REPORT
2023.07.04
6月24日、声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット・i☆Risが、“i☆Ris 8th Live Tour 2023~わっしょい!!!!!~”の東京公演をTOKYO DOME CITY HALLにて開催。序盤は声出し必至曲で観客のハートを掴み、中盤以降は“魅せる”楽曲も交えて虜にしてから終盤では再度会場一体となって爆上げしていく……という狙いを、磨き続けてきたスキルをもって見事に具現化。天井知らずのパフォーマンス能力をもって、久々の声援OKのツアーとは思えない盛り上がりもたらした彼女たちは、“いま必見のライブアーティスト”と言っても過言ではない存在になっていた。
本稿では、本ツアーで唯一1日2公演となった東京公演より、夜の部の模様をお届けする。
TEXT BY 須永兼次
ステージ前面にツアーロゴ入りの幕が下がるなか、開演直前にはメンバー5人が影ナレを通じて、「わっしょい!!!!!」をモチーフにしたコール・アンド・レスポンスを交わして自ら観客を温めていく。そして、暗転とともに笛や祭囃子の鳴り響くOPSEが流れ、観客もクラップやコールで高まったところで、メンバーカラー5色の光が打ち上がって幕が落ちると、ステージには「☆」を形作るように点在する5人の姿が。そしてそのまま、ツアーのテーマ曲としてヒャダインから提供を受けた「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」で、東京公演という大きなお祭りが始まる。和の雰囲気が非常に色濃く出る1-Bメロでは山北早紀が麗しく、続いて若井友希がよりスケールを大きく歌うなどボーカルでも聴かせつつ、全体的にはテンポの速いにぎやかな楽曲に乗せ、表情豊かな歌唱とダンスで1曲目から会場中のボルテージを一気に上げる。2サビ明けの間奏でも、開演前に続いてコール・アンド・レスポンスを交わしてさらに場内のボルテージは爆上げ。
見事にロケットスタートを果たすと、ライブ序盤の定番曲「幻想曲WONDERLAND」へ。冒頭での久保田未夢の問いかけに答える形で観客のシャウトを聴けるのもツアーでは4年ぶりと考えると、観ている側ながらなんだか嬉しくなってしまう。そのシャウトを冒頭のセリフ後に受けた久保田は、特にサビで笑顔をぱあっと咲かせ、楽曲後半では振付を活かして前のめり気味になり、目線の移動を利用して細部にまでレスを織り込んでいく。この曲は「あっぱれ!馬鹿騒ぎ」とは違って、美しさや麗しさを大事に魅せてくれる曲。なかでも2-Aメロでぱたぱたとステージを駆け巡る茜屋日海夏の佇まいが、楽曲も相まっておとぎの国を駆け巡る妖精のように見えたのも、印象深いポイントだった。
そしてこちらも恒例、久保田によるラストのセリフで「明日のことなんか忘れて、テンションぶち上げてけー!」と煽って曲を締めると、それを山北が「ぶち上がったテンションで、この曲歌っちゃいましょー!」と受けて始まったのが「5STAR☆(仮)」。コールやジャンプできる部分もたっぷりのメンバー自己紹介ソングであるこの曲は、またもツアーのサブタイトル“わっしょい!!!!!”に結びつく、自然と声を出せるマインドへと誘う存在。このツアーの幕開けを飾るには、この上なくふさわしい3曲だろう。加えて場内だけではなく、2-Bメロでは山北の“まだ見ぬ あなたにも”というソロフレーズとともに全員でのカメラアピールも入れて、配信参加者も巻き込みながらぐいぐい場内のボルテージを上げていった。
早くも場内にアツさが充満するなか、まずは各メンバーの自己紹介。重ね重ねにはなってしまうが、それぞれの口上にもあるべきコールが返ってくる光景は、どれも懐かしく嬉しいものだった。また自己紹介に合わせてのメッセージの中では、芹澤 優が「色んなネジをすっ飛ばして楽しみたい」と口にするなど、メンバーそれぞれが意気込みを宣言していく。
その意気込みを形にするように、MC明けにまず披露されたのもブチ上がり確定ソング「DIVE TO DIVE」。この曲で最もパフォーマンスに目がいったのは、前述のメッセージを発した芹澤だった。1コーラス目中盤、上手側から後ろ向きで跳ねながらセンターへと移動する部分の躍動感とエネルギーにはぐいっと惹き込まれたし、Dメロソロではロングトーンの最後にエアできゅっとハグして盛り込んだ愛らしさは多くのファンのハートにぶっ刺さったことだろう。またこの曲、ファンと一緒にタオルを回す2サビ明け間奏での楽曲アレンジが、ツアー限定の和風のものになっていたのも注目ポイントだった。
そしてラストに、メンバーがそのタオルを客席に投げて楽曲を締め括ると、ファンクラブ「虹会」で行なわれたファン投票を元に選曲されたユニット曲ゾーンへ。ここからの4曲はいずれも本家以外の組み合わせで披露された、このツアーのみのスペシャルバージョンだ。
まずは芹澤・若井・久保田の3人による「Secret Garden」。切ないナンバーを直前から表情をガラリと変えて披露することで、また違ったアングルからぐいっと観客を惹き込んでいく。振付の中で、全体的にしなやかな腕の使い方が特に表現に活きていたのが若井で、Dメロ直後のソロダンスでは久保田のスピンが特にシャープで目を引く。さらにはそのDメロでの切なさや落ちサビでエモさを感じさせた芹澤の歌声もかなり聴きどころで、短いなかにもギュッと詰まった1曲に。続いては、久保田のみがステージに残るなか茜屋が加わって「Believe in」がスタート。1-Bメロではステージ中央で背合わせになったり、サビ明けには茜屋がヘドバンを煽ったりと魅せ方もとにかくアツい。2人のハモや追っかけなどボーカル面でも見せ場を多々作って、ここでもまたここまでのどの曲とも違った表情・表現をみせる。最後に両サイドに分かれた2人が拳を突き合わせて曲を締め括ると、山北・芹澤ペアによる「Love Magic」が、キュートさに全振りした歌声でその雰囲気をまたもや一変させる。やはり持ち歌だからこその慣れもあってか、ステップの大きさや後ろ歩き部分の歩幅調整など芹澤のパフォーマンスの巧みさも光る一方で、普段は下ハモやカッコよさ強めのソロの担当が多い山北の、思いっきりキュートさを出した歌声やダンスから滲むかわいげも心ときめかせるもの。間奏などでの、左右対称になるダンスも息ピッタリだ。
そして「My Bright…」では茜屋1人がステージに登場。ヘヴィなロックサウンドに負けないものでありながら、透明感やクールさももつピンと張った歌声で楽曲を彩っていく。間奏での煽りでさらに場内のボルテージを上げたところで、落ちサビ直前に逆光のなかステージ奥から若井が駆け込み登場して、さながら“ご本人登場”のような形でソロ歌唱。固くならずにパワフルさを出せるという若井の歌声の魅力を再確認しつつ、大サビでは2人が歌声をぶつけ合うというアツい展開も堪能することができた。
茜屋が「サイコー!」と満足気に発して曲を締めると、「扇子・オブ・ワンダー☆」のイントロ流れるなかステージ奥から山北登場。若井に扇子を手渡し、まずは歌詞もアレンジされた“若山”の2人バージョンでの披露へ。表情豊かなパフォーマンスを繰り広げていき、サビでは今回のツアーグッズである扇子が客席一面に広がるのを前に笑顔で跳ねつつ披露。すると1サビ後には山北が「やっぱり東京ドームに立ちたい!どこかに助っ人いないかなぁ?」とこぼすと、ステージ奥からは茜屋・芹澤・久保田が登場!5人がそれぞれ自身の名前の織り込まれたラップパートをリレーしていくと、2サビ直前には照明がパッとイエローに変わる。この曲の決めどころでこの“6色”が揃う演出には、正直心が震えた。
その後の間奏でもファンと一緒にセンスを使っての雅なダンスタイムを繰り広げるなどして、このツアーならではのスペシャルなブロックをやりきった5人。MCを挟み、次に向かうはかわいい曲ゾーン。ということで、次の曲に向けて山北がほかのメンバーの“かわいいスイッチ”を押していき、押されたメンバーはかわいくポーズを決めていく流れに。その最後、逆に久保田からスイッチを押された山北は「いつもかわいいからいつも通り」と鮮やかにオチをつけて、MCをまとめる。
こうして始まった「ハートビート急上昇」が、楽曲冒頭からもうとにかくクオリティが素晴らしい。芹澤が第一音を歌い出す瞬間に全員がパッと顔を上げるタイミングも気持ちいいくらいにピッタリであり、芹澤の歌声の甘さ加減も非常に“欲しい”塩梅。それをこの一瞬に詰め込んで、さも当然かのように自然と見せてしまうからこそ、この5人はすごいのだ。その後も、キュートながらもテンポ速めなこの曲によくハマるサビでのぱたぱた感のある振付でi☆Risらしいかわいさを感じさせつつ、イントロやサビ明けの間奏ではファンと一緒に踊って一体感も醸成していった。
そして続けた「真夏の花火と秘密基地」は、楽曲自体もツアーのコンセプトにピッタリな曲だが、それをただ盛り込んだだけではない。なんと今回は、曲中に屋台が登場して“夏祭り感”を増幅させての披露。しかもその屋台の風車を全員が手にして1サビ直前には横を向いて吹いて回したり、2コーラス目には歌詞になぞらえて芹澤が手にしたわたあめをみんなで取り合って、歌声と表情で芹澤が泣き要素を盛り込んだりと、その後も演出に活用。2サビ明けの盆踊り風の振付も、夏祭り感のおかげでさらに効果的なものに。
こうして夏の思い出をファンと一緒に1つ作ったところで、メンバーは一旦降壇。この曲をインスパイアしたようなピアノメインのinterludeがしばし余韻を作ると、次第に強いビートが加わり雰囲気が変わり、衣装チェンジを終えた5人が再登場。ディスコ調のリズムをもつダンサブルな「キラキラGood day」からライブ後半戦が始まる。この曲の中では、特に若井のパフォーマンスが立っていた印象。1サビの膝のかがませ方も深くダイナミックで自然と視線を引いたし、2-Bメロでの腰の回し方なども非常に綺麗。加えてサビのソロなど歌声の部分も含めて、視覚・聴覚の両面からぐいっと惹き込んでくれた。
そしてキュートなダンスナンバー「Secret Pure Love」には、リリースされた活動初期とはまた違った今のi☆Risならではの“甘すぎないキュートさ”という魅力が。2サビ明けの間奏、エアで「パーン!」と言いながら指鉄砲を撃っていた茜屋の姿をはじめメンバーの自然な笑顔がきらめく姿に、改めてハートを撃ち抜かれたファンも多かったことだろう。
曲明けのMCでも、久々に披露した楽曲でファンが沸く嬉しさについて語ったりなかなか披露される機会のない曲のリクエストを募ったりと、声を用いたファンとのコミュニケーションを満喫する5人。そんななか山北の「文京区(※会場所在地)の夜の女になろう」との発言に続く形で、「Queens Bluff」から“夜の女の曲”ゾーンへ突入する。曲が始まると一瞬にして表情を切り替え、切れ味抜群のパフォーマンスで魅せる様がカッコよくてたまらない。ダンス自体もフォーメーションチェンジも綺麗で、歌声にもオトナ感を存分に乗せつつ、いたずらに力任せにはしない。この曲ならではの色気を全員が、パフォーマンスに乗せていく。1-Bメロでは久保田がソロに小悪魔さもふんだんに乗せて表現していたり、2-Aメロでは若井が大きくたおやかな振付を力強い歌声と両立させ、積み上げてきたものの片鱗を通じて見せ場を作っていたりと、挙げればキリがないほど見どころ満載の1曲に。
続いては、そんなオトナさは残しつつも、夏に似合うキラキラ感のあるダンスチューン「One Kiss」へ。ソロパートを次々リレーし、歌唱していないメンバーがバックダンサーのように入れ替わり立ち替わりパフォーマンスを繰り広げていくこの曲でも、5人は歌でもダンスでもオトナ感をまとわせる。特に歌声の面でそれが強く出ていたのは、山北と茜屋だっただろうか。2-Bメロの茜屋ソロは歌声をほのかに引き気味にすることでより印象深く心に残るものだったし、オトナ感に加えて力強さもあった2サビを締め括る山北のソロもまた、ぐっと心を捉える。そして少々の切なさも乗せた歌声を響かせていく「Defy the fate」は、ソロが次々リレーされていくDメロを筆頭に、5人のボーカル能力を堪能できる曲だと再認識。落ちサビの芹澤の、感情がじわじわと滲み出であらわになってくるような歌声は、まさしく最注目ポイントだった。その後に来る大サビラストの重厚なハーモニーなども含め、本公演中の聴きどころの1つとしてこのブロックを締め括った。
さて、盛りだくさんなライブもいよいよ終盤。メンバーがそれぞれ観客や配信視聴のファンを順々に煽り「アルティメット☆MAGIC」からラストスパートへ。冒頭フレーズ後、若井がステージセンターにて満面の笑みで観客を煽り、そのままソロパートを明るくエネルギッシュに歌唱。その後もわちゃわちゃ感の強いハイテンポなナンバーを、全開パワーで披露していく。随所にコールも交えながら、この曲を全力で楽しんでいくi☆Risと観客たち。2サビ明け間奏、コール後にパーン!と弾けていく5人の姿は、2公演目の終盤だというのが信じられないほどの勢いのあるもの。ソロパートでの歌唱時に息切れを感じさせなかったのも、冷静に考えたらすごすぎることだ。そしてこちらもライブ定番曲「§Rainbow」では、イントロ中に芹澤が「あえて言おう!この曲は、私が主役だー!」と高らかにシャウト。それはもちろん、Bメロでの彼女のソロに合わせて、ファンが名前を呼んでくれるからだ。しかもそれを、凱旋公演にあたる東京公演で聴けるというのも、やはり格別のものがあったのだろう。イヤモニを外してその声を受け止めたあと、1サビ中盤では普段以上に大きめにスピンして、スピンが開く一瞬の時間を利用してファンの近くで笑顔で手を振ったり、2番では胸にこみ上げるものがありそうだったりと、感情が大きく動いていたことがわかる。そして2サビ明け、3000人のファンと一緒に「We are i☆Ris!」コールを決めると、直後の間奏中に芹澤が「i☆Ris 11年!」「続けて良かったよ!」とコーレスの音頭をとれば、Dメロ直前ギリギリに若井が「私もそう思うよー!」と返答。これもまた、観る側としては非常にエモーショナルなポイントだった。そこから再び笑顔でソロを取りフェイクも決めて、指で描いたハートを配信カメラに投げたりと、芹澤は冒頭の宣言通りに“主役”として八面六臂の大活躍をみせてくれた。
そして本編のラストを飾ったのは「Realize!」。“ラスボス”とも称される、難易度高く運動量も要求されるこの曲でも、5人の躍動は止まらない。1-Bメロでは山北がソロパートで、ポーズをピタリと決めつつ歌声も力強くカッコよく響かせるし、茜屋もサビ中の細かなステップをなめらかにこなしつつ、上手く体の軸を入れ替え観客に笑顔を見せ続けていく。ほかにも、笑顔満開なうえにサビの足上げの打点も非常に高い久保田など、最後までそれぞれの魅力と個性を乗せたパフォーマンスをみせてパワフルに駆け抜けていった。
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