やると決めたらとことんやりきる神々の遊び。リアルイベント「CINDERELLA REAL PARTY! 09～御利神（オリジン）～」夜の部レポート

「アイドルマスターシンデレラガールズ」発のWEBラジオ「CINDERELLA PARTY!」（略称「デレパ」）公開録音イベント「CINDERELLA REAL PARTY! 09～御利神（オリジン）～」が2023年8月6日、東京・ニッショーホールにて開催された。

番組には主宰（パーソナリティ）の本田未央役の原紗友里、多田李衣菜役の青木瑠璃子、ゲストとして北条加蓮役の渕上舞、道明寺歌鈴役の新田ひより、関裕美役の会沢紗弥らが出演した。本記事では夜公演の模様をレポートする。

TEXT BY 中里キリ

コロッケアイドル・るりコロッケ爆誕！

神々しい純白の衣装で登場した主宰2人が軽妙なトークと客いじりで場を温めると、ゲストを呼び込んでイベントはスタートした。今回のイベントは「カバー」がテーマで、出演者たちは“神々”という設定になる。

最初のプログラムは「祝辞」。来場者からのメールを読むコーナーだ。パンフレットの撮影にまつわるトークでは、渕上が「神という設定の撮影だったので、あまり笑わないように言われたのが新鮮でした」とコメント。神々しい雰囲気のなかで撮影が行われたようだ。パンフレットは無事完売とのこと。

動物園の思い出を聞かれたトークでは、渕上は鳥の展示のコーナーで（鳥の）から揚げを売っていた強烈なエピソードを披露。好きな草食動物を聞かれた会沢は「人間が好きです」と回答。新田は以前「デレパ」でも話題になったラッコ愛を語っていた。

「マジカルレッスン」のプログラムでは姉妹番組？の「デレラジ」のコーナーをカバー。今回は各メンバーが他の出演者をプロデュースしてのファッションショーに挑戦した。選ばれた出演者がステージ前のランウェイで定位置までウォーキングを見せると、スクリーン上でプロデュース役が描いた衣装イラストと顔が合成されて一枚の絵になるという趣向だ。

渕上が原を魔法少女アイドルとして正統派のプロデュースを見せると、新田は青木をコロッケ（の着ぐるみ）アイドルとして売り出す。会沢は渕上に鳥語を話す鳥アイドルを無茶振りしていた。原は新田をラッコをテーマにプロデュース。トリの青木は会沢を「アイドル界のトップ（支配者）」として魅せた。5人それぞれのモデルのように絵になるポージングと、役柄を無茶振りされたあとの表情が印象的だった。会場投票の結果、新田プロデューサーの「るりコロッケ」が優勝となった。

カバー楽曲主体のライブには意表のゲストも！

前半の配信パートが終了し、後半のライブパートへ。イベントテーマがカバーということで、カバー楽曲を織り交ぜたセットリストとなった。

トップバッターとして登場したのは原紗友里と青木瑠璃子の主宰コンビ。天使の羽根を身に着けて、神々しさもよりパワーアップだ。「デレパ」の新テーマソング「デレパの神曲」が披露されたのだが、パフォーマンス前には原と青木による2人だけでは不安で歌えないという寸劇が行なわれた。そこで助っ人として呼び込まれたのが、楽曲を手がけた滝澤俊輔氏ことハートブレイカー滝澤！曲中のワンフレーズでコーラスを担当している滝澤は、本人にもサプライズでステージに呼び出され、コーラスとして参加することになった。

「デレパの神曲」はまさしく神の曲で、客席の観客たちは神の民という設定。入りの神々しいポーズからノリノリのポーズに切り替えると、サンデーナイトフィーバーと言いたくなるテイストに。ラップパートや透明感のある落ちサビも含めて、ネタ曲を本意気でやりきって神々しくさえ感じさせる突き抜け方は「デレパ」ならではだ。注目の「みんなだいすき」のコーラスパートではステージにハートブレイカー滝澤が登場し、美声を響かせた。これには歌い終えた青木も「完璧でしたね」と太鼓判。トークでは「みんなだいすき」のワンフレーズは滝澤氏の自宅クローゼットで別録音したことや、ハートブレーカー滝澤のクレジットは滝澤氏の事務所の意向で生まれたことが語られていた（日本コロムビア・柏谷プロデューサー談）。

ここからはカバーコンセプトでライブは再開。まずは渕上舞が「涼宮ハルヒの憂鬱」より「God knows…」を披露。不朽の名曲だが、伸びやかで美しく通りの良い歌唱は渕上流に解釈された「God knows…」。遊びの企画にモノホンのアーティストが来てしまったような風情がある。渕上が「もっともっと声聞かせて！」と煽ると、それに応えて会場のボルテージはさらに上がっていく。優しさと強さを兼ね備えた歌声だった。

会沢紗弥は「my sweet heart」を披露。昨年発売の「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cute jewelries! 004」にて会沢（関裕美）自身がカバーした楽曲だ。ピンクのキュートカラーの衣装に身を包んだ姿は原曲のイメージにもぴったり。クラシカルなくらいに超正統派アイドルの佇まいで、楽しそうに観客に歌声の魔法をかけていった。間奏では笑顔で観客ひとりひとりに手を振る姿がとにかくアイドル強度が高い。自らの歌声を追いかけて畳みかける大団円を迎えると、ラストは頬に指を当てるキュートなキメポーズが憎らしいほど決まっていた。

新田ひよりは「夏祭り」をカバー。物語を感じさせる歌い出しから、弾むように跳ねまわりながら楽しく会場を盛り上げていく。テンションが高くハッピーなのだが、どこか品がある感じが新田のオリジナル。「夜の部も“かしこみかしこみ”ってやってください！」とリクエストすると、新田と観客が様々なテンポで「かしこみかしこみ」のコールを応酬するというかしこみ＆レスポンスで、巫女アイドル・道明寺歌鈴流のパフォーマンスに仕上げていた。

再び登場した原と青木は、「シンデレラガールズ」内カバーとして「バベル」を披露。イントロに合わせて2人がキメポーズを決めると会場から歓声が上がる。ダンスも含めて本気でやりきるデレパイズムはこの曲でも健在で、原は本田未央役としてはなかなか歌唱する機会が無さそうな曲調が新鮮だ。青木はスラリとした長身がなんとも絵になって楽曲にもマッチしていた。パート割としては原が一ノ瀬志希のパートで“わたしが開けてあげる”の魔力を感じるフレーズを担当。青木は二宮飛鳥のパートで“往けるところまでさ”のフレーズをノリノリで響き渡らせていた。見せ場ですれ違いながら2人が指先を絡めるところまでは良かったが、その後は背中越しの手繋ぎが上手くいかなかったり、身長のミスマッチをネタにしたりしていて、「デレパ」ならではの遊びもふんだんに散りばめられた作品内カバーだった。

渕上、新田、会沢のゲスト3人は、「アイドルマスター」より「キラメキラリ」をカバー。会沢のキュートな歌い出しから新田の元気いっぱいの歌唱、そして渕上の伸びやかなパワフルボイスという個性とバランスが良い。原曲の高槻やよいのキュート成分を会沢、元気成分を新田、エネルギッシュさを渕上が担う感じだろうか。カバーでなければなかなかなさそうな組み合わせと選曲だ。早口パートが最高にキュート！「ギターソロカモン！」の呼びかけに応えて主宰コンビが乱入し、エアギター隊として最高の盛り上がりを見せる一幕もあった。

締めのトークでは、青木が出演者が“神”という無茶ぶりに応えられるメンバーという意味で「今日はこの3人で良かった」と話していたのが印象的だった。

ステージを締め括ったのは、6月に開催された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 燿城夜祭 -かがやきよまつり-」のテーマソングである「悠久星涼」。まだまだ盛り上がれるよね、的なベタな煽りで原が盛り上げに盛り上げたところで、しっとりした楽曲に突入するボケがいかにも「デレパ」らしい。6月の「燿城夜祭」にはいなかったメンバーによる歌唱は新鮮で、歌声が溶け合った時の渕上の包み込むような分厚い存在感や、落ちサビでの会沢のハッとするほどの透明感などが特に印象に残った。

大歓声の中ステージが終わると、ラストはみんなで一本締めを行なって、笑いに包まれた神公録は終了となった。

●CINDERELLA REAL PARTY! 09～御利神（オリジン）～公開録音イベント
2023.8.6 東京・ニッショーホール

＜夜の部セットリスト＞
M01:デレパの神曲（原紗友里、青木瑠璃子、ハートブレイカー滝澤）
M02:God knows…（渕上舞）
M03:my sweet heart（会沢紗弥）
M04:夏祭り（新田ひより）
M05:バベル（原紗友里、青木瑠璃子）
M06:キラメキラリ（渕上舞、新田ひより、会沢紗弥）
M07:悠久星涼（全員）