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REPORT

2023.01.22

近くて狭ぇな武道館! 10周年イヤーの扉を拓く“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!!”DAY2レポート

近くて狭ぇな武道館! 10周年イヤーの扉を拓く“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!!”DAY2レポート

アイドルマスター ミリオンライブ!」のライブイベント“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!!”DAY2が2023年1月15日、東京・日本武道館にて開催された。

DAY2にはミリオンスターズより、春日未来役の山崎はるか、最上静香役の田所あずさ、大神環役の稲川英里、北沢志保役の雨宮天、木下ひなた役の田村奈央、桜守歌織の香里有佐、佐竹美奈子役の大関英里、高山紗代子役の駒形友梨、天空橋朋花役の小岩井ことり、所恵美役の藤井ゆきよ、永吉昴役の斉藤佑圭、野々原茜役の小笠原早紀、馬場このみ役の髙橋ミナミ、真壁瑞希役の阿部里果、百瀬莉緒役の山口立花子、矢吹可奈役の木戸衣吹、ロコ役の中村温姫が出演した。

Text by 中里キリ

多くの人が武道館を訪れる場合、九段下の駅を降りて靖国神社の方角へ坂道を上る。春には桜が咲き乱れるお堀を渡ると、旧江戸城の門である田安門の重厚な構えが現れる。この会場ならではの道のりに胸を高鳴らせながら門を潜り、やがて見えてくるのが武道館の天井のシンボルである金色の大きな玉ねぎ(擬宝珠)。爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」で描かれた光景だ。

武道館の前を行き過ぎて、敷地内の北の丸公園を道なりに少し歩けば、左手に科学技術館サイエンスホールが見えてくる。劇場型のホールで、アニメやゲーム、声優イベントがよく行われることで知られている。今回の武道館公演にも出演している斉藤佑圭、野村香菜子、中村温姫の3人は、今から8年前に同所で行われた“THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 09&10発売記念イベント”で、初めてアイマス関連のイベントに出演した。後日のインタビューで中村が語ってくれたのが、当日衣装の入ったカートをからころと引っ張りながら裏手から金色の玉ねぎを見上げて、近くて遠いなと思ったというエピソード。その日の情景と武道館という場所への憧憬が感じられて、今でも武道館を見ると思い出す話だ。

日本武道館という会場の特徴は、何と言ってもアリーナをぐるりと囲む円形(正確には八角形)の会場構成である。スタンド席は上に広く、ステージから見ると客席が迫ってくるほど近い。ライブ中も演者から「近い!」の声が何度も上がっていた。本来は平坦な武道場だけに会場設定の自由度は高いが、今回は客席の3/4強をオープンして、残りの1/4をステージとバックヤードに当てていた。中央にステージを置く特殊な全周客席設定以外では一番広いライブでの武道館の使い方だろう。最上段席まで隙間なく埋まった会場に、ようやくここまで戻ってきたのだと感慨深い。

シンボルである巨大な日本国旗が見下ろすメインステージは、大階段から背景の超大型スクリーンに至るまでが円弧で構成されている。湾曲した大型スクリーンにステージが包まれているようなイメージだ。ステージ内には高さの違うお立ち台のような円形ステージが2つあって、このステージの側面も湾曲スクリーンになっている。大階段の前には17人が一度にパフォーマンスできる広々としたスクエアステージが広がっており、この構成は前回の武道館公演を彷彿とさせるものがある。

前説映像は、765プロ劇場事務員の青羽美咲が担当。「またみんなと武道館に来るのが夢だったんです。私たちを連れてきてくれて、改めて本当にありがとうございます!」と語ると、会場は暖かく長い拍手に包まれていた。

overtureとともにスタイリッシュなテイストのメンバー紹介映像が流れ、期待感が高まる中ライブはスタート。オープニングナンバーは「夢にかけるRainbow」、アプリ「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」5周年記念楽曲だ。「シアターデイズ」は前回の武道館後にリリースされたアプリであり、それだけの時間が経ち、積み重ねてきたということでもある。

オープニングのショート挨拶ではいつものミリオンスターズらしいわちゃわちゃとしたやりとりを挟みつつ、山崎はるかが「10周年を目前に、私たち久々に武道館に帰ってきました!」と宣言するとメンバーからも「ただいま!」の声が飛ぶ。今回のライブコンセプトが“ChoruSp@rkle”であることや、モノトーンでまとめたプラウド・オブ・ステージ衣装を紹介すると、ライブ本編がスタートした。

DAY1で見えた今回のライブの基本構成は、新たにリミックス(ChoruSp@rkle!! MIX)して、オリジナルメンバー“以外”で歌うユニット曲と、各アイドルの最新ソロ曲をズラリと並べるセットリスト。選曲されたユニット曲は、2017年3月に開催された前回の武道館公演「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」に縁深いものが多い。

それを踏まえてトップに持ってきたナンバーは、「Flooding(ChoruSp@rkle!! MIX)」! 「4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」において、ユニット・クレシェンドブルーのオリジナルメンバーがDAY2のクライマックスをサプライズで飾った楽曲だ。ゲッサンコミック版『アイドルマスター ミリオンライブ!』特装版の特典というレアな出自の楽曲をここに持ってくるのは武道館の記憶のリンク、いわば思い出ポムを狙ったものだろう。今回の歌唱メンバーは小岩井ことり、藤井ゆきよ、阿部里果、髙橋ミナミ。いずれもクールで攻撃的な楽曲にも抜群の素養と引き出しを持ったメンバーだ。全く新しいミックスに仕上がっているに関わらず、イントロで楽曲の判別ができる色の残し方が絶妙で、会場からは堪えきれない驚きと熱量のこもったざわめきが起こっていた。

ソロのトップバッターは稲川英里の「Play GO! Round」! 「次はたまきの番だぞ!」とステージに駆け込むと、かわいらしくも元気いっぱいな煽りで会場を盛り上げていく。獣の爪のようなワイルドなポーズや大地を撃つポーズなどの振付がダイナミック。黒と白を基調にした衣装のダンサーたちの動きも抜群の切れ味で、主役の個性とエネルギーが最強であるからこそバックも全力以上のパフォーマンスで応えているように感じた。時にラップ、時に伸びやかに歌う歌声は素晴らしく安定しているとともに、常に100%ぶれない“大神環”だったのは流石の一言だった。

小笠原早紀は「K・A・W・A・I・I of the WORLD!」を披露。アイドル(キャラクター)そのもののボイスをキープして歌う匠を立て続けにもってきた。ステージ背後の曲面スクリーン、そしてお立ち台ステージの円筒スクリーンをとても効果的に使っていたのがこの曲で、色とりどり(?)、様々な形態の(!?)“茜ちゃん”たちがスクリーンいっぱいに乱れ飛び、A・K・A・N・Eワールドを視覚から脳内に流し込まれているようだ。例のごとくノンブレスに近い大変な楽曲なのだが、小笠原は満開の笑顔を浮かべたまま本当に楽しそうに歌いきった。

大関英里は「あたためますか?」を披露。元気のない“君”を心配しながら優しく包み込むような曲調と歌唱は新境地でありながら、やはり美奈子らしさにあふれている。初期ソロ曲がアイドルたちの自己紹介の色があったのに対して、最新曲はアイドルの新しい一面や引き出しを見せる楽曲が多いように思う。オフボーカル時の優しく手を差し伸べたり、抱きしめるような振付が印象的。テクニカルな高音に懸命にトライする歌声も「美奈子が頑張っている」感じがするのが良かった。

木戸衣吹の「グローインミュージック!」は木戸自身のボーカリストとしての成長、アイドル矢吹可奈の成長がぴったりとリンクしている感じで、なるほどこれは成長する音楽だと納得するしかない。花開いた可奈と演者の走るスピードが同じになったことで、よりパワーアップしたと言えるかもしれない。振付の中にこれまでのソロ曲を思わせる振りが入ってくるのが刻んできた歴史と経験を示しているようで、動きの面でもエモーショナル。こういった仕掛けができるのも、ダンサーやコレオグラファーも一緒に歩んできたコンテンツならではだろう。

「Eternal Harmony(ChoruSp@rkle!! MIX)」は駒形友梨、斉藤佑圭、山崎はるか、小笠原早紀の組み合わせ。アップテンポで輝かしいアレンジがライブにさらなる推進力を与えるようだ。オリジナルユニットの歌唱が記憶に残っているほど別メンバーとリアレンジのインパクトが増すという点では、これ以上ない選曲だったかもしれない。間奏に新しいイメージのダンスアピールタイムが入ったことで、続くエモーショナルな落ちサビの歌い継ぎに向けたイメージの緩急が効果的に働いていた。

第2ブロックは香里有佐の「Contrastet」からスタート。この曲では大人っぽい印象の歌織の、意外に子供っぽい一面も表現されているように感じる。香里の魅力と言えばデビューから変わらぬ笑顔だが、歌唱に合わせた眉毛の動きなどで笑顔の中にも表現と変化を込めていて、さらにいきいきと輝くような印象だ。高い技術と安定感を土台に、感情と笑顔を歌声に乗せていくパフォーマンスだった。

田村奈央の「ハッピーマイガーデン」は、歌い出しの“パッパッパッパヤ”のスキャットが素朴であまりにもひなたそのもので、一気に世界に引き込まれてしまう。スクリーンに無数のりんごが舞う中、産地直送のキュートさを届けていった。デビュー当時から変わらぬ“味”や魅力はそのままに、歌唱の安定度はしっかりと上がっているのが田村とひなたの歩幅での着実な進歩を感じる。歌い上げるパートの伸びやかな歌声と、弾むように楽しげな語尾の遊びから、ステージを心から楽しんでいる感じが伝わってきた。

イントロのサウンドが響く時点で、すごいのが来るぞ……と期待感を高めてくるのが駒形友梨の「REACH THE SKY」だ。歌い出しの朗々と叫ぶような自信にあふれた歌唱。ウィッグと思いきや、少しずつ伸ばしたというロングヘアで、ビジュアル面も過去最高に紗代子らしく感じる。疾走感のあるボーカルは完全に仕上がっていて、高みに空に手を伸ばす意志と心情を叩きつけるように伝えてきた。

斉藤佑圭は「パーフェクトゲーム」を披露。まずはイントロのギターサウンドに乗せたダンスワークで魅せると、クールかつ真剣な表情でスタンドマイクに向かう。天を衝くように指先を突き上げると、昴カラーの緑のネイルと、その奥で会場を満たす緑の光の対比が実に映える。見切れ席までしっかりプロデューサーで埋まっているので、センターステージと錯覚するような光景がたまにある。アウトロのダンスを終え、暗い照明の中で拳を胸に当ててキメる斉藤を包みこむように、武道館から拍手の雨が降ってきた。

中村温姫、田所あずさ、稲川英里、大関英里、田村奈央の5人は「Growing Storm!(ChoruSp@rkle!! MIX)」を披露。「Eternal Harmony」から間を挟んで「Growing Storm!」という流れは「4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」DAY1でもあったものであり、この2曲は同じシリーズの中で「ミリオンライブ!」に新しい風を吹かせたユニット曲でもある。田所と大関の華のあるボーカルと、中村稲川田村のキャラクター(アイドル)色強めのボーカルがバランスよくハーモニーを奏でる。“未来の風はいつだって私たちに向かって吹く”のロングソロは稲川が担当。環らしさ全開のキュートすぎる歌声が、新しい色の風を吹かせていた。

第3ブロックは雨宮天、香里有佐、木戸衣吹による「プリムラ(ChoruSp@rkle!! MIX)」からスタート。意外にも感じる選曲だが、こちらも武道館つながり。「4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!!」に向けて結成された星座ユニット・ウィルゴの楽曲だ。秘めた恋心を切なく歌う曲だけに、捉え方や向き合い方はアイドルの数だけあるはず。志保や可奈、歌織が紡ぐそれぞれの恋の歌はまったく違った輝きを見せる。さまざまな媒体でつながりを深めてきた志保と可奈の組み合わせもファン(担当P)には嬉しいところだ。クライマックスで3人の掛け合いや合唱で畳みかけるパートになると、3人が3人傑出したボーカリストであることを改めて実感する美しい歌声の響きあいを堪能することができた。

中村温姫は「わたしルネサンス」を披露。冒頭のロコナイズされたラップを駆け抜けると、瞬く間にロコの内的宇宙に誘われる。浮遊感のある楽曲にたゆたっていると、だんだん訴えかけるような日本語ラップにテイストが変わっていく。多色の超高難度ラップを歌いきること自体もすごいし、そこに留まらず歌声に笑顔で想いを込めることを忘れないのも感嘆するしかない。様々なタイプのラップを歌いこなした中村は間奏で優雅に舞うようなダンスを見せていたが、その姿は美しく玄妙な言葉の海を自在に泳いでいるようだった。

髙橋ミナミの「it’s me」。前曲に続くラップだが、こちらのサウンドは妖艶かついささか治安の悪い感じでテイストがガラリと変わる。このみは今までは高音域の伸びの良さで戦う楽曲が多かったイメージなのだが、それとはまったく違う技巧と表現を要求されているようだ。そのハードルを軽々と応えて歌声を形にしていくのは流石髙橋ミナミと言うしかない。ダンサー陣もほぼフルメンバーの大編成でスタイリッシュなパフォーマンスを支えていた。

ここはテクニカルな楽曲でプロデューサーたちを酔わせるブロックか。阿部里果は「ゆえに…なんです」を披露。浮遊感のある透明な歌声と、独特なリズムを刻むダンスでも魅せるパフォーマンスだ。動きや歌唱と演出が高いレベルでシンクロしていて、虚空をつんとつく動きと共に水面に波紋が広がるSEが響くタイミングがとても気持ちいい。歌詞カードを渡されても一見では読解が難しい楽曲だが、歌声を含む音としての気持ちよさと彼女が歌に込めた想いはそのまますとんと胸に落ちてくるような不思議な体験だった。

暗転したステージに誰かのシルエットが歩いて登場し、紫のムーディーな照明がスパッと灯るとともにボーカルがアカペラっぽく走り出す。雨宮天の「Purple Sky」だ。心地よく聴かせる歌声が魅力的だが、その響きや表現はどこか柔らかく、志保という少女の内面の変化を伺わせる。ダンスは激しさよりもニュアンスを大事にした感じで、手つきでヘッドホンを表現した時の気だるげな表情が印象に残る。配信映像ではダンサーを含めたチームとしての曲線的でスタイリッシュなパフォーマンスを余すところなく映し出そうとしているように、非常に凝ったカメラワークが駆使されていた。

第3ブロックの締めは「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER SEASON」楽曲を4曲ショートバージョンのメドレーで披露。「ダイヤモンド・クラリティ」は藤井ゆきよ、山崎はるか、香里有佐が担当。前日はカルテット編成だったステージを3人で披露したが、それを感じさせない香里の歌声と笑顔の存在感が光る。DAY1の甘い歌声成分多めのチームとのカラーの違いが際立った。阿部里果、田村奈央、稲川英里、髙橋ミナミ、中村温姫の「Shamrock Vivace」は前日より1枚増やして5人での歌唱。とにかく歌声の個性が際立つメンバーで、阿部や髙橋の強めのボーカルをベースにそれぞれのカラーが合わさってとても厚みのある歌唱に仕上がった。駒形友梨、小岩井ことり、大関英里、木戸衣吹の「空色♡ Birthday Card」は切なさと、どこか儚さを感じさせる繊細な表現が前に出て感じられた。「ESPADA」は小笠原早紀、田所あずさ、雨宮天、斉藤佑圭という編成。“蒼い”曲の代名詞とも言えるクレシェンドブルーから3人+凛々しさ無双の斉藤の組み合わせがこの曲にハマらないはずがない。ソリッドで切れ味抜群のパフォーマンスで、配信映像では決め所の4分割画面があまりにも鮮やかだった。

最後のブロックは「サビは一緒に手を振ってね! 踊りあかすわよ!」の叫びから山口立花子の「週末だけのハーレクイン」でスタート。冒頭は階段に腰かけてのパフォーマンスで、足の組み方や佇まいが大人のテイストの楽曲にぴったり。日々の悩みや大変さを飲み込んだ上で週末を踊り明かす、ほろ苦くも弾けた世界観は莉緒ならでは。バブル後の時代感を感じさせつつも、今だからこそハマる部分も多い楽曲だ。サビでは冒頭の宣言通り、左左右右という感じでリズミカルに手を振る覚えやすい振付があり、会場でもリズムに合わせてピンクの光が揺れていた。

前曲の拍手の余韻が消えるたっぷりの間をとって、藤井ゆきよの「Beautiful Believer」。青いライトの中響く浮遊感のある高音の心地よさを楽しんでいると、低音部では一転ビターで奥深いボーカルにドキッとさせられる。大人のテイストにあふれたこれまでのソロにはない曲調だが、歌詞の奥に流れる恵美らしさや想いは通底しているように感じた。ラストはSEに合わせた撃ち抜くような動きと、雰囲気たっぷりのウィンクで締めくくった。

前世紀のゲーム音楽を思わせるイントロとともに登場した小岩井ことりは「Moonrise Belief」を披露。プログレッシブなサウンド、激しく明滅するライトと、本人のゆったりとした優雅な動きの対比が面白い。雄大で壮大な静のパフォーマンスと唸るギターの組み合わせもとても新鮮で楽しい。スクリーンのステンドグラスを背負っての歌唱は、どこか神々しくすらあった。

田所あずさの「Cross the future」。冒頭の“次のステージを目指して”で「Catch my dream」を引用することで、最上静香の歴史と物語にぐいっと引き込まれる感じがする。疾走感のある楽曲とともに矢のように突き抜けていくような歌唱と突破力は田所あずさのオリジナル。これまでとこれからの静香の悩みやもがきも含めた全てを抱きしめるような楽曲だからこそ、後半から歌い終わりにかけての田所の晴れやかないい表情が希望に感じられた。

ソロのトリは山崎はるかの「しあわせエンドロール」。美しく優しい調べと共に、オレンジのスポットが大階段に座る姿を淡く照らし出す。タイトル通りにエンディング感にあふれた楽曲に合わせて、歌と所作と表情に想いを込めていく。身体ごと左右に向き直る動きで周りが席を立っていく寂しさを表現したりと、限られた動きとは思えないほど情報量が多い。間奏で立ち上がって歩き出すと、客席に手を振ったり、そっと空を指さしたり。そうした動きのひとつひとつから目が離せなくなるのが不思議だ。スクリーンと会場にピンクの光が優しく浮かび、ストーリーの終わりを優しく包み込んだ。

しっとりした余韻と長い拍手を切り裂くように流れ始めたのは「花ざかりWeekend☆(ChoruSp@rkle!! MIX)」! 歌唱は大関英里、木戸衣吹、駒形友梨、中村温姫、斉藤佑圭、小笠原早紀、稲川英里だ。この曲には単曲で空気を入れ替えて大団円に叩きこむようなパワーとエネルギーがある。リミックスもズバリとハマって説明のいらない楽しくハッピーな空間を作り上げると、間奏のダンスではステージ上が往年のジュリアナ東京を思わせる熱狂に包まれた。原曲でおなじみなのが平山笑美によるアドリブたっぷりのスーパーシャウトだが、今回は駒形が担当!! 伸びやかなシャウトの前には眩しいピンスポットがその姿を照らし出した。

「LEADER!!(ChoruSp@rkle!! MIX)」は小岩井ことり、田村奈央、山崎はるか、香里有佐、藤井ゆきよ、田所あずさ、髙橋ミナミ、阿部里果、雨宮天が披露。ミリオンスターズの先輩格、765PRO ALLSTARSの楽曲だ。オリジナルメンバーがいないアレンジ曲を歌うという構成はこの曲の前振りだったのでは? と思わされるほど、一本取られた感じの選曲だ。シアターのメンバーで歌うと“憧れを繋げてくからまかせて!!”のフレーズが全く違った意味に響くのに震える。楽曲のタイトル「LEADER!!」は先導する者を意味するが、今回歌い出しのパートを担当したのは山崎と田所。今から10年前に765プロの周年ライブ(「THE IDOLM@STER 8th ANNIVERSARY HOP!STEP!!FESTIV@L!!!」)に最初に飛び込んで、その後星の数ほどのリリイベやライブを先頭に立って引っ張ってきたのがこの2人だった。落ちサビの抑えたトーンの歌唱と表情が、9人それぞれの想いと愛情に満ちていて、「アイドルマスター」と「ミリオンライブ!」の積み重ねのひとつの結実を見たようなステージだった。

香里有佐が「今のミリオンスターズのみんなで、最高のコーラスを届けます!」と宣言して、本編ラストナンバーは「DIAMOND DAYS(ChoruSp@rkle!! MIX)」。大団円を形にしたような楽曲に、武道館を満たす心の「YEAH!!!」の大合唱が聴こえた気がした。

アンコールのこれからの展開紹介では、数多くの発表が行われた。DAY2の目玉と言えるのが、「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR」の発表だ。2023年4月22日~23日にさいたまスーパーアリーナで「Act-1 H@PPY 4 YOU!」が、2023年7月29日~30日にポートメッセなごや 新第1展示館で「Act-2 5 TO SP@RKLE!!」が、2023年11月4日~5日に西日本総合展示場新館で「Act-3 R@ISE THE DREAM!!!」が、2024年2月24日~25日にKアリーナ横浜で「Act-4 MILLION THE@TER!!!!」が開催される。2023年10月にはTVアニメ放送も決定しており、今年2月からの10周年イヤーは「ミリオンライブ!」の年になりそうだ。

発表明けのアンコールでは、アニメプロローグイメージソング「セブンカウント」が歌唱された。MVで未来が担当した歌い出しのパートを山崎が歌い踊ると、やはり再現度がグッと増す感じがする。純白に輝くキューブ状のステージときらめく星々を背景に、歌声がどこまでも優しく響き渡っていた。山崎がささやくようなソロで歌唱を締めくくると、客席に背を向けたメンバーの背中を、それぞれのアイドルカラーの虹のスポットが美しく照らし出した。

曲明け、発表された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR」開催をメンバーと会場のプロデューサーが一緒に喜び合うと、締めの挨拶へ。出演者全員からの想いと感謝を込めた言葉が届けられた。

中村が以前近くて遠いと形容した会場に「(客席が)近くて狭ぇな武道館!」と叫んだのが印象に残った。小笠原は「今日はこーりー(香里)も一緒で」とこぼれるような笑顔を浮かべながら、新しい思い出を一緒に作れたことを喜んでいた。その言葉を笑顔で頷きながら聞いていた香里だったが、自分のMCではこらえきれない涙が。6年前に武道館公演を客席で見ていたことを振り返ると、「私も歌織さんもミリオンスターズの仲間になれてるという気持ちをたくさん感じられる一日になりました」と改めて感謝を伝えた。続く田村が「仲間でしょ」と呟き、涙を拭くタオルが広がっていく光景に、改めて本当に良いチームだと感じた。MCの最後は藤井の提案で、山崎が音頭を取っての決意の円陣で締めくくったのだった。

ラストナンバーは、日本武道館に響き渡る「Thank You! -MR remix-」。すべてはこの曲からはじまった。そしてまたここから。「ミリオンライブ!」の数えきれないステージは、続いていく。

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!! DAY2
2023.1.15 東京・日本武道館
<セットリスト>
M01:夢にかけるRainbow(ミリオンスターズ)
M02:Flooding(ChoruSp@rkle!! MIX)(小岩井ことり、藤井ゆきよ、阿部里果、髙橋ミナミ)
M03:Play GO! Round(稲川英里)
M04:K・A・W・A・I・I of the WORLD!(小笠原早紀)
M05:あたためますか?(大関英里)
M06:グローインミュージック!(木戸衣吹)
M07:Eternal Harmony(ChoruSp@rkle!! MIX)(駒形友梨、斉藤佑圭、山崎はるか、小笠原早紀)
M08:Contrastet(香里有佐)
M09:ハッピーマイガーデン(田村奈央)
M10:REACH THE SKY(駒形友梨)
M11:パーフェクトゲーム(斉藤佑圭)
M12:Growing Storm!(ChoruSp@rkle!! MIX)(中村温姫、田所あずさ、稲川英里、大関英里、田村奈央)
M13:プリムラ(ChoruSp@rkle!! MIX)(雨宮天、香里有佐、木戸衣吹)
M14:わたしルネサンス(中村温姫)
M15:it’s me(髙橋ミナミ)
M16:ゆえに…なんです(阿部里果)
M17:Purple Sky(雨宮天)
M18:ダイヤモンド・クラリティ(藤井ゆきよ、山崎はるか、香里有佐)
M19:Shamrock Vivace(阿部里果、田村奈央、稲川英里、髙橋ミナミ、中村温姫)
M20:空色♡ Birthday Card(駒形友梨、小岩井ことり、大関英里、木戸衣吹)
M21:ESPADA(小笠原早紀、田所あずさ、雨宮天、斉藤佑圭)
M22:週末だけのハーレクイン(山口立花子)
M23:Beautiful Believer(藤井ゆきよ)
M24:Moonrise Belief(小岩井ことり)
M25:Cross the future(田所あずさ)
M26:しあわせエンドロール(山崎はるか)
M27:花ざかりWeekend☆(ChoruSp@rkle!! MIX)(大関英里、木戸衣吹、駒形友梨、中村温姫、斉藤佑圭、小笠原早紀、稲川英里)
M28:LEADER!!(ChoruSp@rkle!! MIX)(小岩井ことり、田村奈央、山崎はるか、香里有佐、藤井ゆきよ、田所あずさ、髙橋ミナミ、阿部里果、雨宮天)
M29:DIAMOND DAYS(ChoruSp@rkle!! MIX)(ミリオンスターズ)
M30:セブンカウント(ミリオンスターズ)
M31:Thank You! -MR remix-(ミリオンスターズ)

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク

THE IDOLM@STER MILLION LIVE!公式サイト
https://idolmaster-official.jp/

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