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2023.05.19

サッカーに夢中な少女・結城晴が本当の意味で“アイドル”の輝きを知った瞬間。【TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」第3芸能課観察記録05】

サッカーに夢中な少女・結城晴が本当の意味で“アイドル”の輝きを知った瞬間。【TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」第3芸能課観察記録05】

TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」(以下、「U149」)の第6話「暑くなればなるほどかけるもの、なに?」が放送された。本コラムでは「U149」の物語や音楽、アイドルたちの魅力を追いかけていく。

【特集】TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」が彩る夢のステージを紐解く!

【特集】TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」が彩る夢のステージを紐解く!

TEXT BY 中里キリ

晴と梨沙が迎える初めてのライブステージ

第6話のアバンタイトルは小学校でサッカーに参加する結城 晴。ほかのメンバーは男子ばかりのなかでキックオフを担当する姿は凛々しく、本格的なサッカー描写は別の作品が始まったかと焦ったほどだ。

晴が放課後に第3芸能課にやってきたとき、プロデューサーが飛び込み持ってきたのは、晴と梨沙がアイドルのバックダンサーをやらないかというチャンスだった。プロデューサーの手元にあるフライヤーはLiPPSのもの!速水 奏、塩見周子、城ヶ崎美嘉、宮本フレデリカ、一ノ瀬志希によるスーパーユニットだが、第2話「おでかけなのにただいまをするもの、なに?」に登場した志希とフレデリカのヘンな怪しいお姉さんたち……といった印象からは信じられないほどスタイリッシュ。ワンマンライブの会場がTOKYO DOME CITY HALLと明記されているのが解像度が高い。

ただしうまい話には裏がある?ライブの日時は今週末!客前に立つ初ライブがホールクラスというのもハードルが高いが、梨沙の覚えの良さと晴の運動神経を褒めたり、晴の好きなサッカーに例えたりでやる気を引き出すあたりはナイスプロデュースだ。急ピッチのレッスンのなか、トレーナーの指導の下、互いのダンスのポイントを指摘しながら切磋琢磨する2人。ふらりとレッスン場を訪れた志希がかき回していったりもしたが、準備は順調なようだ。

だが、問題になったのは晴たちがバックダンサーとして着用するアイドル衣装だ。センスの良いデザインだが、晴はスカート姿で歌い踊ることに抵抗が大きい様子。女の子らしいかわいさを拒絶する晴と、アイドルとしてのプロ意識を説く梨沙のすれ違いは口論に至ってしまうが、それぞれ言い過ぎたと感じたところで1人になって頭を冷やす選択ができるのが、なんとも大人だ。

そんな晴に対するプロデューサーの処方は、アイドルのライブ映像を観せて、その良さを知ってもらうこと。用意した映像はLiPPSの大名曲「Tulip」!面白いのはステージで歌い踊る5人のダンスよりも(ダンスのカッコよさや楽しさについては、晴はもう知っているはず)、その姿に熱狂する観客たちの盛り上がりに晴が感銘を受けた様子であること。サッカー観戦をするときの盛り上がりや、観戦するよりプレーするほうがワクワクする、といった実体験を通してライブに興味を持っていくのが素晴らしい。プロデューサーの体当たりのアピールや梨沙とのやり取りを通して、ついには吹っ切れる晴。社内で上司に叩かれながらも晴のスパッツ着用を勝ち取ったプロデューサーのナイスプレーもあり、衣装問題を乗り越えてライブ当日を迎えることができた。

3D+2Dライブで描かれるLiPPS完全新曲“Nightwear”

ライブ本番。晴と梨沙の出番はアンコールだ。晴・梨沙と一緒にバックダンサーを担当するのは城ヶ崎莉嘉、メアリー・コクラン、南条 光、小関麗奈の4人。「シンデレラガールズ」の様々なユニットを連想する組み合わせだが、大きいのはセクシーパンサーズ(莉嘉+メアリー+梨沙)とヒーローヴァーサス(光+麗奈)だろうか。LiPPSの美嘉の妹である莉嘉が参加していたり、第3芸能課のメンバー以外もそれぞれのアイドル人生を生きており、バックダンサーに選ばれた流れがあるのがなんとなく感じられる。梨沙が初ステージで顔色を失って震えていると、集まってきたLiPPSメンバーがさらっと緊張を解きほぐしていくのがなんとも心強い。

そして晴と梨沙が参加する初めての楽曲は、誰も見たことがない楽曲「Nightwear」だった。「Tulip」を前振りに持ってきた時点で“もしかして”の予感はあったが、なんとこのタイミングでLiPPSの新曲を投入してきた。作詞MCTC、作曲をTAKU INOUEという「Hotel Moonside」チームが手がける完全新曲だ。「U149」で第3芸能課以外の新曲を投入したうえに、連動してアプリ「シンデレラガールズ スターライトステージ」での展開もスタートするダイナミズムあふれる仕掛けに圧倒される。

ライブシーンはアニメ用に3Dモデルを用意。3Dカメラワークの中に違和感なく2Dの手描きカットを挿入していて、晴の躍動感溢れるダンスと心からステージを楽しんでいる表情が、バックダンサーとしてはちょっと目立ちすぎなほどの光を放っていることを巧みに描写している。そして、LiPPSがそんな光を飲み込んでステージ全体の輝きへと変えるだけの本物であることが合わせて描かれた、最高のライブシーン。ウィンクをキメた奏が指先でカメラにタッチする瞬間の実在感がたまらなかった。

踊り終えた晴が、充実した表情で汗をぬぐいながら「プロデューサー、アイドルって、面白いな!」と声を弾ませる。そしてまたバックダンサーがやりたいと直訴する晴をすげなく断った志希の「(楽しかったなら)ここまで来たまえ」という返答があまりにも鮮やかで。サッカーが大好きな少女が、本当の意味で“アイドル”の輝きを知った瞬間が鮮烈に描かれていた。

そして、次は自分たちのステージに自分たちの衣装で立とうと誓い合ったところで、結城 晴の、晴だけの楽曲によるエンディングが始まるのがあまりにも最高だった。新曲「ACE」は待ち望まれてきた結城 晴の初のソロ楽曲で、ミズノゲンキが作詞、睦月周平が作編曲を担当。「∀NSWER」「Gaze and Gaze」「EVIL LIVE」といった数々の名曲を手がけてきたコンビだ。畳みかけるスタイリッシュなラップの力強い歌い上げと清涼で爽快なサビの取り合わせが“これぞ結城 晴”という魅力に満ちていて、今まで待った甲斐があったと思わせる最高の仕上がり。アイドル・結城 晴の本当のキックオフと、その先にある輝くステージをイメージさせる心に残る当番回だった。


●作品情報
TV アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」

原作:バンダイナムコエンターテインメント
原案:「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」 廾之(サイコミ連載)

【スタッフ】
監督:岡本学
副監督:高嶋宏之
シリーズ構成:村山沖
アニメーションキャラクターデザイン:井川典恵
コンセプトアート:大久保錦一
デザインワークス:
野田 猛 小田崎恵子 中村倫子 渡部尭皓 槙田路子
美術設定:曽野由大
高橋武之 金平和茂
美術監督:井上一宏
色彩設計:土居真紀子
3DCG:石川寛貢 榊正宗 神谷宣幸
撮影監督:関谷能弘
編集:三嶋章紀
音響監督:岡本学
音楽:宮崎誠 川田瑠夏 睦月周平
音楽制作:日本コロムビア
アニメーション制作:CygamesPictures

【キャスト】
橘ありす:佐藤亜美菜
櫻井桃華:照井春佳
赤城みりあ :黒沢ともよ
的場梨沙:集貝はな
結城晴:小市眞琴
佐々木千枝:今井麻夏
龍崎薫:春瀬なつみ
市原仁奈:久野美咲
古賀小春:小森結梨
プロデューサー:米内佑希

©Bandai Namco Entertainment Inc. /PROJECT U149

関連リンク

TV アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』
公式HP
https://cinderella-u149-anime.idolmaster-official.jp/

公式Twitter
https://twitter.com/u149_anime

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