本当に目の前にいて、自分がそよちゃんとしてその場に立っている感覚がすごくあって……(泣)。

立石 大丈夫だよ。

小日向 あまりにも必死になりすぎていたので、自分でもどんなふうに録れていたのかわからなかったんです。泣きすぎて活舌が良くないところもあって。でも、監督さんが、リハーサルが終わってブースに来てくださったときに、「リハーサルのものを使いたいです」と言ってくださったんです。

羊宮 第8話は、すごく胸にくるんですよ。それまで第1話から第7話を通して、そよちゃんだけが抱えていたものが、あそこで溢れるんですけど、それすらも拒まれて。じゃあこの先、何をもって大切にしていけばいいのか、そのすべてが無になっていく瞬間なので、息を吞んで観てしまいました。

小日向 ありがとう……。で、本番では涙をこらえて収録をさせていただいたのですが、終わった後に監督が、「やっぱり一番想いを込めてもらったリハーサルのものを使いたいです」と言ってくださって。私自身もちゃんとそよちゃんを演じられていたんだなと思った瞬間でした。

――とても大切に演じていたことが伝わってきました。

小日向 アニメーションの中には大体お姉さんキャラが1人はいたりするので、MyGO!!!!!でもそよちゃんをそういうキャラクターの1人として見てくださっていた方もいると思うのですが、ただのキャラクターではなく1人の人間として見てもらいたいなと思っていて。まだ第9話なんですよね。今この時点では、そよちゃんは(千早)愛音ちゃんと(要)楽奈ちゃんのことはいらないと思っていて……(苦笑)。

立石 いらないと思われています(笑)。

――第9話で、愛音がそよの真意を(椎名)立希から告げられるシーンは、痛ましいものがありました。

小日向 私、あそこの愛音ちゃんの演技が本当に胸に刺さるんですよね。「私、いらないんでしょ」というセリフが特に。

立石 愛音ちゃんは第5話で落ち込む場面がありましたけど、それも燈ちゃんのおかげですぐ乗り越えることができて、そこからはずっと前向きで、ギターもライブができるようになるまで練習するんですけど、第9話で新たな角度からの挫折を味わうことになって。愛音ちゃんは、落ち込んだとしても大抵のことは「そんなこと言われちゃった、悲しい~」みたいな感じで表面上は済ませられる女の子だと思うんですけど、愛音ちゃんとしてもMyGO!!!!を新たな居場所として大切に思っているからこそ、すごくショックだったと思うんです。でも、過去のCRYCHICのことや3人(燈・そよ・立希)の関係性を知っているからこそ、「燈ちゃんたちはCRYCHICをもう一回頑張りなよ」みたいな優しさも少なからずあって。それで出たのが「私、いらないんでしょ」というちょっと卑屈な言葉だったと思うんです。今まで築いてきたものがあるがゆえに、立希ちゃんから告げられたそよさんの本意が刺さってしまったシーンも、第三者視点で見て心が痛くなりました。

小日向 そうだよね……。

立石 あのシーンで「あっ、そういえば……」という感じで今までのそよさんの言動を思い出すんですけど、愛音ちゃんは勘のいい子なので、そよさんが本音を隠していることに気づいていてもおかしくないと思うんですね。でも、多分それに気づかないくらい、愛音ちゃんはそよさんのことも好きだし、大切に思っていたんだろうなと思うと、演じていてものすごく「……ああ」となりました。

羊宮 わかる。愛音ちゃんがそよちゃんのことを振り返った後の「……ああ」っていう、あの頑張って冷静になろうとしている落ち着きのある声には、胸が締め付けられて……。アフレコは一緒に収録したのですが、愛音ちゃんから「いらないんでしょ」と言われたときは、本当につらくて……。

立石 つらかったよね、第9話は。

羊宮 なので心の底から「バンドなんかやりたくなかった」というセリフがこぼれました。燈ちゃんは基本、しゃべるときはひと言ふた言くらいなので、ああいうステージ上ではないところで立希ちゃんと声を張って言い合うことはあまりないんです。その分、大切だったからこそ出てきた言葉があって。でも結局また同じことをしてしまって……きっと本当に絶望を感じていたと思います。

立石 立希ちゃんもいつもなら燈ちゃんに怒鳴ることは絶対にないんですよ。なのにあそこで「燈はどっちがいいの?」と怒鳴るところを見て、立希ちゃんもそれだけ本気なんだなと思って。それが逆につらくなりました。

羊宮 多分、観ている人たちと同じか、それ以上につらい空気をみんなで味わいながら演じていました(苦笑)。

小日向 アニメを観てくださっている方は、第7話のそよさんの激怒で困惑していらっしゃるかと思うのですが、第9話のMyGO!!!!!を見て本当に「MyGO!!!!!大丈夫なの?」ってなっていらっしゃるのではないかなと。

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