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REPORT

2022.12.29

YURiKA、サプライズだらけ!?の初ライブツアー・さいたま公演密着レポート。「はすだ広報大使」就任に蓮田市マスコットキャラクター・はすぴぃも駆けつけた!

YURiKA、サプライズだらけ!?の初ライブツアー・さいたま公演密着レポート。「はすだ広報大使」就任に蓮田市マスコットキャラクター・はすぴぃも駆けつけた!

アニソンシンガー・YURiKAが12月11日、HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3に降り立った。自身初となるライブツアー「KiRA☆KiRA」で全国5ヶ所を驀進する中、出身地となる埼玉県で迎えることになったツアー折り返し地点。豊富なアニメ主題歌で満ち満ちたアルバムを引っ提げての濃いアニソンライブであると同時に、地元公演ということで驚きのゲスト登場、また3年ぶりとなる全曲ワンマンライブ開催の告知も含めて、ボリュームあふれる内容になった。

他方で、表に出さず苦悩の中であがいていたという3年間をファンに告白したあとのツアーということもあり、会場に居合わせた全員が充足感と幸福感を感じる時間、という側面もあったと言えよう。そんな記念すべき夜を、主役であるYURiKAはどのような想いで迎え、どのような振り返りを抱いたのか。終演後の本人取材によるスペシャルコメンタリーとともにライブの様子を記していきたい。

TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)

「ROMA☆KiRA」から「鏡面の波」までこだわり満載のステージ

ライブハウスに清涼たるコーラスが響き、メロディーは民族的なリズムからストリングスを伴ったバンドサウンドへと変化を見せていく。SEは、アルバム『KiRA☆KiRA』1曲目のインストゥルメンタル「MAGICAL FESTA」である。ステージ上にバンドメンバーが揃うと、すぐさま「ROMA☆KiRA」が始まる。アニソンシンガーとしての喜びと決意を胸に、YURiKAがハイトーンで乗りこなしていくと、Cメロで観客の拍手が後押しする。会場に訪れた全員がYURiKAと目が合ったのではないか?というほどに、1曲目から豊富なレスを振りまきながら、(アニメ『ロマンティック・キラー』に登場する魔法使い)リリのぬいぐるみを手に持ち、明るく、元気に、楽しく、歌ってみせるYURiKA。

曲が終わっても、その歌声はすぐ舞い戻ってきた。歌始まりの「ふたりの羽根」だ。Aメロ前のイントロでは軽く挨拶を交わし、曲中では振付でファンと心を合わせていく。最後には、この曲が『はねバド!』OP主題歌であることを思い出させるように、バドミントンのラケットを掲げ、シャトルを(優しく)客席に打ち込んでプレゼントする。 小道具を用いながら歌うのはYURiKAお得意のパフォーマンスだ。楽しんでもらおうという無邪気なサービス精神であり、アニメやゲームといった作品に興味を持ってもらおうという動線の確保でもある。のちの、「サマーテイル」(ゲーム「Summer Pockets」イメージソング)でも、ゲームをプレイした人にはわかるアイテムとしてサングラスをかけていた。そんなホスピタリティ(おもてなし)を味わえるのもYURiKAライブの魅力でもある。

地元にファンを呼び込んだ形となったこの日のMCでは、初参戦も全通も含め、集まったファンたちを「さいたまへ、ようこそ!」の言葉で出迎える。そしてアルバム新曲の「Key to my next gate」へ。作詞が霜月はるか、作曲が折戸伸治、編曲が塚越雄一朗(NanosizeMir)という、Key作品に欠かせないクリエイターからの楽曲提供を受け、歌い手であるYURiKA自身の心が沸き立つ布陣だが 、彼女のレパートリーに、四つ打ち系で盛り上がるライブ曲、という新たな武器をもたらした1曲でもある。これに続いては、イントロからYURiKAもファンもタオルを振り上げ、最高の高揚感で臨む「サマーテイル」で、誰もが海のない冬の埼玉に爽やかな夏の海を感じた。そしてアニメ『アニマエール!』の挿入歌としてカバーした、いきものがかりの「じょいふる」ではあの有名なテレビCMを彷彿とさせるほどの弾みっぷりを見せる。さらには「ミラクルステップ」(アニメ『怪人開発部の黒井津さん』挿入歌)へと続き、会場を一気に歌が駆け抜ける。

しかし、ここで雰囲気を一転させる「鏡面の波」の登場となった。この楽曲ならではの幼い声色でとつとつと歌詞が展開され、会場はその幻想的で神秘的な歌に身を委ねる。なお、曲が始まる前のSEには、“Animelo Summer Live 2018”出演時に制作されたものが使用された。歌う側も聴く側も、4年前にわずか300m離れた場所(=さいたまスーパーアリーナ)で心を揺らした思い出がよみがえる中、当時と同じようにサイリウムがフロアを緑に染めた。

この日だけのカバー曲「ハイステッパー」でフロアが燃え上がる!

次のMCでは、「ツアーも初めて」「アルバムも初めて」という今の心境から始まり、「ツアーのセトリもアルバムと一緒だったら面白くないな、と思って」、という自身の思いを述べたYURiKA。ライブ後、その心情を少し掘り下げてもらった。

YURiKA「何公演も来てくださる人がいるのは知っているんですけど、各公演ごとに全部を変えるツアーにはしたくなくて。私はあゆ(=浜崎あゆみ)が大好きでツアーに通った経験があるんですけど、あゆのライブって会場ごとにアカペラコーナーがあるくらいで公演内容は毎回同じなんですよ。でもいつも違うライブになる、そこがかっこいい、と私は思っていたんです。インストから始まる、とかもそうなんですけど、ツアーとはそういうもの、っていうイメージが植え付けられたんですよね」

ただ、こうも付け加える。

YURiKA「せっかくアルバムの『KIRA☆KIRA』で好きなアーティストや作家の方々に参加してもらえたので、そこの良さも出せたら……とも思ってはいますね」

その気持ちを形にしたのが、次のカバー曲のコーナーだ。10月29日の神奈川公演ではGRANRODEOの「Can Do」をカバーし、11月22日の大阪公演では『AIR』主題歌の「鳥の詩」を、客席で見守る折戸伸治の前で歌い上げた。その中で「ライブごとに雰囲気が変わる時間」というのがYURiKAの弁。この日のカバー曲には、盟友にして「いっぱいの時間を過ごしてきた、大好きなお姉さん」こと大原ゆい子の「ハイステッパー」を選んだ。マイクスタンドを使い、ゆい子リスペクトのエアギターも交えながら、歌唱後には「このツアーで一番盛り上がったんじゃない?(笑)」と振り返るほどの熱さで歌い上げる。

そのあとに控えていたのは「baby baby flow」で、ここからはYURiKAが、大人な表情と表現力で歌を紡いでいく。この日は衣装も、黒のタンクトップをインナーに、チェックのジャケットとタイトスカートで、やや90年代風に年齢相応のファッションで決め、さらに趣味の筋トレの成果である引き締まったウエストを見せつけていた。そこでの「Crave」である。観客のクラップを浴び、ギターソロの後押しを受け、YURiKAから大人なロックボーカルが飛び出し、加速し、続く『BEASTARS』ゾーンへ突入。劇伴音楽をイントロダクションに使用しての「眠れる本能」、そして「月に浮かぶ物語」「Le Zoo」と、自身が担当したED主題歌・挿入歌4曲を立て続けに歌唱した。『BEASTARS』自体、獣人たちが本能と理性の狭間で描く青春ドラマというエッジある作品だったが、そこに流れる楽曲群も個性が強く、その分、YURiKAも「色んな寄り添い方ができる」と表現力を鍛えられたという。無論、YURiKAとしても『BEASTARS』という作品の核である、感傷的かつ情緒的な部分を増幅するような歌を提供したが、ライブでもそこは健在だった。「Le Zoo」は、自身が主催する「ユリパ! YURiKA presents Live party Vol.2」で先輩アニソンアーティストとともにエンディングソングとして歌ったときの思い出話として、「先輩のいいところを受け取り、目指すべきアニソンシンガーへ突き進むことを新たに決意した」曲であるとも口にもしていた。

次ページ:ライブでも特別な位置づけになった「パーソナリティ」

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