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INTERVIEW

2022.12.21

『チェンソーマン』EDテーマ制作を終えて─syudouが語る、「インザバックルーム」の向こう側 “「ここから何を残すか」が一番大事”

『チェンソーマン』EDテーマ制作を終えて─syudouが語る、「インザバックルーム」の向こう側 “「ここから何を残すか」が一番大事”

MAPPA制作によるハイレベルな映像表現で毎週話題を集めるTVアニメ『チェンソーマン』。このEDテーマは、豪華な顔ぶれのアーティストが週替わりで楽曲を担当。さらに楽曲ごとに合わせたEDアニメーションとともにオンエアされている。このうち第5話のEDテーマ「インザバックルーム」を担当したのが、ボカロP/シンガーソングライターのsyudouだ。TVアニメ『月が導く異世界道中』のOPテーマとして話題を集めた「ギャンブル」や、「ビターチョコデコレーション」など自身名義の楽曲、そしてAdoの「うっせぇわ」を筆頭にした提供楽曲でも知られる気鋭の若手クリエイターに、「インザバックルーム」に込めた思いや、楽曲の制作過程を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 杉山 仁

まさか自分も入れていただけるとは思ってもいなかった

――syudouさんが『チェンソーマン』を知ったきっかけはどんなものだったんでしょう?

syudou 連載が始まってすぐ、2~3話くらいの頃にはもう、SNS上で「『チェンソーマン』がヤバいぞ」という評判が広まっていて。自然と自分の目にも入ってきたので原作を読み始めたら、皆さんが騒いでいるのも納得で「これはすげえぞ」と思ったのが最初でした。

――早い段階から原作を読んでいたんですね。そのとき、どんな魅力を感じたかも教えてもらえますか。

syudou 僕が「週刊少年ジャンプ」作品に持っていた、「整った真っ直ぐな少年マンガ」という勝手なイメージからある意味かけ離れた作品で、しかもかっこよくて面白くて……。いい意味で常識から外れている感覚が印象的でした。これが今の“王道感”なのかなとも思いましたね。しかもその魅力が、主人公・デンジの性格にもわかりやすく出ているとも思います。『チェンソーマン』って主人公が一番クレイジーで、デンジって自分の衝動に素直に生きているじゃないですか。僕自身も常日頃から「モテたい!」と言っている人間なので、そこを臆することなく突き進んでいくデンジはかっこいいなと思いますね。

――そんな『チェンソーマン』がアニメ化することになり、EDテーマについてオファーがあったときはどんな気持ちでしたか?

syudou アニメ化が決まる前から、「アニメがあるとしたら、音楽は誰がやるんだろうね?」とミュージシャン仲間の間でも話題になっていたくらい人気の作品だったんですよ。そこにまさか自分も入れていただけるとは思ってもいなかったので……最初は信じられなくて、実は正式発表の直前まで、壮大なドッキリだと思っていたくらいです(笑)。今回のように元々自分が好きで長期的に読んでいた作品からオファーをいただけたのは嬉しく、光栄に思いました。

――改めて、syudouさんが担当した第5話EDテーマ「インザバックルーム」の制作過程について詳しく聞かせてください。最初のアイデアはどんなものだったんでしょう?

syudou 第5話は、デンジたちが永遠の悪魔にホテルの中に閉じ込められる回でした。まずはその不穏な空気感や、ホテルの階から出られなくなるループ感は大切にしようと思いました。ただ、それだけだと自分がやる意味がないとも思っていたので、自分が『チェンソーマン』に感じるイメ―ジや魅力のようなものをぶつけていって、2つの要素の間のちょうど良いバランスを取っていきました。それと、EDテーマというだけではなく、『チェンソーマン』に捧げる1曲という意味で、あえて行き過ぎた言い方をすると「自分がデンジだったらどんな曲を作るだろう?」ということも意識しています。

――楽曲の構成自体が「永遠の悪魔に閉じ込められたループ感」を表現しているように感じられるのは印象的でした。

syudou 曲の冒頭と最後を繋がるようにしてループさせることで、第5話の不安感を出したいと思っていました。あとは、音自体も(わざと音程を外すような)捉えどころのない電子音を入れていて、そのサウンド感も含めて、他にEDテーマを担当される方ともかぶらないような形にできたらいいな、と思っていましたね。ただ、同時に作品としては不安感だけが重要なわけではなくて、デンジを含めたメンバーたちはこれから永遠の悪魔と戦うことになるので、サビに向けてグワッと盛り上げるような構成にもしています。

――サビ前に叫ぶような部分や、終盤の“何度も何度も何度も何度も/何度もあったがここで歌っている”という部分の、五線譜を踏み外すような歌い方も印象的でした。

syudou 『チェンソーマン』の曲だと考えたときに、自分の場合はただ全体に歌のメロディがあるだけの曲では行儀が良すぎると思ったので、その部分は喚き散らすようなシャウトを入れていきました。もちろん、もっとぐしゃぐしゃにすることもできたんですが、同時に自分の曲でもあるということで、その2つのバランスを取って最終的な形に落ち着きました。

次ページ:『チェンソーマン』の魅力だけでなく、「自身の活動とこれから」も表現したかった

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