リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2022.12.21

『チェンソーマン』EDテーマ制作を終えて─syudouが語る、「インザバックルーム」の向こう側 “「ここから何を残すか」が一番大事”

『チェンソーマン』EDテーマ制作を終えて─syudouが語る、「インザバックルーム」の向こう側 “「ここから何を残すか」が一番大事”

『チェンソーマン』の魅力だけでなく、「自身の活動とこれから」も表現したかった

――他に楽曲について工夫したところというと?

syudou 自分の場合、これまでを振り返ってみると「怪しい雰囲気の曲」と「パンチのある攻撃的な曲」をそれぞれ別に作ってきたように思うんですけど、今回はそうやって培ってきた要素を全部詰め込みたいと思って、1曲の中で不安定なところも攻撃的なところもどちらも表現しようと思いました。そうやって、これまでの自分を全部混ぜて作っていった気がします。

――確かに、序盤のイントロは、例えば「ビターチョコデコレーション」などに通じる不穏な雰囲気で始まりますが、サビになるとAdoさんに提供された「うっせえわ」のように、攻撃的でインパクトのある雰囲気になっていくのが印象的でした。

syudou 今までやってきたことを踏まえた現在地点として、今回の機会に1つ「マーカーを打っておきたい」と思ったんです。歌詞に関しても、『チェンソーマン』の魅力をいかに表現できるかという点と、自分の気持ちやこれまでの活動に関連したストーリー、そしてこれからどうしていきたいかを、どちらも表現できるようにしたいと思っていました。

――曲の中で、特に『チェンソーマン』に寄り添って考えた部分と、syudouさん自身の活動に重ねられている部分とをそれぞれ教えていただけますか?

syudou 歌詞で『チェンソーマン』に特に寄り添っているのは、基本的にアニメ尺でかかっている前半部分で、“一瞬の新興と引き換えに/一生と心臓を渡すのさ”というところや、出口のないループ感のある部分です。そして、自分にまつわる歌詞は、基本的に2番以降の歌詞なんですが、例えば、「ループ」という意味では『チェンソーマン』にも繋がっているんですけど……自分が憧れたり、尊敬する気持ちには出口がない、ずっと続くものだと思うので、後半にはそういった歌詞を入れています。カッコつけて「これだ!」と答えを出すのではなく、むしろ「出口ってないよなぁ」と認めることが一番正直なのかな、と。もしデンジだったら、それを正直に言うだろうとも思ったので、「出れないけど頑張るぜ」じゃなくて、「出れないな」ということを書こうと思っていました。

――なるほど。『チェンソーマン』の楽曲だからこそ、「きれいごとにはしない」ことが大事だったんですね。

syudou そうですね。そこを正直に書くというのは、この作品だからこそできたことかもしれません。

――制作の中で苦労した瞬間などもあれば教えてください。

syudou 実は最初に作って提出したデモが、(アニメ制作サイドからは)「全然違う」ということになって、今までの仕事の中でもおそらく初めて、楽曲が一度ゼロベースに戻る瞬間がありました。というのも、最初は自分が気合を入れ過ぎていて、「『チェンソーマン』を自分なりに表現した曲を書くぞ!」と、作品全体に寄り添ってしまった結果、第5話にはあまり寄り添えていないものになってしまっていたんです。それはそれでいいアイデアが詰まっていたので、まだどこかで別のものとして形を変えて出せたらいいな、とは思っているんですが。

――ちなみに、「インザバックルーム」というタイトルはどんなふうにできたものなんでしょう?

syudou 第5話のEDテーマとして「出口がない世界」をテーマに楽曲を制作していくときに、「出口がない黄色い壁だらけの世界に入っちゃったらどうしよう」という内容のインターネットミームになっている「The BackRooms」(アメリカから広がったホラー動画の一種)と絡めてみると面白いんじゃないかというアイデアでした。『チェンソーマン』は海外の方にも観てもらえる作品になるだろうと思っていたので、なおさらこのミームとの相性がいいと思ったんです。

――第5話のオンエアをご覧になった感想はいかがですか?「インザバックルーム」に合わせた5話だけのEDアニメーションもすごかったですが。

syudou すごかったですよね。哲学的で、神話になぞらえたカットもあって。「マジで毎週違うんだな……!」と実感しました。1つ前のEDテーマ(「錠剤」)は、楽曲がTOOBOEさんで映像はcoalowlさんでしたけど、それともまた全然違っていて「本当に曲に合わせて変えてくださっているんだな」と嬉しかったです。

次ページ:今回の経験でミュージシャンとしての覚悟がさらに上がって、意識が変わった

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP